機械グループ - Mitsubishi Corporation

機械グループ
前列左より
後列左より
勝村 元
永井 康雄
鍋島 英幸
白木 清司
常務執行役員
機械グループ CEO
理事
重電機本部長
常務執行役員
機械グループ CO-CEO
執行役員
プラント・産業機械事業
本部長
小宮 修
執行役員
船舶・交通・宇宙航空事業
本部長
阪田 良
理事
いすゞ事業本部長
白地 浩三
自動車事業本部長
組織
当期純利益
機械グループ CEOオフィス
機械グループコントローラーオフィス
(単位:10 億円)
80
重電機本部
• 重電機ユニット • 重電機輸出ユニット
• エレベーター事業ユニット • 海外電力事業ユニット
• 国内電力リテール事業ユニット
プラント・産業機械事業本部
• 化学プラントユニット • 重機ユニット
•プロジェクト開発ユニット • 産業機械ユニット
•レンタル・建機事業ユニット
船舶・交通・宇宙航空事業本部
• 船舶ユニット • 交通システムユニット
• 宇宙・空間事業ユニット • 防衛システムユニット
60
自動車事業本部
40
• 自動車アジア・アセアンユニット
• 自動車欧州・中東・アフリカユニット
• 自動車米州・豪州ユニット • 自動車国内ユニット
いすゞ事業本部
•タイ事業ユニット • 欧阿・中近東・米州ユニット
•アジア・大洋州ユニット
66.5
65.0
08.3実績
09.3見通し
58.0
20
0
07.3実績*
* 新組織ベースにリステイトした数値を表示しています。
グループ CEOメッセージ
2008 年 3 月期実績について
当グループの2008 年3 月期は、連結純利益665 億円と前期よ
て見直すとともに、グローバルな成長の取り込みに向けた各ビジネ
り85 億円(15% )の増益となりました。4 期連続の最高益となった
スの世界展開を推進するなど、成長が期待できる分野へ経営資源
前期に続き、組織改編をはさんで実質 5 期連続でグループ最高益
を積極的に投入しました。
を更新しました。
具体的には、国内顧客向けに電力・蒸気の供給を行うオンサイト
これは、前期における株式売却益の反動減があったものの、海
発電事業、海上での石油・ガス生産・貯蔵設備( FPSO )事業や、
外IPP 事業における新規連結、アジアにおける自動車市況の回復、
レンタルのニッケンの株式買い増しなどにより資産を積み上げま
プラント関連事業における取引の増大、堅調な船舶市況などに加
した。一方、宇宙通信株式の売却などによる資産ポートフォリオの
え、為替の影響などにより増益となったものです。
入替えもあわせて行いました。
また、中長期的な持続的成長に向けて、既存のビジネスを改め
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Mitsubishi Corporation Annual Report 2008
グループ戦略および 2009 年 3 月期見通しについて
当グループでは、成長分野への事業投資などへ経営資源を優先
ナーのニーズを先取りした技術革新分野、世界各国での資源開発
的に投入しつつ、グループの基盤でもあるトレーディング機能のさ
案件など、次の時代に向けた戦略分野への取り組みを強化します。
らなる進化・高度化を図ることで、持続的な成長を目指します。ま
2009年3月期は、プラント関連ビジネスおよび船舶市況が堅調な
た、これら事業投資とトレーディングの有機的な融合により、新た
ことによる増益が見込まれる一方で、原材料価格の高騰によるコスト
なビジネスモデルを開発し、顧客・パートナーに提供できる機能・
増や前期に比して円高に推移することが予想されるため、全体とし
付加価値を高めつつ、資源価格に大きく左右されない安定的な収
て前期比ほぼ横ばいとなる連結純利益650 億円を見込んでいます。
益基盤の拡大や収益力の向上を図っていきます。具体的には、以
下 3 つの成長戦略を実践していきます。
① グローバルな成長の取り込み
自動車や産業機械の販売会社、鉄道システムや発電・製鉄プラ
常務執行役員
ントなどの各事業において、BRICsをはじめとする新興国など
機械グループ CEO
への展開を加速化します。そして、新市場における収益基盤を
勝村 元
確立し、グローバルな成長を取り込みます。
② 新たなビジネスモデルの開発・推進
資本提携や戦略的提携により、顧客・パートナーと一体となった
常務執行役員
成長を目指すなど、新たなビジネスモデルを開発・推進します。
機械グループ CO-CEO
③ 戦略分野への取り組み
鍋島 英幸
風力や太陽光発電などの新エネルギー・環境分野、顧客・パート
注力事業紹介 ― 世界各地での鉄道事業―
鉄道は環境にやさしい大量輸送機関であ
ムの建設にも携わっています。また、世界
通信・信号設備、自動改札設備などの関連
り、インフラとしての重要性が見直され、世
の海運の要所であるパナマ運河を通過中
設備も取り扱うとともに 、車両の保守ビ
界的に新規鉄道建設や輸送能力増強の計
の船舶の牽引用に使用される機関車なども
ジネス、リース事業にも取り組んでおり、
画が進められています。この動きを捉え、
