巻頭言 - 公開経営指導協会

巻頭言
The Opening Article
「商人の真の在り方」を目指して
平成 27 年は、税務経営指導協会(本会の前身)設立から数えて 65 周年という節目の年にあた
り、また、本会創立者 喜多村実 生誕 111 年目の年にもあたります。
初代理事長の喜多村実は、大正 12 年、自身の夢である
「牧場経営」の資金を作るために、
東京・目黒に洋品店
「オリオン堂」
を開業、商いを始めます。岡田徹先生によれば、
「彼は儲
けようとして商売をしなかった。お客の購買係として最善を尽くすことが商人の役目だとい
う信念一本槍で店の経営に終始した。常得意客は名簿に記載されているだけで2千名を越
えていたのは驚嘆に値する」
と述べられています(昭和 25 年、雑誌『商店経営』に連載された「オリオ
ン堂繁昌記」初回序文より)
。戦時中は、商業報国運動に身を投じ、日本商業報国隊を結成し、
商業がお国に奉公する道として、配給機関としての組織再編成と企業整備(転廃業)を推進し、
戦後は、商人を最も苦しめていた厳しい課税問題に真正面から取り組み、
「ガラス張り経営
運動」
を展開、青色申告制度の確立に大きく寄与しました。
商業者が追い込まれた時に、常に
“商人の真の在り方”
を説き続けた喜多村実と公開経営
指導協会。本会の特長は、誠実経営に代表される
「理念」
と計数データに基づく
「科学性」
の
融合にあり、目指すはバランスのとれた健全経営です。
先日、大分県の商人塾のお招きで、西端春枝先生(㈱ニチイ創業者 西端行雄氏夫人)とご一緒
に講演の機会をいただきました(次頁に西端氏講演録掲載)。 西端先生からは、次のようにおっ
しゃっていただきました。
「戦後の混乱期に多くの悪徳商人がはびこり、暴利を貪る商業者
が多くいる中で、倉本長治先生(商業界)と喜多村実先生(公開経営指導協会)は
『泣いている人
を救うのは商人だ』
『必ず門前市をなすでしょう。いずれ落ち着いてくれば、あの店は、あ
のときこういう商売をした、と皆が言うでしょう。だから、必ずお客様は戻ってこられる』
と愛と真実の商売、優しい心と嘘を言わない
“商人の真の在り方”
を、全国を飛び回って啓
蒙された。真の小売業者で、お二人の影響を受けていない商人はいない」
と。
現在、私たちが置かれた環境は、先達の方々も経験していない、人口減少・超高齢社会を
迎えようとしています。また、高度な情報化社会の進展で、様々な新しいメディアの発達
により、コミュニケーションの方法は変化しており、そして世界が近く小さくなっています。
いままでに前例の無い経営環境の中で、いかにして社会環境の変化やお客様に対応して
いくべきか、公開経営 65 年記念シンポジウム
「(仮称)明日の商業を考える! 未来への羅針盤
は今ここにある」
を開催予定です(9 月11日 於:東京)。時代の変革の中で、常に
“商人の真の在
り方”
を示し続けることが、私ども公開経営の使命であることを再認識して、誠実に、皆様
方の問題解決に役立てる協会を確立してまいります。
一般社団法人 公開経営指導協会
理事長 喜
多 村 豊