2007 - 高瀬・江尻研究室

6.2. 高瀬研究室
6. 一般物理実験
高瀬研究室
6.2
6.2.1
マイクロ波の偏波方向(O/X モード)の違い(CPF
で表す),入射 EC 波のパワー(PEC [kW]),EC 共
鳴位置(RECR [m]),充填ガス圧(pfill [10−5 Torr]),
外部垂直磁場強度(Bz [mT])を用い,以下のパワー
則でよく表現できることがわかった。
TST-2 球状トカマク装置を用いた
プラズマ実験
核融合研究に使われるトカマク装置では,プラズ
マ中に流れる電流(プラズマ電流 Ip )はプラズマ閉
じ込めに不可欠である。通常のトカマクでは変流器
の一次巻線にあたるセンターソレノイド(CS)の電
流を変化させることで,二次巻線に相当するプラズ
マに電磁誘導で電流を駆動する。CS はトーラス中心
部の貴重な空間を占有するため,これを用いずにプ
ラズマを生成・維持することができれば装置の工学
的制約が軽減されるため,炉の小型化が可能となり
経済性が著しく改善される。当研究室で研究を行っ
ている球状トカマク(ST)という配位では,CS の
有無はプラントの経済性を大きく左右するため,最
重要課題である。ST では高 β (β = プラズマ圧力/
磁場圧力)のプラズマが得られるという利点があり,
これは低磁場でも高いプラズマ圧力を達成できるこ
とを意味する。核融合出力密度はプラズマ圧力の2
乗に比例するので,いかに高 β プラズマを安定に保
てるかが重要な課題となる。本研究室では主に柏キャ
ンパスの TST-2 球状トカマク(図 6.2.13)を用い,
複数のアプローチによりこれらの課題に取り組んで
いる。
P 2.1
dIp
= CPF 2.4 EC
0.4
dt
RECR p1.0
fill Bz
得られたパワー則を物理モデルで定性的に説明する
ことはできるが,定量的な説明は今後の課題である。
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s
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1
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0
]
図 6.2.14: Time evolutions of two discharges, one
with only EC injection, the other with EC injection
switching over to RF injection.
これまで波を用いたプラズマ生成・維持の研究は,
いくつかのグループで行われているが,すべて EC 周
波数帯のマイクロ波を用いていた。TST-2 では,EC
で生成したプラズマに RF(21 MHz)パワーを入射
することで,電流ジャンプを引き起こし,電流を維
持することに世界で初めて成功した(図 6.2.14)。こ
の条件では伝播できる RF 波は存在しないので,RF
の作る誘導電場によりプラズマ中の電子が加熱され
たと考えられる。一方 EC 波は伝搬できるので,電
子加熱と同時に運動量注入,すなわち電流駆動が行
われる可能性がある。このような可能性のない条件
で電流が維持できたことは,この電流が圧力駆動型
であることを示唆する。
図 6.2.13: TST-2 at Kashiwa Campus.
