碾茶資料

│
1/7
ひ'は,新芽の葉厚が薄く硬化も緩やかで, 荒茶品
李鵬の実際
質 においても優れる品種である 。 ‘
さみど り
'
は
, 続
葉はやや小さめではあるが新芽の揃いが良く. 茎l
i
太いものの柔らかく新芽の硬化が緩やかな 品種であ
I
I 雌茶 1
長崎の動 l
i
l
J
り.荒茶品質も優れる 。 また,手摘みしやすい品種
破茶とは.萌芽後日光を遮る被覆栽培という方法
でもある 。 ‘
やぶきた・は.新葉は大きいがやや厚い
で栽培された新芽を.蒸熱後援まずに乾燥したも
ため,荒茶は硬さが感じられることも あるが,被覆
-1
)
は「仕立て J(
写真
のである 。 できた荒茶 (
写真 2
栽培においても生育が旺盛で‘多収である。 新芽の箆
2
2
)と呼ばれる成形を行なった後に石臼で粉砕する
聞が長 く茎が柔らかいため. ‘さみどり 'と同後に手
と抹茶となる 。他の茶種とは異なり茶葉を丸ごと飲
摘みしやすい品極である 。
用するため.良質の抹茶としては旨味成分を多く含
一般的な破茶用品種は.自然仕立てで手摘みする
むことが求められ.破茶栽培においては被覆下で充
栽培形態を前提とした品種であるが, なかでも さ
・
実した新芽を生産することが重要となる 。
みどり ・は収量および品質の面から ,弧状仕立てに
礎茶の生産量は全国的に見ると京都府と愛知県が
ほぼ二分しているが.近年破茶を生産する産地が増
えてきている 。 これは飲用の抹茶としての需要が拡
大しているというよりも.料理や菓子などの加工食
品への利用といった.飲用ではなく食べる茶として
の需要の増加によるところが大きい。
E
展茶栽培には.自然仕立て園に棚がけで被覆し手
よる破茶栽培への適性も高いと考えら れる (
荻・鑓
田. 2
0
0
1)
。
3 1 被~
棚がけ
木や竹の杭または金属パイプなどで組 まれた被覆
r
棚の上に. よしずとわら 」を広げる昔 ながらの「本
摘みするもの。機械摘み仕立て園に棚がけで被覆す
という方法と黒色化学繊維(
以下黒色化繊)を
ずJ
るもの.機械摘み仕立て園に簡易被覆するもの, と
3)
。被覆に より遮光する
広げる方法がある (
写真 2
大きく分けて 3つの形態があり,それぞれで生産さ
ことで.新芽の旨味成分や覆下茶独特の香気成分が
れる綴茶の品質は大きく異なる 。
増加する 。 これらの成分は遮光の期聞が長くなるに
つれて増加するため,被覆の程度や期間は品質に大
21品経
きな影響を及ぼす。
破茶用として栽培される品種は.被覆栽培 におい
荒茶品質は.同じ棚がけ被覆でも黒色化繊より本
ても生育が良く ,充実した新芽の硬化が緩やかで柔
ずによるものが優れるが,近年 よしずやわらの入手
らか ,
く 新葉が薄 く大きく展開するものが適する 0
が困難になりつつあり. また被覆作業に熟練を要す
・やぶきた'などが代表的な品
るため,入手が容易でかつ簡便な方法 として開発さ
種である 。通常.被覆によって遮光することで新芽
.
あさひさみどり
れた黒色化繊二段被覆が.本ずに近い品質を得られ
の生育は抑制されるが,これらの品種はその程度が
る方法として普及している 。
0
軽 く.被覆栽培に対する適応性が高い。特に ・
あさ
実際の被覆は,新芽の生育に応じ て段階的に行会
写真 2・1
写 真 22
緩茶の荒茶
鰻茶の仕立て禁
r
L
!
f
.
