安 全 報 告 書 - AIR DO 北海道国際航空

安 全 報 告 書
3. 会社の安全確保への取り組み
3‐1 運航に携わる各職種の訓練および審査の内容
弊社では、日常運航に携わる各職種ごとに以下のような教育や訓練などを実施し、
運航の安全を確保しています。
◇ 運航乗務員
運航乗務員は、入社後、訓練生としていくつもの訓練と審査を経て副操縦士
に昇格します。副操縦士として十分な経験を積んだ後に、さらに厳しい訓練と
審査を繰り返し、機長へと昇格していきます。
昇格して業務についた後も、緊急事態を想定した訓練や、運航に必要な知識、
操縦能力、判断力などを確認する審査、さらには航空身体検査も義務付け
られています。これらは、運航の安全を確保し、お客様に安心して空の旅を
楽しんでいただくために行っています。
なお、弊社は2006年8月に指定本邦航空運送事業者としての指定を受け、
定期的に実施される機長の資格審査については、国の審査官に代わって国土
交通大臣の指名を受けた自社の査察操縦士が実施できることになりました。
安全に対する高い意識と全社一丸となった取り組みにより、厳格な審査を実施
しています。
・ 定期訓練
いかなる状況下でも適切な対応が
できるように、半年に一度、通常経験
することのない異常な状態や緊急な
状況をフライトシミュレータで再現し、
次のような訓練を実施して運航乗務員
の能力維持と向上を図っています。
・エンジン、その他重要な装備品が故障した場合の対処
・急激に機内の気圧が下がった場合の対処
・機内で急病人や怪我人が発生した場合の対処
・急激な風向、風速、天候の変化に遭遇した場合の対処
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この他に1年に1度、定期学科訓練やCRM訓練(注)を実施し、知識や技術の
リフレッシュを図るとともに、緊急時における乗務員相互のコミュニケー
ションや連携、リーダーシップなどについて訓練し、運航乗務員としての能力
向上に努めています。
(注)CRM(Crew Resource Management)訓練
乗務員を取り囲む利用可能なすべてのリソース(人、機器、情報など)を活用し、チーム
としての意思決定やコミュニケーション、リーダーシップの取り方などを学ぶ訓練です。
◇ 客室乗務員
・ 非常救難対策訓練
入社後の初期訓練と1年に1度の定期訓練を実施します。これらの訓練では、
緊急着陸水、火災発生、急減圧が起こった場合の対処、非常口の操作、不法行
為に対する措置などを学び、審査を受け、これに合格しなければなりません。
また、2003年度から、ヒューマンエラーに対処するためのCRM訓練を行っ
ています。
・ 救急法訓練
入社後の初期訓練で日本赤十字社が行う救急法の講習を受講し、さらに航空
医学概論、保健衛生、機内で生じやすい症状別の対処法、心肺蘇生法について
も学びます。
2007年4月からはFIRST・AID(救急看護)/CPR(心肺蘇生法)
/AED(自動体外式除細動器)の定期訓練を実施しています。
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◇ 整備従事者
入社後、約7か月間の社内訓練と審査を経て社内作業者資格が与えられて
から、初めて軽微な保守作業が実施可能となります。
おおむね3~5年間の整備経験を積んだ後、国家資格である「一等航空運航
整備士」次いで「一等航空整備士」の資格取得を目指します。国家資格の取得
後、さらに資格毎の社内訓練と審査に合格した後に、より高度な整備作業がで
きる社内作業資格が付与されます。
整備作業で最も重要な役目を持つ「確認主任者」は、航空機の出発にあたり
整備状況を最終確認し、機長に引き渡す責任と権限を有しています。「確認
主任者」の資格は、社内の教育・訓練や実務経験とともに、「一等航空整備士」
の国家資格を保持し、厳正な審査に合格した者にのみ付与されます。安全運航
の原点を支える「確認主任者」に任命されるまでには、入社後7~8年以上の
期間を要します。
なお、2007年3月、弊社は「整備」に加え「検査」についても「認定事業場」
としての認定を受け、新規航空会社として初めて「更新耐空証明検査」の
ほとんどの業務を自社で実施できることになりました。
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◇ 運航管理者(ディスパッチャー)(注)
入社後、6か月の社内訓練を経て運航支援者として資格発令され、運航
管理者(ディスパッチャー)の補助業務を行います。
運航支援者としておおむね2年間の業務経験を積み、国家試験の「運航
管理者技能検定」に合格した後、さらに社内訓練、厳正な審査を経て、晴れて
運航管理者としての資格が発令されます。
・ 定期訓練
毎年、座学訓練として、運航管理に関する基本的事項(ヒューマン・ファク
ター、運航基準、運航技術、航空機など)について知識のリフレッシュをして
います。
・ 随時訓練
新しい機種、路線、機器、運航方式が導入される際に実施しています。また、
上記訓練の他に、冬季運航リフレッシュ訓練、航空保安教育訓練および危険物
教育訓練を定期的に実施しています。
(注)
運航管理者(ディスパッチャー)は、航空機が飛ぶ前に気象情報や航空情報等
の収集を行い、機長と協力しながら飛行実施計画(フライトプラン)を立案し、
航空機をどのように運航するかを決める役割を担当しています。飛行中も、気象
情報をはじめとした各種情報や運航状況を随時把握し、必要に応じて機長への
助言を行うなど、安全に目的地に着陸するまでのサポートを行ないます。
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3-2 安全問題の把握および対応
日常運航での安全に係る問題点の把握および全社的なフィードバックの体制に
ついては、以下の方法により全社的な対応を図っています。
◇ 安全推進委員会
安全推進委員会の役割は、安全に係る重要事項の最高決議機関として、組織を横断
した情報の共有化、マネジメント・レビューの定期的な実施、安全マネジメントシステ
ムの推進・改善などを図るうえで重要な役割を果たしています。