高周波によるプラズマ生成・維持
TST-2 では電子サイクロトロン(EC)周波数帯の
マイクロ波によるプラズマ生成・維持法の研究を行っ
ている。図 6.2.14 に典型的な放電波形を示す。マイ
クロ波を入射するとプラズマが生成され,小さな電
流が流れるが,この状態では磁気面は開いてる。電流
が徐々に増加し,ある閾値に達すると電流が急激に増
加し,閉じた磁気面が形成される。これを電流ジャン
プと呼ぶ。電流ジャンプ後のプラズマ電流は,外部よ
り加えた垂直磁場にほぼ比例する。電流ジャンプ前の
電流増加率 dIp /dt [kA/s] のパラメータ依存性は,将
来の炉に外挿するためだけでなく,この状態の電流
駆動機構を解明するためにも重要である。実験結果
は,ポロイダル磁場(PF)の曲率の違いと入射する
高周波加熱実験
高次高調速波(HHFW)はイオンサイクロトロン
周波数の高次高調波帯の速波であり,理論によると
誘電率の高い ST プラズマ中を伝搬することができ,
高 β プラズマでは電子による吸収が強い。TST-2 で
は 21 MHz の HHFW による加熱が観測されている。
典型的な例では,電子温度は 140 eV から 210 eV に
増加し,イオン温度は 50 eV から 100 eV に増加する。
イオンによる HHFW の吸収は弱いので,イオン加
熱には不安定性が関与していると考えられる。RF 入
射時に起こる不安定性としては,電場が閾値を超え
150
6. 一般物理実験
6.2. 高瀬研究室
ると起きるパラメトリック崩壊不安定性(PDI)が
知られている。これはエネルギー・運動量を保存す
る 3 つの波(または準モード)が関与する非線形現
象であり,TST-2 では RF 磁気プローブおよびマイ
クロ波干渉計で観測されている。入射した HHFW
はイオンバーンスタイン波 (IBW) とイオンサイク
ロトン準モード (ICQM) に崩壊する。HHFW によ
り励起された PDI の周波数スペクトルを RF 磁気プ
ローブで計測した結果を図 6.2.15 に示す。入射波の
周波数(21 MHz)より低周波数側にイオンサイクロ
トロン周波数だけ離れた 19 MHz 付近にサイドバン
ド(f−1 )が見えている。また過去の実験では見られ
なかった 20.4 MHz 付近(fun )にもピークが観測さ
れている。このピークの周波数も f−1 のピークと同
様にトロイダル磁場強度に依存することがわかった。
純粋な水素プラズマでは 20.4 MHz に対応する周波
数は考えられず,これまで知られている PDI とは明
らかに異なるものである。今後このようなピークが
生じる物理過程の解明を進める予定である。
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4
)
図 6.2.16: Dependence of the 1st lower sideband
(f−1 ) power on the pump wave (f0 ) power. Differ-
108
f0
ent symbols distinguish discharge types.
Power [a.u.]
106
f-1
fun
入射電力依存性等の定量的な測定には至っていない。
今後,定量測定ができるようにすること,PDI によ
り励起された波動を測定することを目標に,高速光
計測のダイナミックレンジを改善する予定である。
104
102
1
15
16
17
18 19 20 21
Frequency [MHz]
22
23
24
マイクロ波反射計
図 6.2.15: Frequency spectrum of PDI driven by
(
a
)
R
a
C
o
w
(
b
)
(
d
)
R
a
C
o
w
HHFW, measured by RF magnetic probe.
マイクロ波反射計で HHFW 成分と IBW 成分の強
度を調べると,両者とも 10kHz 程度の激しい振幅変
調を示す。図 6.2.16 は両成分の関係を縦軸横軸に示
したものであり,それらの間に非線形(この場合は
2乗)の関係があることわかる。また,異なる運転
条件の放電でも同じ線上にあることから,この非線
形性は,比較的狭い空間の現象であることを示唆し,
IBW が減衰しやすい(すなわちプラズマに吸収され
やすい)波であることと矛盾しない。
(
c
)
r
r
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c
t
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r
r
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c
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e
d
高速光計測
1
0
1
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.
0
0
.
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1
.
0
R
プラズマ中を伝搬する波動を直接計測するため,高
速光計測の開発を行っている。過去の実験では検出
器にフォトダイオードを用いていたが,フォトダイ
オードは半導体であるため真空容器内で乱反射した
電磁波の影響を強く受けるので,外部より励起された
波動の検出には適していない。平成 19 年度にはフォ
トダイオードに比べると電磁波の影響を受けにくい
光電子増倍管を用い,プラズマ中の HHFW の検出
に成功した。しかしプラズマからの光量が多く,光
電子増倍管の線形性が無い領域での測定であるため,
151
e
a
l
p
a
r
t
A
m
p
l
i
t
u
d
e
図 6.2.17: Complex amplitudes and histograms of
the absolute amplitude for raw data (a) and (c),
and for corrected data (b) and (d).
