公共土木施設に係わる災害復旧事業と 改良復旧事業について

公共土木施設に係わる災害復旧事業と改良復旧事業について
国土交通省水管理・国土保全局防災課
向 井 正 大
災害査定官
公共土木施設に係わる
災害復旧事業と改良復旧事業
国土交通省 水管理・国土保全局
防災課 災害査定官 向井正大
1
公共土木施設災害復旧事業の概要
根拠法令
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年3月31日法律第97号)
目 的
自然災害により被災した公共土木施設を迅速に復旧することで、公共の福祉を確保
特 徴
① 様々な公共土木施設が対象
(河川、海岸、砂防設備、林地荒廃防止施設、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊
防止施設、道路、港湾、漁港、下水道、公園 )
② 高率な国庫負担
③ 迅速で確実な予算措置
・事業費確定のための災害査定は、地方公共団体の準備が整い次第速やかに実施
・災害査定等により災害復旧に必要な費用を過不足なく確実に措置
④ 迅速な工事着手
・災害復旧工事は、国の災害査定を待たず、発災直後から実施可能
⑤ 原形復旧だけでなく適切な施設形状で復旧
⑥ 県単位で一括し予算交付
・災害復旧事業費は、予算費目ごと(河川等=河川、海岸、砂防等、道路/都市=下
水道、公園等)に災害年ごとに県単位で一括して交付
・災害復旧事業として採択された同一予算費目の工事であれば、工種、箇所にかか
わらず市町村も含め県内で自由に活用可能
2
高率な国庫負担
○ 災害復旧事業における
※ 年間の災害復旧事業費の総額が、
標準税収の1/2を超え、2倍に達するまでの額に相当する額については3/4が国費
国庫負担は2/3以上※と高率
標準税収の2倍を超える額に相当する額については4/4が国費
○ 交付税措置により実質的な地方公共団体の負担は最大でも1.7% (災害発生年災の場合)
【国庫負担率2/3、災害発生年災の場合】
国の負担
(国費 66.7%)
地方負担分には、起債(地方債)充当が可能
国の負担
(国費 66.7%)
国の負担額=国費+交付税=98.3%
地方の負担
(地方費 33.3%)
起債充当率 100%
起債のうち95%交付税
措置(交付税 31.%)
地方の実質的負担額 1.7%
※ 激甚災害に指定された災害の災害復旧事業については、
地方公共団体の標準税収入に応じ、さらに国庫負担率をかさ上げ
3
災害復旧事業の採択要件
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法
第2条一項(定義)
この法律において「災害」とは暴風、こう水、高潮、地震その他の異常
な天然現象に因り生ずる災害をいう。
異常な天然現象による災害の採択範囲 方針第3・1
●河川災害(原則)
警戒水位(はん濫注意水位)以上の水位、
河岸高の5割以上の水位etc
●河川以外の施設災害
最大24時間雨量80mm以上の降雨
時間雨量が20mm程度以上
●最大風速(10分間平均風速の最大)15m以上
●異常な高潮、波浪、津波●地すべり ●地震 ●降雪、低温
●干ばつ ●火災●その他落雷、噴火、噴気、降灰、雪崩、地盤沈下 4
適正な維持管理
【公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法】
(適用除外)
第六条 この法律は,次ぎに掲げる災害復旧事業については適用しない.
