験震時報第5 9巻 (1 9 9 6 ) 1-5頁 福島県西部と新潟県北部の地震活動の相関 田口陽介*・吉田明夫** C o r r e l a t i o nbetweens e i s m i ca c t i v i t i e si nwestern Fukushimap r e f e c t u r eandi nnorthernNiigatap r e f e c t u r e dAkioYOSHIDA•• YosukeTA G U C Hド 出l ( R e c e i v e dDecember5, 1 9 9 5 : A c c e p t e dFebruary6, 1 9 9 6 ) Astract Thec o r r e l a t i o nbetweens e i s m i ca c t i v i t i e si nwesternFukushimap r e f e c t u r eandi nnorthernNiigata p r e f e c t u r ewasi n v e s t i g a t e d .Therei sanapparentc o r r e l a t i o ni nthes p a c e t i r r t ed i s t r i b u t i o no fearthquakes i nt h etwor e g i o n s,s e e nasatendencyf o rs e i s m i ca c t i v i t yi nt h etwor e g i o n st obecomehigherandlower i np a r a l l e l . I n order t o examine t h i sc h a r a c t e r i s t i cq u a n t i t a t i v e l y we c a l c u l a t e d two-year moving averages o f r e l e a s e ds e i s m i cenergyf o rt h etwor e g i o n s,andbycomparingthem,o b t a i n e dv a l u e sa sl a r g eas0 . 6 9f o r t h ec o r r e l a t i o nc o e f f i c i e n tbetweent h ecuber o o t so ft h eenergyr e l e a s er a t e s .Thisr e s u l ti n d i c a t e st h a t c r u s t a ls t r e s si sl i k e l yt oundergoco-changei nt h etwor e g i o n s .Nomajora c t i v ef a u l ti sknownalong t h a td i r e c t i o n ; we t h i n kt h e block s t r u c t u r eo ft h ec r u s t may be r e l a t e dt ot h i sc h a r a c t e r i s t i c . The e l u c i d a t i o no ft h eg e o l o g i c a lbackgroundt ot h es e i s m i cc o r r e l a t i o nremainsa saf u t u r et o p i co fs t u d y . ~ 1 . はじめに 算し,その c o i n c i d e n c eの統計的有意性を検定するとい 7 5 ) は,関東の地震と飛騨の梢 うものである.宇津(19 新潟県北部と福島県西部の地震活動の間に相関関係の 深発地震との関係の調査に初めてこの方法を用い,両地 認められることが,吉田ほか(19 9 5 ) や東北大学理学部 域の地震活動に相関があることを指摘した(吉田 ( 19 9 5 ) によって指摘されている. この相関性は両地域 ( 19 9 4 ) も参照). に発生した地震の時空間分布図や M-T図から推定され そのような個々の地震の発生時の対応を見るのではな ているもので,それを立証するためには更に定量的な評 0年というやや長期的な時間スケールでの く,数年から 1 価を行ってみることが望ましい.本論文ではそうした考 地震活動の活発化や静穏化傾向の一致から相関のあるな え方のもとに,上記の二つの地域の地震エネルギー解放 しを判断するという方法もある.吉田・高山(19 9 2 )は 量の変化曲線を求め,活発化の時期のずれも考慮しなが そうした考え方に基づいて近畿トライアングル周辺地域 らそれらの間の相関関係について調べた結果を報告する. の地震活動の相関を調べ,美濃の活動が丹波、和歌山の なお,データは気象庁地震月報及び同速報の震源を用 . l' f ; こ. ~ 2 . 方法と結果 離れた地域間における地震活動に相関があるかどうか 活動に比べて 3年ほど先行する傾向を持つことを示した. 