スライド 1 - 神戸大学大学院国際文化学

教育分野におけるNPOの可能性
地域文化3回 大正友貴
AGENDA
□NPOとは
□NPO法可決からの10年
□教育NPOの実態
□海外・国内の実例
□まとめと論点
NPOとは
NPO(Non-Profit Organization)=民間非営利組
織
様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を
分配することを目的としない団体の総称。
「特定非営利活動法人」(NPO法)
=NPO法に基づき法人格を取得した法人
法人格の有無を問わず、様々な分野(福祉、教育・文化、まち
づくり、環境、国際協力など)で、社会の多様化したニーズ
にこたえる重要な役割を果たすことが期待される。
NPOの5つの機能
サービス機能
イノベーション機能
(多様・質のよいサービスの提供)
(新しいアイデアや事業を生み出す)
社会変革機能
(政策提言を行うなど、
社会変革を推進)
表現・リーダーシップ
発展機能
(社会の多元性・多様性の促進や
リーダーの育成機能)
コミュニティ建設・
民主化機能
(社会相互作用を促進して、
コミュニティを創り出す)
NPOの5つの欠点
排他性・偏向
温情主義・
(特定の価値を共有する人にしか利
益を提供せず、排他的な環境を生
み出す恐れ)
父権主義
(サービスに頼る人々の依存性を高め、
その自由を制限する危険)
アマチュアリズム・
資源の不十分性
過度の専門主義
(資金源が不安定)
(運営が素人的になったり、逆に専門家
が多い団体が他を軽蔑・排除する危険)
*会費、助成金、寄付、
委託費、事業収入
アカウンタビリティの不足
(会計報告などの仕組みの不十分で、構成員
が収支内容を把握できていない恐れ)
NPO法可決からの10年
NPOセクター
の成立
• 阪神淡路大震災でのボランティア活動が注目される⇒NPO法の成
立
• NPO法人制度を意識しながら任意団体として活動する団体の出現
• 団体の中に1つのセクター意識が生まれ始める
NPOという言葉 • メディアを通じたNPOへの注目が高まる
の急速な普及
• 政府・行政・自治体のパートナーとしてのNPO
第3セクターとし • 企業の社会貢献論・社会責任論上でのNPO
ての認知
認証されたNPOの数は緩やかに増加
50000
45000
40000
35000
30000
法人数
25000
年度(平成)
20000
15000
10000
5000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
日本の自由主義改革~「官から民へ」「国から地方へ」~
【1996年~2006年】
政府自身の業務や国営企業を民営化
地方政府・
民間活動への
公共サービスに
民間団体の自立化
規制を緩和
競争を導入
⇒公共サービス改革とNPOの啓蒙期がほぼ同じ
日本の公立小中学校
従来:義務教育は市町村教育委員会の責任
住所によって学校が指定される⇒選択権なし
1995年 東京都足立区が初めて学校選択制を導入
2004年 地方教育行政法の改正
→コミュニティスクールが可能に(2007年地点で319)
⇒利用者の学校選択が可能
学校の経営的裁量権の拡大
日本の公立高等学校
元々学校選択が可能+学校の経営的裁量権大
教育NPOの実態
特定非営利法人の種類
活動の種類
法人数
割合(%) H.24 6月末
比増加数
保健、医療又は福祉の増進を図る活動
26755
57.8
260
社会教育の推進を図る活動
21688
46.8
300
団体の運営または活動に関する連絡、助言
または援助の活動
21224
45.8
319
子供の健全育成を図る活動
19810
42.8
341
内閣府調査)
19784(2012年9月末
42.7
314
まちづくりの推進を図る活動
教育分野:学校への支援活動、地域における学習支援、
キャリア教育・職業教育支援、青少年の学校外活動支援、
不登校やニート・ひきこもりに対する支援、環境教育、文化・スポーツ振興etc
教育NPOの成果とその課題
活動の継続や広がり
子供や大人の変化
活動の成果
人材育成等の好循環
公金を使っている以上
はそれが有効に使われ
ているか、ある程度はコ
ントロールする必要があ
るよね?
