第32回医薬品GQP・GMP研究会 講演資料(平成24年度)(PDF形式)

GMP適合性調査等に関する指導と
PIC/S加盟に向けた活動について
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 品質管理部
第32回 医薬品GQP・GMP研究会
東京会場:平成24年10月30日
大阪会場:平成24年11月 2日
富山会場:平成24年11月 6日
PMDAとは?
・ 独立行政法人
医薬品医療機器総合機構
(Pharmaceuticals and
Medical Devices Agency)
・設立 : April 2004
・5年ごとの中期計画に基づい
た業務遂行
(現在第2期:2009-13)
本日の講演内容
1.
2.
3.
4.
5.
海外実地調査の概要
実地調査の流れ
実地調査時の指導事項
PIC/Sについて
薬事戦略相談について
3
海外実地調査の概要
4
PMDAが調査対象とする製造所の数
• 海外製造所
平成24年3月現在
・認定取得済み: 2385
海外製造所:
アジア・中東: 941 '医薬品:801、医薬部外品:140(
約2,700サイト
ヨーロッパ: 983 '医薬品:914、医薬部外品: 69(
北米、中南米、アフリカ、オセアニア: 461 '医薬品:398、医薬部外品: 63(
・認定が不要とされる製造所
'原薬中間体、転用原薬等(:約300'概数(
• 国内製造所
・PMDAが調査権者'大臣許可施設(:135
生物学的製剤等:116
放射性医薬品:19
国内製造所:
約500サイト
・新薬関連'知事許可の無菌、一般等(:約350'概数(
5
国別の海外実地調査数
South Africa, 1
Korea, 44
USA, 108
China, 80
北、中南米 30 %
Canada, 4
アジア 40 %
Argentina, 2
Puerto Rico, 14
Mexico, 2
ヨーロッパ 29 %
Slovenia,
4
Turkey, 1
Romania, 1
Finland, 2
Spain, 5
Taiwang,
12
India, 30
Austria, 5
France, 28
Vietnam,
2
Ireland, 17
Thailand,
3
Italy, 13
Portugal, 1
Switzerland,
2
Greece, 1 Germany, 10
Sweden, 1
UK, 8
Belgium, 14 Holland, 8
Singapore, 6
Indonesia , 1
Denmark, 8
2005年4月~2012年3月(製造所数438・32カ国)
6
医療用後発医薬品に関する地域別、分野別
GMP調査概要
(2006年4月 -2012年3月)
EU
北米
中南米
アジア
その
他
合計
無菌医薬品,
生物医薬品
70
8
4
38
8
128
固形製剤
24
0
0
59
3
86
原薬
(化成品)
213
25
3
462
1
704
包装
試験ラボ
13
4
3
7
2
29
合計
320
37
10
566
14
948
分野
原薬:74%
API
Solid Product
Sterile Product Packaging
全体の74%が原薬でそのうち65%強がアジア地域
7
国内・海外実地調査件数
地域別年次推移
(2006年4月 -2012年3月)
200
Domestic
Asia
180
Africa
160
South America
North America
140
Europe
120
100
80
60
40
7
3
(5%)
29
49
(26%)
(20%)
27
(23%)
45
(3%)
(44%)
20
0
2006
2007
2008
2009
2010
2011
8
注(括弧内は実地調査件数を100%とした場合のアジア地域の割合
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
原薬
:
インド、韓国、中国、イタリア ・・・・
Canada 1
Belgium 1
Singapore 1
Finland 2
Sweden 2
Croatia 2
Brazil 3
Portugal 3
Ireland 3
Puerto Rico 4
Denmark 4
Argentina 5
Romania 5
Turkey 5
Mexico 7
Australia 7
UK 7
Hungary 10
Poland 11
Austria 11
Czech 12
Switzerland 12
France 13
Netherland 14
Slovenia 24
USA 28
Taiwang 34
Spain 42