また、日常運航における問題点については生産本部各部から月次で報告され、再発
防止策、未然防止活動実施状況の確認などについて討議され承認されます。合わせて、
安全推進委員会委員長から安全に関する勧告や改善の指示が示されます。
◇ 各生産本部での活動
日常運航における問題点は、各部店において定められた規定をもとに、下記に
示す安全報告制度により、組織的に把握されます。各部店では報告された事象により
重要度で分類し、直ちに対処すべき重要な事項については、所属長を通じトップへ報告
するとともに、再発防止策を策定し実施します。
問題点によって複数部門にまたがる再発防止策が必要となる場合は、安全マネジ
メント推進部門が全社的な調整を図っています。重要な安全に係る問題・事象は、安全
推進委員会に適時適切に報告されます。
◇ 内部安全監査
社内の安全管理体制が適切に機能しているか、さらには継続的に改善されているかを
確認・評価するため、内部安全監査制度を構築しています。
内部安全監査制度は2006年6月にスタートし、2006年度は8回の監査を実施
して安全管理体制の強化を図っています。
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◇ 安全報告制度
弊社は、運航に障害を起こす可能性があるあらゆる事象について、その報告手順を
定め、規定類を整備し、安全報告制度として運用しています。
2006年10月の航空法の一部改正に伴い、航空会社には、「安全上の支障を及ぼす
事態(注)」についての報告が義務付けられました。
また、直接運航に携わる社員は、機長報告(Captain Report、Air Safety Report)、
安全阻害行為報告、客室乗務員報告(CA Flight Report)、運航管理者報告(Dispatcher
Report)、整備不具合事象報告、ランプ内不具合事象報告などによる報告が法令または
社内規定により義務付けられています。
さらに、ヒヤリハット事象を収集・運用する自発的報告制度を設け、情報の収集と
適切な対応を図り、不安全事象の未然防止活動に役立てています。
(注) 「安全上の支障を及ぼす事態」は、「事故」「重大インシデント」「安全上のトラ
ブル」に分類されます(それぞれの詳細については、16ページ以降の「4.
2006年度 運航上のトラブル発生状況」を参照)。
不安全事象
ヒヤリハット
機長報告
安全阻害行為報告
客室乗務員報告
運航管理者報告
整備不具合事象報告
ランプ内不具合事象報告
安全上の支障を及ぼす
事態の報告
航空局へ
報告
自発的安全報告
経営トップへ
報告
分析・検討
分析・検討
更なる検討・対応が必要
改善・是正措置
安全推進委員会
他社情報
事故調査報告書
事故統計
( 国 際 航空 運 送協 会 /航 空 機メ ーカ ー )
航空安全情報ネットワーク
社内安全情報データベースシステム
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改善・是正措置
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3-3 安全に関する社内啓発活動
弊社は、安全マネジメントシステムをさらに有効で効果的なものにしていくため、
社員の理解促進と意識向上に向けた種々の安全啓発活動を実施しています。
社内の安全運航への意識高揚を図るため、年2回の安全週間を設定しています。
安全に係る各種行事に社員が自ら参画することにより更なる安全意識を高め、安全
文化の醸成を図っています。また、すべての弊社就航空港を経営トップが巡回し、現場
担当者と安全への取り組みについて直接意見交換をする機会を設け、安全メッセージを
伝えています。
全社的な安全マネジメントシステムへの参画意識の向上および安全文化の醸成を
目指すために、社内安全情報データベースシステムを運用し、種々の安全情報の
共有化を図っています。また、社員への安全に関するいろいろな情報を紹介するための
「安全情報誌」を発行し、全社員へ配布しています。
その他、社内の全社員対象にアンケートを実施し、安全文化に関する社員の意識に
ついての調査を行なっています。
3-4 技術管理情報システムの開発
整備部門では、メーカーからの技術情報や改善通報、米国航空局からの改善通報、
わが国航空局からの耐空性改善通報などの、すべての機材関係技術情報の管理を行う
システムを独自に開発し運用しています。これにより処理の漏れを防止し機材品質の
向上を図っています。
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3-5 使用機材および輸送実績
◇ 使用機材情報
機種
機数
B767-300
3
B737-400
2
座席数
286~
289
155~
156
平均年間飛行時間
平均年間飛行回数
導入開始時期
平均
機齢
3,040
2,467
1998.03.27
12
3,008
2,071
2005.04.22
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弊社全体の平均機齢:13 年
◇ 機種別輸送実績
機種
千座席キロ
有償トン・キロ
B767-300
1,885,675
10,402,177
B737-400
689,877
3,617,031
◇ 路線別輸送実績
路線
便数
千座席キロ
有償トン・キロ
羽田
⇔
札幌
5,887
1,431,281
8,085,814
羽田
⇔
旭川
2,227
467,731
2,554,229
羽田
⇔
函館
1,455
327,442
1,785,289
羽田
⇔
女満別
1,940
349,097
1,593,875
(注 1) 上記輸送実績には、ANA とのコードシェア運航に伴う同社への座席販売分を含んでいます。
(注 2) 座席キロ
:各飛行区間の提供座席数にその区間の距離を乗じたもの
有償トン・キロ:各飛行区間の有償の旅客、貨物、手荷物および郵便の重量に、その区間
の距離を乗じたもの
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