GlycoStationTM 生細胞表面の糖鎖 3 Technical Information 細胞を破砕せず、細胞表面のグライコームを測定 GPBioSciences CHO 細胞と Lec1 変異細胞の生細胞グライコームプロファイリング ゲノム、プロテオームと同様に、生体が持つ糖鎖の全体像はグライコームと呼ばれています。そして細胞はその種類や分化度、 変異によって、細胞表面に発現しているグライコームが変わることが知られています。当社のシステムでは、細胞のライセートや 分画したタンパク質を蛍光標識して糖鎖解析を行うのが通常ですが、細胞内に取り込まれると代謝的に蛍光を発する試薬(CMRA 試薬)で標識した生細胞をそのまま測定に用いることで、生細胞の細胞表面に発現している糖鎖を解析することも出来ます。この 測定法は生細胞表面に発現している糖タンパク質、糖脂質を含んだグライコームプロファイリングのための画期的な手法であると いえます。 (Fig.1) ここでは、レクチンマイクロアレイを用いた CHO 細胞とその GlcNAc 転移酵素Ⅰノックアウトである Lec1 変異細胞の糖鎖プロ ファイリングについて示します。2 種の生細胞に CMRA 試薬を取り込ませることで蛍光標識を行い、レクチンマイクロアレイを用 いてそのシグナルの違いを明瞭に検出することができました。 CMRA⹜⮎ ♧㎮ ♧㎮ 䉺䊮䊌䉪⾰ ⚦⢩ 䊧䉪䉼䊮 䊥䊮⢽⾰ 䊷⚦⢩⤑䊷 䊷䊧䉪䉼䊮䉝䊧䉟䊷 Fig. 1 生細胞グライコームプロファイリング ◆ レクチンアレイ画像と細胞の結合の様子 CHO Lec1 細胞 レクチンスポット Fig. 2 蛍光測定画像 Fig. 3 顕微鏡写真 GlcNAc 転移酵素 I(GlcNAc-transferase-I) は、複合型糖鎖合成のコア構造の 1-3 アームへの GlcNAc 残基の結合に働きます。 したがって、GlcNAc-TI が欠損している Lec1 変異細胞では、複合型糖鎖の合成が進まなくなり、ハイマンノース型糖鎖の発現 率が上がるといった N 結合型糖鎖合成の変化が予測されます。 実際に測定を行なったところ、蛍光測定画像(Fig.2)に明らかなシグナルパターンの違いが確認されました。また、細胞を 壊さずに測定するため、レクチンスポットに結合した細胞の様子は顕微鏡でも観察が可能です。 (Fig.3) GlycoStationTM Technical Information 03 ◆ レクチンシグナルの特徴的な差異 㪉㪌㪇 㪚㪟㪦 㪣㪼㪺㪈 㪥㫆㫉㫄㪸㫃㫀㫑㪼㪻㩷㪠㫅㫋㪼㫅㫊㫀㫋㫐 㪉㪇㪇 㪈㪌㪇 㪈㪇㪇 4 branched branched N N-glycan -glycan 2 branched branched N-glycan N-glycan bisecting bisecting GlcNAc GlcNAc ǩ1,2-Gal : Fuc Mannose Mannose : Man : GlcNAc 㪮㪞㪘 㪞㪪㪣㪶㪠㪶㪘㪋 㪞㪪㪣㪶㪠㪶㪙㪋 㪛㪙㪘 㪪㪙㪘 㪪 㪙㪘 㪚㪸㫃㫊㪼㫇㪸 㪚㪸㫃㫊㪼 㫇㪸 㪧㪫㪣㪶㪠 㪤㪘㪟 㪧㪥㪘 㪮㪝㪘 㪮㪝㪘 㪘㪚㪘 㪤㪧㪘 㪟㪧㪘 㪟㪧㪘 㪭㪭㪘 㪘㪙㪘 㪣㪜㪣 㪪㪫㪣 㪬㪛㪘 㪧㪮㪤 㪧㪮㪤 㪡㪸㪺㪸㫃㫀㫅 㪘㪚㪞 㪘㪚㪞 㪫㫏㪣㪚㪶㪠 㪫 㫏㪣㪚㪶㪠 㪙㪧㪣 㪙㪧 㪣 㪫㪡㪘㪄㪠㪠 㪫 㪡㪘 㪄 㪠 㪠 㪜㪜㪣 㪛㪪㪘 㪞㪪㪣㪄㪠㪠 㪞 㪪 㪣㪄 㪠 㪠 㪥㪧㪘 㪥㪧㪘 㪚㫆㫅㪘 㪚㫆 㫅 㪘 㪞㪥㪘 㪞 㪥㪘 㪟㪟㪣 㪟㪟㪣 㪪㪪㪘 㪫㪡㪘㪄㪠 㪧㪟㪘㩿㪣㪀 㪧㪟㪘㩿㪣㪀 㪜㪚㪘 㪜㪚㪘 㪩㪚㪘㪈㪉㪇 㪩㪚㪘㪈 㪉 㪇 㪧㪟㪘㩿㪜㪀 㪧㪟㪘㩿㪜㪀 㪬㪜㪘㪶㪠㩷 㪘㪦㪣 㪘㪘㪣 㪤㪘㪣㪶㪠 㪪㪥㪘 㪇 㪣㪫㪣 㪧㪪㪘 㪣㪚㪘 㪌㪇 O-glycan O-glycan : Gal : GalNAc : NeuNAc Fig.4 CHO と Lec1 のシグナル比較 前述の蛍光測定画像を数値化して解析を行ったところ、 主に N 結合型糖鎖認識レクチンのシグナルに明確な差異が確認されました。 