Israel 57
Germany 59
Italy 78
China 127
Korea 167
India 190
医療用後発品に関するGMP調査'国別(
'2006年4月~2012年3月(
Packaging
Sterile product
Solid product
API
9
指摘事項の評価対象システム別内訳
(平成21年度~平成23年度)
包装・表示システム,
69 件/48製造所
製品原材料等保管シ
ステム,
285 件/110製造所
3%
11%
28%
試験室管理システム,
459 件/122製造所
品質システム
製造システム
設備構造システム
【海 外】
175サイト
18%
設備構造システム,
468 件/134製造所
品質システム, 709 件
/153製造所
19%
試験室管理システム
製品原材料等保管シ
ステム
包装・表示システム
21%
製造システム, 523
件/151製造所
2492件/4735件
(海外製造所の指摘事項数)/(全体の指摘事項数)
指摘事項の評価対象システム別内訳
(平成21年度~平成23年度)
包装・表示システム,
58 件/35製造所
製品原材料等保管シ
ステム,
286 件/105製造所
3%
13%
品質システム, 695 件
/152製造所
31%
試験室管理システム,
338 件/115製造所
製造システム
設備構造システム
【国 内】
156サイト
15%
設備構造システム,
395 件/123製造所
品質システム
18%
試験室管理システム
製品原材料等保管シス
テム
包装・表示システム
製造システム, 471
件/123製造所
21%
2243件/4735件
(国内製造所の指摘事項数)/(全体の指摘事項数)
実地調査の流れ
12
調査申請から調査開始まで
調査申請
・当該製造所における調査対象品目に関する概要:様式1
・医薬品製造所概要(外国製造所用):様式3
実地/書面
・リスク評価
・調査手法の決定
照会事項
製販業者等
オーディット
調査実施
・実地調査:日程調整
・書面調査:調査資料
→
事前資料
・製造販売申請書と製法との齟齬の有無
・GMP遵守状況の確認
・実地調査:指摘事項、製造所のランク付け
・書面調査:照会文書による確認
・齟齬の有無
13
リスクに応じた実地調査先の選定
リスク評価
事前情報
調査申請時の添付資料等
①品目の情報
(別紙1)
②製造所の情報・査察履歴
(別紙2(国内)、3(海外))
過去の実地調査の状況
(製造所プロファイル)
①製造所のランク
②各サブシステムの確認
データの蓄積
リスク評価の対象項目
 製品'品目(の種類
 製造工程
 剤形
 海外規制当局の調査履歴
 過去のGMP不適合
 過去の回収実績
 PMDAの調査実績の有無
 製造所情報'前回実績(
 その他
選
定
シ
ー
ト
の
作
成
調査実施
実地調査
注意)添付資料は2010年10月27日付事務連絡参照
方針決定は
申請翌月
書面調査
14
GMP調査の事前資料 1/3
平成24年2月16日付 「GMP調査要領の制定について」
監視指導・麻薬対策課長通知
1.製造所についての一般的情報
1.1 製造業者及び製造所の情報/連絡先'名称、所在地、連絡先等(
1.2 許可区分
1.3 医薬品・医薬部外品の製造以外で実施している活動
2.製造所の品質マネジメントシステム
2.1 当該製造所の品質マネジメントシステムの概要
2.2 製品のリリース'出荷判定含む。(に関する手順
2.3 供給業者および委託者の管理に関する事項'サプライチェーンの簡潔
な記述、生物由来原料基準への対応状況の説明(
2.4 品質リスクマネジメント (QRM)に関する事項
2.5 製品品質レビューに関する事項
3.人員'組織図、各部門の人数、各GMP責任者の一覧(
GMP調査の事前資料 2/3
4.施設および機器
4.1 施設に関して、動線等を記入した製造区域の配置図
4.1.1 空調'HVAC(システムの簡潔な記述
4.1.2 製薬用水システムの簡潔な記述
4.1.3 他の関連するユーティリティ、例えば蒸気、圧搾空気、窒素など
の簡潔な記述
4.2 機器に関して
4.2.1 主要な製造およびラボ用機器のリスト
4.2.2 洗浄およびサニテーションの概要'CIP/SIPの利用状況等(
4.2.3GMP上の重要なコンピュータ化システムの概要
5.文書化システムの概要'電子的かマニュアルか(、文書体系図、文書リスト等
GMP調査の事前資料 3/3
6.製造に関する事項
6.1 製造品目の一覧'全ての品目のリストと実施する工程、高生理活性
物質等に該当するもののリスト、専用設備で製造する製品のリスト等(
6.2 プロセス・バリデーションの全体的な方針、再加工・再処理に関する方針
