一九九八年米国出張報告

特別講演会
グローバル情報通信の最新事情と
日本・アジアの課題
1998年12月2日
講師:公文俊平 国際大学教授・GLOCOM所長
主催:JETRO KLセンター アジアネットワーク研究所
後援:JACTIM NTT MSC
世界の情報通信革命
IPネットとY2K
国際大学グローコム
公文 俊平
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21世紀社会は情報社会
• 近代化の第三局面へ
– 軍事・産業社会から情報社会へ
• 産業化の第三段階へ
– 第三次産業革命へ
第三次産業革命=情報通信革命
コンピューターの進化
1) メーンフレーム(MF) (1950-75)
2) PC、埋め込みチップ(1975-2000)
3) (C&C)2ネットワーク(CN)(2000-2025)
CN
2
社会生活は
コンピューターに
全面依存
とくに700億のチップに
その上に
電子商取引と電子政府
がのる
Y2K
(C&C) N
EC/PC
PC
MF
MF
1950 60 70 80 90 2000 10 20 30
情報化の本質=
知的エンパワーメント
• 近代化の第三局面:産業化の次
• 智 民(ネティズン)
• 智 業(インテルプライズ)
• 智 場(インテルプレース)の台頭
本格的マルチメディア時代
• 1997年後半から新段階へ
– 1年で10倍=3年で1000倍の速度で拡大
• 需要も供給も
• 米国の加速と日本の減速k
主役はIPネット
• 情報通信革命の中心
– すべてはIPネットワークへ:民間主導
– 誰もがインターネット開発・利用へ向う
• 情報社会の基本インフラ:知の分散システム
– 万人が知識の創造・享受者に
– 機械も対話をはじめる
• 置き去りになるかインターネット・コミュニティ?
– WIDEの第二の十年の課題
革新者のディレンマ:突破期の産業
• エクセレント・カンパニーの突然の凋落
–
–
–
–
シアーズ、DEC、IBM
傲慢、怠惰、官僚主義は嘘
不断の革新投資、ユーザーとの対話
しかし過剰品質に
• 持続技術と破壊技術
– 新ユーザー、新ニーズ、新市場から出発
– 既存企業が気づいたときは手遅れ
– Clayton Christensen, Innovators’ Dilemma, 1997
コンピューターの転換
• PC⇒ネットワーク
• コンピューティング⇒テレピューティング
– ネットワークがコンピューターになる
• エレクトロニクス⇒スペクトロニクス
コミュニケーションの転換
• 電話・放送にかわる新システム:IPネット
– インテリジェントからステューピッドへ(97)
– マネージド対ビッグ・ネットワーク(98)
• Wide and Weak:DWDM, CDMA
圧縮・交換から大帯域へ
• 専用線⇒ 「道路」の共用
• スター型⇒ LAN-LAN バス接続
• 通信型⇒放送型へ:「海」=共用回線へ流しこむ
LAN
LAN
LAN
BUS
LAN
LAN
「最終一マイル」 用新技術の
実用化
• 短距離ならいくらでも広帯域・高速化
• 銅線はイーサーモデム
– Covadの柔軟な姿勢
• 同軸はケーブルモデム
– そのハイブリッド化、光化
• 農村部にはSST
• 大都市は成層圏航空機による広帯域無線
旧勢力も動き出す:IPへの転換
• スプリントのION (まだATM)
• AT&TのICN
• BTとAT&Tの提携、新会社で新ネットを
– 成功するかどうかはともかく、近年のもっとも
革新的な試みだ
– まだSONET (QWESTの反省)
旧勢力の採用した新ルール
• 速い変化が必要
– 両者の国際ネットワークは2‐5年で完全置換
• 電話会社がすべてを発明・支配はできない
– 思考モデルの転換。技術的独立性の放棄
– 10億ドルのベンチャー・キャピタル→外部依存
• 自分のネットワークの中で起こることを制御できない
– 置換分も新規もすべてIPへ
– 少なくともATMは捨てる。いずれSONETも
– アプリやサービスの一部は第三者にまかせる
旧システムの弱点:2000年問題
• 旧システム内部の「時限爆弾」
• 2000年バグと2000年問題
– 大型コンピューター:理解は高い
– 埋めこみチップ:理解は低い
• 共に対応は時間切れ:システム問題
– 根幹(ライフラインの停止):カナダ軍
– 生産・貿易ラインの途絶:アーロン商務次官
2000年問題の特徴
• 待ったなし、神風なし:発生は不可避
• ネットワークのもっとも弱い部分が全体を決める
– 中小企業、途上国、遅れた省庁等
• 災害の範囲の限定は不可能
– 発生の時期は明確、災厄の程度は不明
• 局地的障害から全社会的麻痺まで
• 短期から中長期まで(2000年代問題)
2000年問題への対処姿勢
• 自分の責任で想定・対応するしかない
– 家族、職場、地域の協力が不可欠
• 政府機能の死活の重要性
• 最終的にはシステム自体の取替えが必要
21世紀初頭の課題
• 存続のための分散化を
• 再構築:新型社会システムをめざして
• Y2Kフリーの新情報通信システム
(IPネット)を基盤に
日本の二重の立ち遅れを
克服する時
• 新情報通信システムの理解と構築で
• 2000年問題の理解と対応で
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