を
仕立てたもの。これを石臼で飽くと抹茶となる
2/7
写 真 2・3
被 覆の 外 観 [
罪位冨仁撮影]
本 ず被 覆 (
中央)と黒色化繊二段 被 覆 (
左右)
われる 。 まず新芽の 0
.5-1葉期頃からよしず,
しくは 上段の黒色化織を広げ,
も
このような条件下で生育する新芽は.わずかな日
さらに黒色化繊や
光を有効に利用するために葉面積および葉緑素が増
こもな どの側幕で茶園の周囲を覆うことで約 70-
加する 。被覆下で合計 3
0日程度かけて , ゆっくり
と大きく柔らかく展開した濃緑の新芽は,良質の破
80%遮光する 。
約1
0日後に,本ず被覆の場合はよしずの上にわ
らを広げ(
わらふり )
.黒色化繊二段被覆の場合は下
茶となる (写真 2
-4.写真 2
5)
。
直がけ
段被覆を 行なうことで,遮光率を約 95-98%とす
簡易被覆は,近年,破茶栽培への転換が進んで、い
る。本ず被覆の場合.わらふりは 2回に分けて行な
る煎茶産地や,従来の破茶産地の一部で行なわれて
うこと もある 。その場合は. まず よしずを広げた約
6
)
。煎茶栽培から転換した産地では被
いる(写真 2
1
0日後にI回目のわらふりを行ない遮光率を 92%程
覆棚がないため,機械摘み仕立ての茶園に黒色化繊
度とし その約 1週間後に 2回目のわらふり を行な
などの被覆資材を直がけする簡易被覆を行なってい
い遮光率を 98%以上にする 。被覆資材と茶株の聞
る。 また愛知県の一部の磁茶産地では,直がけによ
0
c
m程度あいているのが望ましい。
は
, 6
る被覆と乗用摘採機を導入した, よ り省力的な栽培
写 真 2・5
黒 色 化 繊二 段 被 覆 [
罪松富仁1
量
影]
3/7
写真 2-6
直がけ被覆
体系に取り組んでいる 。
るが.新芽の硬化が進む前に摘採することが重要で
直がけでは,棚がけのように段階的な遮光ができ
ある 。
ないことから,初期から 85%程度の比較的強い遮
最も良質の破茶は,棚がけ被覆した自然仕立ての
光を行なうため新芽の生育が強く抑制される 。その
芽
茶園で¥折り摘みという方法で手摘みされる。 l
ため樹勢にもよるが,被覆は棚がけよりも新芽の生
ずつ指で折り採るも っ ともていねいな方法である
育が進んだ1.5-2葉期頃から行なわれる 。 同じ機
0
k
g程度で
が.能率は低く摘採量は 1日l人当たり 1
械摘みによるものでも,被覆資材が接触した状態で
0
0-8
0
0
k
g
/l
Oa程度で、あ
ある 。破茶の生葉収量は 6
新芽が生育するこの方法は,被覆棚のある茶園で栽
るため,新芽の硬化が進む前に摘採を終えられるよ
培されたものに比べ荒茶品質が低下するが.近年増
うに .摘採開始時期の判断や摘婦の人数確保が重要
加している加工用抹茶などの原料として需要は高い
となる 。
と考えられる 。 また.現在のところ煎茶に比べ荒茶
機械摘みにおいても摘採期の判断は手摘みと同様
の販売単価が高く経営面で有利なため,煎茶栽培か
で¥新葉が 5-6枚展開したころであるが,可搬型
ら磁茶栽培への転換が増加しつつある 。
や乗用型摘採機を使用するため摘採にかかる労働時
二番茶芽にも被覆をした被茶生産が行なわれるこ
間と人件費は大幅に縮小される 。 しかし製茶に適し
ともあるが.一番茶芽,二番茶芽ともに長期間被覆
た新芽のみを摘採する手摘みに比べ,古葉や茎が混
を行なうことは茶樹にとって過酷な条件であり.樹
入するため荒茶品質の低下は免れない。
勢の低下につながるおそれがある 。
;
)i
1)摘 採
仕¥
I
(ての種額と管理
目展茶栽培においては, 自然仕立てと機械摘み仕立
E
展茶は,新薬が 5-6枚 展 開 し 色 沢 が 濃 く 特 有
てがあるが,当然ながら仕立て方法により摘採方法
の光沢を現わし始めたころが摘採適期であり.他の
が決まる 。手摘みにより上質の破茶を生産するには
茶種に比べ出聞き度が進んだ状態 (
80-90%)とな
自然仕立て,省力的に破茶生産を行なうには機械摘
七ム~. ~
写真 2-7
写 真 2-8
本ず被獲茶園の番メI
Jり後
よしずを収納する際に被覆に使用していたわらを
茶園に落とし.うね間に敷き詰める
黒色化繊三段被覆茶園の番刈り後
本ず被覆茶園と異なり番刈りされた枝葉のみが
うね聞に敷き詰められる
4/7
み仕立てと する 0
東害を受けることが多い。 このよう
て校条の先端が i
・自然仕立て
な被害を防ぐためには。 8月から 9月にかけての被
9
. 写真 2
1
0)
。夏季の干ば
覆が有効で、ある (
写真 2
自然仕立て園では.年に I回一番茶のみ摘採し
摘採終了後 は校条の発生基部よりやや上となる地面
つ時に.覆い棚がある茶園では黒色化繊 (
遮光率 6
0
よ
り 30cm程度の高さで.番刈りと呼ばれる努枝を
-70%)またはよしずで被覆を行なうことで枝条の
7)
。 その後は放任して秋まで校を長
行なう (
写真 2
生育が良くなり.翌年の一番茶の生育および収量は
く伸ばし.翌年の一番茶芽の母校 とする 。本ず被覆
向上する (
中川. 1
9
8
4)
。 なお.被覆期間は 9月中旬
の場合. よしずを収納するにあたってわらを茶株上
までを限度とし
に落とすため.作業性を考慮して番刈りは摘採終了
急に激しい日射を受けることがないように.曇天時
直後に行なわれる 。
に作業を行なう 。
黒色化繊二段被覆の場合では.被覆資材の収納前
夏季被覆を終了する時は,茶樹が
機械摘み仕立て
に必ずしも番刈りを終了しておく必要はなし、 (写真
機械摘み仕立て園の場合.機械摘採に適した樹形
2
8
)
。 したがって.この時期の作業の集中を避ける
をつくり新芽の生育を揃えるために.年に数回整枝
ため.番刈り時期を遅らせることも可能であるが.
