山西 弘一 - 日中医学協会

匂思d
E
恩唱曲線業:
200 1
年度日中医学協会共同研究等助成事業報告書
一調査・共同研究に対する助成一
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tcJ.年
財団法人
.
y月
比日
日中医学協会
理 事 長 殿
山西
研究代表者氏名
弘-
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"富撃
で
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屯
3
ノ
所属機関名大阪大学・医学系研究科
部署・役職微生物学講座・教授
所在地〒 5
6
5
0
8
7
1 大阪府吹田市山田丘2
2
電話
0
6
6
8
7
7
5
1
1
1 内線 3
3
2
1
1.研究テーマ
原因不明の血液疾患に関するウイルスの同定
2
.研 究 期 間
自 怨0
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:
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...Q一月
~.Jl
,....,至包0
2 &
:
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3
3
.研 究 組 織
日本側研究者氏名
所属機関
中国側研究者氏名
所属機関
山西弘一
大阪大学
職名
-塾翠
沈建能 C
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Z
h
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)
福建医科大学
職名-塾塾壁
4. 研究報告書
別紙報告書作成要領に従い、添付の用紙で研究報告書を作成して下さい。
※研究成果を発表する場合は、発表原稿・抄録集等も添付して下さい。
※発表に当たっては、日中医学協会助成金による旨を明記して下さい。
一
3
4-
1
.
[
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一
日
5
. 収支決算報告
2
0
0
1年4月4日交付通知のあった研究課題 原因不明の血液疾患に関するウイルスの同定
についての収支決算を行いました。領収書コピーを添えて、次のとおり報告します。
支出内訳
交付を受けた金額
消耗品費
1,
000,
066
円
旅
334,
41
0 I
1
J
662,
821 P
l
ぷ
ロ
、弘
その他
費
計
1,
000,
066 I
'
J
2,
835 1
'
1
支出明細(消耗品・旅費・その他の科目別に記載、別紙可)
科目区分
研究事業費
旅
費
金額
1,
000,
0
6
6
1利 息
備考(用途・内訳)
66円
8301
1
9
1,
研究打合
関西空港。度門
慶門 φ 関西空港
1名 X@191
.830X1
回 =191,
830円
8241
82,
研究打合
度門 φ 関西空港
関西空港特度門
宿泊代
消耗品
1名 X@82,
824X1回 =82,
824円
7561
59,
ホテルオオサカサンパレス
1
名 ( 沈 建 議 ) X@7,
500x7泊 X1
.05=59,
756円
8971ナカライテスク株式会社
269,
品名
ストレフト ABC
ベルオキシダーゼキッ}
キット
ヘルオキシターゼセンショク DAB
X 1= 1
1
.
2
0
0
HPA2NEBOl71S2000U
X 1= 1
0
.
6
4
0
MSP1NEB0106S5000U
X 1= 1
0
.
5
4
5
インターロイキン 6 (ヒトリコンビナント) X 1 = 1
1
.
7
0
0
AMVREVERSEτ"RANSCRIPTASE
X 1 = 32.
400
DEADENDCOLORIMETRICAPOPTOSISDETECX1
=2
6
.
6
0
0
TAQDNAPOLYMERASEINSTORAGEBUFFERX1
=8
.
8
2
0
TAQDNAPOLYMERASEI
NSTORAGEBUFFERX1
=9
.
0
0
0
QlAAM
PDNABLOODMIDIK
I
T
(
1
0
0
)
X
1 = 8
1
.
0
0
0
QIAPREPSPINMINIPREPK
I
T
(
5
0
)
X
1 =
9
.
9
0
0
5-AZA-2-DEOXYCYTIDINE
X
1 =
8
.
6
4
0
ダルペツヘンホウイーグルパツイチ(2) X
1=
4
.
5
0
0
GENOPUREフラスミドミディキット
1=
8
.
5
0
0
i
内政税
X
1
2
.
