報告事項[第1号議案] 平成27年度(第37年度)事業計画 我が国経済は伸び悩んでいる個人消費の回復が大きな課題となっているが、緩やか な回復基調が続いており、また東京オリンピックやラグビーワールドカップ2019の開 催が決定するなど明るい展望が開けつつある。 しかしながら、中長期的に見れば、我が国は確実に「人口減少社会」を迎え、少子 高齢化の進展や、グローバル化による競争激化により、経済環境はますます厳しさを 増していくだろう。京都が、ひいては日本が生き残っていくためには何をなすべきか、 今まさに経済人として問い直す時期にきている。 本年度は、このような状況認識のもと、「京都経済の活性化」「京都産業の振興」を 中心的なテーマとし、集積する大学、中小企業の技術力、多様な文化力など京都の強 みを活かし、 「イノベーション」 「東京一極集中の是正」 「多様性を受け入れる風土づく り」をキーワードとして諸活動に取り組んでいく。 また運営にあたっては、本会での活動が、会員にとって「個性の表現の場」 「気付き の場」「相互理解の場」であることをめざし、「談論風発」の文化を継承・発展させて いく。 そのため、本年度は6部会・5委員会を設置する。 まず、 「イノベーションと大学を考える委員会」では、成長戦略の要素として重要な イノベーション推進を、京都の強みである大学の在り方を含めて検討する。 「学生と京都のコミュニティを考える委員会」では、京都が地域において真に魅力 ある大学のまちとなるために、学生とその周辺にある企業、地域、行政との関係強化 に取り組む。 「都市問題研究委員会」では経済の「東京一極集中」が加速するなか、私たちの京 都がこの時代の変化のなかにあってなお「イノベーションを促す都市」であり続ける ことを重点課題として取り組む。 「けいはんな委員会」では京都南部地域のみならず、京都・関西の経済発展の核と 成り得る「けいはんな学研都市」について調査・研究することにより、この地域の発 展と京都企業・大学の連携の在り方について検討していく。 「2020年委員会」では、京都の強みを活かしオリンピックイヤーである2020年に「京 都はどうあるべきか」を中期的に構想し、都市経営の経済的、文化的観点から検討し ていく。 また「支店長部会」は、支店・支社の代表者による部会として、京都在任期間中に 会員相互のネットワークを広げるとともに、支店長として「外から見た京都」につい て議論し、同友会活動に資することを目的とする。 以下は、各部会・委員会ほかの、本年度の活動方針・概要である。 124 〈 部 会 組 織 〉 1.総務部会 本部会は、本会の円滑なる運営と組織の活性化、および会員相互の交流と資質の向 上に資することを旨として、会務・財務・広報および事務局を含める庶務全般を担当 する。 平成27年度は、新たな事業組織のもと事務局と共に代表幹事を支え、本会のさらな る発展をめざす。 そのため、幹事会の運営方法や新入会員の説明会、ホームページ等について改善・ 充実を図り、会員の参加意識と会員相互の意見交流の向上に努める。 また適切な会務・財務の管理、きめ細やかな執行により本会の円滑な運営を支える 「縁の下の力持ち」の役割を果たしていく。 2.例会部会 例会は、会員が定例的に集う場であり、会員相互の啓発向上と親睦を図るために必 要不可欠な本会活動の中核を担う事業である。 平成27年度は、例会がこれまで以上に会員にとって、「個性の表現の場」「気付きの 場」 「相互理解の場」であることをめざし、従来型の講師招聘による講演会形式だけで はなく、会員参加型により会員相互の対話を増やすワークショップ形式の導入等も視 野に入れ、インタラクティブ(双方向)な運営手法について検討し、例会の改革をめ ざす。 3.交流部会 本部会は会員の相互理解、自己研鑽に資するべく、会員企業の視察を中心とした企 業ビジットの開催、海外視察団の派遣、他の同友会との交流などを担当する。 