省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 地 球と暮らす 、あ たらしい 住まい の か たち。 た 15 省エネルギー基準 日本の住宅の断熱は、 まだ50年に満たない歴史です。1973年(昭和48年)の「オイルショック」時にトイレットペーパーが 無くなり、狂乱物価が起こり、政府の「総需要抑制策」の環境下で、1979年(昭和54年) 「 省エネ法」 = 「エネルギーの仕 様の合理化に関する法律」が燃料資源を有効に使用するため制定されました。建築物向けには1980年(昭和55年)に 「省エネルギー基準」 が制定されました。旧基準と呼ばれています。1992年(平成4年) ・1999年(平成11年)の改正を経 て、2013年(平成25年) に新しい基準ができました。 1980 1992 1999 2013 昭和55年基準 旧省エネ基準 平成4年基準 新省エネ基準 平成11年基準 次世代省エネ基準 外皮+一次エネルギー基準 平成25年基準 2009 住宅事業建築主の判断基準 ■ 平成25年基準の施行スケジュール 2015年3月31日をもって、平成11年 大きく変わるのは、 「トレードオフ」が無く なった事です。 「仕様規定」は設計施工 指針の「 附則 」 として残りますが、使用 建築主の判断基準(計算ルート) 設計施工指針 期間が「 当分の間 」 となり、時期を見て 本則(計算ルート) 附則(仕 様 規 定) 無くなります。 平成27.3.31 廃止・経過措置 平成11年基準 平成25年基準 平成25.10.1 公布 完全廃止 施行 設計資料 省エネルギー基準は使えなくなりました。 平成25.1.31 公布・施行 公布・施行 (当分の間使用可能) 平成25年省エネルギー基準施行後の展開 2030年までの省エネルギー計画は2012年(平成24年) に公表された 「低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進に関す ※1 る工程表 」 に示されています。右の図は住宅をエネルギー消費量別に分類したものです。 2020年までに・・・ LCCM 住宅 ・全建築物の省エネルギー基準の義務化。 ・住宅:ZEH (ゼロ・エネルギー・ハウス) を標準的な新築住宅とする。 ・既存住宅の省エネリフォームを現在の2倍程度に増加。 ゼロエネルギー住宅(ZEH) ・建築物:新築公共建築物等でZEB (ゼロ・エネルギー・ビル) を実現。 2030年までに・・・ 認定低炭素住宅 ・住宅:新築住宅の平均でZEH ・建築物:新築建築物の平均でZEB 平成25年省エネルギー基準適合住宅 (外皮+一次エネルギー) したがって、今後の補助金・減税等の住宅向け支援政策はZEHの 普及政策が重点になります。そして義務化に向けた話し合いが、国 土交通省 社会資本整備審議会で審議されており、詳しい工程表 その他の住宅※2 が2015年(平成27年)1月に提示されています。 ※1 詳細はP.17、18をご参照ください。 ※2 2020年の省エネ基準の義務化以降、 ストックは既存不適格 (法律違反) の可能性があります。 16 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進に関する工程表 工程表作成 (現在) (住宅)新築住宅の平均でZEH (建築物)新築建築物の平均でZEB 設計資料 〈出典:国土交通省〉 17 *2012年(平成24年) に国土交通省・経済産業省・環境省の 「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」 で示された工程表 *2015年(平成27年) に国土交通省社会資本整備審議会で示された工程表には 「スマートウェルネス住宅」 が追加されています。 18 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 平成25年省エネルギー基準施行後の展開 LCCM住宅 運用段階に着目したゼロエネルギー住宅(ZEH)に対し、建設段階も含めたゼロエネがLCCM(ライフ・サイクル・カー ボン・マイナス)住宅です。LCCM住宅になると、建設に使用する材料の一次消費エネルギーが加算されますので、他 の断熱材より生産時の一次消費エネルギーが少ない高炉スラグを原材料にしたロックウールはより優位になります。 ■ ライフサイクルにわたるCO₂収支のイメージ 改修 建設時 ■ 各段階ごとのLCCO₂の割合(LCAツールによる評価) 廃棄処分1% 改修 (1.4t−CO₂) 累積 設計監理 0.02% (0.83t−CO₂) 従来の 住宅 排出量 CO₂ 新築 12% (43.9t−CO₂) 修繕 5% (18.6t−CO₂) LCCM 住宅 運用 75% 改修 7% (270.1t−CO₂) (24.6t−CO₂) + 0 年数 ̶ 改修 改修 * 運用は標準的な値、 運用以外はLCCM住宅による値 * 延床面積145.68㎡、 供用期間60年での試算 ■ LCCM住宅におけるLCCO₂削減のアプローチ ■ 建物仕様によるイニシャルCO₂削減効果検討 (イメージ) 照明他 年間の 発生量 CO₂ 外皮断熱性能強化と 省エネ設備により CO₂量を削減 建設時・ リフォーム時の CO₂を 相殺 調理 (一棟あたり) 設備 機器等 木材 創エネ 給湯 効果 断熱材 ガラス 冷房 コンク リート 暖房 削減前 一般住宅 削減後 LCCM住宅 〈出典:環境省・LCCM住宅 構法部会エグゼクティブサマリー〉 19 太陽光発電 等 一般的な 住宅 ランニング CO₂ 削減仕様 イニシャル CO₂ 削減仕様 ゼロエネルギー住宅(ZEH) 冬季の日射取得 夏季の日射遮蔽 太陽熱温水器 太陽光発電 躯体の高断熱化 通風・換気による春・秋など 中間期の暖冷房負荷の低減 躯体の高気密化 HEMS 設計資料 高効率給湯器 蓄電池 地中熱利用 高効率空調 ■ ゼロエネルギー住宅における一次エネルギー消費量削減のアプローチ 住宅の一次エネルギー消費量を ②太陽光発電等で創エネ により運用時の実質消費量をゼロにした住 宅を「ゼロエネルギー住宅(ZEH:ゼッチ)」 と呼んでいます。 経済産業省では平成25年度(2013年度)か 年 間の一次エネルギー消 費 量 ①外皮断熱性能・省エネ設備機器等で削減 動力他 削減後の 一次エネルギー 消費量を太陽光発電等 による創エネにより 相殺 調理 給湯 創エネ らネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業、 冷房 国土交通省では平成27年度(2015年度)か 暖房 ら地域型住宅グリーン化事業で高度省エネ 削減前 型(ゼロ・エネルギー住宅) タイプを設け、普 一般住宅 及・推進活動に拍車がかかりました。 外皮断熱性能強化と 省エネ設備により CO₂量を削減 効果 削減後 太陽光発電 等 ゼロエネルギー住宅 〈出典:経済産業省〉 20 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 平成25年省エネルギー基準施行後の展開 認定低炭素住宅 省エネルギー性に関する基準 平成 年 省エネルギ ー 基 準 25 10 % 低炭素基準 認 定 低 炭 素 住 宅は、平 成 2 5 年 省エネルギー基 準 の 一 次エネルギー消 費 量を1 0 % 以 上良化した住 宅が 前提です。 一次エネルギー消費量以外に選択項目として下図の ような低 炭 素に資する措 置を2 項目以 上 講じることも 必 要です。但し、認 定 低 炭 素 住 宅の税 制 優 遇や容 積 率の緩 和 等のメリットを受けることが出来るのは市 街 化区域内です。 国土交通省では平成27年度(2015年度)から地域型 住 宅グリーン化 事 業で高 度 省エネ型( 認 定 低 炭 素 住 宅) ・優良建 築 物 型( 認 定 低 炭 素 建 築 物 等 一 定の良 質な建築物) タイプを設け普及・推進活動に拍車がか かりました。 *省エネルギー法の省エネ 基 準に比べ、一次エネル ギー消費量(家電等のエ ネルギー消費量を除く)が ▲10%以上となること その他の低炭素化に資する措置に関する基準【下記の❶∼❽項目の2つ以上に該当】 ❶ 節水に資する機器を設置している。 【以下のいずれかの措置を講じていること】 ・設置する便器の半数以上に節水に資する便器を採用している。 節水 対策 ・設置する水栓の半数以上に節水に資する水栓を採用している。 ・食器洗浄機を設置している。 ❷ 雨水、井戸水又は雑排水の利用のための設備を設置している。 エネルギー マネジメント ❸ HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム) 又はBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)を設置している。 ❹ 太陽光等の再生可能エネルギーを利用した発電設備及びそれと連係した定置型の蓄電池を設置している。 ヒート アイランド 対策 ❺ 一定のヒートアイランド対策を講じている。 