JSAF外洋内海特別規定 内海限定基準

JSAF外洋内海特別規定
内海限定基準
2010年版
JSAF外洋内海
安全委員会
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第 1章
1.1
基本規定
規定の目的と使い方
この特別規定(内海限定基準)の目的は、 内海でレースを行うヨットに対し、安全に関
する共通の最低基準を設定したものであり、他のヨットレース規則等にとって代わるも
のではない。従って、各艇がより高い安全基準を目標にすることを望むものである。
また、内海でレースを行うすべての組織がこの特別規定を採用することを強く推奨する。
1.2
艇の責任者の責任
(a) 艇と乗組員の安全の確保は、艇の責任者の避けられない責任であり、艇の責任者は所有
艇を最良の状態で十分な耐航性を有するように保持し、荒天の海にも対抗できる経験
十分なクルーを乗り組ませるように万全をつくさねばならない。艇の責任者は船体、
スパー、リギン、セール及びすべての備品を確実に整備し、また安全備品が適正に維
持格納され、それらの使用法と置き場所をクルーに熟知させておかなければならない。
(b) この特別規定の制定、使用、およびこの規定に基づく検査の実施によって艇の責任者の
完全かつ無限の責任は何ら軽減されるものではない。
(c)
レースに参加するか、またはレースを続けるかについての艇の決定の責任は、その艇
のみにある。
第 2章
規定の適用と基本条件
2.01 内海限定基準
短いレースで、陸に近く、比較的温暖な、あるいは遮蔽された水域で行われるレース。
通常は昼間に行われる。
2.2
検査
ヨットは随時検査される。この特別規定に従っていないヨットは、レース出場を拒否さ
れるか、または失格とされるか、あるいはナショナルオーソリティかレース主催団体が
定める罰則の適用を受ける。
2.3
基本条件
(a) すべての必要備品は下記の条件を備えていなくてはならない。
・ 適切な機能を有すること。
・ 即座に使用できる場所にあること。
・ ヨットの使用目的、大きさに適合する型式、寸法、容量のものであること。
(b) 重量物の強固な固定
インサイドバラストや艇内の重量備品(バッテリー、ストーブ、ガスボトル、タンク、
エンジン、船外機など)およびアンカーとチェーンを含むすべての重量物は 180° 転覆
してもその位置が動かないように強固に固定しておかなければならない。
(c) 本規定にない重量物についても、同様に強固に固定されていること。
(d) 航海灯の使用
ヨットは海上衝突予防法の規定による航海灯を点灯できなければならない。(すべての
ヨットは両色灯と船尾灯を必要に応じて点灯できなくてはならない。)
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第 3章
3.1
構造上の要点と固定された装備品
一般事項
ヨットは強固に建造され、水密でなければならない。特にハルとデッキ及びキャビンは
激浪やその衝撃及び転覆の状態にも耐えうるものでなければならない。またヨットは適
正なリグが装備され、バラストが取付けられ、完全な耐航性を持ち、かつ以下に述べる
基準に合致していなくてはならない。
3.2
ハルの水密の完全性
デッキ、コーチルーフ、窓、ハッチ及びその他のすべての部品を含むハルは完全に水密
でなければならず、いかなる開口部も同様、この基本的な水密性の完全性を即座に、確
実に保つことができなければならない。センターボードダガーボードのケースはハルの
内側に開口部があってはならない。
3.3
スタビリティ
モノハル艇
ヨットは転覆に抗するように設計され建造されていること。ナショナルオーソリティま
たはレース主催者は厳守すべき最低限のスタビリティまたはスタビリティ/浮力の指数
を示してもよい。
3.4
非常出口
モノハル
1 号艇進水が 1995 年 1 月以降で 8.5m(28ft) 以上のヨットは2つの脱出口を持たなけ
ればならない。1つは構造的に取付けが不可能な場合を除き最も前のマストより前に
設置すること。
3.5
ハッチ及びコンパニオンウェイ
(a) ハッチ
最大船幅ステーションより前方には 0.071 ㎡ (110 平方インチ ) より小さな舷窓を除いて
は内側に開くハッチを設けてはならない。ハッチは 90° ヒールした状態でも水面上にあ
るように配置すること。すべてのハッチは恒久的に取付けられたもので、即座に閉じる
ことができ、 180° 転覆しても確実に閉鎖された状態を保てなければならない。
(b) コンパニオンウェイ
コックピットコンパニオンウェイがメインデッキレベルより下方に及んでいる場合には 、