五 甚だしく維持管理の義務を怠ったことに基因して生じたものと認められる
災害に係るもの
【公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法事務取扱要綱】
(維持管理義務怠慢による災害)
第十三 法律第六条第一項第五号に規定する「甚だしく維持管理の義務を怠ったことに基因
して生じたものと認められる災害」とは、次ぎに各号に掲げる災害をいう。
一 腐朽 二 施設の操作不良 三 堤防の耕作
四 その他前各号に掲げるものに類する災害
【災害査定官申合事項】
第一 採択の範囲
十六 要綱第十三第四号の取扱について
巡視・点検及び点検などに基づく必要な維持補修
維持補修に関する計画の履行を著しく怠ったこと
に基因して生じたことが明らかに認められる災害を含むものとする。
5
国土交通省所管
災害復旧関係予算の経年変化
(億円) (直轄 + 補助) 河川、砂防、海岸、道路、港湾、都市
14,000
12,000
補正
13,821
東日本大震災
当初
10,000
新潟福島豪雨
台風10個上陸
8,000
13,286
6,000
4,000
2,000
1,276
6,387
534
1,279
2,279
3,277 3,126
0
H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
6
査定設計委託費等補助
特に被害が激甚であると認められる災害等の箇所
地すべり対策工事、橋梁等工事特殊工法等を実施する箇所の
査定設計に要した費用の概ね1/2を補助する
公共土木施設災害復旧事業査定設計委託費等補助の対象範囲
( 委 託 費 等 対 象 範 囲 )
( 設 計 )
被 災
被害調査
現地測量
復旧工法
検討
調査及び
試験
構造物の
応力計算
復旧工法
設計図
数量計算
工事費の
積算
設計書
査定申請 7
災害復旧事業の復旧方法
○災害復旧事業は、被災箇所を原形に復旧することを目的。
○ただし、原形復旧とは、単なる元どおりだけではなく、従前の効用を復旧するこ
とができる。
○さらに、原形復旧が困難な場合や不適当な場合には、形状、材質、構造を改良
する等、従前と異なる施設形状で復旧することができる。
-参考-
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年三月三十一日法律第九十七号) (抜粋)
(定義)
第二条
2
この法律において「災害復旧事業」とは、災害に因つて必要を生じた事
業で、災害にかかつた施設を原形に復旧する(原形に復旧することが不可
能な場合において当該施設の従前の効用を復旧するための施設をすること
を含む。以下同じ。)ことを目的とするものをいう。
3 災害に因つて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧す
ることが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代るべき必要な施設
をすることを目的とするものは、この法律の適用については、災害復旧事
業とみなす。
8
原形と異なる施設形状での復旧
①広域の地盤沈下、極端な河床の洗掘等により、地形地盤が
大きく変動したため、原形での復旧が不可能な場合
→ 地盤の沈下量や河床の洗掘深を考慮した上で、従前の効
用(防災機能など)を復旧
②大規模な山腹崩落等により、地形が大きく変動したため、
原位置での原形復旧が困難な場合
→ 道路のルートを変更し、トンネルで、被災した施設に変
わるべき施設を復旧
③木橋が全橋被災し、原形での復旧が不適当である場合
→ 現在の設計基準に合わせ、コンクリート橋で復旧
④洪水等が堤防を越える「越水被害」が発生し、背後地の集落
地、主要交通幹線路が浸水する等、原形での復旧が不適当
である場合
→ 当該災害を与えた洪水等を対象として堤防を嵩上げして
復旧
被災前
被 災
洪水で木橋が流出
復 旧
コンクリート橋で復旧
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災害復旧事業の限界
• 「災害復旧事業」は、負担法に基づき実施する。
• 「災害復旧事業」は、被災した施設等を原形復旧(従前の
効用の復旧)することを原則とする。
• 被害が甚大な場合等、「災害復旧事業」だけでは事業の
効果が限定される。
• 「災害復旧事業」だけでは再度の災害に対して十分な対
応が出来ないことがある。
• 「災害復旧事業」だけでは施工上工事に手戻りが生じる
ことがある。
改良復旧事業
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災害復旧事業と改良復旧事業
