事業計画書 - 一般財団法人 大阪建築防災センター

平成27年度 事業計画
一般財団法人
大阪建築防災センター
平成27年度 事業計画
一般財団法人 大阪建築防災センター
1.事業運営方針
当財団は、平成24年4月の一般財団法人への移行後も、公益型法人として41年前の設
立当初の目的である建築災害の未然防止を継承し、安全安心なまちづくりに貢献できる
よう、新築から既存まで建築物のライフサイクル全般の建築防災に係わる諸事業を展開
し推進している。
事業実施に当たっては、「信頼される法人」としてコンプライアンスを重視するとと
もに、親切・迅速・確実・丁寧をモットーに品質の高いサービスの提供を目指して、引
き続き取り組んでいく。
平成27年度は、6月施行の建築基準法の改正で構造計算適合性判定制度が大幅に見直
されるなど、当財団の運営環境は不透明な状況であるが、改正法の円滑な実施のため、
これまで以上にサービスの向上を図り、建築確認や構造計算適合性判定の申請先として
建築主等から信頼され、選択していただけるよう努める。
顧客満足度(CS)や事務効率の向上など業務改善を継続的に進めるため、研修の計
画的な実施など職員の能力向上を図る。
また、確認検査や定期報告の業務では、利便性を高め、より円滑に業務を推進するた
め、審査・検査業務での電子化への取組やコンピューターシステムの再構築を図る。
2.計画事業
【公益目的事業】
1)建築防災の普及啓発及び調査研究業務
人々の防災意識の向上を図るため、防災啓発の推進に努める。建築物防災週間には
関連行事として年2回の防災講演会を引き続き実施する。また、防災は子供の頃から
の教えが大切であるとの観点から、小学児童には防災の心構えをわかりやすく説明し
た防災小冊子を配布するとともに、中高生や一般府民には内容をより高度にした一般
向け防災啓発冊子を配布し防災の普及啓発を推進する。
さらに、大阪府住まい・まちづくり教育普及協議会の活動として、学校からの要請
による出前講座を通して、建築防災の普及啓発に寄与する。
ア)経常事業
1.防災意識の向上に関する広報及び指導
2.上期・下期建築物防災週間関連行事として建築物防災講演会の実施
3.小学生向け防災小冊子「みんなで考えよう」の無償配布
4.一般向け防災啓発冊子「みんなで備える防災」の無償配布
5.建築物防災推進協議会との連携
6.その他、建築物防災推進のための調査、研究
イ)本年度の主な取り組み
1.防災啓発冊子については配布希望が多く寄せられていることから、平成27年度
も引き続き、小学生向け冊子は4万部(昨年度4万部)を希望のある小学校に配
布するとともに、一般向け冊子は6万部(昨年度6万部)を配布する。
一般向け冊子については行政機関や建築関係団体等を通じて一般府民へ配布す
るとともに、中学高校の防災教育・防災訓練での利用、当財団が関与する防災
行事での配布の他、地域の様々な防災イベントなどに活用してもらう。
2.大阪府住まい・まちづくり教育普及協議会の構成会員として、小学校や中学校
に出向いて防災教育の出前講座を行い、子供達の防災意識の向上を図る。
3.エレベーターやエスカレーターなどの昇降機設備の事故が多発していることか
ら、特に事故の多い高齢者や児童を対象に、啓発ビデオ上映やショッピングセ
ンター等の実際の設備を利用した体験マナー講座を大阪府や地元市等と協力し
て実施する。
【防災部門事業】
1)特殊建築物等の定期報告業務
不特定多数の人々が使用する建築物は、一度、地震災害や火災等に見舞われると、
その被害は甚大なものとなる。そこで、建築物が適法であり維持管理が適切な状態で
あるかを定期的に調査・検査し、その結果を特定行政庁に報告することにより、建築
物の安全性が確保され、人々が安心して利用できることを目的として定期報告制度が
運用されている。
平成27年度の定期報告の対象建築物は共同住宅であり、対象件数は、建築物だけで
25,200件、これに建築設備の8,250件を加えて33,450件となっている。報告件数につ
いては、建築物16,750件、建築設備6,200件、合計22,950件を見込んでいる。共同住
宅は、所有者が個人や管理組合の場合が多く、より効果的は周知が求められることか
ら、初めての試みとして前年度内の案内送付とともに、3年前好評であった所有者向
け制度説明会を開催する。報告受付については、来客のニーズに応じた窓口受付運用
を行い、申請者の利便性の向上を図る。