【以下のいずれかの措置を講じていること】 ・緑地又は水面の面積が敷地面積の 10%以上 ・日射反射率の高い舗装の面積が敷地面積の 10%以上 ・緑化を行う又は日射反射率等の高い屋根材を 使用する面積が屋根面積の 20%以上 ・壁面緑化を行う面積が外壁面積の 10%以上 建築物 (躯体)の 低炭素化 ❻ 住宅の劣化の軽減に資する措置を講じている。 ❼ 木造住宅若しくは木造建築物である ❽ 高炉セメント又はフライアッシュセメントを構造耐力上主要な部分に使用している。 または 標準的な建築物と比べて、低炭素化に資する建築物として所管行政庁が認めるもの。 例:CASBEE 21 「平成25年省エネルギー基準」適合住宅 外皮性能 「外皮性能」 と 「一次エネルギー消費量」の2つの基準があり ます。 「 外皮性能」には「平均熱貫流率」 と 「冷房期の平均日 射熱取得率」の2つがあり、日本を8つの地域に分けて基準 地域 値が設 定してあります。 「 一 次エネルギー消 費 量 」は面 積に 区分 外皮平均熱貫流率の 基準値[W/(㎠・K)] 冷房期の平均日射熱 取得率 応じて目標値が決められます。2020年の義務化(予定)以降 は最低レベルの省エネルギー性能になる見込みです。WEB 0.46 ̶ 2地域 0.46 ̶ 値と設計値が自動計算されます。 3地域 0.56 ̶ 4地域 0.75 ̶ 5地域 0.87 3.0 6地域 0.87 2.8 7地域 0.87 2.7 8地域 ̶ 3.2 一次エネルギー消費量 設計資料 1地域 プログラム上で外皮性能や設備の機器を入力すれば、基準 共通条件[地域区分、室用途、床面積等] 暖冷房エネルギー消費量 E SH E SC EH 暖冷房エネルギー消費量 EC 換気エネルギー消費量 + 基準仕様 E SV E V 換気エネルギー消費量 負荷の削減 + 照明エネルギー消費量 + E SL E L 照明エネルギー消費量 + 給湯エネルギー消費量 + E SW 設備の効率化 E W 給湯エネルギー消費量 + その他 エネルギー消費量 設計仕様 + 省エネ手法を 加味 + EM その他 E M エネルギー消費量 その他の 省エネ手法は考慮しない ̶ エネルギー利用効率化設備による E S エネルギー削減量 基準一次エネルギー消費量 E ST エネルギーの創出 ≧ E T 設計一次エネルギー消費量 22 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 省エネルギー基準の関連制度 エコ住宅の新築の省エネルギー基準の考え方 2015年(平成27年)2月に成立した「省エネ住宅ポイント制度」で示された「エコ住宅」の概念は次のようなものでした。 住宅性能表示制度 断熱等 性能等級 (トップランナー基準) (一次エネ等級 5) 設備 一次エネルギー 消費量等級 等級4 外皮 等級5 住宅省エネラベル 指針(告示) 住宅事業建築主の 判断基準 (告示) 認定低炭素住宅 等級4 平成25年基準 平成11年基準 (次世代省エネ基準) 長期優良住宅 (一次エネ等級 4) (断熱等級 4) (省エネ基準) 設備 外皮 外皮 等級3 等級2 平成4年基準 (次省エネ基準) その他 (等級1) 昭和55年基準 (旧省エネ基準) その他(等級1) 一般 認定低炭素住宅 長期優良住宅 省エネ法(住宅) 木造のみ 外壁、 窓など 『躯体 (外皮) 』 を通しての熱損失の防止に関する基準 『設備』 で使用するエネルギー量に関する基準 ポイントの発行対象となる省エネ性能レベル 住宅品質の確保を目指して 1999年( 平成11年 )、住宅建設・売買に係る、様々な問題を解決する法として「 住宅の品質確保の促進等に関する 法律( 通称:品確法)」が交付されました。これを契機に諸制度の整備が開始されました。 住宅性能表示制度 必須項目 選択項目 住宅の基本的な性能について、2000年( 平成 ❼光・視環境 1 2 年 )度から運 用が実 施された任 意の評 価 制 度です。住 宅の性 能が共 通のルールで評 価さ ❶構造の安定 ❺温熱環境 ❽音環境 れるようになりました。設 計 図 書 の 段 階 で の チェックを「 設計住宅性能評価 」、そして、設計 ❻空気環境 住宅性能評価で評価を受けた設計図書に従っ てしっかりとした施 工がされているか工 事 中に 現 場でチェックを受ける「 建 設 住 宅 性 能 評 価 」 ❷火災時の 安全 10 防犯 ● の2段階があります。評価内容に応じて「 等級 」 が評価され、 「 評価書 」が発行されます。評価項 目はP.24の10項目です。 ⑤ の 温 熱 環 境については、2 0 1 5 年( 平 成 2 7 年 )4月に、等級表示が完全施行になり、断熱の みと一次エネルギーを含んだ2種類の等級になり ます。一次エネルギー消費量「 等級5 」は「 等級 4」をさらに10%削減です。 ❾高齢者等への配慮 ❹維持管理・更新への配慮 ■ 住宅性能表示基準/品確法(通称)における等級 断熱等性能等級 等級5 等級4 等級3 等級2 等級1 23 ❸劣化の軽減 平成25年 (平成11年) 基準相当 平成4年基準相当 昭和55年基準相当 その他 一次エネルギー消費量等級 低炭素基準相当 平成25年基準相当 その他 長期優良住宅 住宅性能評価制度をベースに2009年( 平成21年 )に「 長期優良住宅の普及の促進に関する法律 」が施行されまし た。一般的に100年住宅と言われた制度です。一定の基準を満たした認定長期優良住宅は、税制面での優遇などを 受けられます。長期優良住宅と認定されるためには、各性能項目の基準を満たすように住宅の建築計画及び一定の維 持保全計画を策定して、所管行政庁の認定を受ける必要があります。 *共同住宅・長屋は10の基準です。 *可変性(共同住宅・長屋のみ) ■ 長期優良住宅の9つの認定基準 1.劣化対策 6 5.省エネルギー性 断熱等性能等級4を確保する 劣化対策等級3+αを確保する 2.耐震性 5 2 6.居住環境 耐震等級2を確保する 7 地域における居住環境の維持・向上 3.維持管理・更新の容易性 7.住戸面積 維持管理対策等級3を確保する 設計資料 高齢者等対策等級3を確保する 3 8 8.維持保全計画 4.高齢者等対策 1 4 良好な居住水準を確保できる規模 定期的な点検や補修計画を確定 9.資金計画 * 可変性 (共同住宅・長屋のみ) 【フラット35】 と 【フラット35】 S 【フラット35】は、民間金融機関と住宅金融支援機構が 提携して顧客に提供している長期固定金利住宅ローン です。特徴として以下のメリットがあげられています。 【フラット35】Sとは、 【フラット35】 をお申し込みのお客様が、 省エネルギー性・耐震性などに優れた住宅を取得される場合 に 【フラット35】 のお借入金利を一定期間引き下げる制度です。 対象となる住宅 ● ずっと固定金利の安心 ● 機構の技術基準で、 住まいづくりを応援 ● 保証料0円、 繰上返済手数料0円 ● ご返済中も安心サポート 耐久性、省エネルギー性、バリアフリー性及び耐久性・可変性のう ちいずれかの性能が優れた住宅。 省エネルギー性又はバリアフリー性について一定機能を備えた 既存住宅。 諸制度基準の一覧 住宅性能表示制度、長期優良住宅、 フラット35Sの基準をまとめました。 住宅性能表示制度評価基準 ①構造の安定 必須 選択 ● ● ②火災時の安全 ③劣化の軽減 ● ④維持管理・更新への配慮 ● ⑤温熱環境 ● * 可変性 (共同住宅・長屋のみ) ①劣化対策 ④高齢者等対策 ⑦住戸面積 ②耐震性 ⑤省エネルギー性 ⑧維持保全計画 ③維持管理・更新の容易性 ⑥居住環境 ⑨資金計画 温熱環境に関しては、通常のレベルが住宅性能表示制度の断熱のみの「等級4」 です。今後、 補助金や税制優遇の支援政策は、一次エネルギーを含めた 「等級5」以上が必須になり、 「認 ⑥空気環境 ● ⑦光・視環境 ● ⑧音環境 ● ⑨高齢者等への配慮 ● ⑩防犯 長期優良住宅認定基準 ● 定低炭素住宅」のように、 「等級4」の10%レス= 「等級5」 がベースになるでしょう。 【フラット35】S ①耐震性 ③バリアフリー性 ②耐久性・可変性 ④省エネルギー (戸建てのみ) * 【フラット35】Sは上記4点のうちいずれか1つ以上の基準を満たすことが条件です。 24 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 省エネルギー基準の関連制度 住宅事業建築主の判断基準(通称 トップランナー基準) 「 住 宅 事 業 建 築 主の判 断 基 準 」は、2 0 0 9 年( 平 成 21年 )に改正された省エネ法「エネルギーの使用の 合理化に関する法律」に基づく基準で、年間150戸 以上の建売住宅を販売する事業主は、建売戸建住 宅の一 次エネルギー消 費 量の基 準 達 成 率 平 均が 100%を下回らないように努め、達成率の平均値を 国土交通省に報告することが求められます。 基準への適合を確認する方法として ( 一財 )建築環 境・省エネルギー機構ホームページ「住宅事業建築 主の判 断 基 準 」コーナーに掲 載の算 定 用 W E Bプ ログラムを用いることができます。