セルフガイドシート - スペイン 奇跡の恐竜たち

セルフガイドシート
切って、中を見てわかったこと ­皮骨を持つ恐竜たち­
竜脚類の仲間ティタノサウルス類は皮骨と呼ばれる、皮膚の中にできる骨を持っています。他に、
皮骨を持つ恐竜としては、ステゴサウルスに代表される剣竜類やガストニアに代表される鎧竜類が
知られています。皮骨には一体、どのような役割があったのでしょうか。外側から観察するだけで
はわからなかったことも、最新の研究では、この皮骨を切断して内部構造を見ることで、明らかになっ
てきています。
よく観察しよう
ステゴサウルスの板は何のため?
内部構造を観察してみると、骨が溶かされたことによって
できた巨大な空洞が見つかりました。現在生きているワニは、
体のミネラル分が足りなくなったときに皮骨の一部を溶かし
て、体内にミネラル分を供給することが分かっています。ティ
タノサウルス類も皮骨の中に体に必要なミネラル分を貯めて
いたのかもしれません。
考えてみよう
日
大阪市立自然史博物館
入場時に、このガイドシートを提示すると、
当日券
【開館時間】9:30∼17:00(入場は 16:30 まで)
700 円→500 円になります。
【入 場 料】中学生以下 無料、高大生 700 円、大人 1,000 円
※障がい者手帳など持参者(介護者 1 名を含む)は無料。
観察ポイント : 血管が入っていた孔はどこ?
※上記入場料にて、常設展も入場できます。
【開催場所】大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール(大阪市・ 長居公園内/花と緑と自然の情報センター 2階)
〒546-0034 大阪市東住吉区長居公園 1-23
TEL 06-6697-6221
栄養孔
【特別展公式ホームページ】http://spain-dino.jp/
栄養孔
【アクセス】地下鉄御堂筋線「長居」駅③出口・東へ約 800m
大きな血管が
入っていたと
考えられる孔
栄養孔
板の外表面に走る血管痕
10cm
内部の血管とつながっている栄養孔
ステゴサウルスの板の内部
ガストニアの皮骨の断面
観察ポイント : スポンジ状であることを
確認しよう
(画像提供:丹波竜化石工房 ちーたんの館)
ティタノサウルス類の皮骨の内部
JR 阪和線「長居」駅・東へ約1km、大阪市バス「長居
東」停留所。
スペインで発掘されたさまざまな化石を展示します。背中に奇妙な突起を持ち、皮膚やウロコのあとが残る「奇跡的」
な状態で発見されたコンカベナトールやティタノサウルス類などに注目しましょう。
また、日々、進歩する恐竜研究の最新情報も紹介します。鳥類は恐竜の仲間だと言われていますが、どのように進化し、
現在の鳥のように自由に空を飛べるようになっていったのでしょうか。ティタノサウルス類が持つ皮骨にはどのような
役割があったのでしょうか。
恐竜化石からは様々な恐竜の姿が浮かんできます。想像をめぐらせながら見てみてください。
・よく標本を見よう。いくつかの標本を見比べたり、さまざまな角度からながめたり、じっ
くり見ることでわかってくることもあるはず!
・今生きている生きものや人間(自分)と比べてみよう。
知っている生きものの体や暮らしのことを考え、恐竜と比較し
ながら、恐竜のことを考えてみましょう。
・自分の頭を使って考え、想像しよう
恐竜についてはわからないことがいっぱい。でもわからな
いことを自分の頭を使って考え、想像するのが大切です。
観察ポイント : 骨が溶かされてできた空洞はどこ?
(画像提供:アメリカ マカレスター大学
Kristina Curry Rogers 博士)
「スペイン奇跡の恐竜」展はいかがでしたか?皆さんの感想を是非聞かせてくださいね。 facebook.com/osakashizenshi
5.31
【休 館 日】4 月 13 日・20 日、5 月 7 日・11 日・18 日・25 日
今回は化石を切って中を調べるという研究を紹介しました。
もし、恐竜の研究者になったら、どのような方法で研究してみたいですか?
twitter.com/osaka_shizenshi
土祝
入場料:中学生は無料です。高校生・大学生は
ヤンマー
フィールド
長居
ティタノサウルス類の皮骨はミネラル分の貯蔵庫だった?