地震活動の相関解析には,これら以外にも種々の方法 がこれまでに試みられている.例えば, Tsuboi ( 19 5 8 ) は日本列島をさしみ状に切って,各領域に発生 した毎年の地震数の間の相関関係を計算し,互いに影響 を見るにはいくつかの方法がある.よく使われるのは, を及ぼし合う区域として地震プロビンスという概念を提 一つの地域で地震が発生した前後,例えば l年以内に他 唱した.また,三浪・山崎(19 91)は,同じく日本列島 方の地域で地震がどのくらいの比率で起きているかを計 とその周辺を 0 . 50 x0.5 0 の領域に区切って, 1 0 0日間 毎の前後の期間で地震数が増大したか減少したか,その 本若松測候所, WakamatsuW eatherS t a t i o n センスの一致性から相関の有無を調べた. 日気象研究所地震火山研究部, SeismologyandVo l c a - 我々の目的にとって,実は以上述べたどの方法も適当 nology Research Department, M e t e o r o l o g i c a l ではない.というのは, F i g . 1に見えるように,今の ResearchI n s t i t u t e 場合,二つの地域の地震活動の相関性は個々の地震の発 験 震 時 報 第5 9巻 第 3-4号 3 4 A 。 o o 0 o 8 ・ o 。 '00 0 。 Q 90 。 。 . @ cx) 。 " " : . 。o 司 司 申 。。 _ . . . Q 0 Blae' 0 0 。 • 0 ・ . ・ . ・ ・ 0 ・6 ・ e 。句。 ~O 。 。 、 。.?? E E . E h E ・ ・ 140 E 139 E F i g . 1 Space-timed i s t r i b u t i o no fearthquakes(M孟2 . 0,depth孟30km),whichoccurredi n northernN i i ga t ap r e f e c t u r eandi nwesternFukushimap r e f e c t u r eduringt h ep e r i o dJan, 1 . 1984-Mar.3 1,1 9 9 5 .N andA Wi n d i c a t eNiigatac i t yandAizu-Wakamatsuc I ty,r espech v e l y .A f t e rYoshidae tal .( 1 9 9 5 ) . ・ • 6 。 。 ﹃ ︼ ・一 一. - 。 月 。 。2・ ・ 。 。 。 . . . ・ ー . 7 1 N r e gi o n 6 5 3 2 1 9 8 4・ 1 9 8 5・ 1 9 8 6' 1 9 8 7' 1 9 8 8' 1 9 8 9' 1 9 9 0' 1 9 9 1'1 9 9 2・ 1 9 9 3・ 1 9 9 J M765 。 o .。剤三:? e 。 ~L・命。由 , - 7 A V 2 1 : 樹立ダ¥ V 5 0 4 0 I~." ふ/ぐ ペ ! .0 d ' 0 必位 。万 五 8 Oq 38 ・N 。。 0 。 嘉 日 。 . 。 。. M I; . " F r e g i o n 寸川山 F i g . 2 Magnitude-timediagramsf o rseismica c t i v i t i e si nnorthernNiigatap r e f e c t u r e(Nregion:t o po ft h er i g h t )andwesternFukushimap r e f e c t u r e(F-region:bottomr i g h t ) . つ'臼 munumumunU U 内 numumumυ U 内 9 │ ﹁J ││叶lイ111JIl--叶Jぺ 11﹂ 5 一一一一一 一一一一一 QU GV 一一一一一ぃ一一一一一 一一一九九山一日一一一ハ︾ 一一一一 T'4t'rlト│l ﹂ L ω numumumり mumununり mumU 864288642 QV 3 8 ι 一 一 一 QV EEιEEKF-Qυ 一一一一一一件いい一 7 QV 一一一ル一一一一一一 FN⋮⋮⋮ 一 r卜⋮⋮ Q υ 一∞山 l 一一 一一一一一 9 ・ 一 .⋮河一::一::一:・吋・:一::一:: :: ::寸引 ι d ⋮∞⋮⋮⋮ミ⋮⋮⋮⋮一 8 一一一一一一戸一一一一 一一一一⋮ 、一一 一 一一一一一暢一 一一一一いず 一一一一一一一﹂一一 一一一一一一一一一一ハ︾ 一一一一一一一一一一 GU 一い一一一一いいい一 ﹁│ぺ 111 ﹁JIl-﹁﹂ 5 一-JI-l 200 mumumumυη り numununumU 8 64288642 -3- 8864288642 211111 JV 一一一一一一一寸凶戸山山一ハ︿ V ↑ ﹂一一一一一一 一一一一一一一一一回,一 一 一一一 QV OL--:ド::ド::ド::ド::ド:・ト::ド:・﹄::ド::﹁ 。一⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ │ l y ⋮一 2 r 一 ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ・ ι‘ ⋮ 一 一一一一一一一い h v一 一 一 Qu e S T・ -・ド::ド::ド::ド::ド::ド・:訓・:ド::ド:・十 b 一⋮⋮⋮⋮⋮⋮句⋮⋮一 u ー 一 一 一 一 一 一 九 、 ふ 一 一 一 GU c 一一二一一司、一一一一 mmu 一日日一一一﹄一一一一一 一 一 一 一 一 一 , 1EH 一 一 一 Qv v t 一 一 い い い い い ﹄ ー ー ー 一 一 一 Qv n U ﹄ }lIF---小 一 中 小 i 2 喝 小 中 一 R ・ ﹁9 ・ ﹁ : : 川J Jil -司ぺ J一 d.J 一 一 一 一 一 一ぺ::門l E ↓一J一J一 N 一⋮一一一一⋮⋮ 〆 -J ト一鈴 仁﹂一一一 一一一-,叫・一 C 一 一 一 一 一 一 一 い い し w-8 一 日 リ 一 日 目 山 ﹄ ぃ ー ー し lhJ 一 。 。 MH-F h寸1111⋮一 GU ⋮⋮一一⋮ a司叶一一一 ぐ 同ー川 一 一 一 一 一 一 司 l叶1 一 一 一 一 ワ I 一⋮一一⋮一 d一 一 一 一 一 8 一⋮⋮⋮⋮ 1 ⋮⋮⋮一一 9 E S ω 一一 n 一 一 一 一 同 一 一 一 一 一 ハ O 一一 O 一 一 一 目 出 向 ﹁ 一 一 一 一 8 一一i 一 一 一 JI--H一 一 日 一 9 斗 : : ⋮ mw :: :: :: :: -JU出: ::寸 5 日 一一⋮一“.:プ:⋮: ー ゴ⋮⋮一一一 ﹄ 一 一 8 + 一 一 llFい い い 一 ぃ 一 二 FL 一 一一件一一⋮⋮⋮⋮⋮吋一一 e 8 4・:・ 1・ Ji---J:JI--・ 7 1 J R・1・:TA斗 m u 一一一一一一一一一 一一 ・ ・一 一一一小一一一一一 一。。 一一一⋮一いル一一一一 QV lmumumumumumumumumり mumu ・ n B864288642 U211111 F i g . 3から,両地域のエネルギー解放量の変化はそ 目して 2年間 ( 7 3 1日)の移動平均をかけて相関係数を 2/3乗等の量は,前震活動の変化や,前兆的な活動状 つ,その活発な時期が互いに重なっているように見える のものだと相対的に大きな地震の寄与が支配的になって 生時や数の多寡の対応ということではなく, 1 9 8 4 1 9 9 4 1/3乗 , しまうことによる.エネルギーの 1/2乗 , 3回の活動期と静穏期を繰り返していて,か 年の間に, S E I S 門I CE N E R G Y ( c u b er o o t ) unit:l.00e+02 20O 3 5 福島県西部と新潟県北部の地震活動の相関 F i g .3 V a r i a t i o ni ntwo-yearr n o v i n ga v e r a g e so ft h ec u b er o o to fr e l e a s e ds e i s r n i c e n e r g yi nt h eN(top)andF( b o t t o r n )r e g i o n s . という形で現れているからである.この特徴を考慮に入 況の変化を定量的に扱う際,あるいは室内実験での微小 れた相関性を調べるために,ここでは地震エネルギー解 破壊の AEの処理などでよく使われる(例えば, Wue t 放量を比較することとし周期 3年程度の変化に特に着 al .( 19 7 8 ),丸山(19 9 5 ) ) . 計算した. 9 9 4年から再び れぞれが二つの山をもち,かっ双方とも 1 F i g . 2に相関を調べた二つの領域の範囲と,それぞ i g . 3は両 れの領域に発生した地震の時系列を示す. F 活発化している様子が見てとれる. F i g . 4はこの関連 性を e x p l i c i tに見るために,横軸に新潟地域,縦軸に福 地域の地震エネルギー解放量の 1/3乗を 7 3 1日移動平 島地域のエネルギー解放量をとって,同日の値を対応さ 均して,その日々の変化をプロットしたものである.エ せてプロットした散布図である.この分布の相関係数を ネルギー解放量の 1/3乗をとったのは,エネルギーそ 計算すると o .3 5となってそれほど大きな値ではないが, 3 6 験震時報第5 9巻 第 3-4号 SE工SM 工C ENERGY (cuberooヒ . 日 目e + 日2 u n i t :1 SE工SM 工C ENERGY (cuberoot) unit:1.00e+ 日2 2日 目 200t 1 8 0t - 180-t・…一÷…ー ・ . 160 十一...~…・… i 160-1……ふー 1 4 0t - 1401 51泊 1 … ・ -j-(j--J- ャL.l.~r-~,....l......l..... ......~ 5宮~ 叩 1 日 日 肘 4 十 . 一 … … … … . 一 … … … . 一 … … . 一 … . 一 斗 . ‘ ' . . .; 止初十 . . . . 