8
5
2
5901三和理研株式会社
58,
.品名
i
ピペット
キャンペーンセット
ミスターフロスティ1.2/2.0ml
消費税
x 1 = 19.800
x 1 = 36.000
2.790
phu
n喝U
科目区分
備考(用途・内訳)
金額
334,
334八洲薬品株式会社
X 1=3
8,
700
品名コウVP16
P
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dM
a
x
iK
it
X 1 = 54,
000
プレットキット
X 1=1
6,
914
消費税
雑
費
1
5,
9
2
0
840銀行振込手数料(東急観光株式会社大阪中央支店)
5
2
5銀行振込手数料(ナカライテスク)
5
2
5銀行振込手数料(三和理研)
5
2
5銀行振込手数料(ホテルオオサカサンパレス)
420銀行振込手数料(八洲薬品株式会社)
- 3
6 -
日中医学協会助成事業
原因不明の血液疾患に関するウイルスの同定
研究代表者氏名:山西弘一
所属:大阪大学大学院医学研究科微生物学
役職:教授
要旨
ヒ ト に 感 染 す る ヘ ル ペ ス ウ イ ル ス は 現 在 ま で に 8種 類 報 告 さ れ て い る が 、 初 感 染 の 後 、
体内に潜伏感染し、宿主の免疫不全状態に伴い種々の疾患を引き起こすことが知られて
い る 。 ヘ ル ペ ス ウ イ ル ス の な か で も β ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス に 属 す る HHV6は初感染の後、
血小板減少性紫斑病を引き起こす症例も報告されており、また骨髄移植後の免疫不全状
態では再活性化に伴い、骨髄抑制が認めらる症例も数多く経験されている。このような
ことから、血液系の原因不明の疾患にヘルベスウイルスが病因として関わっている可能
性が深く示唆される。ヘルペスウイルスに保存性の高い領域にヘルペスウイルスを共通
増 幅 で き る プ ラ イ マ ー を 設 計 し 、 PCR法 を 用 い て 、 複 数 の ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス を 同 時 に 検
出できうる系を開発した。原因不明の血液疾患の患者検体に応用し既知及び未知のヒト
ヘルベスウイルスがその発症原因である可能性について検討した。
KeyW
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s
: ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス , 原 因 不 明 血 液 疾 患 , PCR法
目的や研究背景
ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス と し て 分 類 さ れ る ウ イ ル ス は 100種 類 以 上 知 ら れ て い る 。 魚 類 、
両生類、鳥類など、またほ類のサル、ヒトに及ぶ生物種に広〈分布している。ヒトヘル
ペ ス ウ イ ル ス (HHV) と し て は 、 単 純 ヘ ル ペ ス ウ イ ル ス 1型 (
HSV-l) 、 2型 (HSVp
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2) 、 帯 状 癌 疹 ウ イ ル ス (VZV) 、 ヒ ト カ イ ト メ ガ ロ ウ イ ル ス (HCMV) 、 E
ウイルス (
EBV) の 5種 と 、 最 近 発 見 さ れ た ヒ ト ヘ ル ベ ス 6型 (HHV-6) 7型 (HHV7
) 及 び 8型 (HHV-8) の 8種 類 が 知 ら れ て お り 、 そ の 生 物 学 の 性 状 か ら α、 8、 γの
3群 に 分 け ら れ て い る 。 ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス 粒 子 は い ず れ も が 類 似 し 、 被 膜 を 持 つ 直 径 2
Onmの 粒 子 で 、 細 胞 の 核 内 に は 直 径 100nmの 被 膜 の な い ヌ ク レ オ カ プ シ ド が 存 在
す る 。 感 染 標 的 細 胞 は 、 αヘ ル ベ ス で は 多 く の 細 胞 に 、 Bヘ ル ベ ス で は 主 に 血 液 細 胞 ( リ
ン パ 球 や 単 球 / マ ク ロ フ ア ー ジ ) と 上 皮 細 胞 、 そ し て γヘ ル ペ ス で は リ ン パ 球 や 上 皮 細
胞などである。ヒトヘルベスウイルスは初感染後体内に潜伏感染し、宿主の免疫力の低
下に伴い様々な疾患の原因になることが知られている。ヘルベスウイルスのなかでも 8
ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス に 属 す る HHV6は 初 感 染 の 後 、 血 小 板 減 少 性 紫 斑 病 を 引 き 起 こ す 症 例
も報告されており、また骨髄移植後の免疫不全状態では再活性化に伴い、骨髄抑制が認
めらる症例も数多く経験されている。このようなことから、血液系の原因不明の疾患に
ヘルベスウイルスが病因として関わっている可能性が深く示唆される。我々はこれまで