マイクロ波反射計はマイクロ波をプラズマに入射
し,プラズマ中のカットオフ層からの反射波を測定
する手法である。カットオフは密度の関数なので,反
射波の位相を測定することにより,プラズマ中の密
6.2. 高瀬研究室
6. 一般物理実験
5
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2
1
0
0
20
40
60
80
Pressure gradient at q=2 [kPa/m]
100
図 6.2.18: Trajectories of magnetic shear and pres-
sure gradient at the q = 2 surface prior to IRE.
Different symbols indicate different discharges. Red
circles indicate instances just before IRE.
152
Mirnov coils
-0.5
0.2 0.6 1.0 1.4
R[m]
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
0.0
1.0
Poloidal angle [turn]
Mirnov coils
0.5
0.0
-0.5
0.2 0.6 1.0 1.4
R[m]
Filament Current [A]
0.5
0.0
Z[m]
当研究室では,イギリスにある世界最大級の ST 装
置 MAST において,ST に固有の不安定性である内
部再結合現象(IRE)の物理機構の解明を目指した共
同研究を英国原子力機関(UKAEA)と行っている。
MAST では放電の前半で小規模な IRE が,また放電
の最後にプラズマ崩壊(ディスラプション)を伴う
大規模な IRE が頻繁に観測され,プラズマの性能を
制限している。三次元理論シミュレーションによる
と,圧力駆動の低波数モードが非線形結合を経て成
長した結果,プラズマは変形し,崩壊に至る。通常の
(アスペクト比の高い)トカマクプラズマでも観測さ
れる鋸歯状振動との違いは,安全係数 q が 1 となる
面より外側の位置から熱・粒子分布の崩壊が起きる
ことであり,複数のモードの非線形結合による崩壊
が IRE を特徴づける。大規模 IRE では,前兆振動と
しての m/n = 2/1 (m,n はトロイダル,ポロイダ
ルモード数)のテアリングモード(TM)が崩壊の直
前で発生し,成長する場合が多い(時定数は数 ms)。
IRE を伴う複数のショットにおいて,軟 X 線強度分
布は q = 2 面付近での崩壊を示しているが,高エネル
ギー粒子起因の不安定性(EPM)が,TM 発生より
約 50 ms 前の時間帯で発生している場合もある。小
規模 IRE では,トムソン散乱法で測定した電子圧力
勾配は IRE 以前の時間帯で増加しており,圧力勾配
に駆動される不安定性であることが示唆される。電
流立ち上がり速度と圧力勾配や不安定性との明確な
相関は見られなかった。IRE が起きる条件を調べる
ために,q = 2 面における圧力勾配 (dP/dr) と磁気
シア(S = (r/q)(dq/dr))を比較した結果,磁気シ
アが高い時は IRE はより高い圧力勾配で起きること
がわかった(Fig. 6.2.18)。平成 20 年度には,MAST
装置において圧力分布や電流分布をトロイダル磁場
や粒子供給により変化させ,不安定性発生の条件を
明らかにする実験を行い,高時間分解能で計測した
軟 X 線強度分布から,崩壊直前のモードの振る舞い
ST プラズマの断面は非円形で,トーラス内側と
外側のトロイダル磁場の非対称性が通常のトカマク
よりもはるかに大きいので,ポロイダルモード数を
同定するのは容易ではない。そこで 3 次元ヘリカル
フィラメント電流モデルを用いて,磁気計測で測定
される信号を再現した。複数のフィラメントはトロ
イダル方向に均等に分布させ,各フィラメントの電
流値もモード数に応じて決定した(Fig. 6.2.19)。3
次元のモード構造をよく反映していると考えられる,
