企業から見たインターンシップ 野 村総合研究所 (NRI) 2016年卒向けの就職活動スケジュー はさらに高まる 参加意義 ルが後ろ倒しになったことで、今年は夏 だけでなく秋から冬にかけてもインター ン シ ッ プ を 実 施 す る 企 業 が 増 え そ う だ。 さまざまな顧客の問題発見から解決策を 導くまでのトータルソリューションを手 掛 け る 野 村 総 合 研 究 所 ( 以 下 N R I )も この秋から冬にインターンシップ実施 学生にもチャンスを広げたいという思い から秋冬インターンシップを実施してい ま す。 イ ン タ ー ン シ ッ プ を 活 用 し、“ 働 く”ことについて実体験を通じて真剣に 考えることは非常に有効です。今の時期 に自分自身を見つめ直し、社会人になる にあたって足りない部分に気づき、残り の学生生活、そして就職活動に臨んでほ しいですね」(柳本氏 以下同) ありのままの業務体験にこだわった プログラム そのNRIが実施するインターンシッ プは「経営コンサルティング」と「IT 日間にわたり、 ソリューション」の コース。経営コン サルティングコースでは 2 夏インターンシップに参加できなかった の 活 動 に 役 立 て て ほ し い と い う 思 い と、 とで、仕事イメージを具体的にして今後 が始まるまでの期間に就業体験を積むこ RIとしては、学生の皆さんに就職活動 それゆえ、課題のリアリティは高く、イ ルタントが議論して設定しているという。 ら注目が高まりそうなものを現役コンサ 業が実際に直面しているものや、これか り組むことになるが、その課題は対象企 は、実在する企業に関する課題解決に取 経営コンサルティングコースの参加者 だろう。 の指導を受けられる貴重な機会といえる サルタントから、業務や成果物について 一連の業務を体験してもらう。現役コン のコンサルティングプロジェクトで行う 現役コンサルタントの指導のもとで実際 5 を予定している一社だ。この時期に学生 はインターンシップをどのように活用す べきなのか。NRI人事部の柳本朝史氏 と三谷千恵氏に話を聞いた。 もっと多くの学生に就業体験を 就職活動スケジュールが大きく変更と なる2016年卒向けの就職活動。それ に併せて、今年は秋から冬にかけてイン ターンシップを実施する企業が増えてい るが、NRIは以前から秋冬インターン シップを実施していた企業の一つ。NR I人事部の柳本氏は秋冬インターンシッ プを実施する理由を次のように語る。「N インターンシップの 目的意識 を持つことで、 028 リューション開発など、幅広いプロジェ イスや先端技術を用いた事業企画やソ ングやシステム設計・開発、新しいデバ にわたり、顧客のシステムコンサルティ プログラムとなっている。テーマは多岐 ロジェクトに実際に参加し、業務を行う 週間、NRIが手掛けるさまざまなプ 一方、ITソリューションコースでは り上げられたりすることも珍しくない。 が企業から寄せられたり、メディアに取 ンターンシップ実施後に同じ内容の相談 うにしていることもあるかもしれません。 に配属された場合、周囲の社員が大変そ てしません。また、多忙なプロジェクト ると考え、型にはめるような調整はあえ Iらしさや社員の人間性が見えづらくな ください』と依頼するくらいです。NR 普段接しているのと同じように指導して かい注文は出していません。 『若手社員と 事部からテーマの指定や、指導内容の細 「学生の指導を担当する現場社員に、人 らいたいと同社は考えているのだ。 場の臨場感”もありのままに体験しても も驚かれます」 すし、多様な社員や業務領域の幅広さに な和気藹々とした雰囲気の部署もありま るのですが、実際は理系の研究室のよう イで冷静沈着な人が多そうなどと言われ NRIイメージを聞くと、忙しい、ドラ 「学生にインターンシップに参加する前の さ れ た と い う 学 生 も 少 な く な い と い う。 また、企業や仕事に対する先入観を覆 者も多い。 多いと感じた』といった感想を語る参加 れた』 、 『親しみやすい人間味ある社員が I社員の仕事に対するプロ意識を感じら に引き出して帰ってほしいです。必要以 自分なりに考え、得るべきものを最大限 ターンシップを通じて何を得たいのかを と非常にもったいないと感じます。イン して聞いているだけで質問が一つもない かく参加したのに、指導担当の話をメモ て最大限に活用してほしいですね。せっ に参加するのであれば、目的意識を持っ 「貴重な時間を使ってインターンシップ らだ。 る情報の質と量に大きな差が出てくるか とは、参加者の意識や行動次第で得られ 定されたプログラム内容がないというこ たい』 『自分はこう思う』 と積極的にア 上に遠慮せず、 『こんなことについて知り それでも、そういった環境を含めて仕事 のやりがい、リアルな職場や社員の雰囲 気を感じてほしいと私たちは考えている 目的意識を持って参加してほしい クトに本人の希望を考慮して配属される。 疑似体験ではなく、 極限までの実体験を追求 ピールしてほしいと思います。インター ンシップ期間中の試行錯誤を経て、大き のです」 しかしながら、そのような“収穫”は いずれのコースでも「リアルな仕事体 NRIが目指しているのは“疑似体験” く成長して最終日を迎える学生も多くい 験」ができるというNRIのインターン ます」 人事部 何となくインターンシップに参加しただ 柳本朝史/三谷千恵 けでは得るのは難しいかもしれない。固 株式会社野村総合研究所 ではなく、可能な限りの“実体験”なの 私たちを取り巻く情報量は年々増え続 けていて、就職活動においてもどんな 情報を得ればいいのか、何を信じたら いいのかの見極めが難しくなっていま す。インターネットや書籍ではさまざ まな情報を得ることができるかもしれ ませんが、頭でっかちにならないよう、 実際に行動を起こして自分の目で見て、 見極めることも非常に重要です。その 一つの手段としてインターンシップを 活用してほしいですね。 (三谷) だ。参加したからこそ実感できる、 『NR NRIのインターンシップは包み隠さず、 仕事現場のすべてを見せるくらいのス タンスで実施しています。ですから、参 加者の皆さんも参加する目的やどうす れば必要なものを得られるかをしっか り考え、インターンシップを最大限に 活用してください。社員は前のめりに 飛び込んで来てくれる方、挑戦意欲の 高い方を待っています!(柳本) シップだが、同社の言う“リアル”とは、 理系学生へのメッセージ “仕事内容”だけではない。参加者に“職 インターンシップで有益な情報をしっ かり持ち帰ることができれば、将来を考 える上でメリットは非常に大きいはずだ。 自分は何をやりたいのか、どんな仕事で あれば力を発揮できるのか、自分なりの 目的意識を持ってインターンシップを活 用してみてはいかがだろうか。 029 2
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