カーネギーメロン大学は、クラウド 型の機械学習ソリューション

ソリューション
導入事例
あらゆるデータを
分析の対象に
カーネギーメロン大学は、
クラウド
型の機械学習ソリューションによ
り、エネルギー消費を20パーセン
ト削減する方法を考案しました。
「 Azure Machine LearningとPI Systemは、誰も
が扱えるセルフサービス型の予測分析の先がけ
となると見ています。
そしてそれは容易に想像でき
ることです。」
カーネギーメロン大学、建物性能診断センター、
研究員、Bertrand Lasternas氏
カーネギーメロン大学(CMU)は、Microsoft Azureと、MicrosoftグローバルISVパートナーのOSIsoftが提供するPI System™
を使用して、建物の保守コストとエネルギーコストを削減しました。CMUでは現在、Azure Machine Learningを追加して、
よ
り優れた障害検出、診断、効率的な運用を実現しています。
こうした機能が備わったことで、同大学の職員は高度な分析機
能を利用し、運用状況を詳細に調べたり、
より適切な決定を下したりできるようになりました。消費エネルギーを20パーセン
ト削減する方法も考案されました。
写真: ©Carnegie Mellon
University.All rights reserved.
「エネルギー消費を削減し、
一部のエネルギーの使用
を、需要とコストが低い
時間帯に変更することで、
これだけの削減効果が得
られます。」
カーネギーメロン大学、
建物性能診断センター、
研究員、
Bertrand Lasternas氏
ビジネスニーズ
カーネギーメロン大学は、キャンパス内
のビッグデータの扱い方という課題に
直面していました。ビッグデータは、天
体物理学と同様に建物管理でも種々雑
多なデータで構成されています。建物
管理のカテゴリーについては、CMUの
建物性能診断センターで、同大学が所
有する建物の運用効率と施設の運用効
率が世界規模で研究されています。
建物の運用効率を監視する場合、種々雑
多なデータを収集し分析するというのが
従来の方法です。データの取得には、暖房
次にCMUは、
リアルタイムの予測分析機能
を追加しようと考えました。そうすれば建物
管理者は、たとえば使い古した部品を障害
発生前に修理や交換することで、未然に対
策を施すことができます。
さらに、ビルディ
ングオートメーションシステム運用時のコ
スト効率と正確さも高めたいと考えました。
それには、たとえば温度調節機をいつどの
程度調整すれば、望ましい温度を事前に設
定できるかを予測する機能などが挙げら
れます。CMUが必要としていたのは、短期
間で簡単に実装でき、技術者でなくても日
常的に利用できる予測分析機能でした。
と冷房、照明、換気、
コンセントにかかる負
解決策
荷、セキュリティシステムなど、あらゆるも
以上の目標を達成するために、同大学
のを制御しているセンサーや駆動装置を
は、Microsoft Azureのサービスとして
使用します。
こうしたシステムに、故障の予
のプラットフォーム(PaaS)
であるAzure
測や消費エネルギー削減といった課題を
Machine Learningでソリューションを拡
解決する能力はありません。そのため、
シ
張しました。Azure Machine Learningは、
ステム障害やエネルギーの浪費によって
視覚的にきわめて優れたインターフェイ
多額の費用が生じる結果となっています。
スと、事前設計済みのモデルおよびテン
プレートを使用することで、予測モデル
CMUは2011年に、センサー、データ、ユー
の構築とトレーニングに伴う時間とコス
ザーを結び付けるためのインフラストラ
トを削減し、複雑さを軽減します。
このた
クチャとしてPI Systemを導入し、
リアルタ
め、PI Systemなどのアプリケーションと
イム表示のダッシュボードを通じて、施設
予測モデルの併用が可能になります。
のパフォーマンスをリアルタイムに分析
する機能を運用開始しました。2013年に
CMUはAzure Machine Learningに併せて
はMicrosoft Power BI for Office 365の
PI Systemの履歴データも使用し、環境制
セルフサービス型ビジネスインテリジェ
御システムのコンポーネントの障害検出と
ンス機能でこのソリューションを拡張し、
診断という課題に対処しました。環境制御
Microsoft Azureのサービスとしてのイン
システムコンポーネントは壁の中や床下
フラストラクチャ
(IaaS)を使用して、オンプ
に設置されているため、目視検査ができな
レミスとクラウドで構成されたハイブリッ
い場合があるからです。CMUの研究者は
ド環境へとPI Systemを移行しました。
概要
顧客: カーネギーメロン大学
顧客のWebサイト: www.cmu.edu
顧客の規模: 従業員数5,000人
所在地: 米国
業種: 教育̶大学
パートナー: OSIsoft, LLC
パートナーのWebサイト: www. osisoft.com
プロフィール
ペンシルバニア州ピッツバーグに本部を置くカー
ネギーメロン大学は、
カーネギー工科大学など世
界的に有名な7つの学校と大学を備えた研究機
関です。
バルブをゆるめて放出した水の温度を
る稼働中のリポジトリへとリアルタイムに送
基に、
システムの性能を評価しました。
信され、Azure Machine Learningによって
PI SystemとAzure Machine Learningを
解析に使用されます。予測分析機能は
使用し、予想される水温と実際の水温
Power BIを通じてアクセスすることが可能で、
を比較したところ、不具合の可能性を示
予測結果は、建物管理システムアプリケー
す違いは一切見られませんでした。
ションに使用できるようPI Serverに格納
されます。
研究員たちはビルディングオートメーショ
ンの問題にも取り組みました。業務開始の
午前9時には屋内の温度が摂氏22度(華
氏72度)に上昇している必要があるという
ユースケースを構築しました。暖房システ
ムは通常、午前6時に作動し、気温が高い日
は6時半に作動します。