6.3 原材料管理および倉庫管理の概要'供給業者との取決めの概要等(
7.品質管理の概要 (実施している物理的、化学的及び微生物/生物学的
試験の概要)
8.配送、品質情報処理、品質不良及び回収
8.1 配送 (製造業者の責任下にある部分)の概要
当該製造所の出荷先の業者の種別'卸売販売業者、製造販売業者、
製造業者等(と場所'外国等(、当該製造所の製品が不法なサプライ
チェーンに入ることを防ぐためにとられている方策
8.2 品質情報処理及び回収処理にかかるシステムの概要
9.自己点検にかかるシステムの概要
GMP適合性調査(申請)の留意事項 1/4
• 医療用後発医薬品のGMP適合性調査申請は、平成23年5月
26日の事務連絡'GMP適合性調査のスケジュール等(に記
載の通り、必ず期限までに申請してください。
• 一般的なGMP適合性調査申請の時期は、承認申請日に審査
の標準的事務処理期間を加算した日の6月前'審査の標準的
事務処理期間が6ヶ月未満の場合、承認申請と同時に申請(
→厳守願います。
• 調査担当者からの照会事項には、定められた期限までに回答
をお願いします。
• 定期調査申請書の備考欄に結果通知発出希望日'○月○日(
と明記する場合に限り、それに沿った発出は可能ですが、申請
時期及び照会回答が遅れた場合は、対応いたしかねますので
ご注意ください。
GMP適合性調査(申請)の留意事項 2/4
1.事前資料については、通知・事務連絡に記載された
ものは標準的なものであり、品目や対象工程により
変更になる場合があります。また、前回のGMP調査
等の状況により、製造指図書の写し、製造記録書の
写し、試験記録及び製造・試験検査の手順書の写し
の該当部分等の提出をお願いすることもあります。
具体的には調査担当者の照会に従ってください。
2.英語以外の外国語の資料が大部に及ぶ場合、概
要を日本語又は英語により作成し、添付するようにし
てください。
GMP適合性調査(申請)の留意事項 3/4
3.MRA対象国によるMRA対象品目についてのGMP
適合性証明書'原本に限る。(が添付できる場合は
、要求資料のいくつかが省略可能となります。また、
MOU交換国によるGMP適合性証明書'原本に限る
。(が添付できる場合、提出資料の省略が可能な場
合があります。具体的には調査担当者の指示に従
ってください。
4.サイトマスターファイルに、調査資料として総合機
構が要求した上記内容と同等の記載がある場合に
は、サイトマスターファイル'英語又は日本語(の提
出に代えることで差し支えありません。
GMP適合性調査(申請)の留意事項 4/4
5.提出される資料のうち、製造所の責任者によって
承認されていることが確認できない文書'当該調
査のために作成された要約等の文書、CTDの抜
粋、GMP管理として文書番号等が付されて管理さ
れている文書ではない文書等(は、当該製造所の
責任者が内容に責任をもつことを記した宣誓書等
を付して提出してください。
6.なお、資料を提出いただく場合、簡単な送付目録
をつけていただくと、送付時の確認および
受理の確認がしやすくなります。ご協力お願いい
たします。
GQPと品質取決め
製造販売業者
'GQPに基づく品質管理業務(
取決め、製造監視
結果
/記録
製造業者
'原薬(
'
:製品の流れ(
製造業者
'製剤(
製造業者
'包装表示:
試験検査(
市場への
出荷判定
市場
GMPの遵守
22
製販業者の事前確認から
(PMDA実地調査前)
製造管理及び品質管理に関する記録がない
調査対象品目の製造に必要な製造設備がない
調査対象製造所では製造を行っていない
GMP管理が不適切である
23
実地調査時の指導事例
24
• 品質部門が製造部門から独立していない
• 原薬に係るGMP文書の保管期間が、GMP省令に規
定されたとおり、製品の有効期間に一年を加算した
期間となっていない
• 品質管理部門や製造部門へ配布されたGMP文書は
、作業者が自由にコピーできるなど、管理された状況
ではない
• 最新の文書が必要とされる部門に配布されていない
• 最新の文書を配布した後、旧版の回収もしくは廃棄
に係る手順がない
25
• 最新の製造所図面を管理していない
• 点検実施者が自己の所属する部署を点検している
• 定められた期間内にGMP課長通知に示された全点
検項目について、自己点検が実施されていない
• 自己点検の結果に基づく改善を、担当部署が報告を
する手順がない
• 教育計画書が全ての部署を対象に作成されていない
• 対象者が全員教育を受けていることが確認できるよ
う対象者リストを作成し、毎回確認をしていないため、
欠席者へのフォローができていない
26
• 教育結果を客観的に評価していない
• 教育訓練で実施した教育訓練内容が記録に残ってい