3.21
見学の
ポイント
鎧竜類はその名の通り、鎧の様な皮骨で全身をおおわれて
います。内部はスポンジ状でとても軽く、線維が複雑に絡み
合った構造であることがわかっています。軽く、線維質に富
んだ構造は非常に丈夫で、現代の防弾チョッキにも使われて
います。鎧竜類の皮骨は、まさによろいだったのでしょう。
2015
・
ヤンマー
スタジアム
長居
敵から身を守る鎧竜類のよろい
年 組 名前:
!
剣竜類の仲間であるステゴサウルスの背中にある板は、生
物の進化史上、最も巨大な皮骨です。では、この巨大な板は
何のためにあるのでしょうか? 板を切断して内部を調べて
あな
みると、内部には巨大な血管が入っていた孔があり、孔は板
の中に広がっていることが分かりました。このような血管構
造は、現在の動物では、オオハシのクチバシやワニの皮骨な
ど体の熱を逃がす役割のある部位で見られます。
また、板の大きさに大小さまざまな個体が見られることか
ら、シカの角のように、求愛や縄張り争いのための力の誇示
(ディスプレイ)に用いられていたとも考えられています。
ステゴサウルスの板には放熱機能と力の誇示(ディスプレ
イ)という、少なくとも2つの役割があったのではないかと
考えられます。
ステゴサウルスの板の断面
学校名:
LINE QR コード
研究者も、化石などの証拠から、今の生きものと比較す
るなどして、仮説を立て、調べることで、恐竜について
様々なことがわかってきているのです。
見学の前に・・
このセルフガイドシートを読んで、おもしろそう・見たいと思った展
示、お目当ての展示を書きましょう。
コンカベナトール
(想像復元図)
羽毛恐竜で調べる鳥への進化
­空へ進出した恐竜たち­
現在では、「鳥類は恐竜の仲間である」と考えられています。鳥類の多くの特徴を持った羽毛恐竜
の化石が相次いで発見されたことで、鳥は恐竜から進化したということがあきらかになってきまし
た。地面を歩いていた恐竜が、どのようにして飛べるようになり、空へ進出していったのでしょうか?
羽毛と体の変化を中心に見ていきましょう。
ロ・ウエコ
ラス・オヤスの
恐竜たち
①
②
③
プロローグ
スペインの
恐竜研究史
ラス・オヤス
入口
左右対称の羽毛
出口
チューブ状の羽毛
コンカベナトールはここがすごい?!
風切羽
ダウン状の羽毛
シノサウロプテリクス
コンカベナトールは、背中の後方部に「こぶ」の様な構造を持つ珍しい恐竜です。この特別展で
展示している化石は、その特徴的な「こぶ」だけでなく、通常は残らない皮膚や肉球の痕も見るこ
とができる奇跡的な標本です。滅多に見ることができないこれらの痕跡を、恐竜が生きていた時の
姿を想像しながら、観察しましょう。
胴椎(こぶ)
肉球の痕
皮膚の痕
アーケオプテリクス(始祖鳥)
カウディプテリクス
全身が羽毛で覆われる
尾羽と翼が発達
尾羽ができる
前足に翼ができる
先が枝分かれしたダウン状の
羽毛と、前足に左右対称の羽
毛を持つ翼、尾羽が生えた恐
竜が現れました。
単純なチューブ状の羽毛でお
おわれており、これは保温の
ためと考えられています。
肩の関節が横向きになり、羽
ばたけるようになりました。
翼には風切羽が生え、尾羽も
発達しましたが、まだ上手に
飛ぶことはできません。
④
胃の内容物の痕
肋骨の中に胃があり、その中に何
か の 骨 が あ り ま す。コ ン カ ベ ナ
トールが食べた動物ですが、これ
はどのような動物だったのか、ま
だ明らかになっていません。
エオアルラヴィス
イベロメソルニス
肋骨
小翼羽
ウロコの痕
白っぽく見えるものが
連なっている部分がウ
ロコの痕です。
考えてみよう
どうしてラス・オヤスではこんな風に奇跡的な標本が見つかるのでしょう。
環境のことを考えながら理由を考えてみましょう。
尾羽が短くなる
胸の筋肉が発達
考えてみよう
コンコルニス
胸骨が大きくなり、翼を動かすため
の胸の筋肉が発達しました。親指の
ところに小翼羽が付き、尾も短く
なったことで、飛行できるようにな
りました。また現在の鳥類のように
歯がありません。
羽毛の化石
足の指の形にも注目してみましょう。木の枝に止まれるような足になったのは
どのあたりからでしょうか。化石を見て考えてみましょう。