ところが、
これがエ
ネルギーの浪費につながっているようでし
た。
では、予測分析ソリューションで、建物
の暖房開始に最適な時間を割り出すことは
できるのでしょうか。研究員たちは、
ここ最
近の屋内と屋外の温度や予想される日射
レベルなどの要素を盛り込んだモデルを
使用し、午前9時の時点での屋内の温度を
予測しようと試みました。
しかし、予想され
る日射データがないため、
まずこの数値を
予想する必要がありました。研究員たちは、
Azure Machine Learningが提供する強力
なディシジョンツリー(決定木)
アルゴリズ
ムを使用して日射モデルをカスタマイズし、
モデルの正確さをテストで確認してから屋
内温度のモデルにこの日射モデルを組み
込み、省エネルギー問題に対処しました。
Azure Machine Learningは、PI Systemと
Microsoft Azureの拡張ソリューションを構
成する4つの主要なコンポーネントの1つで
す。
このソリューションでは、
まずオンプレミ
スのPI Server™でキャンパス中のセンサー
データを収集し、次にMicrosoft Azure IaaS
を実行するPI Serverに、Azureベースの
PI Cloud Services™経由でそのデータを
転送します。転送されたデータは、OSIsoft
の調査ツールを使ってリアルタイムにク
リーニング、集約、
シェーピングしてから、
Microsoft Azureのテーブルストレージにあ
利点
CMUでは、Azure Machine Learningと
PI Systemを使用すると、エネルギーコス
トと運用コストが削減されることや、設定
や使用開始に時間がかからず、簡単で安
価であることが実証されました。同大学
は、
このソリューションは新しいユーザー
の間に広く普及すると期待しています。
予想されるエネルギー消費を
20パーセント削減
CMUの研究員は実験結果を基に、
この
ソリューションでエネルギーコストを
20パーセント削減できると見積もりま
した。現在はキャンパス全体にソリュー
ションを実装しようという議論がなさ
れており、実装した場合、年間数十万
ドルを削減できると予想されます。
「エネルギー消費を削減し、一部のエ
ネルギーの使用を、需要とコストが
低い時間帯に変更することで、
これ
だけの削減効果が得られます。」カー
ネギーメロン大学で建物性能診断
センターの研究員を務めるBertrand
Lasternas氏は、
こう述べています。
設定時間が数週間から数日に短縮
Azure Machine Learningにより、機械
学習モデルの構築とテストという時間
のかかるプロセスが簡素化、迅速化さ
れました。一般的には数週間要するプ
ロセスが、数日で完了したのです。
「 Azure Machine Learning
は、
オンプレミスのソフトウェ
アを用意する必要はありませ
ん。
あらゆるものがいつでも
使える状態でクラウドに格納
されているので、すぐに使い
始めることができました。私た
ちが試した他のツールよりも
はるかに使いやすく、当大学
に導入済みの PI Systemや
Microsoftのクラウドソリュー
ションともシームレスに連携し
ました。」
カーネギーメロン大学、
建物性能診断センター、
研究員、
Bertrand Lasternas氏
CMUの建物性能
診断センター
©Carnegie Mellon University.
All rights reserved.
「Azure Machine Learningは、オンプレ
トしたいという構想を抱いています。
ミスのソフトウェアを用意する必要は
たとえば、
フィールドサービスの技術者は
ありません。あらゆるものがいつでも
常にタブレットを携帯しているので、予測分
使える状態でクラウドに格納されてい
析機能にアクセスできるようにすれば、障
るので、すぐに使い始めることができま
害が発生する前にリモートの装置をチェッ
した。」Lasternas氏はこう語っています。
クし更新することができます。
スマートフォ
「私たちが試した他のツールよりもは
ンを使用すれば、エネルギー需要が急上昇
るかに使いやすく、当大学に導入済みの
したというアラートをエンジニアに通知で
PI SystemやMicrosoftのクラウドソリュー
きます。
このソリューションは拡張性とコス
ションともシームレスに連携しました。」
ト効率に優れているため、従来のソリュー
このソリューションで、
コラボレーションも
ションではサポートできない複合ビルや公
活発化しています。同大学の大学院でエ
共事業システムに使用することもできます。
ネルギー科学技術政策を専攻するYogesh
Venkata Gopalan氏は、次のように語って
Lasternas氏の言葉です。
「Azure Machine
います。
「ワークスペースを共有すること
LearningとPI Systemは、誰もが扱え
で簡単にコラボレーションできます。」
るセルフサービス型の予測分析の先
がけとなると見ています。そしてそれ
「誰にでも」
を対象としたセルフ
は容易に想像できることです。」
サービス型の予測分析サポート
CMUの研究員たちは、PI Systemと
Microsoft Azureで、研究員のみならず管
Microsoftのその他の導入事例について
理者やエンジニア、技術者など、建物管理
は、次のリンクで詳細をご覧ください。
システムに日々関わっている人々もサポー
www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/
ソフトウェアとサービス
Microsoft Azureプラットフォーム
• Microsoft Azure
• Microsoft Azure Machine Learning
• Microsoft Azure Storage
Microsoft Office 365
• Microsoft Power BI for Office 365
OSIsoft PI Cloud Services™
OSIsoft PI Server™
Microsoftサーバー製品ポートフォリオ
• Microsoft SQL Server 2014