Lec1 変異細胞において、分岐した複合型の N 結合型糖鎖認識レクチン(PHA(L), PHA(E), ACG, TxLCⅠ) 、ガラクトース認識レクチン (ECA, RCA120)のシグナルは減少し、その一方、ハイマンノース型の N 結合型糖鎖認識レクチン(NPA, ConA, GNA, HHL, PWM, Calsepa)のシグナルは増加しています。Lec1 変異細胞における O 結合型認識レクチンのシグナル差異は、複合型の N 結合型糖鎖 の欠如によって O 結合型糖鎖や糖脂質が細胞表面へ露出され、細胞表面の糖鎖の全体像が変化したためであると推測されます。 以上の結果は Lec1 変異細胞が糖転移酵素 GlcNAc-TI の欠損であることと合致しています。 (Fig.4) - 測定方法 1. 細胞サンプルの回収と分画 Note 1-1. 3×106 個 1) の細胞を測り取り、無血清培地で洗浄します。 1) 1 回以上継代した細胞を用いる。 2) CellTracker™ Orange CMRA 2. 蛍光標識 2-1. 3×106 個の細胞を 300μl の無血清培地で懸濁したところに、1mM の CellTrackerTM 2) を 3μl 加えます。 2-2. 遮光・攪拌しながら 37℃で 15min 反応させます。 2-3. 反応後、1%BSA/PBS で細胞を洗浄し、細胞が染色されていることを確認します。 (Invitrogen, Cat#:C34551) DMSO で 1mM に調製したものを終濃度 10mM で使用する。 3) LecChip™ (GP Bio Sciences) 4) Probing Solution (GP Bio 3. レクチンマイクロアレイの測定 3-1. 染色した細胞を、1%BSA/PBS で目的の細胞数になるよう希釈します。 。 3-2. LecChipTM 3) を Probing Solution4) で 3 回洗浄後、サンプルをアプライします(100μl / well) 3-3. 4℃で 30min 反応させます。 3-4. PBS で満たした 50ml チューブに反応後の LecChipTM を入れ、反応槽側を下にして 30min 静置させるこ とでレクチンと結合していない細胞をアレイから外します。 Sciences) 5) GlycoStation™ Reader 1200 (GP Bio Sciences) 6) GlycoStation™ Tools Pro Suite (GP Bio Sciences) 3-5. PBS が入った状態で LecChipTM を GlycoStationTM Reader 12005) で測定します。 3-6. GlycoStationTM Tools Pro Suite6) で解析します。 株式会社GPバイオサイエンス 京浜事業所 : 〒225-0012 神奈川県横浜市青葉区あざみ野南 1-3-3 http://www.gpbio.jp Tel: 045-913-5803 Fax: 045-511-8570 Mail: [email protected]
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