第一席 と言っても、下を向いたままでした。 お茶を出す時も、その濃さを聞こうと思い「おばあちゃん、お茶 の濃さは、どの位が良いですか」 と車椅子のおばあちゃんに聞きました。やはり下を向いたままで した。私が困っていると、隣の友達が、 程度で十テーブルに分かれてお呈茶をしました。 れた茶席にて披露しました。ディケアセンターの利用者は、四十名 私達茶道部は、ボランティア活動の一環で夏休み恒例の保健施設 での福祉茶会を催しました。学校でお稽古しているお点前を特設さ こんな風に聞けばちゃんと反応してくれるんだぁと思いました。 そして心を込めてお茶を点てました。お茶碗をおばあちゃんの前に 「普段あなたたちが点てやすい濃さでいいよ」とにっこり笑って返 事をしてくれました。 今度は、ヘルパーさんが、おばあちゃんの耳元で大きな声を出し て聞いてくれました。おばあちゃんは、 ありがとう 西尾市立鶴城中学校一年(愛知県) 「もっと大きな声で言ってみたら」 私のテーブルには、三人のおばあちゃんが来てくれました。私は、 一年生の友達と二人で担当しました。三人の内、一人のおばあちゃ だして、 石川 優 佳 んは、車椅子でした。 と助言してくれました。私は、大きな声で同じ事を言ってみまし た。それでも聞こえない様子でした。 先ず最初に 「こんにちは」 と緊張しながら挨拶をしました。 二人のおばあちゃんは、 「よく来てくれたね」 「こんにちは」 とにこにこと笑顔を返してくれました。しかし車椅子のおばあちゃ んは、下を向いたままでした。 「どうぞ、お召し上がりください」 と耳元で大きな声を出しました。 「ありがとう」 と言って飲んでくれました。私は、 「おいしかったですか」 と耳元で尋ねました。 「とってもおいしかったよ。ありがとう」 と答えてくれました。 私は、こんなうれしい「ありがとう」を聞いたことがありません でした。別のテーブルからも同じような会話が聞こえました。周り 次にお菓子をお出しして 「どうぞ、お召し上がりください」 を見ても、おじいちゃんもおばあちゃんも茶道部のみんなもにこに こしていました。 「ありがとう」と言う言葉は、言う人も聞く人も笑顔にしてくれる と思いました。私は、この言葉のすばらしさを実感しました。茶道 部に入って良かったと思いました。 「ありがとう」を言える人になりたいと思いま 私も周りに対して、 す。感謝の気持ちを素直に口に出せること、態度に出せることは、 大切なことなのだと学びました。 「ありがとう」の言葉とともに成長していきたいと思 これからも、 います。
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