開口部の横ではシアーラインのレベルまでせき止められるようになっていなければなら
ない。すべての閉鎖装置(例 ウォッシュボード)は、ハッチが開閉のいかなる場合で
あってもその位置にしっかりと保持できなければならない。また、流出の恐れがないよ
うにラニヤードが他の機械的な方法でヨットと強固に連結したものでなければならない。
3.6
マストステップ
キール上にステップのあるマストの下端は、マストステップまたは隣接する構造物に固
着されていること。
3.7
固定されたバウパルピット
(ヘッドステーより前方)及びスターンパルピット(スターンパルビットに代わるよ
うに適切に配置されたライフラインでもよい)が設置されていること。
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3.8
ライフライン
(a) ライフラインはワーキングデッキの回りを連続して、効果的に取り囲んでいる必要があ
るが、パルピット内では適当に設置された水平のレールで代用してもよい。 ライフラ
インは必ずしもバウパルピットに固定されなくてもよいが、その場合ライフラインは
バウパルピットの内側にオーバーラップし、十分強度のあるスタンションを通すか、
それに固定されなければならない。
(b) ライフラインは 2.2m(86.6in) 以内の間隔で恒久的に支持されていなければならない。
また支持するスタンションの外側を通ってはならない。
(c) ライフラインはピンと張ること
目安としては支持点の中間点で 50mm 以上は変形しないようなテンションである。
3.9
ライフラインの垂直方向の開口寸法
(a) 8.5m(28ft) 未満の艇
ライフラインはワーキングデッキより 445mm(17in) 以上の高さで、ワイヤーを用いて
タイトに張られていること。ライフラインの垂直方向の開口寸法は 560mm(22in) を越
えてはいけない。また中間のライフラインがある場合は、垂直方向の開口は
380mm(15in) を超えてはならない。
(b)8.5m(28ft) 以上の艇
ライフラインは 2 段でタイトに張られていること。上段はワーキングデッキより
610mm(24in) 以上の高さであること。ライフラインの垂直方向の開口は
380mm(15in) を超えてはならない。但し、 93/1 月前の艇は垂直方向の開口が
560mm(22in) を超えてはならない。
(c) すべての艇
中間のライフラインがあるヨットは、中間のライフラインは、ワーキングデッキより
230mm(9in) より低くてはいけない。
3.10 ライフラインの材質と最低強度
すべてのライフラインはステンレスの縒り線、またはダブルブレードダイニーマで最小
が下記の太さであることを推奨する。
(a) 8.5m(28ft) 未満の艇… 3mm(1/8in)
(b) 8.5m-13m の艇… 4mm(5/32in)
(c) 13m(43ft) 以上の艇… 5mm(3/16in)
3.11
ライフラインをしっかりと張る
合成繊維のロープをラニヤードとしてきつく張ってもよいが、その場合ラニヤードによ
る部分の長さは 100mm(4in) を超えてはならない。このラニヤードは少なくとも1年に
一回は取り替えること。ライフラインの囲みを構成する全てのワイヤー附属品、固定ア
ンカーポイント及びラニヤードはすべての場所で少なくともライフラインのワイヤーに
必要な破壊強度を持つこと。
3.12 スタンションの概要と材質
デッキより上方 50mm(2in) 以内では、スタンションがデッキまたはベースから出たと
ころからの水平移動距離が 10mm(3/8in) 以上になってはいけない。またスタンションは
デッキより 50mm(2in)mm 上の上方でのどんな点でも垂直より 10° 以上傾けてはいけな
い。スタンション、パルピット、ライフラインはカーボンファイバー製であってはなら
ない。
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3.13 トイレット
安全強固に取付けられたもの、または固定されたバケツ。
3.14 寝台
安全強固に取付けられたものとする。
3.15 有効な台所設備を設置すること。
3.16 ビルジポンプ
(a) コックピット後部が艇外へ開口している艇以外は、ビルジポンプからコックピットに排
水してはならない。
(b) ビルジポンプ1台以上で恒久的に固定されたハンドル以外は、ロープまたは固定器具、
あるいはそれらに類する方法で、予期せぬ事態でもハンドルを紛失しないように方策
を講じておくこと。
3.17 バケツ
少なくとも8リットル以上の容量のある頑丈な作りのバケツ2個。各々ラニヤードを
