『為す者は常に成り、行く者は常に至る』 (平成27年5月

『為す者は常に成り、行く者は常に至る』
~
強い「意思」と「行動力」が成功の鍵 ~
秦野高校 校長 神戸秀巳
今から 2,500 年ほど前の中国で、春秋時代の斉(せい★)の宰相(さいしょう:君主を支え
る最高官位の人)となった晏嬰(あんえい)の言行をまとめた『晏子春秋』(あんししゅんじゅ
う)に出てくる言葉です。「その気になってやり遂げれば必ず達成できる。目標に向かって
進み続ければ、いつかは必ずそこに到達できる。」という意味です。
★「斉」は紀元前 1,046 年から紀元前 386 年に黄河の下流、山東省を中心に存在した国(諸侯)
江戸時代の名君と言われる米沢藩第9代藩主の上杉鷹山(ようざん)は『為せば成る 為
さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり』という名言を残しています。
「人が何
かを成し遂げようという意思を持って行動すれば、何事も達成できる。どんなことも行動
を起こさなければ達成できない。結果が得られないのは、人が成し遂げる意思を持って行
動しないからだ。」という意味ですが、『晏子春秋』の表題の言葉を基に作られています。
また、戦国時代の武将である武田信玄も、『為せば成る、為さねば成らぬ。成る業(わざ)
を、成らぬと捨つる人のはかなき』と言っています。
「強い意思を持って取り組めば、必ず
達成できる。一方、取り組まなければ、何事も達成できない。努力すればできることを無
理だとあきらめてしまうところに、人の弱さがある。」上杉鷹山の言葉とよく似ていますね。
これらの言葉を聞いた時に、思い出す話があります。平成 25 年1月に、宮城県の友人が
送ってくれた「全国の受験生へのエール」に書かれていました。新聞記事とのことです。
読んで、『一念(いちねん)岩をも通す』(※)ということわざを思い出しました。
※意味は「強い信念をもって物事に当たれば、どんな事でも成し遂げることができる」
アーチェリー選手だったF選手が出場したオリンピックの最終選考会は、記録的な豪雨
の中で開催された。生き残りをかけた正念場での最後のショット。F選手の眼鏡に雨のし
ぶきがかかり、何度も狙いを定め直さなければならなくなった。残り数秒となって狙いが
定まらないままに放った矢は大きく的をはずれ、落選。彼はタオルに顔を埋めて泣いた。
しばらくして立ち上がると、雨が止まぬ中、彼は関係者一人ひとりに頭を下げて回った。
敗戦の直後に彼が見せたのは、最悪の状況で戦わせられた恨みではなく、過酷な天候下で
大会を運営してくれた裏方への感謝だったのだ。その彼が、敗北の翌日から対策に動く。
それは、ツバの長い帽子を買い、練習からかぶるという極めてシンプルなことだった。
「こ
れでどんな雨でも眼鏡はぬれなくなりました」。その後の大会でF選手がオリンピックの切
符を手にした時、協会関係者は心から彼を祝福したという。
【行動なくして成功なし】
「できる方法」を考える前に、
「できない言い訳」を考えていませんか?やらない理由を
正当化しようとしていませんか?自分の中で「やる」とすでに答えを出しているにもかか
わらず、一歩を踏み出すのに躊躇(ちゅうちょ)していませんか?
行動すると、失敗は増えます。でも、成功も増えます。小さな成功体験を積み上げるこ
とで、大きな自信につなげることができます。心を込めて、キング牧師の言葉を贈ります。
Take the first step in faith. You don’t have to see the whole staircase, just take the first
step. 疑わずに最初の一段を上りなさい。階段の全て見えなくてもいい。まず最初の一歩を踏み出すのです。
平成 27 年5月