多くの会員が交流事業に積極的に参加いただけるように呼びかけを強化するととも に、事業の実施にあたっては、会員相互が意見交換する場を確保することなどにより、 より一層の会員の相互交流と理解、会員自身の“気付き”の場となるよう努めていく。 ま た 、 平 成 28年 度 に 実 施 予 定 で あ る 海 外 視 察 団 の 派 遣 に つ い て 、 諸 準 備 を 進 め て いく。 (本年度の主な事業) ・第28回全国経済同友会セミナー(平成27年4月16日㈭~17日㈮/金沢) ・第113回西日本経済同友会会員合同懇談会(平成27年10月16日㈮~17日㈯/奈良) 125 4.北部部会 本部会では京都北部地域における産業振興および社会資本整備について、地域特性 を活かした地域創生への観点より調査・研究を進め取り組んでいく。 京都北部地域にとって悲願であり、約35年をかけた「京都縦貫自動車道」が今夏に は全線開通する。これにより、中丹地域の工業団地の集積を活かしたものづくり拠点、 物流拠点の形成等の進捗や北部地域の観光等の活性化が期待される。 また、京都北部地域と京都府がこの間取り組んできた「海の京都」は、昨年7月、 近畿で初めて国の「観光圏」に認定された。本年度をターゲットイヤーに定め、京都 縦貫自動車道の開通に合わせた 「海の京都博」の開催や、「丹後あじわいの郷」のリ ニューアルオープン、「丹後郷土資料館」の全面改築に向けた取り組みを始めとして 様々なイベントが企画されている。 本部会では、これらの取り組みに積極的に参加するとともに、京都北部経済界や日 本海沿岸地域の経済同友会とも連携を深め、京都北部地域の創生に取り組んでいく。 5.青年政策研究部会 平成27年度青年政策研究部会の活動では、青年経営者としての今までの経験に、新 たな感性を加えることで資質・個性を高めることに主眼を置く。 キャッチフレーズは、 「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかい ことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいな ことをあなたらしく」。秩序ある高い自由度のもと、10年後に活かせる手段を追求し、 100年後も変わらず刻まれ、千差万別の“あなたらしさ”を求めて、部会員の感性、ア イデアを共有しつつ運営していく。 また、従来型の例会開催に工夫を加え、徹底して依頼したい講師にアプローチする “挑戦例会”、会場の創作により感謝の気持ちを表現する“創作例会”、そして各部会 員が「自らの考えをどのように伝えるか」その能力を鍛錬する“発信例会”を軸に、 自発的な部会組織の構築をめざしていく。 6.支店長部会(新設) 支店長・支社長は、他の会員と交流する機会が十分でなく、結果的に同友会活動へ の参加が消極的となってしまう場合がある。一方で、支店長・支社長は、豊富な各地 での勤務経験により全国の事例に詳しい場合も多く、京都に関して新たな視点からの 気付きがあったり、建設的な意見を出せる可能性がある。 こうした問題意識から、今回新設される支店長部会では、①支店長・支社長相互お よび地元経済人との親睦を図り人的ネットワークを広げること、②「外から見た京都」 について議論しその成果を同友会活動に役立てることを主な目的として活動すること 126 としたい。 活動内容については今後具体化していくが、各種の講演会・見学会や懇親会を催す とともに、京都に関する幅広いテーマで議論していくことが考えられる。その際、地 元会員との相互作用が生まれるよう、他の部会・委員会との連携も意識していく。 〈 研 究 委 員 会 組 織 〉 1.イノベーションと大学を考える委員会(新設) 京都をより「クリエイティブ(創造的)」で「イノベイティブ(革新的)」な地域に するために、我々は今何をすべきか?より多くのイノベーションを起こすために、大 学と企業はもっと連携の余地を探るべきではないか? 