磁力線に沿ったヘリカルフィラメントモデルと,ト
ロイダル方向の軸対象フィラメントモデルを比較し
た結果,ヘリカルフィラメントの場合トーラス内側
ではポロイダル磁場が近接するフィラメント同士に
より相殺しあうことがわかった。m/n = 2/1 モード
に対して磁気プローブ上での信号を算出し,実験で
得られた信号と比較した結果,誤差は 2 倍程度違い,
モード同定におけるヘリカルフィラメントモデルの
優位性が定量化された。
Filament Current [A]
MHD 不安定性とモード数同定法の
開発
Z[m]
6.2.2
を調べる予定である。
Magnetic shear at q=2
度に関する情報が得られる。実際のプラズマ測定で
は,回折効果により反射波の振幅が大きく変動し,し
ばしば位相測定が困難になる。これまで一般的な測
定条件での回折効果の表式は知られておらず,多く
の場合は数値計算によって個々のケースでの影響が
調べられていた。今回ガウスビームと真空中でのス
カラー波の伝搬(ホイヘンスの原理)を仮定するこ
とで,一般的な条件での測定電場の解析表現を得た。
また,揺らぎが凍結乱流である場合には,回折効果
を補正できることがわかった。図 6.2.17 は,テスト
データに対する回折効果の補正の様子を示したもの
である。ヒストグラムは振幅の分布を示したもので,
回折効果がない理想的な場合には,振幅は一定でヒ
ストグラムは δ 関数となる。補正によって,振幅の広
がりを減少させることに成功した。実際の測定デー
タに適用するためには,ノイズの効果,凍結乱流か
らのずれ,補正の良し悪しの評価方法等を考慮した
手法を確立する必要がある。
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
0.0
1.0
Poloidal angle [turn]
図 6.2.19: Models with axisymmetric (left) and he-
lical (right) filaments. Bottom figures show locations of filaments in a poloidal cross section (left)
and poloidal distribution of filament currents.
6. 一般物理実験
6.2.3
6.2. 高瀬研究室
プラズマ乱流によるメゾスケール構
造形成
プラズマ中に存在する密度・温度などの勾配によ
り,プラズマは乱流状態にある。乱流は,プラズマ
の大きさとイオンラーマー半径の中間のメゾスケー
ルの構造を自発的に作り出し,この構造がプラズマ
の輸送に大きな影響を与える。メゾスケールの構造
には帯状流(ZF)と呼ばれる波がある。ZF は核融合
プラズマにおいては乱流による異常輸送を著しく減
らす働きがあるため,非常に重要である。木星の帯
状模様なども ZF であり,自然界に普遍的に存在する
構造として物理学的にも興味深いものである。トロ
イダルプラズマにおける ZF は測地線音波(GAM)
と呼ばれる振動モードを伴う。ZF と GAM は非線形
的に結合しているため,GAM の固有モードの解析
も必要不可欠である。平成 19 年度は GAM に注目
し,以下の研究を行った。
(1) GAM のポロイダル固有関数 高アスペクト
比・円形断面プラズマにおいて,ジャイロ運動論方程
式をもとに,イオンラーマー半径の高次のオーダー
まで考慮した GAM 固有モード解析を行い,実周波
数,減衰率,固有関数を得た。本研究により,固有
関数のパリティーが明らかになり,トーラスの上下
対称性が破れることがわかった。この対称性の破れ
は実験観測可能な大きさであるため,モデルの妥当
性も検証可能であることがわかった。
(2) GAM の径方向固有関数 (1) の研究をもとに,
GAM の径方向構造を解析した。プラズマは径方向
に温度・密度勾配を持つため,それらをモデルによ
り簡単化し,径方向構造を決める方程式を導いた。
径方向にはプラズマ・真空境界が存在するため,径
方向にも固有モードが存在し,実周波数・減衰率は
連続ではなく離散的に存在することがわかった。ま
