1 小学校 第3学年 理科学習指導案 日 時 平成26年 月 日( )第 校時

小学校 第3学年 理科学習指導案
日
時 平成26年 月 日( )第 校時
○○:○○~○○:○○
対
象 第3学年○組 ○名
学校名 ○○○○小学校
授業者 職・氏名
会
1
単元名 「風のはたらき」
2
単元の目標
場 ○階 体育館
風の力で物が動く様子を興味・関心をもって比較しながら調べ、風はものを動かすことができる
ことや風の強さによって物の動く様子に違いがあることを見いだし、風の働きについての見方や考
え方を養う。
3
ア
単元の評価規準
自然事象への
イ
科学的な
関心・意欲・態度
思考・表現
ウ
観察・実験の技能
エ
自然事象についての
知識・理解
①風によって物が動く
①比較して、予想や仮
①風の強さによる車の
①風には物を動かすはた
ことに興味をもち、
説を立て、表現して
動き方の違いを調
らきがあり、その働き
進んで風を感じた
いる。
べ、結果を記録して
は、風が強くなるほど大
いる。
きくなることを理解し
り、風を使って遊ん
②実験結果を基に、風
だりして、風の働き
の強さによる車の動 ②風の強さによる車の
について調べようと
き方の違いについ
動き方に目を向け、
している。
て、当てる風が強い
風の当たり方や風の
②活用したものづくり
ときと弱いときとを
強さを調節して、車
と、利用した物を見
比較して自分の考え
を動かすことができ
付けようとしてい
を表現している。
る。
る。
③送風機などを適切に
使って、安全に実験
やものづくりをして
いる。
1
ている。
4
指導観
(1) 単元観
物の重さ,風やゴムの力並びに光,磁石及び電気を働かせたときの現象を比較しながら調べ,見
いだした問題を興味・関心をもって追究したりものづくりをしたりする活動を通して,それらの性
質や働きについての見方や考え方を養う。
<小学校学習指導要領解説 理科編>
本単元は,第3学年の内容A『物質とエネルギー』
(2)「風やゴムの働き」に位置付けられて
いる。
本単元では、屋外で風の力を感じることなど、体感を通して風の力を捉える。また、風で動く
車の動く距離を測定することによって、風には物を動かす働きがあることや、風が強いほど物を
動かす働きが大きくなることを捉えることがねらいである。
本単元は、A 区分の「エネルギー」を扱う。
「エネルギー」といった科学の基本的な見方や概念
は、
「エネルギーの見方」
「エネルギーの変換と保存」
「エネルギー資源の有効活用」に分けられ、
本単元では「エネルギーの見方」を育てるために必要な単元となる。
「エネルギー」とは、仕事をする力のことである。物体に何かしらの変化が起こっている場合、
仕事をする力がこの物体に働いたことになる。まず、このような「エネルギーの見方」を指導す
るという認識を指導者がもつ必要がある。
また、問題を追究する科学の方法として、
「比較から考えられることがあること」、
「実験の方法
を話し合い、整えていくこと」、
「協力して実験を成し得ること」、「自分と仲間の実験結果を基に
結論を導き出すこと」など、理科が始まったばかりの 3 年生に対して、特に意識をして指導に当
たることが大切である。
(2) 児童観
略
(3) 教材観
導入では,風の力で動くおもちゃを提示し、本単元の学習内容への興味・関心をもたせる。そ
こから、同じく風の力で動く車(ウインドカー)を作成し、当てる風の強さを変えて走らせ、それ
ぞれ進んだ距離を比較することにより、風の働きについての見方や考え方をもつことができるよ
うにする。
ここで使用する材料等は、次の「ゴムのはたらき」や「風やゴムのはたらきを利用したおもち
ゃづくり」でも扱うことも考え、シンプルなものとする。
使用する材
・プラスチック段ボール ・軸 ・タイヤ ・工作用紙 ・うちわ、下敷き等(第1・2時)
・送風機(第3・4時)
2
5
年間指導計画における位置付け
『エネルギー』
エネルギー資源の
〈エネルギー・粒子〉
有効活用
A区分
エネルギー変換と保存
年
エネルギー
学
育てたい資質・能力
◇問題解決の資質・能力
◆自然を愛する心情面の資質・能力
風やゴムの働き
○
◇差異点や共通点に気付く能力
光の性質
○
◇比較する能力
小
磁石の性質
○
3
電気の通り道
小
◆エネルギーの元となる環境を保全する態度
◇変化とその要因とを関係付ける能力
○
4
小
◆エネルギーの元となる生命を尊重する態度
○
電気の働き
振り子の運動
◆環境への興味・関心
○
◆エネルギーの元となる環境を保全する態度
○
◇変化させる要因と変化させない要因を区別し
ながら,観察,実験などを計画的に行っていく
電流の働き
5
条件制御の能力
○
◆エネルギーの元となる環境を保全する態度
てこの規則性
小
○
◇変化や働きについてその要因や規則性,関係を
推論する能力
電気の利用
6
○
中
力と圧力
○
1
光と音
○
中
電流
○
○
2
電流と磁界
○
○