取り扱っています。
あらゆる鉄道分野のニーズに対応できる
当グループでは海外での鉄道案件の実現を
車両以外にも車両用電機品・エアコン、
体制をとっています。
さまざまな形で積極的に推進しています。
当グループの鉄道関連機器輸出の歴史
は古く、1950 年代のインドへの電気機関
車の輸出、1960 年代からのエジプト向け
鉄道車両の輸出に始まり、最近ではエジプ
ドバイ空港
ドバイメトロ
シンガポール・
チャンギ空港
インド・デリーメトロ
エジプト・
カイロ地下鉄 2 号線
台湾新幹線
香港地下鉄
シンガポール・
センカン線
ト国内企業との共同製作で、カイロ地下鉄
向けの車両を納入しています。また、イン
ド・香港などへの鉄道車両の納入、さらに
シンガポールやドバイでは都市交通システ
Mitsubishi Corporation Annual Report 2008
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ディングと事業投資を両輪として、それぞ
重電機本部
れの業界や分野でのバリューチェーンの拡
大と地域横展開を推進し、世界の成長を取
国内外 32 の拠点に社員を配する世界規模
り込んでいきます。具体的には、2008 年4
のネットワークを駆使し、全世界向けの発
月に千代田化工建設の第三者割当増資を引
電プラントや昇降機などのトレーディング
き受け、出資比率 33.4%としました。本件
と、電力の卸売り・小売事業などを推進し
Nuon 提供
ています。
2008 年3 月期は、サブプライム・ローン
問題はあったものの世界の電力需要は堅調
で、発電プラントなどのトレーディングビジ
ネスは好調に推移しました。また、海外 IPP
事業はアメリカを中心にメキシコ・東南アジ
オランダ・発電プラント
オランダのヌオンから出力約130 万KWの天然ガ
ス焚きガスタービン・コンバインドサイクル発電
設備を三菱重工と共同で受注しました。環境に優
しい石炭ガス化複合発電への変更も検討されて
います。
の実行により同社の企業価値向上に伴うエ
ンジニアリング業界の成長を取り込むととも
に、エネルギー事業や化学品グループとの
シナジーも期待しています。
アでもニーズは高く、買収案件を中心に案
件の具体化に傾注しました。
今後もプラント関連機器・設備などのサプ
ライソースの多様化とともに、商社機能のさ
らなる強化を図り、全世界向け発電プラント
の拡販に注力します。国内では引き続き電
力会社のニーズに対応し、海外では旺盛な
設備需要が続いている中国・アセアン・欧
州・中東を中心に取引拡大を目指します。
海外 IPP 事業では、アメリカ・メキシコに
加え、香港の CLP Holdingsと設立した
OneEnergyをプラットフォームに電力需要
の伸びが著しいアジアを中心に積極的に事
業を拡大し、中核ビジネスに育成します。
新規事業である国内オンサイト発電事業で
は、当社の総合力を活かしてさらなる拡大
を目指します。国内電力小売事業では、子
会社であるダイヤモンドパワーの保有電源
のポートフォリオ管理により最適規模での運
営の継続を図ります。エレベーター事業で
は引き続き三菱電機のグローバルパート
ナーとして事業の拡大を図ります。
プラント・産業機械事業本部
トレーディングと事業投資を両輪として、対
面する業界や分野でのバリューチェーンの
拡大と世界展開を推進していきます。
2008 年3月期は、資源・素材価格が高止
まる環境のもと、国内外顧客の設備投資意
欲が引き続き旺盛に推移しました。ほとんど
の分野でプラントサプライヤーの供給力の
制約がありましたが、プラント関連事業にお
いては、ほぼ計画どおりの収益をあげるこ
とができました。量販機械系の事業につい
ては、アメリカにおいてサブプライム・ロー
ン問題に起因する景気減速の影響を受け
ながらも工作機械の販売は健闘しました。
一方、国内においては農業政策の変化によ
り農業機械販売が不調であったことに加え、
建設機械などのレンタル事業において税制
改正による一時的な減価償却費の増大など
の影響もあり、収益は計画を下回りました。
新中期経営計画『 INNOVATION 2009 』
の期間である今後 2 年間も、各事業領域に
おいて、それぞれの業界のコアパートナー
と一体となって営業力・技術力を強化の上、
その成長を共有し、さらに新たなビジネスの
創出を目指します。また、他の営業グルー
プとの協業にも積極的に取り組み、トレー
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Mitsubishi Corporation Annual Report 2008
サハリンⅡの天然ガス液化プラント
完成間近となったサハリンⅡの天然ガス液化プラ
ント。今般関係が強化された千代田化工建設が建
設中です。
船舶・交通・宇宙航空事業本部
陸・海・空の輸送機器関連ビジネスととも
に 、防衛・宇宙ならびに位置・空間情報に
関連する幅広い事業を展開しています。
2008 年 3 月期は、世界的な海運・造船
市況の活況が続いたこと、大都市圏での大