た径方向構造は固有周波数と 1 対 1 に対応し,径方
向の存在領域が変化することがわかった。この結果
は,実験で観測されていた結果を説明できるもので
あった。
(3) 不純物イオン存在下の GAM の固有モード
(1),(2) の研究をさらに不純物イオンの存在する系
に拡張させた。実際のプラズマには不純物が存在す
るため,この拡張は非常に重要である。この研究に
より,周波数の解析的表現を得,1 イオン系におけ
る GAM の周波数に比べ,現実のプラズマでは周波
数は小さくなることがわかった。それに伴い,減衰
率も変化する。この研究はイオンの実効的質量を測
定する GAM 分光測定において精度を上げるために
非常に重要な結果である。
6.2.4
および反電流駆動方向の接線入射の中性粒子ビーム
入射(NBI)のみを用い,非誘導電流駆動は負の寄与
しかしないようにしている。この間,電磁誘導によ
る電流駆動もゼロないしは負であることが示せれば,
IBS が全プラズマ電流を上回る「ブートストラップ
オーバードライブ(BSOD)」が達成されたと結論さ
れる。これは,プラズマ中に自発的に流れる IBS によ
り,プラズマ電流の全てが駆動されるという,自己維
持トカマクプラズマが実現されたこと,また BSOD
によりプラズマ電流を増加させることが可能である
ことを示す画期的な成果であり,経済的競争力の高い
核融合炉の実現にとって大変意義の高いものである。
しかしこのような放電ではプラズマ中心付近で電流
密度がゼロとなる「電流ホール」という状態にあり,
それぞれの電流成分の推定誤差が大きい。BSOD 達
成の信頼性を高めるため,いくつかの異なるプラズ
マ制御を用いた実験の解析を進めている。
6.2.5
プラズマ合体を使った超高ベータ ST
プラズマ生成・維持の研究
ST の高 β・高閉じ込め特性を活用すれば,小型装
置で体積中性子源或いは発電実証を実現し,核融合
開発の加速に貢献することができる。ST の特徴であ
る高 β を更に高めた「超高ベータ ST プラズマ」を
生成・維持するための新手法を開発することを目的
とし,新装置 UTST (図 6.2.20)を建設し,実験を
開始している。ST 核融合炉で採用されるためには,
トーラス中心部の CS を用いない方法でなければな
らない。具体的には,真空容器外コイルを用いてプ
ラズマを 2 個生成し,これらの合体に伴う磁気リコ
ネクション(磁力線の繋ぎ換え)による磁場から粒
子へのエネルギー変換を利用した超高ベータ ST プ
ラズマ(トロイダルベータが 30–50%)の新生成法の
開発,および HHFW などの先進的 RF 手法による
高ベータ ST プラズマの維持を目指している。平成
19 年度には,コイル電源系の増強,加熱用の NBI 装
置の設置などを行った。
JT-60U トカマクにおける自発電流
によるプラズマ電流駆動実験
日本原子力研究開発機構の JT-60U トカマクを用
いて,プラズマが自身の圧力勾配により自発的に流
すブートストラップ電流 IBS による電流駆動実験の
データ解析を行っている。この実験では,垂直入射
図 6.2.20:
Newly constructed UTST device for
ultra-high β ST plasma formation.
153
6.2. 高瀬研究室
6. 一般物理実験
<報文>
[11] T. Yamada, A. Ejiri, Y. Shimada, T. Oosako,
J. Tsujimura, Y. Takase, H. Kasahara: Direct measurement of density oscillation induced by a radiofrequency wave, Rev. Sci. Instrum. 78, 083502
(2007).
(原著論文)
[1] M. Sasaki, K. Itoh, A. Ejiri, Y. Takase: Radial
Eigenmodes of Geodesic Acoustic Modes, Contrib.
Plasma Phys. 48, 68 (2008).