運動の規則性
○
力学的エネルギー
○
中
3
エネルギー
科学技術の発展
自然環境の保全と科
学技術の利用
◆有限のエネルギーを有効に活用しようとする
○
態度
◇観察、実験の結果を分析して解釈し表現する能
力
○
◆自然環境を保全する態度
○
○
○
3
6
単元の指導計画と評価計画(5時間扱い)
ねらい
学習内容・学習活動
学習活動に即した
第二時
ウインドカーをつくろう
第一時
具体的な評価規準(評価方法)
ウインドカ
○風の力で動くものに関するこ
ア①風によって物が動くことに興味
ーを作って、下
れまでの体験などを基に、風
をもち、進んで風を感じたり、風
じきで走らせ
でものが動くことに興味・関
を使って遊んだりして、風の働き
る活動を通し
心をもたせ、ウインドカーを
について調べようとしている。
て、風の強さに
作る。
(行動観察・記録分析・発言分析)
よってウイン
・ウインドカーを作る。
ア②活用したものづくりと、利用した
ドカーの進み
・ウインドカーを作る。
物を見付けようとしている。(記
方に違いがあ
・作成したウインドカーを走ら
録分析・発言分析)
ることに気付
せる。
き、話合いを通
して、問題づく
第三時
第四時 本時
風の強さとウインドカーの進み方の関係を調べよう
りを行う。
送風機を用
・送風機を用いて、強風・弱風
ウ①風の強さによる車の動き方の違
いて、一定の位
を当てたときのウインドカー
置、方向から風
の進み方について、前時にウ
(行動観察・ 記録分析 )
を送ることに
インドカーを走らせたときの
ウ③送風機などを適切に使って、安全
よって、風の強
様子やこれまでの経験を根拠
さの違いによ
として予想を立てる。
いを調べ、結果を記録している。
に実験やものづくりをしている。
(行動観察・記録分析)
るウインドカ
・予想を基に、ウインドカーに
ーの進み方を
強風・弱風を当てて、ウイン
比較して、その
ドカーの進んだ距離を調べ、
違いを捉える
その結果を比較するから風の
イ②実験結果を基に、風の強さによる
ことができる
働きについての考えをもつ。
車の動き方の違いについて、当て
ようにする。
イ①比較して、予想や仮説もち、表現
している。
(記録分析・発言分析)
る風が強いときと弱いときとを
比較して自分の考えを表現して
いる。 (記録分析・発言分析)
エ①風には物を動かす働きがあり、そ
の働きは、風が強くなるほど
大きくなることを理解している。
(記録分析・発言分析)
第五時
ウインドカーで遊ぼう
これまでの学
・
「車庫入れゲーム」を行い、こ
ウ②風の強さによる車の動き方に目
習を基に、風の
れまでの学習を基に、風の強
を向け、風の当たり方や風の強さ
強さを調節して
さや方向を考え、調節しなが
を調節して、車を動かすことがで
ウインドカーを
らウインドカー走らせる。
きる。
(行動観察・記録分析・発言分析)
走らせることが
できる。
4
7
指導に当たって
(1) 目標(めあて)の具体化・明確化について
目標やめあてを結論と整合させ、可能な限り明確化・具体化し学習内容を焦点化することによ
り、児童は学習問題を的確に捉えながら問題を解決していくことができる。そのために教師は毎
時児童一人一人を見取り、それを基に目標、内容、方法を十分に吟味しながら、具体化・明確化
する必要がある。また、同じくめあて(問題)も可能な限り具体化・明確化する。予想・結果・
考察などそれぞれの場面において、児童がめあてを意識しながら学習に取り組むことができるよ
うに声掛けをしていく。このことによって、常に問題意識をもちながら学習に取り組んでいくこ
とができると考える。
(2) 理由付きの予想について
2年生の生活科において、感覚的に「風」を捉える活動をしてきたことや、第 1 時にうちわを
使ってウインドカーを走らせる活動をしたことを踏まえて、
「送風機の強風と弱風では、車の進む
距離はどのようにちがうのだろうか」というめあてを立てる。このめあてに対して、思いつきで
はなく、前時までの活動を根拠として、理由まで含めて予想を立てさせる。このことにより、自
分の考えがより明確となり、
「この実験をすることの目的意識」や「実験結果・考察までの見通し」
につながっていくものと考える。
(3) 実験時の形態について
第1・2時では、作成したウインドカーをうちわや下じきを使って走らせる活動は、個々で行
うこととする。自分のウインドカーを何度も走らせることで、強くあおいだときと弱くあおいだ
ときの走り方の違いを感覚的に捉えられるようにして、第3・4時の問題につながる問いをもつ
ことができるようにする。
第3・4時では、3人(4人)のグループで実験を行う。
「ウインドカーと送風機を設置し、送風
機のスイッチを入れる・記録をする」、
「ウインドカーが止まった位置を確認し、マーカーを置く」、
「ロールペーパーを延ばす」仕事を順に行い、全員が実験に参加できるようにする。
(4) 実験結果の処理の工夫について
