Full Field Digital Mammography(FFDM)装置の 品質管理はこれで良いのか? 奈良県立医科大学附属病院 中央放射線部 ○中前光弘、舛田誠一 奈良県立三室病院 放射線科 雨宮義仁、伊藤秋子 日立メディコ株式会社 田上祥子、佐藤道子 富士フィルムメディカル西日本株式会社 増田雅史 【目的】乳房撮影については,マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(精中委)の講習によって,継続 的に高い画質を維持し被ばく線量を管理するためのプログラムが指導されている.2004年にはディジタル 装置の普及により,ディジタルマンモグラフィ評価基準が追加された.精中委が推奨する品質管理マニュ アルで,FFDM装置の品質管理がおこなえるのかを検証した. 【方法】まず,フィルム/スクリーンシステム(F/S)を用いた装置における品質管理の内容を再検討する. 次に,直接変換方式Flat Panel Detector(FPD;サンプリング間隔70μm)を受像器として使用している FFDM装置(Selenia:Rolad社製)に必要な品質管理項目を考える.最後に,約10ヶ月間の品質管理結果を 解析し,当院のFFDMシステムに適した品質管理プログラムを作成する. 【結果】F/S装置による品質管理は,高画質を維持する 表1 FFDM品質管理項目(1Week) ために非常にきめ細かく設定されていることがわかった. 当院では,光センシトメーターによる自動現像機の品質管 理とACR156型ファントムによるAEC評価および画像評価 を行って来た.しかし,これらをそのままFFDM装置に適 応しても,受像器の均一性(ピクセル欠損など)を評価す ることはできなかった.そこで,ディジタルマンモグラフィ評 価基準(日本放射線技術学会「精度乳房撮影管理マニュ アル」),Lorad社品質管理プログラム(アメリカマンモグラ フィ品質基準法,*ACR「マンモグラフィ品質管理マニュア ル」に 準拠)から, 品質管理項目を決定した (表1 ). *ACR: American College of Radiology 約10ヶ月間の測定データを解析した.図1にアーティ ファクト評価によるディジタル値の結果を示した.横軸は 日付で縦軸にディジタル値をプロットした.画像処理ソフト のバージョンアップ後に管理幅±15%以内ではあるが, データの変動が大きくなりピクセル欠損が目立ちFPDを交 換した.AEC動作確認では,FFDMに特有の検出部自動 検出機能を評価する方法が適切ではなかった.今後,新 しい評価法が必要である.156+stepファントムによるレセ プターの一貫性評価は必須で,ベースのディジタル値も 代表値として使用できることがわかった.画像評価の結果 も変動は少なく,管理基準を全て上まわっていた.最後に Laser Printerの評価では,装置固有のLUTカーブを変更 した場合などseleniaから出力したSMPTEパターンによる 管理が有効であった.一方DryPix7000(富士フィルム社) は変動幅が非常に少なく,6ヶ月毎の管理で良いことがわ かった.【結語】F/Sにおける品質管理は,高画質を維 持するために非常にきめ細かく設定されていた.しかし, これらをそのままFFDM装置に適応することには問題が あった.約10ヶ月間の結果を解析し,FFDM装置に適した 品質管理プログラムを提案した.今後は,FFDMの特性な ども考慮した新しい品質管理基準が望まれる. 図1 アーティファクト評価 表2 当院におけるFFDM品質管理項目
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