トカマクでの中心ソレノイドの役割

球状トカマク共同研究
概要
球状トカマクは、コンパクトな核融合炉を実現する方式として近年脚光
を浴び、世界各地で実験がなされている。TST-2装置は1999年より、国
内最大級の装置として、球状トカマクの基礎研究を行ってきた。2003年
度には、九州大学TRIAM実験棟に移設し、4機関23名による共同研究
を行っている。主たる研究目的は、九州大学の高周波源を用いた電流
駆動・加熱・立ち上げの開発研究であり、これは、コンパクトな核融合炉
を実現するために必須の技術である。第一期(5月ー9月)では、装置の
移設、装置性能の向上を行いい、国内最高の蓄積エネルギー400J、磁
場0.3T、電子バーンスタインモード高周波の最大入射電力140kWを達
成した。
これまでの通常プラズマに対する追加熱実験では、良好な入射特性
(低反射率5-10%、モード変換層の制御)を実現し、第二期(2003年1月)
のための基礎データを取得した。
コンパクト化の決め手は中心ソレノイド(オーミックコイル)無しでの電流
立ち上げ・維持であり、高周波電力170kWのみを用いて4kAのプラズマ
電流を立ち上げ0.3秒維持することに成功した。これは球状トカマクの高
周波入射実験では、世界最高の値である。また、高周波電力と垂直磁
場を組み合わせた方法では、7kAの電流立ち上げに成功した。
九州大学球状トカマク共同研究
TST-2@K
共同研究者
九州大学
図子秀樹、佐藤浩之助、中村一男、花田和明、
坂本瑞樹、出射浩、長谷川真、彌政敦洋、
今村紀仁、江崎康一、北口将博、佐々木啓介、
星加博之、前薗伸美
東京大学
高瀬雄一、江尻晶、白岩俊一、笠原寛史、
山田琢磨、荒益将、大原伸也
広島大学
西野信博
九州東海大学
御手洗修
TST-2@K
(装置の移設)
5月:本体設置
6月:本体コイル系設置
8月:TST-2@K完成
TST-2装置性能の向上
(九州大学に移設後の向上・改善点)
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RF(8.2GHz)入射。最大170kW入射。
CS(TF, OH)の冷却(コイルの発熱と除熱)。
真空容器のベーキング90度
最大コイル電流値の向上
TF 22kA (0.28T) OH 18kA
(電磁力による変位,振動と補強)
プラズマの位置(外側)のFeed Back制御。
電源,RFのインターロック制御
最大プラズマ電流 0.14MA
最長放電時間 0.3s/4kA
新たな計測機器の整備
(140GHz干渉計、高速CCDカメラ、中性粒子分析器、
広波長域分光器、PINダイオードアレイ、反射計、トム
ソン散乱)
8本の高周波入射用アンテ
ナと2本の計測用アンテナ
Center Stack下側の冷却水配
管とトロイダルコイル補強部
TST-2@Kの典型的な放電波形
高性能プラズマの実現
#301185 t=37msで
の平衡解析結果
大半径:R=0.36 m
小半径:a=0.24 m
アスペクト比:A=1.5
プラズマ電流:Ip=100 kA
トロイダル磁場:Bt=0.3 T
平均密度:ne=1x1019 m-3
中心圧力:P(0)=1.8 kPa
中心温度:Te(0)+Ti(0)~0.6 keV
蓄積エネルギー:W=0.4 kJ
閉じ込め時間:tE=1 ms(assuming 100% RF absorption)
国内の球状トカマクの中では最高の
性能を達成した。
高周波による
プラズマ立ち上げと維持
定常電流の維持
4 kA/0.3 s (球状トカマクで最高値)
他のパラメータ
高周波:8.2 GHz/100 kW
磁場:Bt=0.16 T (@R=0.38 m), Bv~2mT
6
#301567
p
I [kA]
4
2
0
0.2
(b)
RF (~100 k W)
0.1
t
B [T] @R0.38[m]
(a)
0
0.6
@R0.39[m]
nel [1018m-2]
(c)
0.4
0.2
0
0
50
100
150
Time [ms]
200
250
300