■災害復旧事業(河川等災害復旧事業費補助)
原形復旧が原則 (不可能は従前の効用を復旧、困難・
不適当は代わるべき必要な施設)
【根拠法令】
・施行権限等 →河川法、道路法等の個別法令
・費用負担率等→公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法
■改良復旧事業(河川等災害復旧事業費補助+改良復旧関係の各種事業費補助)
災害復旧と一体となり、一定計画に基づくものや、局部的
な改良により再度災害防止(改良復旧)を図る事業
【根拠法令】
・施行権限等 →河川法、道路法等の個別法令
・費用負担率等→地方財政法、海岸法、砂防法等
注) 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律により補助金等の不正使用の防止、予算執行・交
付決定の適正化を図るものとされている。
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改良復旧関係事業
被災箇所の復旧
単災<河川等災害復旧事業>
災害復旧関係事業
一定災
被災箇所と周辺
をあわせた一連
の改良
関連<河川等災害関連事業>
助成<災害復旧助成事業>
小川<特定小川災害関連環境
再生事業>
被災箇所上下流
の障害物の除
去・是正
災特<河川等災害関連特別対
策事業>
火山の爆発によ
る降灰の除去
降灰除去<降灰除去事業>
12
河川等災害関連事業
3年施工
河川又は海岸、砂防、地すべり、急傾斜地、道路、橋梁にお
いて、再度災害を防止するため、被災箇所あるいは未被災箇
所を含む一連の施設について、災害復旧費に改良費(関連
費)を加えて実施する改良事業。
【採択基準(一般基準)】
①総工事費のうち災害関連工事費の占める割合が原則として
5割以下(1:1の原則)
②一箇所の災害関連工事費が
都道府県、指定都市:2,400万円以上
市(指定都市を除く)町村:1,800万円以上
③原則として他の改良計画がないもの
④災害関連事業によって得られる効果が大であるもの
※一定計画に基づく事業は、上限6億円まで
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河川等災害復旧助成事業
4,5年施工
河川又は海岸において激甚な災害が発生した場合、再度災害を
防止するため災害復旧費に改良費(助成費)を加え、一定計画の
もと実施するものが河川等災害復旧助成事業です。
助成事業は、効果が大きいことが必要であり、効果比及び妥当投
資額を満足しなければなりません。
採択基準
①都道府県管理の一級河川(指定区間)、二級河川、都道府
県、指定都市管理の海岸
②被害激甚であって災害復旧工事のみでは十分な効果を期待
できないもの
③総工事費のうち助成工事費の占める割合が原則として5割
以下のものであって助成工事費が6億円を超えるもの
④原則として他の改良計画がないもの
⑤助成事業費によって得られる効果が大であるもの
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⑥上下流(前後)に悪影響を与えないもの
河川等災害復旧助成事業
1:1を超えるものの採択
一般被害が激甚である場合、効果が著しく大きい場合及び総工
事費の内、用地費及び補償費が多額にのぼる場合等においては
助成工事費が1:1を超えて採択されることもある。
経済効果の算定
効果比
γ=(β1+β2)/α
β1 : 土木施設等の被害額
β2 : 一般効果換算額(公共建物換算)
α : 全体計画の助成費
γ > 2
妥当投資額
E=(B1+B2)/(I+I/(1+I)n-1+0.005)
B1:計画区域内の既往最近10ヶ年の平均公共
土木施設被害の80%
B2:既往最近10ヶ年の平均一般被害額の内、
助成事業実施による防御の80%
I :利子率=0.045
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改良復旧事業の概念①
未被災箇所を含む一連区間の改良を行うことができる
被災
原形復旧
改良復旧
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改良復旧事業の概念②
改良復旧事業による復旧効果の確保に
支障となる原因の除去
寄州、屈曲部などの自然の障害物、橋梁、堰等の工作物に
よってせき上げ
→ 改良復旧の効果の確保に支障
→ 障害物の除去・是正
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改良復旧事業の概念③
環境に配慮した川づくりができる
未被災箇所の改良
環境に配慮
脆弱箇所の改良