ない
• 工程管理及び製品品質の照査を定期的に行ってい
ない
• 工程パラメータの年次照査時にトレンド解析が実施さ
れていなかったため、解析結果を工程管理の改善に
役立てていなかった
• 試験結果の照査のみで、クリティカルプロセスパラメ
ータですら照査項目に含まれていない
27
• 製造エリアへの入室前の手指洗浄石鹸の使用期限
がない
• 製造エリアへの入室前の手指消毒では、複数の人間
が洗面器に溜めたエタノールを繰返し使用していた
• 苦情処理作業が、品質部門の管理下で行われてい
ない
• 再発防止措置の可否について、販売部門の意見が
重視され、GMP文書に販売部門が最終承認を行って
いる
• 苦情処理手順に従って実施した作業の記録様式が
なく記録が保管されていない
28
• バリデーション計画書及び報告書が、責任者が承認'
確認等のサイン、署名日等を明記(したGMP文書と
位置付けられていない
• 変更管理記録には文書管理番号がなく、変更管理責
任者の照査もないなど、変更管理手順に従っていな
い
• 製造方法の変更について、変更管理手順に従い、バ
リデーションを含めた検証が行われていない
• 逸脱管理手順に従い対応されていない逸脱事例が
あった
29
• 再発防止のために、逸脱の種類及び発生頻度等を
分析していない
• 逸脱処理の調査時に、品質への影響の評価がない
• 機器の定期点検で異常が認められた場合に、試験・
製造された品目への影響評価を行う手順がない
• 逸脱の改善措置が確実に終了するまで進捗を確認し
ていない
• 機器異常など、危険回避のための緊急処置について
規定がない
30
• 出荷判定の時までに、生データに基づき試験記録を
照査した記録がない
• 出荷判定を実施する上で評価すべき項目'変更管理、
逸脱管理等(が規定されていない
31
• 回収溶媒の規格及び試験方法、並びに繰り返し使
用回数について、科学的根拠に基づき、設定してい
ない
• 承認規格を遵守した原料を使用していないケースが
あった
• 原材料の秤量記録が製造記録にない
• 製造に使用する試液に個別ロット番号の付番がなく
、調製記録も作成していない
• 製造指図書が製造指図者により発行されていない
• 承認申請書の製造条件に規定したパラメータの管理
記録がない
32
• 承認申請書に規定した工程管理を実施した記録が
ない
• バッチ混合に際し、混合前のバッチすべてが対象工
程の原料規格に合格していることを確認していない
• 作業台にこぼれた原薬等を再利用している
• プロセスバリデーション時の逸脱について、遡及調
査を含め、具体的な処理の内容を記録し、バリデー
ション成立要件に影響がないことをバリデーション結
果報告書で考察していない
• 無菌製造エリアの環境モニタリングが作業時に行わ
れていない
33
• クラス100のブース内の環境を適切に評価していな
い
• 生菌数試験の培養期間が公定書で規定されている
期間より短く、その妥当性が示されなかった
• 無菌エリアで使用する着衣では、顔面の露出部分が
多く、汚染が否定できない
• 無菌ろ過工程後に使用する製造ライン内を蒸気滅菌
しているが、外気が侵入する経路がある
• 製品の製造記録に、一次容器のロット番号の記録が
なく、滅菌記録もない
34
• 薬液の無菌ろ過フィルターの性能試験を実施してい
ない
• 無菌化された原薬を扱うエリアのラミナーフローの確
認をしていない
• 充てん室のクリーンブース内に、汚染原因となる記
録用紙等を持ち込んでいた
• 輸送バリデーション時に使用する容器の気密性を確
認していない
• 無菌製剤の外観目視検査員の教育に使用されてい
る不良品見本について、品質管理部門の承認を得
ていない
35
• 高圧蒸気滅菌機の滅菌検証では製造所内で検出さ
れた環境菌をBIとしていたが、その熱抵抗性が考慮
されていなかった
• トンネル滅菌器内部に錆が認められたが対処されて
いなかった
• βラクタム系抗生物質の製造棟から別の製造品目へ
の汚染の可能性がある
• βラクタム系抗生物質の製造棟において各作業室の
排気口にフィルターが設置されていない
36
• 集塵機のバグフィルター交換時及び空調機HEPAフ
ィルター交換時にβラクタム系抗生物質の飛散防止
策を講じていない
• βラクタム系抗生物質の製造所内の飛散モニタリン
グを実施していない
• βラクタム系抗生物質に係る飛散モニタリングを実施
していないにも拘わらず、同一プラントで健康食品を
製造していた
• βラクタム系抗生物質製造棟の入退室の動線が着・
脱衣室で交差している
37
• 製造施設、機器の一部変更に伴うバリデーションが行
われていない
• 施設の保全・修理に関する手順がない
• 対象設備全体のメンテナンス実施計画書が作成され
