CPAP 使用と交通事故

福岡病院 CPAP ニュース No.112
2015.4.01.
春本番、桜が満開になりました。春眠 暁を 覚えず といいますが、朝はすっきり起きられるで
しょうか?
今月は、睡眠時無呼吸と交通事故の関係
についてです。すでにその関係が証明され
ていて、交通事業者では睡眠時無呼吸の検
診を導入されているところも多くなってい
ます。
最近、スウェーデンでこのことを詳しく
調べた調査研究の結果が報告されました
(SLEEP 2015;38(3):341–349)
。
睡眠時無呼吸/
睡眠時無呼吸/CPAP
無呼吸/CPAP 使用と交通事故
睡眠時無呼吸を疑われて 2007-2011 年に無呼吸検査を受けた 1478 名の患者データと、スウェ
ーデンの交通事故登録のデータベース(2002-2012 年)を使用して、無呼吸検査前後の交通事故の
発生件数、交通事故と患者データの関係、一般人口との交通事故率の比較などがおこなわれました。
その結果、睡眠時無呼吸群では交通事故の発生率が 2.45 倍高いこと、特に 65 歳以上では同年
代の一般人口と比較して 3.5 倍高いことが示されました。
さらに重要なことは、無呼吸患者群のなかで交通事故を起こしやすい要因は、睡眠時間が5時
間以下(2.66 倍)
、強い眠気を自覚している(2.13 倍)
、睡眠薬の使用(2.07 倍)などで、無呼吸
の重症度よりもこれらの要因の方が関係が強いという結果です。
また、CPAP 使用前後の交通事故の発生についてもデータが示されています。CPAP を毎日4時間
以上(平均6時間)使用している人では CPAP 開始後に交通事故発生率が3分の1に減少していま
すが、CPAP を使用しないか4時間未満(平均2時間)の人では交通事故発生率は逆に増えていたと
いう結果です。以前の CPAP ニュー
スで取り上げましたが、眠気の改善
は CPAP の使用時間に比例し、平均
6時間以上使用すると 80%近くの
人で眠気が正常になるとされてい
ます。
皆さん、CPAP は毎日6時間以上
の使用を目標にしましょう。