また、平成28年度施行予定の大幅な法改正等については、特定行政庁と連携し、情
報発信や資料提供等に努めるとともに、定期報告台帳管理システムの再構築を行う。
ア)経常事業
1.定期報告の案内通知、受付、台帳整備、広報など受託業務の推進
2.定期報告制度の普及啓発、情報発信
3.調査・検査資格者に対する技術指導、実務講習会の開催、受講者名簿の発行、
配布
4.定期報告台帳のシステム化推進と活用
5.特定行政庁及び関係団体との連絡調整
イ)本年度の主な取り組み
1.多様な窓口受付運用を行い、申請者の利便性の向上を図る。
2.調査・検査実務検討会を発展させ、実務事例の情報発信体制を構築する。
3.特定行政庁と連携し、法改正に伴う情報発信や資料提供に努める。
4.法改正等への対応のため定期報告台帳管理の改善、システムの再構築を行う。
2)建築物の防災計画評定業務
火災などの災害に対する建築物の安全性を確保し、人々の安全な暮らしに資するた
め、より高度な防災性能が求められる高層建築物等について、大阪府内建築行政連絡
協議会の要綱に基づき、防災計画の評定業務を行う。
業務の実施にあたっては、学識経験者等による防災評定委員会の性能評定に基づき、
適確な事業運営を行う。
ア)経常事業
1.高層建築物等の防災計画評定に関する広報及び指導・助言
2.防災評定委員会の開催、運営
イ)本年度の主な取り組み
1.当財団の建築確認検査機構と連携するなど事前相談の充実を図るとともに、適
確な防災計画の策定や建築計画期間の短縮に協力するなど、申請者に信頼され
る業務実施を行う。
3)耐震関連業務
平成7年に発生した阪神・淡路大震災を契機として、また平成23年に発生した東日本
大震災を教訓に、既存建築物の耐震性の向上を図ることを目的に各種の事業を展開す
る。大阪建築物震災対策推進協議会の事務局業務及び協議会からの受託事業と併せて
当財団の独自事業を積極的に推進し、府内建築物の耐震化に寄与するよう努める。
また、平成25年11月に耐震改修促進法が改正施行され、不特定多数の者が利用する
大規模建築物や広域緊急交通路沿道建築物などで耐震診断が義務化されたことに伴い、
公立学校施設等以外の民間建築物の耐震評価に積極的に取り組む。さらに、一般府民
等からの耐震関連の相談についても、前年度同様、充実した体制できめ細かく実施す
る。
ア)経常事業
1.既存建築物の耐震診断・改修相談窓口の設置・運営
2.特定建築物所有者向けの耐震診断・改修説明会の運営
3.被災建築物応急危険度判定士の養成・更新講習会の運営及び登録業務の運営
4.特定建築物の耐震診断・改修計画の進行管理に関する業務
5.大阪建築物耐震改修計画評価業務の運営
6.大阪建築物震災対策推進協議会事務局の運営
イ)本年度の主な取り組み
1.民間建築物や公立学校施設等における耐震診断・改修計画の判定・評価業務の
拡充に努める。
2.大阪建築物震災対策推進協議会を通して、建築物の耐震化事業推進に積極的に
協力する。
3.耐震改修促進法改正に伴う相談窓口の充実に努める。
【確認検査事業】
1)建築基準法に基づく建築確認検査等の業務
建築基準法に基づく大阪府知事の指定機関として、人々の生命、財産の保護に力点
を置き、建築物にかかる安全安心の確保を目的として確認検査業務を展開する。確認
検査業務にあっては、各行政庁と連携するとともに、確認検査マニュアルの適正な運
用により、公正かつ適確に業務を遂行する。
また、職員一人一人がCS向上運動を共有し、親切・迅速・確実・丁寧を実践して
サービスの向上を図る。さらに、講習会等を通して建築基準関係規定等の情報提供を
行うなど、確認検査業務の円滑化と法令等の普及啓発に努める。
平成27年度は、6月に施行される構造計算適合性判定制度の改正に伴う確認申請手
続きの変更により、確認件数等にも影響があると予想され、収益面でも不透明な状況
にある。また、確認件数の減少等、今後さらに厳しい経営環境が予想されることから、
平成27年度からの3カ年の中期事業計画を策定し、各部門がこの計画を着実に実行し
て経営の安定を図ることとする。
また、営業部門を充実することにより、きめ細かな会社訪問を実施して他の機関に
ない防災センターの事業の特色をPRして確認件数の獲得を目指す。さらに、適合性
判定審査から外れる許容応力度等計算(ルート2)の構造審査物件や省エネ物件に対
応するため、審査部門の執行体制の充実を図るとともに、大型物件に対応するため確