量輸送機関への需要の高まりによる鉄道建
設および鉄道車両の新規需要が堅調であっ
たこと、そして安全保障関連分野での新規
案件が増えたことなどにより、収益を伸ばし
ました。今後も、これまで培ってきた顧客と
の信頼関係のもと、さらなる事業の拡大を
目指していきます。
船舶の分野では、世界的に荷動き量が伸
びており、引き続き積極的に経営資源を投
入し、自社保有船や他社との船舶共同保有
事業をさらに進めていきます。鉄道の分野
では、従来型の鉄道関連機器ビジネスに積
国内では、新産業金融事業グループとの
中心に、同社製品の各国への輸出を行って
極的に取り組んでいくことに加え、海外で
協業で 2007 年に設立した三菱 UFJリース
います。
民間資本を活用した官民協調プロジェクト
との折半出資による自動車リース会社「三
最重要市場であるタイでは、川上(部品
が増えていることに対応して、事業運営な
菱オートリース・ホールディング」傘下の三
製造・車両組立)から川下(小売り・販売金
どの新しいビジネスモデルにもチャレンジし
菱オートリースとダイヤモンドオートリース
融)まで充実したバリューチェーンを構築
ていきます。防衛・宇宙の分野では、既存
を本格統合し、さらなる事業基盤の拡大と
し、幅広く自動車事業を展開しています。
ビジネスに強固な体制で取り組むことを通じ
効率経営を目指す体制作りを行いました。
2008 年 3 月期は、前年から続く政情不
て一層の業績拡大を図るとともに、安全保
イタリアでは、さらなる販売拡大を目指して
安などによりタイ国内でのピックアップト
障や宇宙の平和利用などの社会的ニーズに
現地の販売会社・MMAIに出資参画するな
ラックおよび小型トラックの販売が前期比微
対応した新しいビジネスの開拓に取り組ん
ど、国内外でバリューチェーンの拡張を行
減の約 16 万台となりましたが、タイから中
でいきます。
いました。
東、欧州、中南米、アセアンなど世界各国
船舶保有運航事業
船舶分野では、世界的な荷動き量の拡大に応える
べく、自社船保有事業を推進しています。2008
年3 月期は海運市況が堅調で好業績を残すことが
できました。
また、イノベーション事業グループと協業
へのピックアップトラックの輸出は前期比
でリチウムイオン電池製造会社・リチウムエ
23% 増の約 6 万台と順調に拡大しました。
ナジージャパンに出資参画し、三菱自動車
また、将来を見据えてタイ以外の地域へ
工業の電気自動車「 i MiEV」の国内外での
も積極的に新規事業投資を行っています。
販売に協力し、地球環境に配慮した商品をバ
2006 年3 月期から2007 年3 月期にかけて
リューチェーン上で展開していく予定です。
いすゞ自動車との合弁で設立したメキシコ輸
今後は、一層の販売拡大によって三菱自
入販売会社・Isuzu Motors de Mexico
動車工業の再建を支援するのはもちろんの
( IMEX )
、ド イツ 輸 入 販 売 会 社・Isuzu
こと、収益性向上を目指し、すでに全世界約
Sales Deutschland( ISD )、そして欧州
20カ国で展開している自動車関連事業の強
全域の販売戦略を立案遂行するマーケティ
化・拡大と、潜在性の高いBRICs 諸国での
ング会社・Isuzu Automotive Europe
販売体制の整備にも力を注いでいきます。
( IAE )は、順調な歩みを続けています。
今後、タイでは一層の競争激化が予想さ
れますが、いすゞ自動車と連携しつつ、商品
競争力・販売力の強化に努め、引き続き高
自動車事業本部
水準の車両の販売を目指していきます。ま
三菱自動車工業製車両などの取り扱いにお
た、タイ事業で培ったノウハウを他地域でも
い て、事 業 投 資を通じ幅 広 い バリュー
活用しながら、世界各国でいすゞ製車両の拡
チェーンの構築を図り、付加価値の向上を
販を図り、いすゞ自動車との緊密な関係をさ
目指しています。
2008 年 3 月期は、回復の兆しが見られ
ていたインドネシアにおいて、小型トラック
およびピックアップトラックの主力 2 モデル
で新型車の導入を行いました。特に小型ト
らに強化し、業務を拡大していく方針です。
イタリア販社 MMAI( M.M.Automobili Italia
S.p.A. )
イタリアにおいて 、三菱自動車の一層の販売拡
大と、自動車事業のバリューチェーン構築を目指
しています。
ラックの新モデルは10 年ぶりであり、導入
に万全を期した結果、マーケットシェア、販
売台数ともに増加しました。また、ロシア・
ウクライナ、中国、およびブラジルを中心と
いすゞ事業本部
した中南米でも市場が拡大し、販売は全体
タイをはじめとする海外でいすゞ自動車製
的に好調に推移しました。
車両・部品の製造・販売を行う事業投資を
タイいすゞ事業 50 周年
タイにおけるいすゞ車両販売が 50 周年を迎えま
した。今後もより一層の拡大を目指していきます。
Mitsubishi Corporation Annual Report 2008
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