を行なう 。 したがって.煎茶な どの機械摘みの茶園
そのぶん秋の生育停止期までの期間が短くなり校条
と同様の樹形となる 。阪茶にはその製造上の特性か
の生育に影響が生じる 。翌年の一番茶への影響は .
ら.大きく充実した新芽が望ましく,整枝の時期や
1
0目前後の遅れでは問題ないが. 2週間以上遅らせ
方法を考慮する必要がある 。一番茶摘採後に深刈り
0%以上減少するので注意する (中島.
ると収量は 1
を行なう栽培体系においては.夏整枝後に行なう秋
1
9
8
4)
。
整校位置が高いほど翌年の一番茶は芽重型となり.
翌年の一番茶の芽J
前えを良くするために.秋期の
収量が増加する傾向にある o あ さ ひ さ み ど り .
生育停止期以降に奥定欽などを用いて摘心を行なう
.やぶ きた'において.収量および品質関連成分から
場合もある 。一心三葉の位置で摘心を行なうと頂
みた最適な秋整校位置は.深刈り面から 8cmから
芽優勢が抑制されるため.特に版芽の小さい品種
12cmの高さである(荻ら. 2
0
0
4)
。
では芽揃え向上の効果が高い (
吉田. 1
9
8
4)
。 また.
摘心は灰色かび病の防除にも有効で、ある (福永ら.
6'その他の
'
I
fJ
i
I
!
1
9
99
)
。 自然仕立て園において灰色かび病は.凍害
彼茶栽培においては. 一番茶期の害虫管理に特に
を受 けた秋芽の傷口などから感染する ことによ っ
注意が必要で、ある 。煎茶に比べて萌芽から摘採まで
て,冬から春に かけて枝条の枯死を起こす重要な病
の期聞が長いため.新芽がチャノホソガやカンザワ
害である 。
ハダニの被害を受ける可能性が高くなり,また被覆
自然仕立て園では.夏季の高温および干ばつによ
により風通しが悪くなるためコミカンアブラムシが
り校条の生育が緩慢になった後. 9月に秋芽が急激
発生しやすくなる 。 したがって.できるだけ被覆開
に生長するため.晩秋に耐凍性を獲得するのが遅れ
始前に害虫の発生状況を確認し必要に応じて防除
写 実2
{
}
夏季被覆 (
全面)
黒色化織により被覆することで.茶株の温度を下げる
写 真 2・1
0
夏季被覆 (
筋がけ)
気象状況に応じて.一筋おきに被覆する茶聞もある
5/7
を行なう 。近年各地で問題となっているクワシロカ
イガラムシの防除は.特に自然仕立て園の場合枝条
の生育が進むとより困難になるため.番刈り直後
の第 l世代幼虫解化期に確実に行なう ことが望まし
い。 また.害虫の被害を受けると分校が多くなり.