ていないため、期限内に完了できる手順ではない
• 反応釜のサビがひどく、メンテナンスが十分とは言え
ないため、製品へのサビの混入、ドラフト上部からの
異物の混入の可能性が否定できない
• 外部に委託して行う設備機器の維持管理では、実施
項目の事前確認と報告書の内容を確認していない
38
• 機器の洗浄方法をバリデートしていない
• 研究開発段階の品目など洗浄方法が確立されていな
い品目に使用した機器の清浄度確認の方法がない
• 倉庫'製品倉庫(の清掃確認が不十分で、ゴミが集積
していたり、製品ラベルが剥がれて落ちていた
• 製造エリアの防虫防鼠管理に関するモニタリング箇所
が、データに基づき設定されていない'調査時に虫の
死骸や飛翔を確認(
• 昆虫相診断を行っておらず、適切な防虫対策'傾向対
策、防止策等(が実施されていない
39
• 天秤の日常点検に用いる標準分銅を定期的に校正
していない
• HPLC試験開始前にシステム適合性を評価していな
い
• 試験の指図書に、試験すべき項目および試験法が
指定されていない
• 試験記録書及び試液調製記録は、操作手順に沿っ
ておらず、結果の記録しかない
• 回収溶媒の規格、試験方法、使用回数について検
討していない
40
• 温度管理が必要な試薬の保管エリアの温度管理を
していない
• 粉末のpH標準試薬の使用期限に根拠がない
• 受け入れ試験、工程管理試験、製品試験および参
考品のサンプリング手順と記録がない
• 外部委託試験の結果報告書を照査し、保管していな
い
• 試験結果に異常の原因が明らかに標準品の品質に
あったにも拘わらず、標準品の品質確認をしていな
い
41
• OOS発生時の再サンプリング方法及び試験結果の
取扱い手順を規定していない
• OOSの処理の過程でラボエラーが否定された後、
製造状況等を十分に調査することなく再試験を行っ
ている
• 品質管理に使用しているシステムへのアクセス制限
がない
42
• 原材料の受入時に、検収作業をしていない
• 原材料の受入試験を、供給業者の適格性評価をする
ことなく省略している
• 原材料の受入れ試験を適正な手順により省略してい
るが、供給業者の試験成績書の確認をしていない
• 原料の使用期限、及び再試験後の有効期限を科学的
根拠に基づき設定していない
• 外部試験検査機関、製造委託先、主要な原料のサプ
ライヤーより、速やかに逸脱・変更の連絡等が得られ
るように品質取決め等を結んでいない
43
• 外部試験検査機関、製造委託先、主要な原料のサプ
ライヤーへの監査を、原料の種類、受け入れ試験結
果の恒常性、過去の監査結果を基にした評価等によ
り実施する手順がない
• 試験中、合格、不合格等の状態がわかるステータス管
理となっていない
• 不合格品、リテスト品に表示がなく、区別できない
• 原料をロットごとに付番していない
• 原材料をロット単位、または管理単位ごとに、明確に
区分して保管していない
44
• 冷蔵室内の温度マッピング'ワーストケースとして、夏
・冬(の結果に基づき、室温の測定位置を設定してい
ない
• 品質試験のサンプリングをユースポイントで実施して
いない
• 採取した水の試験までの保管期間等が規定されてい
ない
• 精製水の配管の一部が、一方向流で、殺菌処理を行
ったことが無く、未使用時には滞留しているため、配管
内でバイオフィルムが形成されている可能性を否定で
きない
45
• 精製水のモニタリング時にアラートレベルを超えたに
もかかわらず、調査し、記録を残していない
• 定期的な滅菌に使用する蒸気の品質確認をしてい
ない
• 定期的なリーク試験の結果を反映したHEPAフィルタ
ーの交換頻度を設定していない
• 差圧管理しているフィルターについて、アラートレベ
ル、アクションレベル等が設定されていない
• 空調排気側に設置された外部集塵機と、空調の吸
気口がとなり合わせに配置されている
46
• 包装工程の作業記録がない
• 包装工程で表示ラベルの収支記録がなく、使用した
表示ラベル見本も製造記録に残されていない
• 薬事法に定める記載事項が表示されているラベルの
発行について、製造部門が行い、品質部門が内容の
適切さを確認していない
47
PIC/Sについて
48
さらなるグローバルの時代へ
• ヘパリン問題からの学び
• 低コスト化:製造拠点の低コスト地域'中国やインド(への移動
• 国際共同治験が増加傾向
→ Global Drug Supply の時代へ
 PIC/Sへの加盟促進
 FDAやEMA等、合同査察'API、QbD)による摺り合わせ
→リアルタイムの情報共有、グローバルな監視体
制の実現に向けての方向
もはや1国だけで世界中の製造所を監視する
ことは不可能
49
PIC/Sの目的
