準光速ロケットでのブラックホール旅行における時間の

準光速ロケットでのブラックホー
ル旅行における時間の遅れ
大阪工業大学
情報科学部 情報システム学科
B02-050 木村 龍一
はじめに
相対性理論の登場により、時間の進み方は、
観測者によって各々違うことが実証された。


運動する物体の時間の遅れ。
強い重力場における時間の遅れ。
2006年橘の卒業論文との相違点


強い重力場における時間の遅れ
実際のロケットの加速・減速に少しでも近
づけるよう関数系を仮定した。
宇宙船に乗っている人の時間の遅れ

ローレンツ変換によれば、運動する速度に応じて時間のずれが
2
dt  1  v c  dt だけ発生する。
1
80



dt1=運動している人の時間
dt=静止している人の時間
v=運動している人の速度
c=光速
70
60
50
dt1'

40
30
20
10
宇宙船に10年乗った時の地球時間
0
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9
1
速度v/c
宇宙船の速度が光速に近づくにつれ地球時間は無限に発散しているのがわかる。
ブラックホール近傍での時間の遅れ

ブラックホール(BH)とは、光でも脱出することができな
い時空領域であり、その半径は r  2 GM
g
c
2
(シュワルツシルド半径)で与えられる。

BHの中心から半径Rの地点での宇宙船内の時間の遅れは、
dt 2 
1
rg
dt
で表される。
R
アインシュタイン方程式の解の1つシュワルツシルトの解か
ら導かれる。
 G=万有引力定数,
M=ブラックホールの質量
また、BHの周りを円運動するためには3rg以上の半径でな
いと、BHの巨大な重力によって飲み込まれてしまう。

ブラックホールの周りを円運動することを考える
と、Newton力学では、 v  GM の速度になる。
R
(3rgでは0.4c程度)
dt1=宇宙船に乗っている時間の遅れ
dt2=ブラックホール近傍での時間の遅れ
年
23.18年
3rg
ブラックホールの中心からの距離
ブラックホールに飲み込まれない最小な半径3rgだと地球時間の約2.3倍の時間の遅れが生じる。
宇宙旅行モデルの計算方法
速度
V
D
BH
0
時間
t
dt 1  1  v c  dt
T
D
2
V:ロケットの速度
dt 2 
1
rg
R
t:円運動する年数
dt
D:BHまでの距離
T:BH往復の地球上の経過時間
ロケットの加速・減速部分の仮定
v
1
① 2 at
2
Vmax
 ( 0  t  t1 )
v2
v= ② at 1 ( t  t 1 )  v 1  ( t 1  t  t 2 )
③
v1
1 at 1
( t 2  t 3 )  V max  ( t 2  t  t 3 )
2
2 t 2  t3
t
0
t1
②
①
Vmax=

1
at 1
2 (t 2  t 3 )
( t 2  t 3 )  at 1 ( t 2  t 1 ) 
2
t2
1
2
t3
③
2
at 1
(a=加速度)
区分求積法を用いて、面積を足し合わせれば総距
離。各々の点で dt 1  1  v c 2 dt を計算し、足し
合わせたものが、ロケット内の時間になる。
v
v1
v
1
at
2
2
0
t1
t1
n
n分割
t
宇宙旅行モデルのプログラム



T’年(ロケット内時間),T年(地球時間)
⇒ロケットの速度V,往復する星までの距離D光年
T年, D光年 ⇒ V, T’年
T年、 D光年、 t年(BHの周りを円運動する年
数)
⇒ V、 T’年
BH往復モデル
白鳥座X-1・・・現在BH最有力候補である
太陽系から8000光年離れた天体。
(質量は太陽の9倍以上)
この白鳥座X-1を往復する場合の
宇宙旅行を考える。
速度(V/c)
白鳥座X-1(8000光年)を往復する場合
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0
5000
10000
T-T'年
15000
[ロケット内と地球時間のずれ]
光速に近づくにつれ、ロケットと地球上の時間のずれが増加
しているのが分かる。
0.1cではわずか850年程しかずれていないのに対し、
0.9999cでは、約16000年もの時間のずれが生じている。
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
ロケット内と地球の時間のずれ
ロケットの往復時の速度(V/c)
白鳥座X-1(8000光年)へ行ってその周り(R=3rg)を円運動して帰ってくる場合
地球時間で20000年先の未来へ行った場合を考える。
0
1000
2000
円運動する年数t年
3000
4000
18000
16000
14000
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
0
1000
2000
3000
4000
円運動する年数t年
グラフより円運動する年数を増やせば増やすほど、ロケットの往復する
速度は増し、ロケット内と地球時間のずれも増加しているのが分かる。
単に往復する場合では、8000年のずれがあるが4000年円運動した
ときでは、18000年ものずれが生じている。
結論


光速に近づければ近づくほど、ロケット内
の時間は遅れることが分かった。
BHの近くでは、時間の遅れは生じるが、最
大でも地球時間の約2.3倍しかないため、
未来旅行する際、さほどの遅延効果は得
られないことが分かった。
未来へ行く映画の例
バック・トゥ・ザ・フューチャー2
30年後・・・0.9999995c、14.4光年
 猿の惑星
60年後・・・0.9999999c、29.4光年
 タイムマシン
80万年後・・・0.999999999999999c、
399999.4光年
