ロボット手術に対応した手術室整備について 埼玉県立がんセンター 臨床工学部 松本 貴之 【はじめに】当院は 2013 年 12 月に新病院に移転。ロボット手術対応室を整備し、運用を開 始した。当院の現状と経験について報告したい。 【概要】ロボット手術対応室は床面積 59m2。内装は壁面の空洞部分を床面積として利用で きる(フレックスドック)方式を採用。ロボットのパーキングスペースを設け、一般手術もで きるようにした。無停電電源 7.5KVA、コンセントユニットは壁 4 面、麻酔ペンダント、外科 用ペンダントに単独ブレーカーで配置、多様な機器配置に対応。気腹用 CO2は外科用ペンダ ントに配管。助手、スタッフ用の 32 インチ天井吊り下げ式ディスプレイ 2 枚および、壁面 47 インチ 1 枚は3D 対応。ビジョンカートに3D コンバーターを搭載、3D 構築しラインバイラ インで各ディスプレイに出力。映像切り替え選択を行うスイッチング操作は医療用スイッチャ ー(infinity)を採用。内視鏡映像やロボット術野映像の2D・3D 切り替えの手間を省くため、 一括プログラム機能を生かした。映像入出力端子は、機器配置の自由度を高めるため、壁面 2 箇所とシーリングペンダント1箇所の計3か所に設置。また、ロボット遠隔保守用に院外 LAN 回線を 2 箇所設置。録画は、ハイビジョン動画サーバーシステム(OPERIO)にて、低画質 3 か月、高画質 5 年の保存を行っている。3D と2D を同時録画するため、部屋付けの録画装置 に加え、フリーカートを用い再生汎用性が高いサイドバイサイドで録画している。 【まとめ】ロボット手術は、ある程度の有効面積を確保した上で、電源、LAN、ガス配管、シ ーリングペンダント等を適切に配置し、映像環境を整備することで、効率良く安全な手術が可 能となる。今回整備したロボット手術対応室は、建築技術と医療機器との融合で機能を発揮す る統合システムであるといえる。より使い勝手の良い環境整備、運用後のトラブル対応等に一 貫して臨床工学技士関与することは有用と考えられる。
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