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平成25年災害に係る改良復旧事業箇所【福井県】
No
河川・路線名等
ヒガワセン
事業
種別
工種 事業主体 採択事業費
ヒガワバシ
① 市道飛川線(飛川橋) 関連
施行位置
オバマシ
橋梁
小浜市
施工延長
(m)
事業
期間
異常気象
68.4
H25~H27
9月15~17日
の台風18号
シモナカイ
約3.10億円 小浜市下中井
位置図
小浜
市役所
北川
若狭町
おおい町
採択箇所
小浜市
①飛川橋
関連(橋梁)
①飛川橋
関連(橋梁)
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平成25年災 飛川橋 橋梁災害関連事業【福井県】
平成25年9月小浜市、台風18号二級河川南川
飛川橋の橋桁2径間と橋脚1基が流出、
残る橋脚1基も洗掘を受け通行不能
本橋梁は、幅員が2mと狭く、幅員を4mに拡幅し、同様の洪水が発生しても安全に流下
するよう桁下高を上げると共に、橋脚を無くした新橋梁に架け替えて改良復旧する。
【事業内容】
全景写真
被災状況写真
事 業 主 体 :福井県小浜市
シモナカイ
事 業 箇 所 :福井県小浜市下中井
ヒガワセン
市 道 名 :市道 飛川線
事 業 期 間 :平成25年度~平成27年度
事 業 費 :約3.1億円(内改良費 約1.4億円)
工 事 概 要 :橋梁上部工 単純鋼箱桁橋 L=68.4m
橋梁下部工 逆T式橋台 N=2基
被災写真
側面図
幅員2m→4m拡幅
桁下高を上げ
河川断面を確保
橋脚を撤去し河川
断面を確保
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平成25年災害に係る改良復旧事業箇所【兵庫県】
No 河川・路線名等
事業
種別
工種 事業主体 採択事業費
(主)三木宍粟線
粟田橋
関連
橋梁
①
兵庫県
約17.74億円
施行位置
施工延長
(m)
事業
期間
異常気象
小野市住永町
250.0
H25~H27
9月15〜16日
の台風18号
位置図
①(主)三木宍粟線
粟田橋
関連(橋梁)
採択箇所
小野市
①(主)三木宍粟線
粟田橋
関連(橋梁)
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平成25年災 粟田橋 橋梁災害関連事業【兵庫県】
【概要】 平成25年9月台風18号、24時間最大雨量
177mm、最高水位5.24mを観測、橋脚が洗掘沈下、
幅員を現道幅員5.5m→改良幅員6.5mに改良、
径間長等も構造令に改良
【事業内容】
事 業 主 体 :兵庫県
事 業 箇 所 :小野市住永町地内
路 線 名 :主要地方道 三木宍粟線
事 業 期 間 :平成25年度~平成27年度
延 長 :L=250.0 m
事 業 費 :17.7億円(内改良費 5.9億円)
工 事 概 要 :旧橋撤去、橋脚工、橋台工、上部工
(主)三木宍粟線
粟田橋
被災状況写真
被災状況写真
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平成25年災害に係る改良復旧事業箇所【滋賀県】
No 河川・路線名等
事業
種別
工種 事業主体 採択事業費
かもがわ
①
鴨川
しがけん
助成
河川
施工延長
事業期間
(m)
施行位置
たかしまし
みやの
滋賀県 約18.70億円 高島市宮野他
3200.0
H25~H28
異常気象
9月14~17日
の台風18号
N
たかしまし
高島市
高島市
位置図
おおたにがわ
大
谷
川
かもがわ
①鴨川 助成(河川)
JR湖西線
採択箇所
たかしまし
高島市
かもがわ
①鴨川 助成(河川)
161
びわこ
琵琶湖
凡例
流域界
おおつし
市町界
大津市
0
1km
2km
県管理区間
23
平成25年災 鴨川 河川災害復旧助成事業【滋賀県】
【概要】 高島市、平成25年9月台風18号による豪雨、
最大日雨量389mm、累加雨量409mm、最大時間雨量
41mm高島市宮野地先において右岸側が破堤、多数の
家屋や農地など甚大な浸水被害
【事業内容】 しがけん
破堤
本川
事業主体:滋賀県
たかしまし
かも
むそよこやま
事業箇所:高島市鴨~武曽横山地内
かもがわ
よどがわ
河 川 名 :一級河川淀川水系 鴨川
事業期間:平成25年度~平成28年度
延 長 :L=3.2km
事 業 費 :18.7億円(内改良費 12.0億円)
工事概要:河道拡幅、法線是正、護岸工、堤防補強工、付帯工
かもがわ
被災状況写真
(破堤状況)
一級河川淀川水系
かもがわ
鴨川
被災状況写真
(浸水状況)
あおいがわ
はったがわ
かもがわ
鴨川断面図
遮粋シート
助成区間 L=3,200m
法線是正
