平成 26 年度 一般財団法人 一般財団法人 有機合成化学研究所講演会(第 29 回) 要 約 集 平成 26 年 11 月 25 日(火) 京都大学桂キャンパス化学系大講義室 1.ニッケル触媒による CC-H 官能基化 京都大学大学院工学研究科材料 中尾佳亮 京都大学大学院工学研究科材料化学専攻 材料化学専攻 有機分子を直截的に変換できるため、C-H 官能基化が注目されている。特に遷移金属触媒を用いる反応が広く 研究され、各金属触媒それぞれに特有の分子変換が実現されている。本講演では、ニッケル触媒あるいはニッ ケル/ルイス酸協働触媒によってはじめて実現できる C-H 官能基化について紹介する。 2.ケイ素置換基によるカルボカチオンの安定化を利用した付加反応に関する研究 2.ケイ素置換基によるカルボカチオンの安定化を利用した付加反応に関する研究 京都大学大学院工学研究科物質エネルギー 田村英祐・新林卓也・岡本和紘・○大江浩一 京都大学大学院工学研究科物質エネルギー専攻 物質エネルギー専攻 中間体の反応性を制御することは、効率的・選択的有機合成反応開発において重要である。我々は、β− 位に ケイ素置換基を有するα,β− 不飽和カルボニル化合物のルイス酸触媒によるアルケン類の共役付加および環 化付加反応が、効率良く進行することを見出した。これらの付加反応では、ケイ素置換基による中間体カルボ カチオンの安定化が重要な役割を果たしている。反応機構や生成物のユニークな変換反応について最近の研究 成果を述べる。 3.円偏光キラリティのスイッチングを伴う可視光発光/反射高分子材料 3.円偏光キラリティのスイッチングを伴う可視光発光/反射高分子材料 京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻 杉野目道紀 光学材料開発において円偏光キラリティの制御が重要な研究課題となっている。本講演では、主鎖らせんキラ リティを自在に反転させることのできるポリキノキサリンジイルの溶液/薄膜が、右または左円偏光可視光を 選択的に発光/反射し、この円偏光キラリティが溶媒効果により可逆的に反転することを見出したので紹介す る。 4.かご型シルセスキオキサン(POSS かご型シルセスキオキサン(POSS)を用いた元素ブロック材料の創出 POSS)を用いた元素ブロック材料の創出 京都大学大学院工学研究科高分子化学 京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻 高分子化学専攻 ○中條善樹・田中一生・角田貴洋・山根穂奈美・上田和成 有機-無機ハイブリッド材料の新しい概念として、元素レベルで有機と無機を組み合わせた「元素ブロック材 料」を提案する。ここでは、特にかご型シルセスキオキサン(POSS)を元素ブロックとして捉え、屈折率 制御、イオン液体、MRI用造影剤などの機能性高分子材料が得られた例について、最近の我々の研究を紹介 する。 5.骨格変換反応を利用した内包フラーレンならびにヘテロフラーレンの合成 京都大学化学研究所 村田靖次郎 京都大学化学研究所 球状中空の炭素分子であるフラーレンに開口部を構築することによって、小分子を内包したフラーレンの合成 研究を行っている。開口部の大きさが充分な場合、酸素分子や二酸化炭素が開口 C60 の内部に導入された。ま た、開口部をもつ C70 では、対応する C60 誘導体とは異なる反応性をもち、開口チアフラーレン C69S 骨格 が実現された。 6.多孔性材料による気体のサイエンスとテクノロジー-困難および不可能をブレークスルーするために- 多孔性材料による気体のサイエンスとテクノロジー-困難および不可能をブレークスルーするために- 京都大学物質-細胞統合システム拠点・工学研究科 北川進 多孔性金属錯体(PCP または MOF と呼ばれる)用いてこれまで不可能とされてきた混合物や気体の分離、捕 獲、大量貯蔵や、光応答性材料やポリマー合成などの多様な機能を実現することができました。空気、天 然ガス、バイオガスなど気体物質は非常に重要な資源として益々重要になりつつあり、まさに気体の時代 が始まりました。この革新的な多孔性材料の将来展望について、現代の問題(地球環境、エネルギー、医 療、健康)解決に焦点をあてて講演します。 〒606-8305 京都市左京区吉田河原町 14 近畿地方発明センター内 一般財団法人 一般財団法人 有機合成化学研究所 TEL 075-761-2890 FAX 075-761-2892 URL http://www16.plala.or.jp/yukiken/ E-mail [email protected]
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