1 2015 年 4 月 27 日 専門科目1「マーケットとファイナンス(前半)」(松島斉) 第 2 章:幸福と選択 2.2.幸福を比べる お金持ちランキング 2 所得格差:ローレンツ曲線 3 所得格差の比較:ジニ係数 (ローレンツ曲線と 45 度線の間の面積の二倍:0~1) 4 地球幸福指標(Happy Planet Index)(by Friend of The Earth) http://www.happyplanetindex.org/data/ 「所得以外の要因が幸福指標にとって大事!」 HPI (Experienced Well Being) (Life Expec tan cy) Eco log ical Footpr int 5 客観的幸福度、主観的幸福度 アンケート調査の役割大 しかし 意味のある幸福度を定めること 適切にデータ収集すること ともにとても難しい 意図的にせよ意図せざるにせよ、 アンケートの回答は容易に操作されてしまう 6 例:アンカーリング 質問1:あなたは幸せですか 質問 2:あなたは先週何回デートしましたか 質問 1:あなたは先週何回デートしましたか 質問 2:あなたは幸せですか 7 例:Easterlin Paradox 所得が高くても幸福度は高くない ・ ・ 同じ世代内では相関強い 世代間を比較すると幸福度変わらない 高年齢=高所得 低年齢=低所得 Reference Point(目標水準)が世代間で変化してしまうからでは? 8 例:Happiness Paradox (by Brickman and Campbell) 「大けがした人」と「大金を手にした人」は 時間がたつと同じ、あるいはもとの、主観的幸福度を 自己申告するようになる 経済学者の素朴な疑問 「大金を手にした人が大けがした人になりたがることもあるのか??」 (「日本の一番ジャングルな日」by ひさうちみちお) 9 アンケート調査の難しさ 意図的にせよ意図せざるにせよ、質問の仕方や手続きによって アンケートの回答は操作されてしまう ⇒場合によっては極端なアンケート結果がもたらされてしまう cf.「Vignette(ビネット、装幀)方法」 10 幸福度調査は困難だが大事な問題 経済学とも深く関係 しかしあくまでも学際的な領域(経済学の外?)に位置 Why? 経済学から得られる知見のほとんどは 個々人の幸福度の調査や比較とは無関係 ならば 経済学は個人をどのようにとらえているのか? (次々節(2.3)にて明らかにされよう) 11 2.2.(ちょっと脱線)ベンサムのパノプティコン: 幸福=快楽=功利(Utility)の学説史 ベンサム(1748~1832) 快楽計算、最大幸福(個人で快楽を足し合わせる) ベンサムのミイラ(UCL) ベンサムと私 12 パターナリズム(温情主義) 人は実際には快楽的効用をうまく最大化できていない 国家はそれをただす立場にある ベンサムの福祉国家 監視なき監視社会(監獄、病院、学校、職場、......) パノプチコン 13 表参道ヒルズ さかさパノプティコン:(パターナリズムでなく)自律した個人のイメージ 14 Colin Camerer(2005) 行動経済学(Behavioral Economics)神経経済学(Neuroeconomics) アミグダラ(扁桃体) ここが活性化していると 当たる率のわからないくじには興味ない(弱い起業家精神、おれおれ詐欺にかかりやすい、……) 「いずれは豊富な脳科学のデータをもとに 快楽をただしく計算できるようになるはずだ」?? 日本経済新聞「経済教室」(2008 年 7 月 15 日): 神経科学の応用慎重に (by 松島) 15 2013 年高知工科大学にて fMRI 見学 16 経済学と快楽計算は無関係 個人間で比較できる幸福や快楽の指標を検討すること自体は、経済問題に関連し ている。 しかし、経済学的知見とされるもののほとんどは、幸福の達成度をいかに個人間 で比較するかという論点とは「無関係」に成立するものである。 ならば 経済学は個人をどのようにとらえているのか?
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