堤防補強
改良済区間
L=4,300m
遮水矢板
N
24
平成25年災害に係る改良復旧事業箇所【山口県】
事業
種別
工種
事業主体
採択事業費
① 阿武川①
関連
河川
山口県
約8.6億円
山口市阿東徳佐下
② 阿武川②
関連
河川
山口県
約8.3億円
③ 須佐川・唐津川
関連
河川
山口県
④ 原中川・大江後川
関連
河川
⑤ 田万川
助成
河川
No
河川・路線名等
施工延長
(km)
事業
期間
異常気象
2.7
H25~H27
7月28日の豪雨
山口市阿東徳佐下
2.2
H25~H27
7月28日の豪雨
約4.4億円
萩市須佐
2.0
H25~H27
7月28日の豪雨
山口県
約5.9億円
萩市上小川東分
2.3
H25~H27
7月28日の豪雨
山口県
約42.9億円
萩市中小川
4.8
H25~H28
7月28日の豪雨
施行位置
あとう
あとう
位置図
採択箇所
萩市
③ 須佐川・唐津川
④ 原中川・大江後川
⑤ 田万川
採択箇所
山口市
① 阿武川①
② 阿武川②
とくさしも
とくさしも
なかおがわ ひがしぶん
なかおがわ
島根県
萩市
山口市
25
平成25年災 田万川 河川災害復旧助成事業【山口県】
【概要】 平成25年7月山口県の萩市、24時間最
大雨量378mm、時間最大雨量112mmを観測、
田万川では越水や堤防欠壊による溢水、家屋浸
水、県道益田阿武線の橋台欠壊等、甚大な被害
が発生。 再度災害防止のため、河道掘削や
川幅拡幅、橋梁架替による河積拡大。
二級河川田万川水系
たまがわ
田万川
やまぐちけん
山口県
【事業内容】
お がわ
やまぐちけん
事業主体 : 山口県
【凡例】
:H25.7.28浸水区域
:越水箇所
はぎ し なか お がわ
事業箇所 : 萩市中小川
た ま がわ
小川小学校
た ま がわ
河 川 名 : 二級河川田万川水系田万川
事業期間 : 平成25年度~平成28年度
災害復旧助成事業
事 業 費 : 42.9億円(うち改良費20.1億円)
た
延
ま
がわ
L=4.8km 田万川
長 : 4.8km
事業概要 : 河道掘削、築堤工、護岸工、橋梁架替
被災状況写真
(堤防欠壊)
田万川断面図
拡幅
4.00
4.00
.0
1:2
1:2
1:2
.0
1:0
.5
1.00
.0
1:2
.0
十字ブロック
ブロック張工
ブロック積工
26
平成26年災 トンネル改良復旧事業【静岡県】
地すべり被災した道路を、バイパストンネルで復旧
【事業内容】
事業主体:静岡県
事業箇所:静岡県焼津市
路線名:(主)静岡焼津線
事業期間:平成26年度~平成28年度
事業費:2,863,147千円
(災害費1,452,335千円、
改良費1,410,812千円)
延長:L=965m(トンネル881m)
27
今後30年間で約
35億円の維持費、
保全費用が発生
改良費用約30億円
●経済的に有利
●孤立対策、渋滞解消
事業延長L=965m
28
災害復旧事業の主な流れ
○ 災害査定を待たず、被災直後から応急工事が可能(応急工事も災害復旧事業の対象)
○ 地方公共団体の意向を踏まえ、災害緊急調査、事前打合せを実施し、早期復旧を支援
○ 災害査定は、地方公共団体の準備ができ次第、全国から査定官を派遣して速やかに実施
災害発生
災害緊急調査
県等からの申し入れがあった場合
通常、発災後
10日以内
現地調査・設計図書作成
復旧進度
1年目 85%
2年目 99%
3年目100%
国庫負担申請
申請を受けて速やかに実施
災害査定(工事費決定)
国庫負担金の交付
事業費の精算
成功認定(完了検査)
通常、発災後
2ヶ月以内
工※事実施
(
応急工事も含む)
事前打合せ
災害報告
災害復旧工事は、国の災害査定を
待たず、発災直後から実施可能
大規模な災害が発生した場合など
※災害査定の前に工事着手した場合には、査定時に
被災状況が確認できる資料を整えておくこと
29
災害発生・被害報告
●異常な天然現象によって、公共土木施設に被害を生じ
たときは、その施設管理者は、速やかに災害の状況を
主務大臣に報告する。(令第5条1項)
●災害が発生した場合は、調査中でも電話で一報。
●指定市を除く市町村は、都道府県がまとめて報告。
●被災後10日以内に文書で報告し、訂正は、災害発生後
1か月以内に行う。
●期間内に報告できない場合は、その旨連絡。
30
災害緊急調査
●広域にわたる大災害又は人的被害発生等の特別な災
害の場合には、防災課長の命により調査官を派遣。
●調査官は、災害時の気象、被害状況、被災した施設の
応急措置、及び復旧方針の指導を行う。
●近年は、TEC-FORCE(テック・フォース:緊急災害対
策派遣隊)平成20年5月に発足(7/1現在5,400人体制)。
●被災状況の把握や二次被害防止、被災地の早期復旧
