2015.06.05 地理情報システム論 公開データから作成する地域マップ 1. 地域の選択 以下では,坂口の出身地である岡山県玉野市の場合で例示するが,実効性のある分析とするために, たとえば現実の土地勘のある地域として次のいずれかを選んで,分析可能な地域マップを作成してみよ う。 出身地 居住地 将来暮らしてみたい場所 実習課題1の対象とした地域 下記題材と同じ場所(岡山県玉野市)~操作にまだ自信のない人 地域を決めたら,以下の作業でダウンロードするファイルを収めておくフォルダを作成しておく。フ ォルダの構造は, 「kanazawaku」での構成を参考に,作業に関連するファイルをすべてひとつのフォル ダにまとめ,内部にファイルの種別に応じたサブフォルダをいくつか準備しておく。 2. 国土数値情報のダウンロードと形式変換 国土数値情報ダウンロードサービスは,主に国土地理院で作成・整備された地形図をはじめとする種々 の地理情報を無償で入手・利用できるサービスである。ダウンロードサイト http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/index.html にアクセスすると,図 1 のような画面となる。 従来は, 国土地理院独自のデータフォーマットでのみ提供されていたが, 平成 24 年度 4 月より,ArcGIS での標準フォーマットである SHAPE 形式での提供も開始された。図2のように, データ形式が JPGIS2.1 であることを確認したら,「公共施設」と「鉄道」を利用する。これら以外のデータも利用可能なので, 各自の興味に応じて適宜追加してもよい1。 ただし,データ量が過大になるので,Z:ドライブ上でのみ作業する場合は容量不足になる可能性が高い。 USB フラッシュメモリ・USB ポータブルディスクなどで十分な空き容量のある環境で行うこと。 1 1/14 2015.06.05 地理情報システム論 図 1 国土数値情報ダウンロードサービス(JPGIS2.1 準拠版) (画面内容は随時更新される。図は 2015.06.04 現在の状態) 図 1 の中から[公共施設]を選ぶと,データ概要の説明が現れる(図 2) 。一般的注意として,データ の座標系や項目コードのコードリストを確認しておく。必要ならば,オフラインでも確認できるように, コードリストについては該当ページを Web ページの形式のままダウンロードしておくと便利である(右 クリックして「リンク先を保存」 )。 図 2 のページ下方には地域選択(データ種別によって,全国・都道府県別・1次メッシュ別のタイプ がある)画面が表示されているので,この中から,各自の選んだ地域に対応する都道府県にチェックを 入れて[選択]をクリックする(図 3) 。 2/14 2015.06.05 地理情報システム論 JGD2000 / (B,L)の場合 → 世界測地系・緯度経度 TD / (B,L)の場合 → 日本測地系・緯度経度 コードリストは HTML ファイルとしてダ ウンロードしておいてもよい 図 2 データ説明画面とそのチェックポイント 各自の選んだ都道府県にチェック 図 3 地域選択(都道府県単位で提供されている場合) 3/14 2015.06.05 地理情報システム論 続いてダウンロード可能なファイルの一覧が表示されるので,必要なものにチェック(今回は,最新 年度のものを選択)して, [選択]をクリックする(図 4)。アンケート調査画面が表示される場合は必 須事項のみ(Q1 と Q2)のみ記入して[回答する]をクリックし, [国土数値情報ダウンロードサービス 利用約款]の画面が現れたら[同意する]をクリックする(画面イメージは省略) 。 選択されたファイルの一覧が表示されるので, [ダウンロード]ボタンをクリックしてファイルを保存 する(図 5) 。ダウンロードされたものはボタン表示が[ダウンロード済み]となるので,複数のファイ ルを選んだ場合は確認しながら作業を行なう。 図 4 ダウンロードするファイルの選択 図 5 ダウンロード画面 4/14 2015.06.05 地理情報システム論 「鉄道」についても,最新2のデータをほぼ同手順でダウンロードしておこう。ダウンロードされたフ ァイル(ZIP ファイル)を解凍すると,解凍後のフォルダ内に XML 形式のファイル3と SHAPE 形式の ファイル4が現れるので,XML 形式のファイル以外をまとめて1つのフォルダに移動しておく5。整理後 のフォルダの配置イメージは,図 6 を参照のこと。 tamano 選択した地域(市区町村)の名前 shape SHAPE 形式のファイルをダウンロードし て解凍したフォルダから移動しておく。 