PIC/S 1/95 3.より
PIC/S の目的は、公衆衛生を尊重し、以下の事項を実現することにある。
(a) GMP査察分野における相互信頼の維持と査察品質の向上を
はかるため、加盟当局の協力関係を推進・強化する
(b) 情報や経験を共有する枠組みを提供する'Voluntary basis(
(c) 査察官や関連の技術専門家を対象とする相互トレーニングを
開催する
(d) 製造所の査察及び公的試験機関で実施する試験に関する技
術的な基準と手順の改善、調和を図る為、共同の取り組みを継
続する '査察手順及び衛研の試験手順の確立(
(e) GMP基準の作成、調和、維持を目的とした共同の取り組みを
継続する
'共通のガイドライン作り(
(f) グローバルハーモナイゼーションを実現する為に、共通の基
準と手順を採用する為の国家協定を締結した他の規制当局との
協力関係を拡大する 'MRAとのリンク等を想定(
50
PIC/S加盟の必要性
①国民の安心・安全確保
→世界標準のGMPをクリアした医薬品'国内・輸
入(を日本国内に流通させる必要がある。
②リソースの有効活用
→適切で効率のよいGMP調査を実施する必要
がある。企業側がGMP査察にかかる人、コスト
も考慮する必要がある。
③日本の製薬業界にとっての影響
→「PIC/S GMP準拠」が他国で流通要件となる
ケースが見受けられる。
51
PIC/S加盟の必要性'続き(
補足
③日本の製薬業界への影響
→台湾への医薬品輸出にPIC/S加盟国の証明
書が要求される
※加盟できない場合のデメリットが懸念される。
52
PIC/S加盟にあたっての課題
'H21年~H23年度: 厚労科研班研究結果等から(
'1( GMP調査当局' PMDAと都道府県'収去品の試験施
設含む((の品質システムの整備、連携
→国内調査権者が同一の品質システムで動いていることを示す必要
あり。
'2( 個々のGMP調査員の質の確保'査察のパフォーマン
スが国際レベルである必要がある(
→調査員の資格要件の設定、教育訓練プログラム
→→3年に一度人事異動があっても査察レベルが維持できるシステ
ム/制度'国際的に納得が得られる説明(
'3( 国内GMP関連規制とPIC/S GMPガイドの同等性確保
53
PIC/Sガイドラインとの整合性確保
国際的なガイドラインとしてPIC/SのGMPガイド及びアネッ
クスを対象とし、日本国内のGMP関連の通知等との比較
分析を実施'平成22年7月から(。
国内通知等:本省通知、事務連絡、GMP/QMS事例集、生物由来原料基準等の法
第42条基準、局方参考情報、厚生労働科学研究'製剤GMP指針、試験室管理
指針、技術移転、変更管理、無菌操作法、最終滅菌法(、一部業界自主基準
背景:
★加盟に際して国内の規制とPIC/Sガイドとの同等性を示
す必要がある。
54
PIC/Sガイドライン比較分析WG
• PIC/Sガイドラインと日本のGMPガイドラインのGAP分析
を行った'事務局:PMDA品質管理部(
• GAP分析の協力団体
WG
分野
担当業界団体
WG1
GMP全般、固形製剤
製薬協・大薬協・東薬工・製剤ガイド作成班
WG2
無菌医薬品
無菌操作法ガイド改訂班
WG3
生物由来医薬品
東薬工、PDA製薬学会
WG4
放射性医薬品
日本放射性医薬品協会
WG5
医療用ガス
日本産業・医療ガス協会
WG6
植物由来医薬品
日漢協、日薬連
WG7
コンピュータシステム
CSV検討会
WG8
治験薬製造
治験薬GMP改訂班、他
WG9
血液製剤
血液製剤協会
55
ギャップ分析の結果
①GMPの対象範囲が異なる。PIC/S GMPでは医療用ガ
ス及び生薬の刻み工程がGMP適用となっている。
②GMPの基本的な考え方にはギャップはないが、各論的
'特定の設備に対する要件等(な部分で、国内ガイドでは
「具体的な記載がない部分がある。また、事務連絡、自主
基準等、その位置付けが曖昧なものに要件が記載されて
いる」。
★比較分析に多大なリソースの投入が必要であった。
→どこに何が書いてあるか把握しにくく、規制要件なのか
どうか等の位置付けが不明瞭なことに起因。
56
ギャップを埋めるための方策
必要な手当て'当初の考え(
①国内通知類の体系化'位置付けの明確化、すっきりさせる(
②埋める必要のあるギャップは補完し通知等で発出
★総合的に検討した結果、最終的な方策として
⇒PIC/S GMPガイドを国内ガイドラインの1つとして取り込む。
・早期に加盟するメリット。遅れた場合のデメリット。
・ただし、グローバルの観点から重要項目は施行通知へ取り込む。
PIC/S GMPガイド取り込みにかかる行政側ポリシー
◎業界サイドの現状を大幅に変える必要はない。
◎最終的には世界共通のGMPの運用を目指したい。より調和を進めるた