でも、そうなったらNPO
の自律性はどうなるの?
地域の活性化や雇用の促進・
創出
市民の一部しか代表しな
いNPOに、決定権や発言
権を与えていいの?
⇒行政・企業と教育NPOとの関わ
り
NPOと行政・企業との連動・協働
メリット・成果
課題
解決策
NPO側から ・地域や社会の信頼
・安定的な資金調達
・場所の提供・広報等の支
援
・活動の幅
・NPOのミッションと
乖離する恐れ
・資金面の依存
・行政の制約に左右
される
・専門性と経営力の
向上により、行政と
対等に意見交換が
できる力
・多様な収入源を持
つ
企業・行政
側から
・専門性による教育活動の
充実
・きめ細やかな対応・市民目
線での教育活動
・地域の教育力向上
・協働のルール作り
ができていない
・情報不足で、どの
団体と共同していい
かわからない
・ルールづくり
・NPO側の積極的
な情報発信
双方から
・単独ではできない事業が
できる
・地域全体への効果が期待
できる
・お互いの情報共有
や意思疎通、人材
交流の機会が少な
い
・ニーズの不一致
・交流や意見交換の
場を設ける
・win-winの関係作
り
・NPOの評価の基
準や評価機関を設
ける
TEACH FOR AMERICA (1990年 WENDY KOPP)
アメリカのNYに本部を置く教育NPOで、アメリカの一流大学生を
2年間、国内の教育困難地域に常勤講師として送りこむプログラム。
<TFAの課題意識>
犯罪が多い
治安が悪い
教育レベルの向上
<どのように成り立っているか>
・1991年から公立学校と提携
・資金:予算400億中 97%が寄付
・採用:大企業との提携によって優秀な学生を送る
(年間4500人がリクルーティングされ、常時9000人が派遣)
<社会的インパクト>
・社会全体:優秀な人材が教育界に流れるのを促進
・学校側:生徒達の成績の上昇・キャリア支援
・企業側:創造性・リーダーシップに優れた学生の獲得
TEACH FOR JAPAN
(2010年9月設立)
<TFJの課題意識>
教育の内容と質、学習機会、学習システム、教育格差の連鎖
⇒日本の教育格差を是正することで
「全ての子供が質の高い教育を受けることのできる社会の実現」
<なぜ日本社会において根付きにくいのか>
・ギャップイヤーが浸透していない
・NPOの地位の低さにより、知名度・資金面の協力に乏しい
・情報発信力のなさ
カタリバ
(設立2001年)
~公立学校の高校生に対するキャリア支援教育~
事業:カタリバ事業・東北支援事業
対象:主に高校生
スタッフ:大学生・社会人のボランティアスタッフ
内容:対談型ワークショップ(100~150分程度)
公立学校の「進路」や「総合」の授業枠
資金:2011年度の寄付金316百万円(前年度66百万円)
経常費用172百万円(前年度61百万円)
理想の状態
NPO主体教
育問題の解
決
行政・企業との恊
働・連携
教育NPO同士の連携・
情報発信力の強化
論点
・日本における(教育)NPOのプレゼンスをあげるに
は?
・教育NPOは公共サービスをどの程度担えるのか?
・行政・企業とNPO双方にとってwin-winなあり方と
は?
参考資料
・NPOは公共サービスを担えるか
(後房雄 2010 法律文化社)
・ソーシャルビジネス—地域の課題をビジネスで解決する—
(大室悦賀 2009 大阪NPOセンター)
・内閣府NPOホームページ
https://www.npo-homepage.go.jp
・TFA, TFJ,カタリバ公式ホームページ,代表インタビュー記事
http://www.teachforamerica.org
http://teachforjapan.org
http://monju.in/special/09/
http://www.katariba.net