翌年の一番茶の芽揃いが悪くなるため.夏季の害虫
防除を徹底する 。
破茶製造に適した大きく充実した新芽を得るため
割程度多く施用される 。
に,施肥は煎茶に比べて 3
特に春肥は.窒素量で煎茶の約 2倍施用される 。京
都府が定めている破茶の標準施肥量は,窒素成分で
5
k
g
/
l
O
aである 。4月上旬の芽出肥では速効性
年間 7
肥料乞それ以外は有機質肥料を中心に施用する 。
肥効の維持や省力化が図れる被覆肥料を組み合わせ
る茶園も増えている 。年間窒素施用量の約 4割を占
める春肥と約 3苦
手j
を占める秋肥は . 1回の施用 量が
5
k
g
/
l
O
a以内となるように分施する 。
窒素成分で 1
近年増加してきている点滴施肥は.施肥作業の省
力化が図れるだけでなく.慣行施肥と比べ施用した
窒素成分の硝酸化成が進みにくいため肥効維持効果
が高く.また瀧水効果も得られることから.慣行施
肥よりも年間窒素施肥量を 4割減らしても,収量と
品質が向上する優れた施肥法である 。
一部の自然仕立て園においては,施肥に際して
r
「元出し J 元寄せ 」と呼ばれる作業が行なわれる 。
秋に株元の土壌をうね聞に掻き出す「元出し」を行な
い,株元へ秋肥を施用する 。施用後は.数日おいて
肥料の分解を促した後, うね聞に掻き出した土壌を
戻す「
元寄せ」を行なう 。「元寄せjは.春肥の施用後
まで待って行なわれる こともある 。
その他の病害虫管理や施肥については.それぞれ
の項を参考に適正な管理に努める 。
(
谷 美 智 代)
6/7
愛知県におけるてん茶生産
滝本雅章
(愛知県農業総合試験場東三河農業研究所)
Tenc
hap
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chip
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ar
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hCen
te
r
1 てん茶とは?
てん茶とは、玉露などと同様に遮光資材で被覆して栽培された茶葉を蒸して、探まずに
乾燥したもので、煎茶とは製造方法が大きく異なる 。 てん茶を石臼で粉にしたものが抹茶
である 。最近、抹茶を使ったアイスクリームやお菓子が増えており、生産量も増加傾向で
ある。
2 てん茶の生産量
平成 1
9年の全国てん茶生産量は 1
,
660 トンで、府県別の生産量は京都府が一番多く 7
7
7
トン、次いで愛知県の 434 トンである 。愛知県の中でも栽培面積の大きいのは、西尾市で
平成 20年度に「西尾の抹茶」 として商標登録をとった。
3 てん茶の栽培管理
てん茶は普通煎茶と異なり新芽が伸
び始める時期から 1か月近く遮光資材
で被覆する 。遮光率は段階的に高くし、
二重被覆すると 90%以上となる 。被覆
i
I
O
することにより、葉は緑色が濃くなり、
圃E
ー
独特の芳香やまろやかな旨味ができる 。
摘採も普通煎茶と異なり、新葉が 5
'
"
"
'
'6枚展開し、出聞き度が 90%近くに進んだ時期に行
う。摘み方は仕立て方により異なり、自然仕立ては手摘み、機械仕立て(孤状仕立て)は
機械摘みする 。
4 てん茶の製造方法
てん茶の製造工程は図 1に示すように、「探み」操作がなく、「蒸熱 j と「乾燥」の 2工
程だけである 。生葉を 20秒程度蒸した後、直ちに冷却、露切りのため冷却散茶機で 5mの
00Cにセッ
高さに吹き上げる 。これを 3回行い、重なり葉ができないようにする。これを 2
0
トしたバーナーで、棟瓦で、作られたてん茶炉内を乾燥させる。愛知県のてん茶炉内には 5段
のコンベアがあり、一番下のコンベアで茶葉を荒乾燥させ、次に一番上のコンベアに吹き
7/7
上げ順次下に送り込みながら本乾燥させる 。給葉してからてん茶として出てくるまでの所
用時間は 30分程度である。
冷 却 散茶 機
パーナー
煙道
図 1 てん茶製造設備
てん茶工場全景
5 愛知県の新たな取り組み事例
お茶は肥料で作るものと言われるだけ、昔から肥料をたくさん与えてきた。茶はアンモ
ニア態窒素を吸収して、旨味のもとであるアミノ酸を作り出している 。 しかし、アンモニ
ア態窒素は土に吸着されやすく、根に届きにくいため多肥となる。施肥した窒素の大半は
硝酸態窒素となり、系外に流れ出し環境汚染の問題となってくる 。 また、脱窒作用で発生
する亜酸化窒素は温室効果ガスとして問題となってくる。
そこで、愛知県では硝酸態窒素や亜酸化
窒素の発生の少ない点滴施肥栽培に取り
点滴施肥栽培
組み始めている 。窒素源として、電気的に
中性でアンモニア態窒素に速やかに変わ
る尿素を使用する 。 毎日かん水と同時に
1
,
0
0
0
'
"
'
'
4,
000倍に薄めた尿素を施肥する 。
その結果、硝酸態窒素など発生は抑えら
れ、減肥しても点滴施肥 50kgN/l
Oa は慣
行施肥 70kgN/l
Oa と同等か優る収量と
品質が得られた。
本システムの椅酋
@霊禁事tl-"C康案提合湿E
øn-.ん柑輔~
。毎日少量ずつ鐘E