付けること。
3.18 コンパス
磁気マリンタイプで船体に正しく取付けられており、修正済みであること。
3.19 マスト
各々 1 枚のセールをあげることのできる 2 本以上のハリヤードを持たなくてはならない。
3.20 推進用エンジン
推進用エンジンの備え付けは、 180° 転覆してもその位置が動かないように強固に固定
され、エンジンが駆動中にカバーがしっかりとでき、排気系統及び燃料系統も同様に安
全強固に取付けられ、荒天による影響から適切に保護されていなければならない。
なお、取り外してキャビンに格納された船外機、燃料タンクなどは、本規定にない重量
物とみなす。
2.03 ( c ) 参照
3.21 燃料と燃料タンク
上記、強固に固定された推進用エンジンを装備しているヨットは、最低基準量以上の燃
料を、同様に強固に取付けられた燃料タンクに搭載しなければならない。この最低基準
量はレースのノーティスに明記してもよいし、そうでない場合は、レース中に必要に応
じてバッテリーを充電でき、かつ、( 1.8×√LWL(m) )ノットまたは(√ LWL(ft) )ノ
ット以上で少なくとも 8 時間は機走できるだけの十分な量であること。
3.22 ラジオ(気象通報が受けられるラジオ)を装備すること。
3.23 通信手段(何らかの通信手段)を有すること。(携帯電話可)
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第 4章
ヨットの可動装備と補給
4.01 セールナンバー
(a) すべてのスピネーカ―及びクルーからラフへの垂直線がフォアトレイアングルの底辺の
130 %より大きいすべてのジブ及びメインセールはセールナンバーを付けていなけれ
ばならない。
(b) セールナンバーはナショナルオーソリティかステートオーソリティによって割り当て
られる。
4.02 木栓は柔らかい木で先が細く、栓を必要とする備品に取付けるか、近くに設置しておく
こと。
4.03 消火器
1個以上の消火器を適切で取り出しやすい場所に設置すること。
4.04 アンカー
艇に適当と考えられるアンカーと、適当なチェーンを即座に使用できる状態で固定し、
いつでも引き出せること。
4.05 フラッシュライト
少なくとも1個のフラッシュライト。防水型であること。
4.06 救急医薬品
ヨットは、推奨されている説明書のガイドラインに従った内容を持ち、保管し、航程状
況と期間、乗員の数に適した医薬品キットを持つことを推奨する。
4.07 フォグホーン
1個以上のフォグホーンを装備すること。
4.08 海図一式(電子式のみは不可)、灯台表および作業用具一式。
4.09 頑丈にできた格納表
安全備品について何処に収納してあるかを記載した頑丈な表をメインキャビンの最も見
やすいところに掲げること。
4.10 修理工具及び予備部品
有事の際のスタンディングリギンを切断できる適当な工具を含む。
4.11 ヨット名
ライフジャケット、オール、クッション、ライフブイ、ライフスリング等、浮力のある
様々なものには必ずヨット名を記入すること。
4.12 ライフブイ、ライフスリング、ライフラフト及びライフジャケットにはマリングリード
のレトロリフレクティブ材(回帰性平行反射材)が取付けてあること。
4.13 信号焔
船舶検査で限定沿海に必要な信号焔を防水の容器に収納し、有効期限内をクリアーする
こと。
4.14 ヒービングライン
長さが 15m- 25m(50ft - 75ft) で、コックピットからすぐつかえる位置に置くこと。
( 安全委員会ではスローイングソックタイプを推奨している )
第 5章
個人装備品
5.01 ライフジャケット
各乗員に1着づつとし、各ライフジャケットにはホイッスルとマリングレードのレトロ
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リフレクティブ材が(回帰性平行反射材)付けてあること。また、膨張式ライフジャケ
ットは空気の保持の確認を毎年行うこと。
5.02 荒天用衣料(オイルスキン)
荒天用衣料には、マリングレードのレトロリフレクティブ材が(回帰性平行反射材)付
けてあり、その上部と袖の部分には目立つ色が使われていなければならない。
第 6章
トレーニング
6.01 艇上での日常訓練
クルーは落水者救助を含む安全手順を妥当な期間ごとに繰り返し復習することを推奨す
る。
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JSAF外洋内海特別規定チェックリスト (内海限定)
項
第2章
2.03 基本
条件
目