4 1 ・ . ・ ・ ・ ・ 壇 且 ・ ・3・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ト ・ ・ ・ ・ ・ 一戸 ?d . ー 司 ・ ・ ・ : ~.ゐ 同 ....a ...i......~ ・ ~..~..f....~.f-..f...!.i.......f 60 -1一一一~.汚・ 1 4日十一・…… i …一; 3守桝・; 20t ・ j 201 . 日! 日 2 日 4 0 60 801 日 目 1 201 4 日1 6 01 8 0200 0t 日 2日 4 日 6 0 801001 2 日1 401 6 日 18020 日 仲 間g i o n N -region F i g . 4 Diagramshowingd i s t r i b u t i o nbetween d a i l yv a l u e so ft h etwo-yearmovinga v e r a g e so f t h ecuber o o t so fr e l e a s e ds e i s m i cenergyi n t h eFandN r e g i o n s . 1 .0 F i g .6 Diagram showing d i s t r i b u t i o n between t h e d a i l y v a l u e s o f t h e two-year moving averages o ft h e cube r o o to fr e l e a s e ds e i s m i c energyi nt h eF andN r e g i o n s,whenv a l u e si n t h eN r e g i o naret a k e r i2 9 5daysi nadvanceo f t h o s ei nt h eFr e g i o n . 0 . 8 -1……………・ ・ … . . . . . . ・t .・・…・...・ ・……- 以 H 586l j - H ふ……… H . . f . . . . . . . . .シ〆戸力-で U ~: 吋 ・ 0 . 4+ … ・ ・ ・ ・ … . . . ・ ・レ;:.……・・・・ 2 ・・・・ ・ H 斗 . H H / H H H f 斗~ I ω0.2 -j・……・ ・ ・4………. . V-……}… ・ ・1・・・ … _ . . ・ ・ 1 ・・・ o ~: H H H H H H H u 0 .0 ~j 二/' ロ ノ ペ 一 、 一 ・ . を見た F i g . 5から明らかで,高い相関係数は福島県西 5 0 3 0 0日ほど遅らせて対応させた時に得ら 部の活動を 2 れる.相関係数が最も大きくなるのは福島県西部の活動 9 5日遅らせた場合で,その時 を新潟県北部の活動より 2 弓 . 0 . 2十 ー ト 司 ・ ・ … . ; . . . . . . . . . . . ; . . . . . . . ,. . . . f . u ./ ~ -0.4 ドと・ H ・ .....~...........j............~ .6 9である. F i g . 6に最大の相関係数を与える の値は O 時の散布図を示す. ω 口 十 . 日 … … . 日 … … . … … . 日 … . 日 … . . : 斗 十 ; ト . … … . 日 … … . 日 … … . … … . … … . 一 … … . 一 … … . 一 … . 一 … . 一 斗 . 。-0.61 9 9 4年 1 2月 1 7日まで なお, ここで相関係数の計算には 1 u 0 .8~..………÷… 9 9 4年 1 2月 1 8日に のデータを用いている.というのは, 1 十 ・ i g . 2に見るよう 福島県西部で M5.5の地震が発生し, F ー 1 .0.Ji-----i・『 -3O 0 -2O0 1 0 0 0 1 0 0 2 0 O 3 0 O time lag ( d a y ) に,それ以降,福島県西部と新潟県北部の両地域で地震 F i g . 5 Variation i nc o r r e l a t i o nc o e f f i c i e n tR between t h e cube r o o t so fr e l e a s e ds e i s m i c e g i o n s,whentimel a gi s energyi nt h eN andFr t a k e ni n t oc o n s i d e r a t i o n . Plus v a l u e s on t h e a b s c i s s ar e p r e s e n tc a s e s where t h er e l e a s e d energyi nt h eN r e g i o ni stakeni nadvanceo f t h a ti nt h eFregion( u n i t :day)i nc a l c u l a t i o no f t h ec o r r e l a t i o nc o e f f i c i e n t . 