企業向けセミナー:9月2日(水)14:00〜16:45 テーマ:粘土に関する基礎

企業向けセミナー:9月2日(水)14:00〜16:45
テーマ:粘土に関する基礎知識講座
※企業向けセミナーとシンポジウムでは、CPD プログラム申請をしております。
「ベントナイトのメチレンブルー吸着量試験方法」
産業技術総合研究所・地圏資源環境研究部門
三好陽子
メチレンブルー吸着量試験は、粘土鉱物資源であるベントナイトの性能を評価するための手法の 1 つで
ある。メチレンブルー吸着量試験方法のうち、ろ紙試験法と呼ばれる方法は、ろ紙を使って吸着量を判
定する。ろ紙試験法は簡便に短時間で行うことができるが、試験者による誤差が生じやすい。比色試験
法と呼ばれるメチレンブルー吸着量試験は、吸着量を定量的に求めることができるが、高価な装置が必
要である。
「イオン吸着のモデリング」
金沢大学環日本海域環境研究センター 福士圭介
イオンなどの溶質は水溶液中で鉱物の表面に遭遇すると、その一部は鉱物に吸着します。一方、鉱物に
吸着していた溶質は水溶液と接触すると、その一部は溶液に脱離します。吸着や脱離によって達成され
た微量元素の固液分配は、鉱物の種類、溶液の水質をはじめとしたいくつかの因子の関数として決めら
れます。セミナーでは、さまざまな「条件」における水-鉱物間での微量元素の分配を予測する手法に
ついて最近の研究を例に解説します。
「モンモリロナイト/水 懸濁液の粘度」
北海道大学大学院工学研究院 鈴木啓三
モンモリロナイトを水に懸濁させると、極めて高い粘度を示す。「コロイド粒子懸濁液の粘度は、粒子
の容積分率に比例する」という「Einstein の粘度式」では説明できない程の高粘度を示す。高粘度を
発揮する理由を、モンモリロナイトの特性に基づいて説明する。また、モンモリロナイト懸濁液の粘度
は、塩濃度の影響を強く受けるので、脱塩により粘度は変化するが、変化の傾向は試料により大きく異
なる。その理由についても説明する。
「粘土画分の採取と粘土鉱物の同定方法」
国際農林水産業研究センター 八田珠郎
多くの分野により扱われる粘土および粘土鉱物の研究のための試料作成には、種々の方法が用いられ
ている。また、分析を行う前の調整や処理についても、各般の状況により異なっている。さらに、詳
細な分析による同定を重視すべきか、迅速性を優先するかも目的により選択せねばならない。このた
め、粘土および粘土鉱物の分析や前処理を行う場合には、必ずしも分析方法を統一化する必要はない
と考えられる。しかし、現段階で、分野ごとの分析手法の特徴や相違を対比し、目的に応じた長短を
含めた整理を行っておくことは有用である。
「土壌分野での CEC・土壌 pH」
九州大学大学院農学研究院
和田信一郎
土壌肥料分野では、土壌の陽イオン交換容量(CEC)は「保肥力」の尺度として重視されてきた。この
ことはイネが吸収可能な無機態窒素がアンモニウムイオンとして存在する水田稲作が日本にとって非常
に重要だったことと関係している。そして土壌 pH は,作物の酸性障害やアルカリ性障害を避けるとい
う観点から測定,利用されてきた。「交換容量」だけでなく陽イオン選択性や,測定された pH の物理
化学的意味も研究されてはきたが、土壌の管理や評価においてはあまり活用されていない.農地として
だけでなく,環境要素としての土壌の機能を問題にするときには,CEC や pH の新しい評価法や理解が
必要である。