(a) すべての必要備品が適切な機能を有し、即座に使用できる場所にある。又、ヨットの使用目的、
大きさに適合する。
(b) 艇内の重量備品、及び重量物が 180°転覆しても動かないよう強固に固定されている。
(c) ヨットの備品と艤装品の固定
(d) 航海灯(両色灯、船尾灯)の点灯確認
第3章
構造上の
要点と固
定された
装備品
3.01 ヨットは強固に建造され水密である。
またヨットは適正なリグを装備し、バラストが取り付けられ完全な耐航性をもっている。
3.02 ハルは水密性の完全性を即座に、確実に保つことができる。
3.03 スタビリティ(ヨットは転覆に抗するよう設計され、建造されている)
3.04 非常出口(2つの脱出口を持っている)
3.05 ハッチ(流出しない方法)
3.06 マストステップ(マストと固着する)
3.07 固定されたバウパルピット及びスターンパルピット
3.08 ライフライン
(a)ワーキングデッキの回りを連続して、効果的に取り囲んでいる必要がある。
(b)2.2m(86.6in)以内の間隔である。
(c)支持点の中間点で 50N(5.1kg)の力をかけても 50mm 以上変形しない。
3.09 ライフライン垂直方向の開口寸法(詳細冊子参照)
3.10 ライフラインの材質と最低強度(詳細冊子参照)
3.11 ライフラインをしっかりと張っている
3.12
スタンションの概要と材質(カーボンファイバー製ではない)
3.13
安全強固に取り付けられたトイレット(又はバケツ)であること。
3.14 安全強固に取り付けられた寝台であること。
3.15 有効な台所設備を設置している。
3.16
3.17
(a) 排水方法
(b)ポンプ 1 台以上でハンドルを紛失しない
少なくとも8リットル以上容量のあるバケツが 2 個あり各々ラニヤードを付けている。
ビルジポンプ
3.18 マリンタイプの磁気コンパスが船体に正しく取り付けられており、修正済みである。
3.19
マスト(各々 1 枚のセールをあげることのできる 2 本以上のハリヤードを持っている)
3.20 推進用エンジンが安全強固に備え付けられている。
3.21 燃料と燃料タンク(最低基準量以上の燃料を搭載している)(詳細冊子参照)
3.22 気象通報が受けられるラジオを装備している。
3.23 何らかの通信手段を確保している。
4章
4.01 セールナンバーを付けている。
ヨットの
4.02 木栓(栓を必要とする備品に取り付けている)
可動装備
4.03 1 個以上の消火器を設置している。
と補給
4.04 1 つ以上のアンカーを即時に使用できる状態で装備している。
4.05 少なくとも 1 個の防水型フラッシュライトがある
4.06 救急医薬品(推奨されている説明書のガイドラインに沿った内容をもつ)
4.07 1 個以上のフォグホーンを装備している。
4.08 海図一式(電子式は不可)
4.09 頑丈にできた格納表をメインキャビンに掲げている。
4.10 修理工具及び予備部品を装備している。
4.11 浮力のある様々なものにヨット名を記入している
4.12 ライフブイその他にマリングレードのレトロリフレクティブ材を取り付けている。
4.13 信号焔(有効期限内である)
4.14 ヒービングライン(長さは 15m-25m である)
第5章
5.01 ライフジャケットは各乗員に 1 着づつあり規定のものを装備している。(詳細冊子参照)
個人装備品
5.02 荒天衣料(オイルスキン)規定のものを装備している。(詳細冊子参照)
第 6 章トレ
ーニング
6.01 艇上での日常訓練クルーは落水者救助を含む安全手順を妥当な期間ごとに繰り返し復習
することを推奨する。 *このチェックリストは、内海限定基準検査に必要な項目です。
詳細冊子「JSAF外洋内海特別規定内海限定基準」をご購読の確認に臨まれますようご案内いたします。
Yes/ No
加盟団体 JSAF外洋内海
JSAF外洋内海特別規定申告書
( オーナー申告による )
2010年度(内海限定版)
私は艇の責任者としてJSAF外洋内海特別規定及び、参加レース実施要項を全て読み通し、その内
容について理解している事、特に第1章オーナーの責任についてその意味を理解し徹底する事を誓い
ます。添付安全チェックシートに記載された内容については全て私及び乗員自身が確認し、記載に間
違いのないことを誓います。
レース名 レース開催日 年 月 日
艇名(和文)
艇の責任者氏名
( 英文 )
セール
艇の責任者署名
署名年月日 年 月 日
※各レース参加申込書と共にこの申告書をレース委員会に提出すること。
※レース委員会は規定に従ってレース前、レース終了直後にレース委員会の任命するインスペクターによる検査を
実施することが出来る。