輸血の歴史

献血後情報・遡及調査
鹿児島大学輸血部
古川良尚
献血後情報・遡及調査
• 献血後情報とは
献血後に献血者、検査データ、医療機関等から得ら
れる輸血用血液等についての安全性に関する情報。
海外ではPost Donation Information (PDI)と称され
ている。
• 遡及調査とは
ウインドウ期の存在等により病原体の検出には限界
があることから、献血後情報に基づいて、輸血用血
液に病原体の存在が疑われる事態が惹起された時
点で、それ以前の献血に由来する輸血用血液、原料
血漿まで遡り調査することを「遡及調査」という。
献血後情報の種類
1. AIDSの自己申告情報
2. 献血後に判明した献血者の健康障害に関する
情報: 肝炎発症等
3. 輸血後患者の感染症報告に関する情報
4. 複数回献血者の陽転情報
5. 事後連絡情報
6. 問診不適格情報変更
7. プリオン病情報
遡及調査
• 対象病原体
・ B型肝炎ウイルス(HBV)
・ C型肝炎ウイルス(HCV)
・ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
• 期待される効果
1. 対象製剤の使用が中止されることで、受血者等
への感染被害の拡大を防止できる。
2. 受血者の感染の有無を速やかに確認し、感染し
ている場合には適切な治療を可能にする。
遡及調査の目的及び必要性
前回献血
今回献血
検査に合格
陽転情報、献血後情報、感染症報告等により
病院へ出庫
輸血用血液として不適格
献血者
回収(有効期限内)
感染拡大の防止
医療機関
患者
保存検体
個別NAT
情報提供1
輸血
早期発見
早期治療
二次感染防止
情報提供2
感染の有無確認
医療機関への通知
遡及調査対象となった製剤は使用製剤の種類・採血日・供給
日・Lot番号・不適となった感染症(HBV, HCV, HIV, 梅毒)、検
査情報、下記のリスク評価の情報が医療機関に通知される。
1.
2.
3.
4.
HBV・HCVのリスク評価 (1~5)
ウイルスの混入が確認された血液
ウインドウ期に採血された血液
ウインドウ期に採血された可能性が否定できない血液
今回の献血血液が、HBVに関する検査法や判定基準独自の問題
で不合格とされた場合。
当該献血者は、HBc抗体の存在により当該献血時からHBVの既往を示していたが、
合格判定基準の変更・HBs抗体価の低下などで当該血液は「適」、今回献血血液は
「不適」
1.
2.
梅毒感染のリスク評価(1~2)
血清学的検査陰性期に採血された血液
血清学的検査陰性期に採血された可能性が否定できない血液
Window期に採血された可能性のある
血液が約1000本に1本。(日赤から厚生労働省への報告による)
1. 調査対象血液製剤本数
ア. 平成11年4月1日~平成14年6月12日
16,120本
イ. 平成14年6月13日~平成15年7月21日 6,419本
ウ. 平成15年7月22日~平成16年3月31日 3,449本
2. 上記1のうち、個別NAT検査を実施した本数
アについて
イについて
ウについて
10,238本
4,461本 計 17171本
2,472本
3. 上記2のうち、陽性が判明した本数
HBV:
HCV:
HIV:
197本
2本
1本
計 200本
遡及調査対象製
剤の85本に1本が
陽性