め、段階的に整備・整合化していきたい。
◎医薬品の品質保証の向上に結びつく継続的な活動に繋げたい。
57
PIC/S GMPガイド取り込み
当面
現在の体系
薬事法施行令
GMP/GQP省令
薬局等構造設備規則
拘
束
力
GMP施行通知
(監麻課長通知)
スリ
のス
運ク
用ベ
ー
通知等
(ICH Q7,
Q8, Q9,
Q10)
日本薬局方
参考情報
医療用ガス、生薬の一部
工程がGMP非適用
基準(生原
基、放薬基
等)
GCP省令
重要事項については
一部取り込み(年次
レビュー等)
GMP/QMS事例集
厚労科研班の研究報告の事務連絡
PIC/S GMPガイド
Part1及びAnnex 1~20(4,5,18,20を除く)
PIC/SGMPガイド
Part2(Annex18)
Annex20
Annex4, 5は動物
薬関係のため不要
※既に対応済み
医
療
連用
絡ガ
ス
事
務
生
事薬
務刻
連み
工
絡程
等
 品質確保のための参考となる手法と
位置付けて、リスクに応じ活用され
るものとする。
58
将来
最終的な体系(見通し)
薬事法施行令
拘
束
力
スリ
のス
運ク
用ベ
ー
GMP/GQP省令
薬局等構造設備規則
GMP施行通知
(監麻課長通知)
医療用ガス、生薬の一部
工程も原則GMP適用
基準(生原
基、放薬基
等)
GCP省令
GMP/QMS事例集
通知等
(ICH等)
PIC/S GMPガイド
 国内の指針を整理、段階的に順次統合。
 日本特有な取扱いは事例集に記載。
59
補足説明
• GMPガイドラインは、製品品質担保のための一例を示
すものであり、それ以外の担保の仕方については、従
来どおり、調査時に提示して頂きたい。
• PIC/Sのガイドラインは、PIC/Sにおける品質管理
手法の例示である。品質管理上のリスクに応じ製造業
者等がこれと同等以上の品質を確保していることを根
拠をもって示すことが求められているものである。
• 単純に書いてある通りに実施することはPIC/Sガイド
ラインの精神に反する。
• GMP調査時の「リスクベースの運用」に関する疑義等
については、「GMP調査当局会議」においても検討し、
60
制度の改善に努めていきたい。
ガイドライン関係の最近の動き
 PIC/Sガイドラインの活用事務連絡及びQ&Aの発出'H
24年2月1日付(→リスクベースの運用
 医療用ガスのガイドライン:
医療用ガスに関する製造管理及び品質管理の基準'自主基準(について
平成24年2月13日事務連絡
 植物性医薬品のガイドライン:
生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準'日本製薬
団体連合会自主基準(について
平成24年2月16日事務連絡
 GMP施行通知の改訂:H24年度中を目標に事例集の改
定も合わせて実施。現在、日薬連品質委員会を中心に
作業を依頼しているところ。
61
GMP施行通知へ盛り込む事項(案)
PMDAから施行通知改訂班に検討依頼した事項
●グローバルな観点
●品質保証の充実の観点 から以下の6点
1. バリデーション基準の全面改訂'バリデーションマスタープラ
ン、DQ/IQ/OQ/PQやプロセスバリデーション、回顧的バリ
デーション等 (
2. 年次レビュー'製品品質の照査(の導入
3. 経時安定性'オンゴーイングでの安定性モニタリング(
4. 参考品'製品だけでなく原材料も保管(
5. 原材料メーカー'サプライヤー(の管理
6. リスクマネージメントの概念の取り込み
◎ 施行通知の改訂に当たっては事例集での解説も含め、同
時期に発出を予定。
62
GMP調査当局会議:当局間の連携機能の構築
2つのネットワークで国内48調査権者の連携を構築
★47都道府県を7つのブロックに分け、各ブロック内での協力体制を構築。
★各ブロック代表、PMDA、MHLWから構成される「調整組織」を構築。
PMDA内に事
務局を設置
GMP調査当局会議
厚生労働省
'各ブロック代
表,PMDA,MHLW(
各ブロック間'各調査権者間(
のすり合わせ、サポート
トレー
ナー
チーム
各ブロック単位での調整
を基本とする:教育、内部
指示
すり合わせ
監査、調査サポート等。
ただし、PMDA所属トレー
ナーによるサポートも可能と
なるよう想定。
PMDA
GMPグループ
トレーナーの役割:
・GMP調査のテクニカル面でのサ
ポート・指導等
・教育訓練・内部監査等の支援
ト
レ
ー
ナ
ー
北海道・東北ブロック
ト
'ブロック内各都道府県
レ
ト
薬務課(
ー
近畿ブロック
レ
ナ
ー
Cブロック
ー
ナ
ー
全部で7ブロック
63
GMP調査当局会議の機能・役割
★日本として1つの品質システムであることを対外的に