これまでの定性的な捉え方から定量的な捉え方への移行及び実験の結果をそのまま視覚化する。
まず、ウインドカーの進む方向にパイロンを等間隔に立てる。ウインドカーを走らせ、越えた
パイロンの数を進んだ距離とする。巻き尺を使用して距離を測ることも考えられるが、児童はま
だ算数科において、本単元の経験を基に次単元の「ゴムのはたらき」においてより詳しく距離を
測る道具として、段階的に使用していくこととした。また、差異点を見いだしやすくするために、
「強風」と「弱風」の2つのデータを結果として用いることとする。
次に、スタートラインからウインドカーが止まった位置までロールペーパーを延ばし、体育館
の高い場所から観察する。すると、結果が棒グラフとなって現れてくることとなる。ダイナミッ
クに結果を視覚化することにより、驚きをもち、また仲間と共有しながら、結果を捉えていくこ
とができると考えた。
5
8
本時(全5時間中の第4時間目)
(1) 本時の目標
・
風の強さによる車の動き方の違いを調べ、結果を記録する。
(記録分析)
・
実験結果をもとに、風の強さによる車の動き方の違いについて、当てる風が強いときと弱い
ときとを比較して自分の考えを表現する。
(記録分析・発言分析)
(2) 本時の目標
時間
学習内容・学習活動
導入
○本時の問題を確認する。
10 分
指導上の留意点
評価規準(評価方法)
送風きの強風と弱風では、
車の進むきょりはどのようにちがうのだろうか
○予想を確認する。
◆これまでの学習や日常で
・うちわを使ったときに、強くあ
の経験を理由として予想
おいだ方が弱いときよりも遠く
を立てるよう、言葉かけ
まで進んだから、風が強い方が
をする。
遠くまで行くと思います。
・扇風機の「強」の方が、
「弱」よ
りも強い風が吹くから、車が遠
くまで進むと思います。
展開
○グループで実験を行い、結果を
20 分
記録する。
準備するもの
・ウインドカー
実験方法
・送風機
①
・ロールペーパー
送風機と車を決められた位置
に設置する。
②
送風機を「強」にして、送風
・ホワイトボード
・養生テープ
機の前にホワイトボードを 置
・マーカー
き、それを上に上げて車をスタ
(赤・黄・必要数)
ートさせる。
③
◆3人もしくは4人グルー
た位置までを、進んだ距離とす
プで「車をセットする・
る。
送風機のスイッチを入れ
④
車が止まって5秒動かなかっ
スタートラインから車が止ま
る」、「ロールペーパーを
った位置までロールペーパーを
延ばして、マーカーを置
延ばし、止まった位置にマーカ
く」、「ワークシートに記
ー(強は赤・弱は黄色)を置く。
録する」仕事をローテー
ションで行うように指示
する。
⑤班員全員が実験を行い、ワーク
シートに記録したら、
「弱」にし
◆トイレットペーパーの置
き方を例示する。
て①~④を行う。
ウ①
風の強さによる車
の動き方の違いを調
べ、結果を記録してい
6
◆送風機の中には指を入れ
・「強」が○○cmで、「弱」が○
○cm だった。
る。
ないよう、言葉掛けをす (行動観察・記録分析)
る。
ウ③
送風機などを適切
「強」の方が、
「弱」よりもウイ
に使って、安全に実験
ンドカーが遠くへ進んだ。
やものづくりをして
いる。
○キャットウォークから各班の実
(行動観察・記録分析)
験結果(ロールペーパー)を観
察し、自分の班の記録と比較す
る。
・他の班も、同じように、強の方
◆自分の班の結果と他の班
か弱よりも長く延びているね。
の結果や予想と比較しな
・こうやって見ると、実験結果が
がら解釈していくことが
よく分かるね。
できるようにする。
まとめ
○結論を導き出す。
イ② 実験結果を基に、風
分
・どの班も、
「強」の方が遠くまで
◆問題を確認しながら結果
の強さによる車の動き
進んだので、
「弱風」よりも「強
を比較するように言葉か
方の違いについて、当て
風」の方がウインドカーを遠く
けをする。
る風が強い時と弱いと
まで進ませるということが言え
ことを比較して自分の
る。
考えを表現している。
(記録分析・発言分析)
・
「強」でも遠くまで行かなかった
車もあった。きっとそれは、風
がまっすぐ当たらなかったから
エ
だと思います。
風には物を動かす働
きがあり、その働きは、
風が強くなるほど大き
くなることを理解して
いる。
(記録分析・発言分析)
(3) 板書計画
(3)
送風きの強風と弱風では、車の進むき
結果
ょりはどのようにちがうのだろうか。
予想
・強風の方が弱風より遠くに進む。
・弱風の方は強風より近くに止まる。
1回
2回
3回
強風
弱風
強風の方が弱風よりも車が遠くに進んだ。
結論
強風と弱風では、
強風の方が弱風よりも車
7
は遠くへ進む。
<参考文献>
・
「平成 26 年度東京都教育研究員理科研究紀要」
、2014
・ 「平成 26 年度東京都教育研究員理科 7 月定例会授業研究指導案(風のはたらき)」、中学年部会(授業
者:千代田区立富士見小学校 岩崎 泰久)、2013
8