[12] Y. Torii, A. Ejiri, T. Masuda, T. Oosako,
M. Sasaki, H. Tojo, H. Nuga, Y. Shimada, N. Sumitomo, J. Tsujimura, S. Kainaga, J. Sugiyama,
Y. Takase: First Observation of RF-Induced Visible Light Fluctuations, Plasma Fusion Res. 2, 023
(2007).
[2] M. Sasaki, K. Itoh, A. Ejiri, Y. Takase: Modification of Symmetry of Poloidal Eigenmode of
Geodesic Acoustic Modes, Plasma Fusion Res. 3,
009 (2008).
[3] T. Yamada, A. Ejiri, Y. Shimada, T. Oosako,
J. Tsujimura, Y. Takase, Y. Torii, M. Sasaki,
H. Tojo, T. Masuda, H. Nuga, N. Sumitomo,
S. Kainaga, J. Sugiyama: Reflectometry for Density Fluctuation and Profile Measurements in TST2, Plasma Fusion Res. 2, S1037 (2007).
[13] A. Ejiri, Y. Takase: Toroidal current initiation in
low aspect ratio tokamaks based on single-particle
orbit analysis, Nucl. Fusion 47, 403 (2007).
(国内雑誌)
[14] 高瀬雄一他:炉心プラズマの定常化に向けたトーラス
プラズマ開発の現状と展望, J. Plasma Fusion Res.
83, 413 (2007).
[4] H. Tojo, A. Ejiri, Y. Takase, Y. Torii, T. Oosako,
M. Sasaki, T. Masuda, Y. Shimada, N. Sumitomo,
J. Tsujimura, H. Nuga, S. Kainaga, J. Sugiyama:
Soft X-ray Emission Profile and Mode Structure
During MHD Events in the TST-2 Spherical Tokamak, Plasma Fusion Res. 2, S1065 (2007).
[15] 東井和夫,武智学,大舘暁,榊原悟,庄司多津男,徳
沢季彦,江尻晶:高速イオン励起 MHD 不安定性とそ
れらによる高速イオン輸送, J. Plasma Fusion Res.
83, 1000 (2007).
[5] H. Tamai, T. Fujita, M. Kikuchi, K. Kizu,
G. Kurita, K. Masaki, M. Matsukawa, Y. Miura,
S. Sakurai, A.M. Sukegawa, Y. Suzuki, Y. Takase,
K. Tsuchiya, D. Campbell, F. Romanelli: Prospective performances in JT-60SA towards the ITER
and DEMO relevant plasmas, Fusion Engineering
and Design bf 82, 541 (2007).
[16] 松田慎三郎,西尾敏,長山好夫,高瀬雄一,飛田健次,
小西哲之,岡野邦彦,中村信吉,小野靖:実用炉に向
けた核融合炉開発, IEEJ Journal 128, 74 (2008).
(学位論文)
[17] 海永壮一郎: “Electron temperature and density
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[6] T. Fujita, H. Tamai, M. Matsukawa, G. Kurita, J. Bialek, N. Aiba, K. Tsuchiya, S. Sakurai,
Y. Suzuki, K. Hamamatsu, N. Hayashi, N. Oyama,
T. Suzuki, G.A. Navratil, Y. Kamada, Y. Miura,
Y. Takase, D. Campbell, J. Pamela, F. Romanelli,
M. Kikuchi: Design optimization for plasma performance and assessment of operation regimes in
JT-60SA, Nucl. Fusion 47, 1512 (2007).
<学術講演>
(国際会議)
一般講演
[18] Y. Takase: “LHCD Scenarios for Spherical Tokamak Plasmas” 17th Topical Conference on Radio
Frequency Power in Plasmas, Clearwater, USA, 7–
9 May 2007.
[7] H. Takenaga, the JT-60 Team: Overview of JT60U results for the development of a steady-state
advanced tokamak scenario, Nucl. Fusion 47, S563
(2007).
[19] M. Sasaki: ”Geodesic Acoustic Mode in toroidal
plasmas” 11th International Workshop on Plasma
Edge Theory in Fusion Devices, Takayama, Japan,
23–25 May 2007.
