計算技能検定 - 1級1次 解答例

第 80 回数学検定 (実施日不明) 準 1 級 1 次:計算技能検定 解答例
※ 本解答例は、概ね次のような構成になっています。
• 問題
問題文です。数検財団実施の、頭記の検定問題より引用させていただきました。
• 解答
数学的にまともで、また時間的に現実的な解き方を示します。ただし、若干省略して書いて
いる場合があります。本解答例のメインの部分です。
※今回解答の原案は、大部分を「シュトラ姉さん」さまに提供いただきました
(問題4を除く)
。
この場で厚く御礼申し上げます。
•(補足)
• コメント
1.
問題
次の式を因数分解しなさい。
(x − 1)(x − 3)(x + 3)(x + 9) + 12x2
解答
(与式)= {(x − 1)(x + 9)}{(x − 3)(x + 3)} + 12x2 = (x2 + 8x − 9)(x2 − 9) + 12x2
X ≡ x2 − 9 とおくと
= X 2 + 8xX + 12x2 = (X + 2x)(X + 6x)
= (x2 + 2x − 9)(x2 + 6x − 9) …(答)
コメント
筆者は、できませんでした(涙)。すみません…。1問目は、こういう難しい問題が出ることも
多いんですよね。
2.
y = −x2 + 2x + 1 で表される放物線を p とします。放物線 p を、点 (−2, 3) に関して対
問題
称移動し、さらに x 軸の正の方向に 1 、y 軸の負の方向に 3 だけ平行移動して得られる放物線を
q とします。このとき次の問いに答えなさい。
⃝
1 放物線 q の方程式を求めなさい。
⃝
2 放物線 p を 1 回の点対称移動で放物線 q に重ねるには、対称の中心をどこにとれば
よいですか。その座標を求めなさい。
解答
⃝
1 放物線 p の方程式は、y = −x2 + 2x + 1 = −(x − 1)2 + 2 より、上に凸で頂点は (1, 2) .
これを点 (−2, 3) に関して対称移動させると下に凸になり、また頂点が (a, b) に移るとすると
(
1+a 2+b
,
2
2
)
= (−2, 3)
−→
(a, b) = (−5, 4)
さらにこれを x 軸方向に 1 、y 軸方向に −3 だけ平行移動させると、頂点が (−4, 1) に移る。
すなわち放物線 q の方程式は、 y = (x + 4)2 + 1
…(答)
⃝
2 対称の中心を (c, d) とおくと、これは p の頂点と q の頂点の中点になるので、
)
(
)
(
3 3
1 + (−4) 2 + 1
,
= (c, d) −→ (c, d) = − ,
…(答)
2
2
2 2
(補足) ⃝
2 の解答は、もちろん十分ではありません。頂点どうしの点対称しか確かめていないので。
しかしこれ以上の解答は要求されていないでしょう。
コメント
数検 1 次にしては、問題文が長いですね(汗)
。無駄に複雑なだけのような、気もしますが…。
3.
問題
次の式を簡単にしなさい。
log2 3 · log7 8 · log243 343
解答
底の変換公式により
log2 8
log2 7
3
= log2 3 ·
log2 7
(与式)= log2 3 ·
log2 343
log2 23 log2 73
= log2 3 ·
·
log2 243
log2 7 log2 35
3 log2 7
9
·
=
…(答)
5 log2 3
5
·
コメント
対数の公式を使った、よくある計算問題です。確実に解けるように、練習しておきたいものです。
4.
問題
複素数平面上において、点 3 + 4i を原点のまわりに x◦ だけ回転し、原点からの距離を y
倍すると、点 −12 + 9i になりました。このとき、x, y の値を求めなさい。ただし、i は虚数単位
を表し、x, y は実数とします。
解答
問題より
◦
x = arg
(
−12 + 9i
3 + 4i
)
¯
¯
¯ −12 + 9i ¯
¯ .
, y = ¯¯
3 + 4i ¯
−12 + 9i
= 3i より、x◦ = 90◦ , y = 3 .
3 + 4i
(答) x = 90, y = 3
コメント
複素数のかけ算が、複素数平面上の実数倍&回転移動に相当することを用いる問題ですね。大事
な性質なので、覚えておきたいところです。
5.
問題
A=
(
)
4 3
1 1
(
, B=
1
−2
)
−3
1
とするとき、次の等式を満たす 2 次の正方行列 X を
求めなさい。
A(X − B) = B
解答
A−1
1
=
4−3
(
1
−1
)
−3
4
(
=
1
−1
)
−3
4
より、方程式の両辺に左から A−1 をかけると
X − B = A−1 B
X = A−1 B + B = (A−1 + E)B
(
)(
) (
)
2 −3
1 −3
8
−9
=
=
−1 5
−2 1
−11 8
…(答)
コメント
A−1 を左からかけることを思いつきさえすれば、あとは計算するだけです。ただ行列計算は間
違えやすいので、そこは注意ですね。
6.
問題
次の極限値を求めなさい。
2x2 − 5x + 3
x→1 x2 + x − 2
lim
解答
2x2 − 5x + 3
(x − 1)(2x − 3)
= lim
x→1 x2 + x − 2
x→1 (x + 2)(x − 1)
2x − 3
= lim
x→1 x + 2
1
= −
…(答)
3
lim
コメント
極限値の初歩の問題ですね。とりあえず、点をいただいておきましょう。それ以外に、言うべき
言葉が見つかりません…
7.
問題
次の不定積分を求めなさい。
∫
ex
dx
ex + e−x
解答
t ≡ ex とおくと dt = ex dx より
∫
∫
∫ 1 2
′
1
t
1
2 (t + 1)
(与式)=
dt
=
dt
=
dt =
log(t2 + 1) + C
t + t−1
t2 + 1
t2 + 1
2
1
log(e2x + 1) + C (C は積分定数)
=
2
(別解1)
∫
(与式)=
e2x
dx
e2x + 1
t ≡ e2x + 1 とおくと dt = 2e2x dx より
∫
=
=
1 1
1
· dt =
log |t| + C
t 2
2
1
log(e2x + 1) + C (C は積分定数)
2
(別解2)
∫ {1
}
}
∫ {
1
1 (ex + e−x )′
1
(与式)=
+
dx =
+
dx
2
2 ex + e−x
2
1
x
=
log(ex + e−x ) +
+ C (C は積分定数)
2
2
x
−x
)
2 (e − e
x
−x
e +e
(補足) 別解は、上記のほかにもあるでしょう。もちろんどれでも正解です。
コメント
置換積分の典型的な問題であり、合格のためには必ず点を取っておきたいところです。ただ、係
数を間違えるなどのミスもおきやすいですね。必ず検算をする(答えを微分して元に戻るか確かめ
る)習慣をつけておきたいものです。