のための技術的支援を実施するために活躍。
●東日本大震災では、全国から延べ18,000人を派遣。
31
応急工事
原則として管理者の負担において施行するべきものである
が、主務大臣が特別の事情があると認める場合、応急工事
に要した費用の全部または一部は国庫負担の対象となる。
●応急本工事・・被災前と同じ機能を復旧すること。
●応急仮工事・・仮道、仮さん道、仮橋、仮締切、決壊防
止、仮排水施設及び仮処理施設工事(下水)。
(ポイント)
・緊急性がある場合、被害が拡大する恐れがある場合。
・応急仮工事は、毎年1回程度の出水等で直ちに被災する
おそれのないようなものとすること。
・手戻りに要する費用は、応急工事に含めないものとする。
・実施する前に防災課の助言を受けること。
32
査定前着工
【国土交通省ホームページによる周知】
国の査定前でも、災害復旧は可能
国の災害査定を待たず、被災直後からの復旧工事が可能。
災害査定前に実施した復旧工事も、災害復旧事業に合致す
るもの全てが国庫負担の対象。
『公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法』は、事業着手
について制約するものではない。
さらに、仮道、仮締切、欠壊防止など、応急的に施工する
必要がある仮工事も国庫負担の対象。
被災箇所の早急な復旧は、施設管理者の責務。
※ただし、査定前に着工する箇所については、
写真が被災の事実を示す唯一の手段のものとなるので、
被災状況等ができる限りわかる写真を撮影して
おくこと。
33
事前打合せ
事前打合せとは
○地方自治体からの相談に対する事務的・技術的な助言
→ 現地査定の円滑化
○事前打合せの対象箇所は申請者の判断に委ねられ
ている
→ 打合せ対象として想定しているのは...
イ 一定災として申請する箇所
ロ 査定前に緊急に施行する必要がある箇所
ハ ① 地すべり防止施設 ② 急傾斜地崩壊防止施設
③ 海岸保全施設
(離岸堤、消波工等の沈下に伴う補充のみの工事は除く)
34
ニ 工事竣功後1年に満たない箇所
ホ 降雨又は地すべりに起因して発生した施設災害で、
地すべり防止対策を主体とした復旧工法を用いるもの
ヘ 越水させない原形復旧を適用するもの
ト 橋梁災害復旧工事 (補強的な工事を除く。)
チ ダムに係る災害
リ 流木の堆積に係る災害
ヌ 特殊な災害や特殊な構造物
ル 公共土木施設災害復旧事業査定方針第15の2第1項
(保留)に該当する箇所
※事前打合せはあくまでも査定前の打合せ。
負担法適用対象事項としての採択可否は査定により決定される。
35
災害査定
申請に基づき主務大臣が災害復旧事業費の決定を
行うにあたって、その基礎となる工事費を決めるた
めに行う実地調査
○査定において決定する
工事費に対応する査定様態
整備局等災害査定官
による査定
概ね2000万円以上
2000万円未満
300万円未満又はやむを
得ない理由により机上査定
が可能
○査定体制
決定行為への意見と確認
本省災害査定官
による査定
工事費決定行為の行使
財務省立会官
災害査定官
事務官
検査官(技官)
制度運用状況審査補助
復旧方法検討審査補助
査定の箇所の数量や所
在状況に応じて補助
[留意点]
災害発生後2ヶ月以内に査定実施できるよう努め、適切かつ円滑な査定を
図ること
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保留と解除
災害査定
状況によっ
ては省略
災害査定官権限の下、実施
査定官班・検査官班
事務官班
内容に
よっては
不採択
査定立会
事前審査
採択の是非、
決定金の記載
朱入後審査
(朱入れ)
財務省立会官
決定内容の確認
決定金額集計
決定金額集計
査定決定
保留は、事務上又は技術上さらに検討を
要する箇所又は工事費の大きい箇所(4億
円以上)、一定災の箇所の際に適用。
協議設計(実施保留)は工法について特
に検討する必要のある箇所等の際に適用。
保留若しく
は協議設計
協議設計
保留
防災課と
財務本省で協議
防災課で
工法等検討
保留解除(査定決定)
37
設計変更について
○負担法施行令第7条に定義される
「災害復旧事業費の事業費の決定の
基礎となった設計の変更」
であり、軽微な変更を除いて、大臣の同意が必要
→毎年、多数の重大変更手続きの漏れが発生、
災害復旧事業担当者は、同意の要件を事前に確認する。
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設計変更の同意(施行令第7条)
決定の基礎となった設計を変更して工事を実施しようとす
るときは、軽微な変更を除きあらかじめ主務大臣の同意を
得なければならない。同意漏れのないよう注意する!!
