事業計画書 - 河野臨床医学研究所

通常理事会(27.3.18)
議決
平成27年度
事業計画書
平成 27 年 4 月 1 日から
平成 28 年 3 月 31 日まで
公益財団法人河野臨牀医学研究所
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平成 27 年度事業計画
(はじめに)
公益法人となって 3 年目にあたる平成 27 年度は、公益財団法人としての組織、内部
統制の整備を推進するとともに、中長期計画(5 年)を策定、当財団が果たす使命を遂行
するため事業を拡充し、かつ環境変化に対応できる経営基盤の安定を図るための取り組
みを推進する。
(環境認識)
我が国の 21 世紀の医学・医療として、次の事項が求められている。
・難病及び治療困難な疾患を持つ患者に対する良質かつ適切な医療の確保と患者の療
養生活の質の向上を目的に、克服と共生社会実現に向けた対策と改革の推進。
・都市部の高齢化が急速に進展していく中、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続
けることができるよう、医療、介護・予防等が包括確保できるケアシステムの構築、
効率的で質の高いサービスの提供が求められている。
・増加する心の病気(メンタルヘルス不調)により休職、退職の増加が増加している
ことを企業等の社会全体の問題として認識した取組み(心の健康の保持増進)
。
また、今後の消費税率上昇及び電気料金等の値上がり並びに建築関連費用の高騰、
大規模災害対策、ケア人材の確保難への対応、急性期医療の抜本見直し、介護報酬の
引下げ等の急変する経済環境の変化に対応するため、研究事業を支える財務基盤の強
化が喫緊の課題となっている。
「難病その他治療困難な疾患の研究を行い医学の発展と健康増進に寄与する」という
当財団の使命を果たしていくためには、研究と診療が一体となって実現を目指していく
ことが、上記の社会ニーズに適合する緊急な課題と認識し、事業の充実を図り、我が国
の医学と医療の向上並びに地域の福祉増進に貢献していく。
(事業計画)
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基本方針
以上の状況を踏まえ、本年度は次の 5 点を軸に事業計画を策定した。
(1)再生医学研究は大学、研究機関等と連携を深め、再生医療への応用を目指す。
(2)有効な治療計画策定や寝たきりになることを予防するためには、維持期リハビ
リテーションまでの臨床研究では不十分から、急性期から地域リハビリテーショ
ンまで一貫した研究事業を拡げることが必要である。よって、公益目的事業の内
容の変更を行い、老人保健施設併用したリハビリテーション施設整備計画を策定
2
する。
(3)
「組織診断」という考え方で、予防医学研究を一層進める。
(4)人事制度を抜本改革し、人材確保と育成を図るとともに規則等の整備を進める。
(5)医療の質とサービスの効率化、地域連携の強化を進め、環境変化があっても公
益事業が円滑に推進できるように経営体力を強化し、大型投資に備えた準備を進
める。そのため、中長期経営計画を策定する。
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事業計画
難病その他治療困難な疾患の医学的研究事業(公1)
研究以外にも定款第 3 条の目的である地域保健医療の確保と質の向上を図り、地域
の福祉増進にも貢献する。
(1)
基礎医学研究
基礎医学研究はこれまで、肝再生並びに軟骨再生研究を中心に行ってきた。
平成 27 年度は、これらの研究を更に加速、発展させ、わが国における IPS 細胞
研究が充実する一方、研究が不十分な、組織中に存在するであろう幹細胞に関する
組織幹細胞研究を進め、安全性が高く、自己細胞移植を可能とする再生医療への応
用を目指す。
研究成果は国内の学会で発表、海外専門誌に投稿する。
更に、臨床医学研究、予防医学研究と一体的に研究を推進し、臨床研究の質の向
上を図るため、平成 27 年度は研究ガイドラインを作成し、臨床医学研究者に対し
倫理等の研修を行う。
(2)
臨床医学研究
安全・安心で高質の医療を提供すべく、病院と研究所の緊密な連携のもと、医療
現場の課題を研究にフィードバックし、かつ患者の QOL 向上、家族等環境要因にも
配慮した臨床研究を進め、成果の発表を行う。
現状、難病その他治療困難な疾患の医学的研究は、急性期から維持期までの医療
面を行ってきた。今後は地域リハビリテーション(特に都市部において)まで一貫し
た研究へと事業を拡げ、有効な治療計画の策定に貢献するよう努める。
引き続き、新薬の有用性及び安全性などの効果検証を行い、臨床現場に応用でき
るための医薬品の治験にも積極的に関与する。
(3)
予防医学研究
メンタルヘルス不調等に対して、組織における内的・外的要因による環境の変化
と発症との因果関係等「組織診断」という考え方で受診者情報を積み重ね、より早
期に疾患を発見しより有効な対策を立てる方式の確立をめざした研究を推進する。
また引き続き、再喫煙防止方法や足機能障害の早期発見方法の確立に向けた研究
等を進める。
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(4)
研究成果の普及・啓発
河医研研究年報(和文、英文)発刊、論文発表、学会発表、地域ケア団体等と
連携した市民公開講演会開催、地域啓発誌発行等を通じて広く社会に向けて疾病
の治療方法改善、予防方法、患者の生活の質向上に関する啓発活動を推進する。
(5)
教育・研修
河医研医学会総会(研究発表会)の開催、品川区リハビリテーション・ネット
ワーク開催(品川区中心に大田区含む地域のリハビリテーション従事者に対する
症例研究・教育等)
、救命救急士再教育実習、地域の介護従事者等に対する実習、
リハビリ技師要請学生に対する臨床実習等で指導者、従事者等の育成を推進する。
(6)
医療施設等の設置及び運営(成長戦略の構築)
・附属第三北品川病院は、医療体制の再構築、充実により、病院運営事業の強化
を図り、医療介護連携を進め、徹底した業務の効率化を行い、病院規模に見合っ
た医業収益を確保する。安全・安心の医療の提供、療養環境の整備を進める。
病院機能評価の最新評価による更新を受審する。
・附属北品川病院は大学と連携したリハビリテーションの一層の充実及び人材の
確保、教育を行う。業務の明確化のため、品川リハビリテーション病院に名称変
更を行う。
シームレスなリハビリテーションを進め、住み慣れた地域で自分らしい暮らし
を続けることができるよう施設整備計画を策定する。
・附属北品川クリニックは、ストレスチェック等通じ組織診断の考え方で取り組
みを強化する。内視鏡検査の充実を図る。質の向上を進め、外部評価を受審する。
・情報システムの整備(電子カルテ導入等)を進める。
(7)
地域保健医療の確保と質の向上
病院資源を活用し、休日全夜間の救急を積極的に支えていく。感染等予防にも
積極的に取り組む。医療、介護の連携により地域包括ケアの構築にも積極的に貢
献していく。大規模災害時の地域での取組みに積極的に貢献できるよう連携を深
める。
(8)
その他目的を果たすために必要な事業
・役員の改選及び経営組織力の強化
・将来ビジョンの具体化、共有化を図るため 5 年間の中長期計画を策定する。
・人事制度の抜本見直し、規則・規程等の整備、コア人材の確保を図る。
・業務の見直しによる質の向上と徹底した効率化により経営体質を強化する。
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