に HHV-6が 突 発 性 発 疹 の 原 因 ウ イ ル ス で あ る こ と を 明 ら か に し た 。 ま た 、 HHV-6の HST
株 の 全 塩 基 配 列 (1
60Kbp)を 決 定 し た 。 ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス に 保 存 性 の 高 い 領 域 に ヘ ル ペ
ス ウ イ ル ス を 共 通 増 幅 で き る プ ラ イ マ ー を 設 計 し 、 PCR法 を 用 い て 、 複 数 の ヘ ル ペ ス ウ
イルスを同時に検出できうる系を開発した。現在までに開発し得た系は、ヘルベスウイ
ル ス の 中 で も 8、 γ ヘ ル ベ ス を 共 通 増 幅 で き る 系 に 加 え 、 さ ら に 、 よ り 高 感 度 に 、 H
o
へ
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ルベスウイルスを共通増幅する系である。後者の系は、ヒト βヘルベスウイルスのみな
らず、サルのサイトメガロウイルスも含め、。ヘルペスウイルスを広く共通摺幅できる
系で、既知のウイルスに加え未知のヘルペスウイルスも検出できる系と考えている。こ
れ ら の ヒ ト ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス を 同 時 に 検 出 可 能 な PCR系 を 開 発 し 、 原 因 不 明 の 血 液 疾 患
の患者検体に応用し既知及び未知のヒトヘルベスウイルスがその発症原因である可能性
について検討することを目的とした。
研究方法
1) P
ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス 標 箪 株 と し て 、 U1102(HHV-6A),HST(HHV-6B),7-KHR
(HHV-7),Towne{CMV)感 染 細 胞 を proteinaseK 処 理 し て 得 た DNAを 100ng、 臨 床 検
体 は 患 者 末 梢 血 ま た は 骨 髄 血 よ り 単 核 球 を 分 離 し て proteinase K 処理を行い、 105個 細
胞 か ら 得 ら れ た DNAを テ ン プ レ ー ト と し て 用 い た 。 血 嫌 は 20μlか ら 抽 出 し た DNAを
テンプレートとして用いた。
2) 共 通 増 幅 プ ラ イ マ ー は 、 P
ヘルペスウイルスに保存性の高い l
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p
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d gene領 域 に
forward側 2種、 r
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e側 2種の 2組を設定し、 n
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d PCR法 を 施 行 し た 。 得 ら れ た 増
幅産物はサザンハイプリダイゼーション法によりウイルスを特定した。特定されないも
のについては d
i
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e
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tsequencing 法 を 用 い て 塩 基 配 列 を 調 べ た 。
3) 対 象 は 特 発 性 血 小 板 減 少 症 ( ITP) 1 8症 例 2 3例 ( 骨 髄 5検 体 、 血 紫 2検 体 、 末 梢
血 単 核 球 16検 体 ) 、 再 生 不 良 性 貧 血 (
AA) 末 梢 血 9検 体 、 急 性 白 血 病 患 者 2 8症 例 の
末梢血単核球検体。
(倫理面への配慮)
患 者 か ら の 検 体 の 採 取 { 末 梢 血 2ml、 骨 髄 血 1ml) は イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト を と
っ た 上 で 行 っ た 。 検 体 か ら 抽 出 し た DNAは ヘ ル ペ ス ウ イ ル ス の 検 出 以 外 の 目 的 に は 使 用
せず、患者に不利益を生じることはないと判断した。
研究結果
1) 共 通 増 幅 プ ラ イ マ ー は P
ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス 感 染 細 胞 (HHV・6、 HHV・7、 HCMV)
臨床検体において既知の P
ヘルペスウイルスを特異的に共通増幅することが可能であった。
2) 特 発 性 血 小 板 減 少 症 (ITP) 患 者 18症例 23検 体 ( 骨 髄 5検 体 、 血 蝶 2検 体 、 末 梢
血 単 核 球 16検 体 ) で の ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス の ス ク リ ー ニ ン グ 結 果 は 、 骨 髄 か ら HHV・6 が
3検 体 (60%) 、 末 梢 血 単 核 球 か ら HHV・6が 1
0検 体 (62.5%) 、 HCMVが 1検 体 (
6
.