活動が著しく活発化したために, 1 9 9 4年 1 2月 1 8日以降の 活動も入れて解析するとその影響が強くでて,見かけ上, 相関係数が非常に大きな値となってしまうからである しかし,この双方の同時的活発化自体も,いってみれば 互いに関連しあっていることの有力な証左と見ることが 0 4日後の できる.福島県西部で M5.5の地震が起きた 1 1 9 9 5年 4月 1日に,新潟県北部で M5.5の地震が発生し た.もし新潟県北部の地震が福島県西部の活動に追随 実は, F i g .' 3からも推定されるように,これら両地域 する傾向があることを前もって知っていたならば,福島 の活動には活発化の時期にずれが存在するそのことは 県西部で M5.5の地震が発生した時点,あるいはそれに 対応させる日にちをずらしていった時の相関係数の変化 伴って新潟県北部でも活動が活発化した時点で,その後 -4- 3 7 福島県西部と新潟県北部の地震活動の相関 の推移にもっと注意を払うことができたかもしれない. はないかという考えがいろいろなところからでてきてい このことは,本論文で行ったような地震活動の相関解析 る.そうした同時的,あるいは時間差を持った相関現象 が,将来の活動の推移を予測する一つの判断材料として の解析を進めていくことは,地殻の力学的構造の解明に も活用しうる可能性があることを示している. つながり,ひいては内陸地震の発生の仕組みを明らかに ~ してその予知を達成するうえで重要な礎石となると思わ 3 . 議論 れる. 二つの地域の地震活動に相関が見られるということは, それらの地域が力学的に互いに影響しあっていることを 参考文献 示している.そのような離れた地域間に力学的な相互作 丸山卓男(19 9 5 ) 用を生じさせる背景には何があるだろうか.すぐに思い N o . 19 ,6 8-75. 浮かぶのは地殻のブロック構造である.地表で観察され 中国の地震予知,地震ジャーナル, 三浪俊夫・山崎義典(19 91 ) :日本付近における地震活 る主要な活断層や構造線はそのようなブロック構造の一 動の地域的な相関性,福岡教育大学紀要, 40;71-81 . つの現れであるが,この他にも地下には隠れた構造が存 Tsuboi,C .( 19 5 8 ) :Earthqua k . eprovince-domaino f 在すると推定される.地震活動の相関や移動現象は,今 s y n p a t h e t i cs e i s m i ca c t i v i t i e s -,J .Phys.Earth, のところそうした隠れた構造を探る数少ない手段の一つ 6 ,3 5-49. 東北大学理学部(19 9 5 ):1 9 9 5年 4月 1日に新潟県北部 であるといってよいだろう. 著者らは,地殻のブロック的構造とそれに関連した応 力の伝播,あるいはそうした構造を通しての局所的な応 力の蓄積過程を解明することは,内陸地震の発生メカニ ズムを理解する上で決定的に重要な意味を持っと考えて で発生した M6.0の地震について,地震予知連絡会会 報 , 5 4,1 0 61 1 0 . 宇津徳治(19 7 5 ):関東地方の地震と飛騨地方の梢深発 地震との相関について,地震 2,2 8,303-311 . いる(吉田ほか(19 9 6 )).そのような重要性を鑑みるな Wu,K.T.,M.S .Yue,H.Y.Wu,S . L .Chao,H.T. ら,地震活動の相関や移動現象の存在の有意性を議論す るにあたってはできる限り定量的な評価を行うことが望 Chen, W.Q. Huang, K.Y. Tien and S.D. Lu ( 19 7 8 ) : Foreshockst ot h eHaichengearthquake ましい.先にも述べたように,相関現象の解析には地震 o f1 9 7 5 . C e r t a i nc h a r a c t e r i s t i c so ft h eHaicheng 活動のどのような特徴に注目するかによっていろいろな earthquakeCM=7.3)sequence,ChineseGeophy- 手法が考えられる.本論文は,これまでに試みられた方 s i c s,AGU, l .289-308. 法とは異なる新しい手法を用いて福島県西部と新潟県北 吉田明夫・伊藤秀美・細野耕司(19 9 6 ):内陸地震発生 部の活動の相関解析を行い,その間に有意な相関が認め の直前に地質構造帯に沿って現れる地震活動の前兆的 られることを示したものである.ただし,この力学的な 関係性が地学上のどのような構造に対応しているのかに 静穏化,地学雑誌, 1 0 5,15-25. 吉田明夫・高山博之(19 9 2 ):近畿トライアングル周縁 ついては,今のところ明らかではなく,今後の問題とし 域の地震活動の相関とその意義,地学雑誌, 1 01 .3 2 7 て残っている. 3 3 5 . 最近,地震活動は広域的に関連して変化しているので - 5一
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