無線 LAN の通信環境を改善する電磁波シールド壁の実用化

2015年4月6日
東急建設株式会社
無 線 LAN の 通 信 環 境 を 改 善 す る 電 磁 波 シ ー ル ド 壁 の 実 用 化 へ 前 進
東急建設株式会社(東京都渋谷区
社 長 : 飯 塚 恒 生 ) は 、 こ の ほ ど 、 無 線 LA N
の通信環境を改善するための電磁波シールド壁を開発し、実用化に目処をつけまし
た。
この電磁波シールド壁は、石膏ボードの表面に電磁波を遮蔽するアルミ箔を格子
状に敷設することによって、隣室などから侵入する干渉電波を軽減し、室内の無線
L A N 通 信 環 境 の 劣 化 を 緩 和 す る も の で す 。同 時 に 室 内 か ら 隣 室 へ の 干 渉 電 波 も 軽 減
さ れ ま す 。 本 技 術 は 混 信 や 通 信 速 度 の 低 下 が 生 じ に く い 安 全 で 快 適 な 無 線 LA N 通
信環境を、携帯電話の通信機能は維持しながら建築的に実現する技術です。
都 市 部 で は 、 WiF i ( 無 線 LAN ) の 発 信 点 ( ア ク セ ス ポ イ ン ト ) が 乱 立 し て い る
ため、通信波が混雑してチャンネル不足が生じ、通信の切断や通信速度の低下が頻
発する状況にあります。当社は、本技術により一般の居住環境も含め、建物の用途
に 応 じ て 安 全 で 快 適 な 室 内 無 線 L AN の 通 信 環 境 を 確 保 す る 建 築 的 技 術 の 実 用 化 を
目指しています。
【開発の背景】
現在のような高度情報社会では、通信電波の傍受による機密情報の漏洩、電波の輻
輳・干渉による通信障害などのリスクを予測し、必要な対策を実施していくことが求
められています。
これらの問題を解決するには、用途や目的、所有権などで区切られるそれぞれの通
信エリアを適切に区分し、互いの通信波が干渉しあわないようにする対策が必要にな
ります。
最 近 で は 、都 市 部 の オ フ ィ ス や 商 業 施 設 な ど に お い て 無 線 LA N が 広 く 普 及 し て い ま
す。しかしながら、これらの通信環境を安全に利用するには、チャンネル設定などの
通信機器側での混信対策のみではなく、建物側で通信エリア毎に電磁波シールド対策
を施し、混信干渉による通信速度の低下や切断、建物外部からの通信傍受や不正アク
セスなどのリスクを低減する技術が必要となります。
【概 要】
東 急 建 設 は 無 線 LAN な ど で 使 わ れ る 特 定 周 波 数 の 電 磁 波 の み を 選 択 し て シ ー ル ド
( 遮 蔽 )で き る 電 磁 波 シ ー ル ド 壁( 乾 式 二 重 壁 構 造 )の 設 計 法 を 2 0 1 3 年 1 2 月 に 開 発
しました。今回は、その設計法に基づき実験を重ね、電磁波シールド壁の実用化に目
処を付けました。実用化の対象は間仕切り壁などに使われる乾式二重壁です。
2 0 1 5 年 2 月 に 東 急 建 設 技 術 研 究 所( 相 模 原 市 )の 住 宅 総 合 実 験 棟 内 に 電 磁 波 シ ー ル
ド 壁 で 囲 っ た 2 .7m 角 の 試 験 室 を 製 作 し 、 そ の 効 果 を 確 認 し ま し た 。 室 外 か ら 妨 害 波
を 受 け て い る 状 況 で 室 内 に 無 線 LA N の 発 信 源 と な る 親 機 の パ ソ コ ン を 設 置 し 、 約 2 0
分 の 動 画 に 相 当 す る フ ァ イ ル ( 20 MB ) を 同 室 内 の 子 機 と な る パ ソ コ ン に 親 機 か ら 転
送しました。ファイル転送実験の機材配置図を図 1 に示します。
その結果、電磁波シールド試験室内ではファイル転送できることを確認しました。
一方、同様の実験を妨害波を直接受ける電磁波シールド試験室の外で行った場合には
妨害波の影響でファイル転送ができませんでした。
以 上 か ら 電 磁 波 シ ー ル ド 壁 に よ る 無 線 LA N 環 境 の 改 善 効 果 を 確 認 す る こ と が で き
ました。また、本電磁波シールド試験室内で主要3社の携帯電話での通話が可能であ
ることも確認しました。
電磁波シールド試験室と実験時の状況を写真1~写真4に示します。
【特 長】
今回実用化の目処を付けた電磁波シールド壁は、表面に格子状導体を配置して電磁
波をシールドすることから、壁の全面に隙間なく電磁波シールド材料を敷設する従来
のシールド方法に比べて材料コストの縮減を図ることができます。
さらに、室内で携帯電話での通話が可能であることから、日常生活の便利さを失わ
ず に 無 線 LA N の 通 信 環 境 の 改 善 が 可 能 で す 。
【今後の展開】
無 線 L AN 環 境 の 建 築 的 な 改 善 技 術 と し て 本 技 術 の 製 品 化 と 普 及 に 向 け 、さ ら に 技 術
開発を進め、実績を積み上げていきたいと考えています。
① 室外における通信
PC(子機)
PC(親機)
② 室内における通信
PC(子機)
送信点
PC(親機)
フリーアクセス床
(2.7m×4.5m)
試験室
(2.7m×2.7m)
図 1
電 磁 シ ー ル ド 試 験 室 内 外 で の 無 線 L AN フ ァ イ ル 転 送 実 験 の 機 材 配 置 図
写真 1 電磁波シールド壁試験室の外観1
写真 3 電磁波シールド壁試験室内
写真 2 電磁波シールド壁試験室の外観2
写真 4 電磁波シールド壁試験室の内外
以上
【本件に関する問合せ先】
東急建設株式会社 管理本部 経営企画部 広報担当 真安俊之
T EL 03 - 5 4 6 6 -5 0 1 6
F AX 0 3 - 5 46 6 - 5 0 69
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