本委員会では、現下の課題を整理した上で、 「イノベーションのメッカ」や「創業の メッカ」として今後、京都を持続的に発展させていくために我々が今なすべきことに ついて、幅広いバックグラウンドの人々との対話の場を通じて共に考え理解を深める。 そして、委員会での議論や調査を踏まえ、 「京都をイノベーションのメッカにするため に」という内容の提言をまとめる。 そのため、平成27年度は、①ダイアログ形式の委員会運営により、 「 イノベーション」 を促進するために大学と企業が連携すべきことを洗い出し、産学公の関係者で課題を 共有する。②米国シリコンバレーに代表される国内外の「イノベーションのメッカ」 と呼ばれる地域に関して、その発展の背景や工夫を調査する。 (講師招聘、現地視察の 実施等) なお、より広範囲にわたる多様な人々による開放的な対話の場を重視し、大学教職 員、研究者、学生、留学生、創業期の経営者、文化人、システムエンジニア、デザイ ナー、行政関係者等の本委員会への参加を広く呼びかけるとともに、本会会員の参加 についてはオープンとする。 2.学生と京都のコミュニティを考える委員会(新設) 京都府には約16万人の大学・大学院生(京都市は約14万人)が生活しており、人口 に占める大学生比率が京都府では6.17%、京都市では9.7%と全国で最も高く、名実と もに「大学生のまち」である。 京都では大学生を「学生さん」と呼び、その自由な活動を許容し、貴重な存在と位 置づけ大事にしてきた。そのような環境のもと、大学生はのびのびと成長し、大学も 京都に集まり(48校・短大含む)、地域も大学と大学生を鷹揚に受け入れるという独特 の風土が形成されてきた。 一方で大学生は就職においては京都に定着せず、京都市の人口動態では、18~23歳 は大幅な転入超過だが、24歳から転出超過になっている。京都においても今後少子高 127 齢化により人口減少が進むなか、就職後も学生が京都に定着するような、学生と企業・ 地域との関係性の強化が必要である。「若さ」「知的資源」「地域の担い手」「雇用の担 い手」「文化の継承者」などの点から見ても京都の社会や経済活性化の重要なリ ソースとして、人口比で見ても多い大学生の活用と育成・定着が望まれる。 また留学生を取り巻く環境は十分とはいい難く、今後の留学生の増加を踏まえて、 留学生とコミュニティの交流の推進や、住居の確保の仕組みづくりなど、さらなる改 善が必要である。 本委員会は京都を持続的に発展させていくため、大学生に対して、また大学生と共 に、我々が今なすべきことについて、幅広いバックグラウンドの人々との対話を通じ て共に考え、理解を深めることを活動目的とする。 3.都市問題研究委員会 本委員会では、京都の都市環境について調査・研究し、様々な提言を行ってきた。 本年度も引き続き、産業の活性化や景観、観光振興、地球環境問題、防災、公共交 通体系等、様々な視点から京都の都市環境をどのように整備すべきかについて調査・ 研究する。 特に、経済の「東京一極集中」が加速するなか、私たちの京都がこの時代の変化の なかにあってなお「イノベーションを促す都市」であり続けることを重点課題として 取り組む。 また、昨年度に取り組んだ「京都エコミュゼ街区プロジェクト」の成果を踏まえ、 都市街区の再整備の在り方についても引き続き検討する。 4.けいはんな委員会(新設) 「けいはんな学研都市」は、①文化・学術・研究の新たな展開の拠点づくり、②我 が国および世界の文化・学術・研究の発展および国民経済の発展への寄与、③未来を 拓く知の創造都市の形成を理念として建設され、 「 関西イノベーション国際戦略総合特 区」の指定を契機に、好調に企業立地やスマート住宅の建設が進展し、人口も増加し ている。 このような状況のもと、本年4月には「けいはんなオープンイノベーションセン ター(KICK)」が開設され、最先端の科学技術を生活に取り入れた新しいライフス タイルを生み出すスマートシティ、研究開発と産業が融合した新たなイノベーション の成果を生み出すイノベーションシティとしてさらなる飛躍をめざしている。 