[8] J.E. Menard, M.G. Bell, R.E. Bell, S. Bernabei,
J. Bialek, . . ., Y. Takase, . . ., : Overview of recent physics results from the National Spherical
Torus Experiment (NSTX), Nucl. Fusion 47, S645
(2007).
[20] T. Oosako: ”Combline antenna for Lower Hybrid Current Drive start-up experiments in Tokyo
Spherical Tokamak-2”, 2nd Korea-Japan workshop
on heating technology of Fusion plasmas, Jeju, Korea, 16–17 August 2007.
[9] A. Ejiri, Y. Shimada, T. Yamada, T. Oosako,
Y. Takase, H. Kasahara: Relative Frequency Calibration for Fast Frequency Sweep Microwave Reflectometry, Plasma Fusion Research 2, 040(2007).
[21] A. Ejiri: ”Design optimization of microwave reflectometry using Kirchhoff integral” 13th Int. Symposium Laser-Aided Plasma Diagnostics, Takayama,
Japan, 18–21 Sept. 2007.
[10] Y. Nagashima, K. Itoh, S.-I. Itoh, A. Fujisawa,
M. Yagi, K. Hoshino, K. Shinohara, A. Ejiri,
Y. Takase, T. Ido, K. Uehara, Y. Miura, JFT-2M
group: In search of zonal flows by using direct density fluctuation measurements, Plasma Phys. Control. Fusion 49, 1611 (2007).
[22] S. Kainaga: ”Electron temperature and density measurements on TST-2” 13th Int. Symposium Laser-Aided Plasma Diagnostics, Takayama,
Japan, 18–21 Sept. 2007.
154
6. 一般物理実験
6.3. 坪野研究室
[23] H. Tojo: ”Internal reconnection events studies in
the MAST spherical tokamak” 13th Int. Workshop
on Spherical Tori 2007, Fukuoka, 10–12 Oct. 2007.
[37] 杉山純一: 「球状トカマク TST-2 における X-mode
及び O-mode 入射での ECHstartup の比較」プラズ
マ・核融合学会第 24 回年会(姫路)2007 年 11 月 27
日–30 日.
[24] A. Ejiri: ”RF start-up and heating experiments
on the TST-2 spherical tokamak” 13th Int. Workshop on Spherical Tori 2007, Fukuoka, 10–12 Oct.
2007.
[38] 大迫琢也:
「TST-2 における高次高調速波によるパラ
メトリック崩壊不安定性」プラズマ・核融合学会第 24
回年会(姫路)2007 年 11 月 27 日–30 日.
[25] M. Sasaki: ”GAM eigenmode in multi-ion system” 17th Int. Toki Conference and 16th Int.
Stellarator/Heliotron Workshop 2007, Toki, Gifu,
Japan, 15–19 Oct. 2007.
[39] 渡邉理: 「TST-2 における ECH プラズマ電流生成」
研究会「球状トカマク炉への展望と課題」
(土岐)2008
年 1 月 31 日–2 月 1 日.
[40] 渡邉理: 「ECH start up and RF sustainment on
TST-2」境界プラズマ研究会,土岐,2008 年 2 月 28
日–29 日.
[26] H. Tojo: ”Temporal evolution of the pressure
profile and mode behavior during internal reconnection events in the MAST spherical tokamak”
17th Int. Toki Conference and 16th Int. Stellarator/Heliotron Workshop 2007, Toki, Gifu, Japan,
15–19 Oct. 2007.
[41] 東條寛: 「球状トカマクにおける MHD 事象の解
析」, 第11回若手科学者によるプラズマ研究会,那
珂,2008 年 3 月 17 日–19 日.
[42] 足立裕樹: 「TST-2 における高次高調速波によるパ
ラメトリック崩壊不安定性」第11回若手科学者によ
るプラズマ研究会,那珂,2008 年 3 月 17 日–19 日.