3
Q
も
)
、
血 蝶 か ら HHV6が l検 体 (50%) 検 出 さ れ た 。 未 知 の ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス の 検 出 に は 至 ら
なかった。
3) 再 生 不 良 性 貧 血 (
AA) 患 者 に お い て は 、 末 梢 血 9検体中、 HHV・7 が 1検体(11.1%)
で検出された。再生不良性貧血患者の症例中、 2 症例が肝炎症状後に再生不良性貧血を
発症し、ウイルス感染が契機として疑われていたが、 2症 例 と も に βヘ ル ペ ス ウ イ ル ス
は 検 出 さ れ な か っ た 。 こ の う ち の 1症 例 は 骨 髄 移 植 が 施 行 さ れ 、 移 植 後 経 時 的 に ヘ ル ベ
ス ウ イ ル ス に つ い て 調 べ た と こ ろ 、 移 植 後 第 9週 に HHV-6が 100-1000copies/sample検 出
された。未知のヘルペスウイルスの検出には至らなかった。
4) 急 性 白 血 病 患 者 検 体 を 用 い て こ の 系 を 応 用 し た と こ ろ HHV・6が 3検体、 HHV・7が 5
検体、 HCMV が 2検 体 検 出 さ れ た が 、 未 知 ウ イ ル ス は 検 出 さ れ な か っ た 。 未 知 の ヘ ル ベ
スウイルスの検出には至らなかった。
考察
ヘルベスウイルスの中でも p
ヘ ル ペ ス ウ イ ル ス に 属 す る HHV-6、 HCMV は 再 活 性 化 時
に骨髄抑制を認める症例や、初感染時に血小板減少症を発症する症例が報告されている。
現在は、症例を集めてスクリーニングを施行しており、特発性血小板減少症患者の末梢
血 、 骨 髄 か ら HHV-6 が 高 率 に 検 出 さ れ た 。 肝 炎 症 状 後 に 再 生 不 良 性 貧 血 を 発 症 し 、 ウ
イルス感染が契機として疑われていた再生不良性貧血患者検体における検討ではヘルベ
スウイルスの関与は否定的であった。未知のヘルベスウイルスが原因不明の血液疾患の
原 因 で あ る 可 能 性 を 考 え 、 特 発 性 血 小 板 減 少 症 (ITP) 、 再 生 不 良 性 貧 血 (
AA) と 急 性
白血病の患者検体を用いたスクリーニングも同時に施行したが未知ウイルスの検出には
-3
8 -
い た ら な か っ た 。 我 々 の 開 発 し た HHV 共 通 増 幅 シ ス テ ム は 息 者 検 体 か ら の ウ イ ル ス の
T
P
)患
検 出 が 簡 便 に 行 な え 、 ス ク リ ー ニ ン グ に 有 効 で あ っ た 。 特 発 性 血 小 板 減 少 症 (I
者 検 体 か ら 、 高 率 に HHV-6が 検 出 さ れ た 。 骨 髄 移 植 後 の 造 血 障 害 に 、 HHV-6 が HCMV
と 同 様 に 関 与 す る と の 報 告 が さ れ た 。 Inv
i
t
r
oで
、 HHV-6頼 粒 球 系 の CFU-GM、 赤 芽
球系の BFU-Eのコロニー数の減少を認めた。 HHV-6の 造 血 系 の 影 響 が 示 唆 さ れ た 。 今
回の結果がその意義については現在検討中である。
拳考文献
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