平成26年度 1 事業計画 策定基調 我が国の経済は、緊急経済対策で追加された公共事業が執行され、公共投資の増加等に 加え、株価の上昇により消費者マインドの回復をもたらし、個人消費が活性化するなど、 着実に回復している。 平成26年度は消費税の引き上げにより、年度当初は駆け込み需要等の反動により個人 消費の落ち込みが見込まれるものの、円安・海外景気の回復に伴う輸出増により景気は緩 やかに回復していくことが期待される。 こうした状況の中、我が国の国民生活、産業活動のライフラインとして重要な役割を果 たすトラック運送業界は、時代の要請に応えたトラック産業の構築、安全かつ環境にやさ しい輸送の実現、魅力ある事業の確立・社会的地位向上のための施策の推進に向け、諸課 題克服と業界に課せられた公共的な使命の達成、さらには今後のトラック事業の発展を期 して、諸活動を積極的に展開していくこととする。 公益社団法人の認定を受け1年が経過したが、定款の定めどおり、社会的、経済的地位 の向上及び公共の福祉に寄与することを目的として、奈良県を始め関係行政機関、団体と 連携しながら交通安全啓発、環境問題対策、緊急物資輸送、貨物自動車運送適正化等の事 業活動を的確に行い、公益法人としての使命を果たしていくものとする。下記のとおり施 策を実施する。 {重点施策} (1)軽油価格高騰対策の推進並びに燃料サ-チャ-ジの導入促進 (2)消費税の増税に係る円滑な転嫁の促進 (3)自動車関係諸税の簡素化・軽減の実現 (4)事業後継者の育成と少子高齢化に対応した労働力の確保及び人材育成 (5)トラック運送業における契約の書面化の推進 (6)交通安全及び環境・労働対策の推進 (7)適正化事業の推進による法令遵守の徹底 (8)災害発生時における緊急輸送体制の確立 (9)引越事業者優良認定制度運用開始に伴う対応 (10)高速道路通行料金の引き下げ及び割引制度の充実 -1- 2 事業計画 (1)軽油価格高騰対策の推進並びに燃料サ-チャ-ジの導入促進 ・一般財源化により課税根拠を失った「当分の間税率」(旧暫定税率)廃止及び凍結 に向けて、要望・陳情活動を展開する。 ・奈良県不正軽油対策協議会と連携した不正軽油使用防止の広報活動を展開するとと もに、軽油価格調査集計表を広報誌に掲載し周知を図る。 ・燃料サ-チャ-ジの導入促進に向けた効果的な導入促進セミナ-及び原価意識向上 セミナ-を開催する。 ・トラック運送業における燃料サ-チャ-ジガイドライン、下請・荷主適正取引推進 ガイドラインについて積極的な活用の推進を図る。 (2)消費税の増税に係る円滑な転嫁の促進 ・消費税が平成26年4月から8%に、平成27年10月から10%に増税されるこ とを踏まえ、消費税転嫁対策特別措置法により独占禁止法の適用除外となっている消 費税の転嫁・表示に係る共同行為(カルテル)を効果的に活用して、その周知および 増税分の適正かつ円滑な転嫁を促進する。公正取引委員会に対して、一括して転嫁・ 表示カルテルを届け出ており、消費税引き上げに伴う荷主企業に対する要請文書の発 出について周知を図る。 (3)自動車関係諸税の簡素化・軽減の実現 ・自動車関係諸税の簡素化及び負担軽減に向けて、引き続き、要望活動を行う。 ・公共的物流サ-ビスを担う営業用トラックに対する新たな税負担増の議論が生じた 場合、要望・陳情活動を展開する。 (4)事業後継者の育成と少子高齢化に対応した労働力の確保及び人材育成 ・優秀な管理者を育成するため中小企業大学校の講座受講を促進する。 ・事業後継者並びに青年経営者を育成するため、実践に即した研修、関係組織との意 見交換の実施、社会貢献事業等にも取組む。 ・少子高齢化に対応した若年労働者を確保するため、新たに採用した若年ドライバ- に対して、中型免許などの上位免許取得助成を行う。 (5)トラック運送業における契約の書面化の推進 ・書面化推進ガイドラインの策定及び省令施行を踏まえ、トラック運送事業者に対し て、モデル運送契約書などを活用したセミナ-を開催するとともに、十分な周知及び 浸透を図る。 (6)交通安全及び環境・労働対策の推進 ア 交通安全対策 ・「トラック事業における総合安全プラン2009」の目標達成のために、事業用ト -2- ラックが第1当事者とならないため、交通事故実態分析による的確な対応を図り、高速 道路における追突事故防止対策、安全運転講習会等の諸対策を実施する。「着実な点呼 の励行と指導の徹底」に努め、事故防止の充実強化を図る。 ・奈良県交通対策協議会、各市町村交通対策協議会及び各警察署等と連携した春・秋の 交通安全県民運動への積極的な参加、子どもの交通事故防止、一般財団法人奈良県老人 クラブ連合会と連携した高齢者の交通事故防止、自転車利用者の交通事故防止、交通安 全教育等、幅広く行政機関と連携した安全意識の啓発と高揚を図る。 ・ドライブレコ-ダ-等の安全対策機器の導入及び有効活用を促進する。 ・トラック事業者の経営トップから現場のドライバ-まで一体となって安全性の向上を 図り、企業全体の安全意識を浸透させる「運輸安全マネジメント」について、一層の定 着と取組みを図るための啓発活動を展開する。 ・奈良県に登録している「奈良県地域の交通安全サポ-ト事業所」として、交通安全反 射材の着用率の向上のため、普及啓発活動を関係機関・団体と連携して展開する。 イ 環境対策 ・「新環境基本行動計画」を推進するとともに、エコドライブの徹底を図るため、燃料 消費量の削減効果の高いエコタイヤの導入を促進する。 ・エコドライブ研修会、グリ-ン経営認証取得講習会等を開催するなど環境対策への取 組を図る。 ウ 労働対策 ・健康状態に起因する事故防止のため「健康起因事故防止マニュアル」を活用した事故 防止対策を推進する。 ・ドライバ-の長時間労働及び高齢化による脳・心臓疾患数が高止まりするなか、定期 健康診断の受診率の向上と有所見率の改善に向けた対策を講じる。 ・新型インフルエンザの発生に備えて、国が策定した「新型インフルエンザ等対策ガイ ドライン」の周知を図るとともに、必要な物資の備蓄に努める。指定地方公共機関とし て業務計画を作成し、新型インフルエンザ発生時、県からの要請により緊急物資の運送 に従事する。 ・労働災害の約7割が荷役作業で発生しているため、安全衛生管理の徹底を図るととも に、国の第12次労働災害防止計画(期間は、平成25年度~29年度)、新たな「荷 役作業における安全ガイドライン」の周知・普及を図る。 ・労働関係法令の改正にあっては、その内容やポイント等事業者が留意、対応すべき事 項について、奈良労働局の指導を得ながら周知徹底を図る。 ・中型免許制度の要件緩和について必要な対応を実施する。 (7)適正化事業の推進による法令遵守の徹底 ・巡回指導における評価が厳正・公平に行われるよう、巡回指導指針及び巡回指導マニ ュアルに基づき、厳格な運用を徹底し、効果的・効率的な指導の実施に努める。また、 事業者に対する具体的な指導が可能な機会であること及び安全性評価事業の評価項目で あることから、公正かつ着実な実施を期すこととし、計画に基づく巡回指導目標件数の 達成に努める。最重点指導項目をはじめとした指導項目について、適切に指導するとと -3- もに、新規事業者や指導の必要性が高い事業者に重点をおき、優先度に応じ改善指導を 徹底する。 ・事業者、運行管理者に対して、法令遵守をはじめとする広報啓発活動を積極的に推進 する。 ・社会保険等の未加入事業者に対する指導、社会保険制度に関する法的義務の周知徹底、 啓発活動の推進を図る。 ・安全性評価事業(Gマ-ク制度)の積極的な推進を図り、荷主企業や一般消費者に対 するGマ-ク制度の更なる認知度のアップを図るため、Gマ-クラッピングトラックを 走行させるなど、広報啓発活動を積極的に展開する。 ・奈良県貨物自動車運送適正化事業実施機関評議委員会を開催し、公正かつ着実な適正 化事業の推進を図る。 (8)災害発生時における緊急輸送体制の確立 ・奈良県地域防災計画に基づく緊急輸送計画により緊急物資輸送を迅速、的確に実施す るため、緊急物資の円滑な搬送に万全を期すとともに緊急輸送体制を確保する。 ・奈良県が主催する防災訓練や、奈良県が参加する広域防災訓練に積極的に参加し、緊 急物資輸送訓練の練度を高める。 ・奈良県地域防災活動推進条例に基づく自助・共助の取組の推進に努める。 ・全国トラック協会間の緊急通信体制(衛星携帯電話、テレビ会議システム)の整備に よる連携の強化を図る。 ・東南海・南海地震等の想定地域における民間の施設・ノウハウを活用した災害に強い 物流システムの構築に関する協議会及び南海トラフ大地震等に対応した支援物流システ ム構築に関する近畿ブロック協議会に参加し、的確な対応を図る。 (9)引越事業者優良認定制度運用開始に伴う対応 ・引越事業者の責任を明確化し、消費者が安心して引越を委託することができる事業者 を選択しやすい環境をつくり、コンプライアンスの向上、苦情やトラブルの防止のため の、引越事業者優良認定制度(引越安心マ-ク)の運用開始に向けた説明会を開催する。 ・引越講習実施要領に基づき引越講習(引越基本講習・引越管理者講習)を開催して、 引越事業者にとって必要不可欠な法令等の周知徹底を図る。 (10)高速道路通行料金の引き下げ及び割引制度の充実 ・高速通行料金を引き下げるため、大口多頻度割引等について、平成27年度以降も引 き続き継続・拡充されるよう要望活動を行う。 (11)その他 ア 近代化基金融資の推薦及び利子補給助成事業 ・物流施設の整備、車両購入等の経営安定化に向けた近代化基金融資推薦及び、当該融 資に係る利子補給を行う。 イ 広報誌「トラック奈良」及びホ-ムペ-ジによる情報提供 -4- ・トラック運送事業経営に役立つ情報を提供するため広報誌「トラック奈良」(毎月初 め発行:年間12回)を発行し、会員事業者及び奈良県等関係行政機関等に配布する。 ・情報発信の基盤的役割を担うトラック協会のホ-ムペ-ジを運営し、常に鮮度の高い 情報発信に努める。 ウ 10月9日「トラックの日」を活用したトラック運送業界のPR対策 ・トラック運送事業の健全な発展には、広く一般の理解と関心を深め、社会的地位を向 上させていくことが必要であるとの観点から設けられた10月9日「トラックの日」を 活用して、トラック運送事業への一層の理解促進に向けた広報活動を展開する。 エ 積極的な広報活動の実施 ・新聞、テレビを通してトラック運送業界の現状及び活動について積極的なPR活動を 行い、活動への理解を高める。 オ 奈良県運輸事業振興助成補助金に係る事業 ・奈良県運輸事業振興助成補助金に係る事業を計画的、効果的かつ効率的に推進する。 ○ 助成事業 1 安全装置等導入促進助成金 2 低公害車導入促進助成金 3 アイドリングストップ支援機器導入助成金 4 ドライブレコ-ダ機器等導入促進助成金 5 グリ-ン経営認証助成金 6 ドライバ-再教育講習促進助成金 7 生涯能力開発助成金 8 原油価格高騰に伴う信用保証料助成金 9 睡眠時無呼吸症候群スクリ-ニング検査助成金 10 エコタイヤ装着助成事業(国交省 燃料費高騰対策 エコタイヤ導入補助事業) 11 上位運転免許(大型・中型・けん引)取得に係る助成金 12 (公社)全日本トラック協会ドライバ-等安全教育訓練促進助成事業 13 定期健康診断受診促進助成金 14 運行管理者基礎講習等受講助成金 15 会員外への助成事業(グリ-ン経営認証助成金) 16 運転適性診断及び運行管理者等指導講習受講助成金 17 安全運転 objet 講習促進助成金 18 運輸安全マネジメント講習支援助成金 19 無事故無違反証明書及び運転記録証明書交付手数料助成金 カ 事務局組織等 ・会員を対象とする表彰具申については、行政機関等に対し積極的に行い称揚を図る。 ・事務局組織の活性化を図るため適正配置に努める。 キ 会議関係 ・開催する会議は、定時総会(5月)、理事会、各委員会とする。 -5-
© Copyright 2024 ExpyDoc