Meet-the-Distinguished Professor

Meet-the-Distinguished Professor 3/20(Thu)
Room B 15:00 ∼ 16:00
[座長] 渡邉 建彦(東北大学大学院医学系研究科 名誉教授)
[Chair] Takehiko Watanabe(Emeritus Prof., Tohoku Univ.)
MDP
未知のペプチド・ホルモン発見から、新規医薬品の創生
Discovery of the unknown peptides, and their innovation for novel drugs
国立循環器病研究センター
Hisayuki Matsuo
National Cerebral and Cardiovascular Center of Japan Research
Institutes
環境の変化に対応して、生体はホメオスタシスを維持するための信号を「ホルモン」に託し
て全細胞に伝えます。私たちは、未発掘のペプチド・ホルモンを探索してきました。1921年
に発見された有名なペプチド・ホルモン;インスリンは、サンガーによってその構造が明ら
かになったのは1950年のことです。アミノ酸が連結したプチド構造が決定し、タンパク質化
学が誕生しました。2000年にヒト遺伝子の解析が完了するまで、わずか50年の間の出来事
です。サンガーの業績に感銘を受けた私は、当時未開発だったペプチドC-末端分析法を発表
したのが縁になり、1970年シャリーの視床下部放出因子研究に招かれました。 これが、ギ
ルマンとのノーベル賞の決闘に巻き込まれるとは思いがけないことでしたが、長年の課題で
あったLH-RHの構造決定に成功することができました。1つのキー物質の発見が未知の世界の
扉を開くことを体感した私は、日本に帰って独自のペプチド研究法を確立し、未知のペプチ
ド・ホルモンの探索を始めました。 本日は、私が構造決定に関わったペプチドの中で、幸
いに医薬品にまで発展した次の3つのケースについてお話します。1)前立腺癌治療薬となっ
たLH-RH:2)急性心不全薬になったANP;3)優れた心不全診断薬BNP 2,3)のナトリ
ウム利尿ホルモン研究のほとんどは、新設間もない宮崎医大で行われました。若い仲間たち
の素晴らしいエネルギーの賜物です。未知の物質の発見(Discovery)が 直ぐに新しい医薬
品の創生(Innovation)に繋がるわけではありません。私の研究を振り返って、Discoveryと
Innovationについても、考えてみたいと思います。
Peptidergic cell cell communication, taking place through the interaction of the ligands
with their receptors, is thought to be one of the basic functions for maintaining homeostatic
balance in the living body. In order to discover still unknown bioactive peptides, Dr.
Hisayuki Matsuo has long been involved in the survey and identification of the endogenous
peptide ligands. Dr. Matsuo has been established the strategy and methodology of his
own, based on his earlier work (1971) on structure of hypothalamic LH-RH.
Then his group has isolated and identified a number of new peptide ligands, including
natriuretic peptides, ANP and BNP.
As will be discussed in this session, identifications of LH-RH, ANP and BNP have opened
new horizons in their related clinical fields and now established themselves as medicines
or specific biomarkers.
︵ Thu
︶ Meet-the-Distinguished Professor
3/20
松尾 壽之