[27] A. Ejiri: ”Measurements of rf wave by microwave
reflectometry on the TST-2 spherical tokamak”
US-Japan WS on Millimeter-Wave Plasma Diagnostics, UC Davis, USA, 25–27 Feb. 2008.
[43] 渡邉理: 「高周波密度振動に対する電子衝突励起,脱
励起発光の応答」日本物理学会第 63 回年次大会(大
阪)2008 年 3 月 22 日–26 日.
[28] A. Ejiri: ”Response of microwave reflectometry under generalized configuration” US-Japan WS on
Millimeter-Wave Plasma Diagnostics, UC Davis,
USA, 25–27 Feb. 2008.
[44] 海永壮一朗:
「TST-2 球状トカマクにおける高次高調
速波による電子加熱の検証」日本物理学会第 63 回年
次大会(大阪)2008 年 3 月 22 日–26 日.
[29] Y. Takase: ”Plasma start-up and heating experiments on TST-2” US-Japan RF Physics Workshop,
PPPL, USA, 27–28 Feb. 2008.
[45] 佐々木真: 「Zonal Flow と GAM の非線形競合過程」
日本物理学会第 63 回年次大会(大阪)2008 年 3 月
22 日–26 日.
招待講演
招待講演
[30] Y. Takase: ”Nation-Wide Collaborative ST Research Program in Japan”, 13th Int. Workshop on
Spherical Tori 2007, Fukuoka, 10–12 Oct. 2007.
[46] 高瀬雄一: 「日本における ST 研究の現状と将来展
望」プラズマ・核融合学会第 24 回年会(姫路)2007
年 11 月 27 日–30 日.
(国内会議)
(セミナー)
一般講演
[31] 杉山純一:TST-2 球状トカマクプラズマにおける ECH
スタートアップ実験 第 46 回若手夏の学校(鬼怒川
温泉)2007 年 8 月 7 日–9 日.
[47] 高瀬雄一:プラズマ物理から核融合への挑戦「ロー
ド・マップとタイムテーブル 球形トカマク」五月祭
特別講演・討論企画: 徹底討論・核融合「点火&アフ
ター」(東大)2007 年 5 月 28 日.
[32] 江尻晶: 「TST-2 における高次高調速波入射実験」
電気学会プラズマ研究会「プラズマ一般,球状トカマ
ク」(東京)2007 年 8 月 20 日–21 日.
[48] 高瀬雄一: “Japanese ST Programme - Status &
Plans -” ST Workshop, Culham, UK, 22-23 May
2007.
[33] 高瀬雄一:
「アメリカおよびイギリスにおける ST 型
CTF の検討状況」 電気学会プラズマ研究会「プラ
ズマ一般,球状トカマク」
(東京)2007 年 8 月 20 日–
21 日.
[49] 江尻晶:プラズマ研究と計測の発展 第 46 回若手夏
の学校(鬼怒川温泉)2007 年 8 月 7 日–9 日.
[34] 佐々木真: 「GAM の径方向固有モード」 日本物理学
会第 62 回年次大会(札幌)2007 年 9 月 21 日–24 日.
6.3
[35] 足立裕樹: 「TST-2 における 21MHz RF 加熱時の
可視光の高速測定」 日本物理学会第 62 回年次大会
(札幌)2007 年 9 月 21 日–24 日.
[36] 大迫琢也: 「LHCD start-up 用コムラインアンテナ
の特性計測」日本物理学会第 62 回年次大会(札幌)
2007 年 9 月 21 日–24 日.
155
坪野研究室
本研究室では重力と相対論に関する実験的研究を
進めている。その中でも、重力波検出は一貫して研
究室の中心テーマとなっている。現在は、高感度な
レーザー干渉計を用いた重力波検出に力を注いでい
る。これらの研究に関連して、熱雑音や精密計測に
関する研究も同時に進めている。