table 後述の国勢調査データから得たテキスト データをまとめておく。 download ダウンロードしたファイル(解凍前の ZIP ファイルや定義書のファイル)をまとめて おく。解凍が終わったら ZIP は削除してよ い。 図 6 作業フォルダの配置イメージ 元のファイル(解凍前の ZIP ファイルおよび解凍されて得られた XML ファイル)は,データ量の節 約のため,削除しても構わない。 2015.06.04 現在では,最新版は平成 25 年度版(2013.12.31 現在のデータ)である。 拡張子が「.xml」となっているファイルのこと。 4 SHAPE 形式のデータは「複数のファイル」から成っていることを思い出すこと。拡張子「.shp」以外 のファイルもまとめて移動する必要がある。SHAPE 形式のファイルを移動する前に,XML 形式のファ イルを削除して, 「残ったファイルをすべて」移動すればよい。 5 実習室の環境で解凍作業をすると,ZIP ファイルはデスクトップ上に解凍されるので,解凍されたフォ ルダ内のファイルのみをその都度作業用フォルダに移動しておく。 2 3 5/14 2015.06.05 地理情報システム論 3. 国勢調査データのダウンロード 近年の「電子政府」化政策の流れで,従前に比べるとインターネットで種々の統計調査データを入手 することが容易になっている。その中には地理情報を含むものもあり, 「地図で見る統計(統計 GIS)」 という名称で国勢調査等の詳細データが入手できる。授業のホームページにあるリンクから辿ると図 7 のようなトップページが現れる。 図 7 統計 GIS のトップページ ●男女別人口総数及び世帯総数 ●年齢別(5歳階級、4区分) 、男女別人口 ●住宅の建て方別世帯数 の3つを選択 平成 22 年国勢調査(小地域)を選択 図 8 統計調査と統計表の選択 6/14 2015.06.05 地理情報システム論 図 8 の状態になったら,統計調査の一覧から平成 22 年国勢調査(小地域)を選び,続けて表示され る統計表から図 8 に示す3つを選択して[次へ]進む。 ②地名部分をクリックし てダウンロード 「秘匿情報」は不要 ④それぞれの定義書も ダウンロード ①都道府県を選んでから市区町 村を選択して「検索」 ③「世界測地系平面直角座標系・Shape 形式」のみをダウンロード 図 9 統計データと境界データのダウンロード 図 9 のように,地域を選択してから[検索]すると,統計データと境界データの一覧が示される。統 計データと境界データ(世界測地系平面直角座標系・Shape 形式のみでよい)をダウンロードしたらファイルを解凍 し,ファイルをそれぞれ所定のフォルダ(TXT は table,境界データは shape)に移動しておく。 7/14 形 式 の 違 い ( 使 用 す る の は 1 種 類 ) 2015.06.05 地理情報システム論 4. ArcMap による地図作成 4.1. 国勢調査データ(境界データ)の表示 ダウンロードしたファイルを ArcMap を用いて地図化していく。ArcMap を起動し,国勢調査のデー タ(h22ka######)6を追加する。 「公共施設」 「鉄道」の SHAPE ファイルは,ここでは追加しないこと。 ②フォルダを切替 ①(必要なら)ドライブを接続 ③境界データのみを選択 図 10 国勢調査境界データの追加 4.2. 地域の境界データの作成 このままでもよいが,国土数値情報の公共施設や鉄道データは,それぞれ都道府県単位,全国単位で データ提供されているため,座標系が異なり,すべてのデータを利用すると無駄な部分が多く扱いづら い。このため,後述するクリップ機能で当該地域内部のみのデータ抜き取る。このためには,当該地域 を示す単独のフィーチャーで構成されるレイヤを作成しておくと作業がしやすく,市町村界の強調表示 にも利用できる。そのようなレイヤを作成するためには Dissolve 機能7を利用する(図 11) 。 図 11 ディゾルブ機能の概念とツールの呼び出し手順 6 7 #####の部分は市区町村コードと呼ばれる 5 桁の数字。選択した地域ごとに異なる。 本来はフィールドが同じ値を持つフィーチャーどうしを併合する目的に使用される。 8/14 2015.06.05 地理情報システム論 ジオプロセッシングメニューからディゾルブを選択すると図 12 のように,入力と出力を設定するパ ネルとなるので,入力フィーチャーを国勢調査の境界データとする。 ①表示されているレイヤから選択 ②保存フォルダとファイル名を指定 今回は無条件にひとつにまとめるので,すべ て選択解除状態のままとする ⑥OK をクリック ③フォルダを切替 ④ファイル名に entire を入力 ⑤保存をクリック 図 12 ディゾルブの実行 9/14 2015.06.05 地理情報システム論 新しいレイヤが表示されたら,表示設定を調整して図 13 のようにレイアウトしてみよう。 ディゾルブされたレイヤを上位 にして,塗り潰しを透明にし, 輪郭線を太目に設定する 元のレイヤ 図 13 ディゾルブされたレイヤとの合成表示 4.3. 「公共施設」 「鉄道」の投影変換 新たに得られたレイヤを用いて,「公共施設」「鉄道」の中から必要な部分のみを抜き取る。これに先 立って,それぞれのデータを境界データと同じ座標系に変換しておく8。 まず,ジオプロセッシングメニューから ArcToolbox を選択する。ArcToolbox からデータ管理ツール →投影変換と座標変換→フィーチャーと展開したら投影変換(Project)と選んで起動する。 図 14 のように,入力データを選択した後,出力側の座標系を,国勢調査の境界データをインポートす ることで設定する。入力側の座標系が「Unknown」となった場合は,設定ボタン(空間参照プロパティ) を使って,日本周辺の地理座標系の JGD 2000(元データが世界測地系・経緯度の場合)あるいは Tokyo (元データが日本測地系・経緯度の場合)を選択して指示する。 8 公共施設・鉄道とも緯度経度でデータ化されているのに対し,国勢調査のデータが直角座標系でデータ化されているた め,両者の統一を図るためである。 10/14 2015.06.05 地理情報システム論 ①ファイルを直接選択 ②表示が unknown の場合に選択 ③フォルダを変更し名前を指定 ④国勢調査の境界データを[インポート]で 指定して設定 ②入力データの座標系:空間参照プロパティで [選択]→[日本周辺の地理座標系]→[日本測地系 2000(JGD 2000).prj] ③出力ファイル名は,公共施設→public_okayama のように「public_」に続けて県名を付し ておくと分かりやすい。路線→railload_nihon,駅→station_nihon,でいいだろう。 ④出力座標系:空間参照プロパティで[インポート]を選び国勢調査の境界データを指示 図 14 投影変換の設定 変換作業はバックグラウンドで行われるので,ArcMap の最下行にあるステータスを参照して,完了 したかどうかを判断する。投影変換がすべて完了したら,いったんマップ上に変換後のデータを重ねて みてずれが生じていないか確認を行なってみよう。データの追加を使って変換後のファイルをまとめて 選択する(図 15) 。地域の外に,鉄道や公共施設が分布しているのを確認しておく(図 16) 。 図 15 投影変換後のファイルの追加(確認のための追加) 11/14 2015.06.05 地理情報システム論 図 16 投影変換されたファイルの確認 12/14 2015.06.05 地理情報システム論 4.4. 「公共施設」 「鉄道」のクリッピング この状態でもよいが,特に「鉄道」は全国のデータを内包しているため,データ量が大きく扱いづら いので,4.2 で作成した地域の境界データを用いてクリッピングを行なう。ジオプロセッシングメニュー からクリップを選んで起動する。図 17 のように設定する。 ①入力データを指定 ②ディゾルブされた境界データ(entire)を指定 ③フォルダを切替え,ファイル名を指定 ①で指定するファイルは投影変換後のものを指定する(マップ上にデータ追加されている 場合はプルダウンから直接指定する。データとして追加していない場合にはフォルダから ファイルを指定する)。 ③公共施設→public,路線→raiload,駅→station が素直で分かりやすいだろう。 図 17 クリッピングの設定 4.5. 仕上げ クリップ前のデータ表示を外してみて,所定の地域内にデータが収まっていることを確認できたら, クリップ前のデータのレイヤは削除して構わない。また,データ量の節約のため,元の投影変換前のシ ェープファイルおよびクリップ前のシェープファイル本体も (ArcCatalog を使って)削除して構わない。 最終的に図 18 のような形に整えてみよう。 最後に,MXD ファイルとして作業フォルダ上に名前を付けて保存しておく。空間的な分析については, 次回以降扱うこととする。 13/14 2015.06.05 地理情報システム論 図 18 仕上げ見本 14/14
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