設計変更の対象となる事由は...
これらに該当するものは
そのうち・
・
・
①水勢若しくは地形の変動その他の事由に
基づきやむを得ないと認める場合
具体的には...
・水勢又は地形の変動
・誤測又は違算
・物価の変動
・内未成・内転属とならない増破で、目的
達成のために必要と認められるもの
・以上に類する事由
②当該施設に関する改良工事とあわせて
施行することが適当であると認める場合
軽微な変更であるため
同意不要
・要綱第20-1のイ~ニに該当する
箇所で工事費の増減が決定工事
費(又は直近変更設計額)の3割
以内で、かつ1千万円以下のもの、
又は3割相当額が300万円以下
であるときは300万円以内のもの
・要綱第20-2に該当する工法及
び工事の程度に変更のないもの
(推定岩盤線、土の変化率等)
39
合併施行
○災害復旧事業と他の事業を合併して施行すること
をいい、大臣の同意が必要
①災害復旧事業の目的を達していること
②合併施工により施設の効用が増大すること
→設計変更時の条件により、実施単価更正分まで災害費
を優先支出(それ以外は他の事業費)
→合併を行わずに他の事業と一体で施工(発注)する場合
(合冊)は、災害費と他の事業費でアロケして支出
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廃工(事業の廃止)
状況変化等によりやむを得ず廃工せざるを得ない
場合、地方公共団体の長は国土交通大臣に速やか
に報告する
状況変化等とは、
他事業による施行、用地交渉不調、被災少、実施設計後限度
額未満などである。
うち“被災少”となるものは、施設が現地の再度精査の結果、
被害なく土砂埋塞していただけであったものが目立つ。
査定前に十分調査されたい。
[留意点]
他の事業計画の工程上、廃工より設計変更で程度低下
工事による対処することが適当な場合がある。
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再調査
過年発生災害の第3年度目に、状況の変化に応じて
自治体が事業実施できるよう事業費の見直しを行う調査
再調査により行われることは...
・状況の変化を勘案して、単価を更正し、設計の変更を行う等残工事につ
いて工事費の更正決定を行う。
・別途費による施行済等により目的を達成していると認められる工事は中
止工事とする。
・既に施行済の工事費について竣功額を基本に更正決定を行う。
これにより...
再調査の対象となった年災の決定工事費の総額が、
再調査で決定した工事費の総額に更正決定されるということ
[留意点]
当該調査を経て最終的な予算措置を行うため、申請にあたっては再調査後に
大幅な変動が生じないような内容にする。
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○○災害復旧事業費の精算と成功認定
事業費の精算事務は、以下の3種類
●工事費 : 本工事費、附帯工事費、測量及び試
験費、用地費及び補償費、船舶及び機械器具
費、営繕費並びに工事雑費
●指導監督事務費 : 都道府県が法第13条第1
項に基づく法定受託事務を行うために必要な
職員の給与、旅費及び庁費
●残存物件 : 災害復旧事業費で購入した材料、
機械器具、備品で事業完了の際に残存してい
るもの
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○○災害復旧事業費の精算と成功認定
成功認定
・ 国庫負担の対象となった災害復旧事業が法令
に定められたとおりに執行され、交付決定どおり
その目的を達しているかどうかを検査し、成果を
確認して最終的に精算事業費を確定してこれに
対する国の負担金を認定すること
・ 一部成功認定:一会計年度ごとに施行された
事業を対象
・ 全部成功認定:全部完了した一つの年災を対
象(一部成功認定の総集計)返還等の精算を最
終年度で行う
44
○○災害復旧事業費の精算と成功認定
災
定
2
年
度
分
国
庫
負
担
金
交
付
一部
成功
初年度交付分
2年度目交付分
3年度目交付分
歳出予算
明許繰越
歳出予算
4年度目
5年度目
6年度目
3
年
度
分
国 再
庫 調
負 査
担
金
交
付
)
国
庫
負
担
金
交
付
)
初
年
度
分
)
事
業
費
の
決
定
3年度目
(過年災)
(
査
2年度目
(過年災)
(
発
(
発災年度
(現年災)
一部
成功
全部
一部
成功
一部
成功
一部
成功
事故繰越
明許繰越
歳出予算
事故繰越
明許繰越
事故繰越
45