本委員会では、京都南部地域のみならず、京都・関西の経済発展の核と成り得る「け いはんな学研都市」について調査・研究することにより、この地域の発展と京都企業・ 大学の連携の在り方について検討していく。 128 5.2020年委員会(新設) 「PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015」の開催により、文化経済首都「京都」を めざす流れが見えてきた。 世界から愛され尊敬される、物心共に豊かな「京都」。学生をはじめとする元気な若 者が活動する活気あふれる「京都」。 本委員会では、これらの「京都」の強みを活かしオリンピックイヤーである2020年 に「京都はどうあるべきか」を中期的に構想し、都市経営の経済的、文化的観点から 研究し、議論し、提言していく。府や市の行政、そして大学にも議論に入っていただ き、外からの視点や知恵も積極的に取り入れ、「京都」の未来ビジョンを創る。 〈 懇 談 会 〉 1.京滋奈代表者懇談会 本懇談会は、これまで、①過去の委員会を引き継ぐかたちでの調査・研究活動と、②京都・ 滋賀・奈良3経済同友会の代表幹事による意見交換会 ― という二つの柱をもとに活動を 行ってきた。 このうち、①の調査・研究活動については、京都・滋賀・奈良の3経済同友会と5府県市 (京都府・滋賀県・奈良県・三重県・京都市)ならびに関連の商工会議所実務担当者で構成 する「京滋奈三(けいじなみ) ・広域交流圏研究会」が同広域交流圏に関するビジョンや行動 指針を策定するなど、一定の成果を収めたことから一旦活動を小休止。本年度については昨 年度同様、実務担当者による情報交換のための「連絡会議」とそれぞれの地域特性を知る上 での「現地視察会」(年1回)を行うにとどめたい。 一方、本来の②「京滋奈代表者懇談会」に関しては、本年度は奈良経済同友会の担当によ り奈良にて開催することになる。開催時期などについては今後3同友会で調整の上、開催し たい。 2.都市問題懇談会 本懇談会は、本会活動の発展とこれからの“活力ある京都づくり”をめざす上から 京都府、京都市の各トップや幹部、さらには議会関係者との意見交換や情報交換を行 うことを目的に設定するものである。 本年度は、イノベーションと大学を考える委員会、けいはんな委員会や2020年委員 会をはじめとして各分野の活動にあたって、府・市それぞれの関係者と意見交換、交 流懇談の場を積極的に持つよう取り組む。 129 〈 スポット的事業 〉 全国経済同友会地方行財政改革推進会議 我が国経済の1日も早い再生に向けて、経済活動の中核である企業・経営者こそ大 きな役割を果たさなければならないとの自覚のもと、全国に広がる同友会のネット ワークを最大限に活用し、“新しい国づくり”に取り組む。 そのため、昨年度に引き続き全国44の経済同友会の共同事業である全国経済同友会 地方行財政改革推進会議のもとに設置された、分権改革委員会における地域活性化策 の検討や震災復興部会での継続的な復興支援に取り組んでいく。 〈 準 会 員 組 織 〉 企業幹部研究会 本研究会は、正会員企業の中堅幹部からなる「準会員」によって構成・組織されて おり、全国の経済同友会のなかでも珍しい存在である。 本年度においても、時宜にかなったテーマを取り上げ、メンバーの自主運営により、 有意義な活動を展開したいと考えている。 具体的には、本会の役員を講師に招いての講演例会、メンバー自身の事例研究発表、 企業視察、合宿体制で臨む活動等、多彩な研究活動を展開する予定である。そして12 月の忘年例会は、楽しく和やかな交流の場となるよう趣向を凝らした企画を行いたい。 また、各研究活動への積極参加を求めるとともに、準会員の特典を十分に活かすべ く、本会主催の諸事業にも積極的に参加していく方針である。 130
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