認検査の技術レベルの向上に努める。あわせて、お客様の様々な相談に迅速・確実に
対応できるよう組織体制の見直しを図る。
ア)経常事業
1.確認検査に関する業務
2.住宅金融支援機構の融資住宅の設計・現場審査及び証券化支援事業の適合証明
業務
3.住宅瑕疵担保履行法に基づく業務及び長期優良住宅・住宅性能評価業務
4.建築確認検査制度の普及啓発
5.大阪府内特定行政庁及び指定確認検査機関等との連携
6.近畿建築確認検査協会との連携並びに運営事務
7.登録建築物調査機関に関する業務
イ)本年度の主な取り組み
1.目標件数は府内の確認シェア17%獲得を目指して、確認件数5,100件、中間検
査件数4,900件、完了検査件数4,650件を設定し、目標件数を達成する。
2.木造3階建住宅件数370件、証券化適合証明件数2,000件、住宅瑕疵保険件数2,2
00件、長期優良住宅等120件、低炭素建築物等件数30件を設定し、目標件数を
達成する。
3.顧客が24時間いつでも申請できる利便性等の高いウエブによる事前申請に対応
するため、確認検査業務の電子化に取り組む。
4.構造計算適合性判定制度の改正に伴う申請手続きの変更による混乱を解消する
ため、専用の意匠・構造の事前相談窓口を設置する。
5.機構長、管理営業部、支所長による定期的な顧客訪問と大手設計事務所やゼネ
コンを対象にした訪問営業を実施する。
6.建築基準法改正による仮使用認定の新規事業を開始し、事業の拡大を図る。
7.機構内の職員を対象にした技術研修会等により、事務・技術者のスキルアップ
を図る。
8.ミニ講座の定期的な開催により情報提供を行い、法令等の普及啓発に努める。
【構造計算適合性判定事業】
高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物については、建築基準法で構造計算
適合性判定が義務づけられている。当財団は、大阪府知事の指定を受けて建築物の構
造計算適合性判定を行っている。
平成27年6月1日から改正建築基準法が施行され、今後は構造計算適合性判定が建築
確認から独立し、建築主が建築確認とは別に構造計算適合性判定を直接申請するとと
もに、建築主が適合性判定機関や申請時期を選択できるようになることから、建築確
認と適合性判定の並行審査が一般的になると考えられる。
また、構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有する者として国土交通省令
で定める要件を備える建築主事等が審査する場合は、比較的容易である許容応力度等
計算(ルート2)については適合性判定の対象外となる。この改正により審査の迅速
化は図られるものの、ルート2を採用した構造審査物件が条件付きではあるが適合性
判定対象外となることで申請件数は減少するものと思われる。
今後、CS向上への取り組みの強化や、事前相談の充実等により適合性判定業務の
円滑化に一層積極的に取り組み、平成27年度は判定受諾予定件数を700件とし、外部
判定員の業務委託による協力を得ながら、適切な体制で適正・迅速な業務を推進する。
ア)経常事業
1.構造計算適合性判定に関する業務
2.特定行政庁及び指定確認検査機関との調整
3.他の指定構造計算適合性判定機関との連携
4.長期優良住宅法に基づく構造サポートチェック等任意判定業務
5.構造計算適合性判定制度の普及啓発
イ)本年度の主な取り組み
1.建築基準法の改正に適切に対応して、円滑な適合性判定業務の推進に取り組む。
・法改正に伴う様々な質疑や相談に対応するため相談体制の整備を行う。
・適合性判定審査においては事前審査を充実させ判定の迅速化を図る。
・並行審査に伴い確認機関との調整が重要となることから連携の強化を図る。
・業務進捗管理や手数料収納管理について電算事務処理システムを改善する。
・直接申請となるのでカウンター等お客様の受付環境の整備を行う。
・パンフレットを作成して、新制度の理解を促進するとともに、当財団の業務推
進への取り組みについてPRに努める。
2.技術基準解説書の改訂版・講習会に参加し、判定業務に適確に反映する。
3.判定における指摘事項の平準化に更に取り組む。
4.「よくある質疑事項解説書」の普及を行う。
5.判定質疑事項におけるメール活用を促進する。
6.CS向上への取り組みを強化し、適確な審査を行いつつ、申請者の要望にも適
切に対応していく。