示す。
→品質システム'SOP(の共通化
→PIC/S等アセスメント時のコンタクトポイントの役割
★GMP調査の質を確保する。
→他調査権者のトレーナー'ベテラン調査員(の利用制度
→継続的トレーニングの立案、教育資料提供
→指導内容の調整・均一化'調査時のサポートと被査察者からの
苦情受付/検証(
64
GMP調査当局会議メンバー'H23年度(
福島県、群馬県、東京都、富山県、静岡県、愛知県、大阪府、奈良県、
広島県、山口県、高知県、福岡県、宮崎県
厚生労働省監視指導・麻薬対策課
PMDA 事務局
GMP調査当局会議メンバー'H24年度(
福島県、神奈川県、東京都、富山県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、
広島県、山口県、徳島県、福岡県、沖縄県
厚生労働省監視指導・麻薬対策課
PMDA 事務局
65
調査要領の改訂
・GMP調査要領通知の改訂 本年 2月16日監麻課長通
知
日本の48調査権者が一体的となり、調査の質的向上を
目指すことを示している。
<主な改訂点>
・GMPに関連する部分のみを抜粋し、改正
・品質マニュアルを制定し、各調査権者で共通の
品質管理監督システムを構築する。
・査察の質を担保するために調査員の資格要件を定めた
・調査当局の品質管理監督システムの維持・相互
コミュニケーションのための 「GMP調査当局会議」を
定期的に開催することについて規定
・収去品等の分析をする試験検査機関を公的に認定する
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仕組みを規定
PIC/S加盟に向けた今後の課題対応(まとめ)
 調査当局及び試験検査施設における品質管理監督システムの運用
• 調査要領通知に応じた調査当局の手順書の整備
• 要件を満たす調査員の認定
• 試験検査機関の品質管理監督システムの整備及び認定
 教育訓練の一層の充実
•
•
•
•
リーダー調査員を継続的に確保するための教育訓練プログラムの整備
効率的かつ効果的な教育訓練の実施体制の整備'教育訓練資料の共有化等(
ブロック主催による合同模擬査察等の充実
要望により、PMDAによる査察同行指導'observed inspection(の実施
 調査当局間の連携
・ブロック内の共同での取り組み・情報共有の体制作り
 オンサイトアセスメントを踏まえた事前確認
• 調査当局及び試験検査機関における管理監督システムの運用状況の確認
'自己点検、ブロック内点検等、国・PMDAによる点検等(
 GMP施行通知及びGMP/QMS事例集の改訂
• 本来あるべき品質保証の観点から、施行通知の改訂と、あわせて事例集の改訂を行
う方針。
• 研究班での検討、都道府県との調整等を図った後に施行通知案に対するパブコメを
実施'本年末から来年1月初め頃を予定(し、本年度末の発出を目指す。
薬事戦略相談(1)
薬事戦略相談を平成23年7月1日より開始
【背景】
• 日本発の革新的医薬品・医療機器の創出に向
けて、アカデミア等の有望なシーズを円滑、効
率的に、創薬や医療機器開発に結びつけるた
め、製品の開発初期の段階から、薬事法での
承認に必要なデータの範囲やその取得に向け
た試験等について、指導・助言を行う相談事業
が必要。
薬事戦略相談(2)
【相談の概要】
• シーズ発見後の大学・研究機関、ベンチャー企業を主な
対象とし、医薬品・医療機器候補選定の最終段階から承
認申請に向けてのPOC試験程度までを目処に必要な試
験・治験計画策定等に関する相談への指導・助言
• 従来、確認申請制度で対応してきたヒト又は動物由来の
細胞・組織を加工した医薬品・医療機器の開発初期段階
からの品質及び安全性に係る相談への指導・助言
なお、従来実施していた、「細胞・組織を利用した医療用具又は医薬
品の品質及び安全性の確保等について'平成11年7月30日付け医薬
発第906号(」に基づく確認申請は、平成23年8月31日をもって廃止。
薬事戦略相談(3)
【詳しい内容はPMDAホームページでご確認ください】
薬事戦略相談(4)
【詳しい内容はPMDAホームページでご確認ください】
ご清聴ありがとうございました。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構
品質管理部
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル
TEL: 03-3506-9446 FAX: 03-3506-9465
PMDAホームページ: http://www.pmda.go.jp/
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