一 次エネルギー 計 算が求められた最 初の基 準ですが、平 均 的な住 宅 面 積での計 算 、外 皮が分 離されていないの2 点 が平成25年基準との大きな違いです。 ■ 一次エネルギー消費量の算定対象 一次エネルギー消費量の算定の対象は、省エネ法で 建築設備として位置づけられた設備である暖冷房設 備、換気設備、照明設備、給湯設備により消費される 一次エネルギーです。また、省エネ法上の建築設備で はありませんが、太陽光発電設備などのエネルギー利 用効率化設備の効果も考慮します。 なお、昇降設備(エレベータ等) は省エネ法上の建築 設備ですが、建売戸建住宅に設置されることは極めて 特殊な場合に限られるため、対象とはしていません。 また、一次消費エネルギーの算定は平成25年基準 と異なり、詳細な外皮性能や面積の算出が不要のた め簡易な一次消費エネルギー計算になります。 25 (一財) 建築環境・省エネルギー機構ホームページ http://ees.ibec.or.jp/ 経済産業省 建材トップランナー制度 対象商品には左記の 適合材 マークを入れております。 建材トップランナー制度 目標: λ≦0.03781 トップランナー制度は、経済産業省 資源エネルギー庁が、製品の性能をさらに向上させるように目標値を設定し、その達 成を求める制度です。1998年(平成10年) より家電や自動車等が対象となり、省エネルギー性の向上が図られ大きな成 果を上げています。そして、2013年(平成25年)12月に建築材料にもトップランナー制度(建材トップランナー制度) が 拡大され「住宅用断熱材」が加わりました。2014年(平成26年)11月には「ガラスとサッシ」が第2弾として加わりました。 ■ 具体的な目標値は下記になります ロックウールの熱伝導率は「グラスウール高付加価値品 」と同等の断熱性能「 0.038W/( m・K )」ですが、更に0.5%改善し、平成34年 ( 2022年 ) に0.03781[W/( m・K)] を達成することを目指しています。 トップランナー値 断熱材区分 [ (熱伝導率) W/ (m・K) ] ロックウール断熱材 効率改善後の トップランナー値 [ (熱伝導率) W/ (m・K) ] 0.03781 0.038 0.04975 0.050 ( 0.5%改善) グラスウール断熱材 押し出し法 ポリスチレンフォーム 保温材 高付加 価値品 0.038 普及品 0.040 高付加 価値品 0.028 0.03781 ( 0.5%改善) 0.03900 ( 2.5%改善) 0.02752 (1.7%改善) 目標年度 出荷割合 [ (熱伝導率) W/ (m・K) ] 性能 改善率 ̶ ̶ 0.03781 0.5% 40.48% 31.41% 0.04156 6.04% 0.03232 6.19% 59.52% 68.59% 48.12% 41.80% 51.88% 58.20% 目標基準値 設計資料 普及品 ( 0.5%改善) 現在 出荷割合 【以下の断熱材については、対象範囲から除外された。】 ●グラスウール断熱材のうち密度24[kg/㎥]以上の建築材料(遮音・防火性能が求められる場合に使われる断熱材であるため。) ●硬質ウレタンフォーム (施工現場によって性能が変わる可能性があり、現段階では製造事業者等による出荷時点における材料の性能と施工後の 断熱性能との関係が必ずしも明らかでないため。) ●ロックウール断熱材及びグラスウール断熱材のうち吹き込み品(施工現場によって性能が変わる可能性があり、現段階では製造事業者等による 出荷時点における材料の性能と施工後の断熱性能との関係が必ずしも明らかでないため。) ●グラスウール断熱材を使用した真空断熱材(市場に占めるシェアが低いため。) ●セルロースファイバー、高発泡ポリエチレン、 ビーズ法ポリスチレンフォーム及びフェノールフォーム (市場に占めるシェアが低いため。) 日本工業規格(JIS) JIS A 9521:2011「住宅用人造鉱物繊維断熱材」が、2014年(平成26年)9月22日に改正されJIS A 9521:2014「建築用 断熱材」として拡大しました。弊社では2015年7月に移行を完了しました。 ■ JIS A 9521:2014 ロックウールの製品区分 JIS A 9521:2014の主な改正内容 1)住宅用人造鉱物繊維断熱材から建築物(住宅・非住 宅) 断熱材に変更。 *発泡系のボード等を包括し、ほぼ全断熱材の規格に なった。寸法加工品・現場施工品も数年以内に組み入 れを計画。 2) R (熱抵抗値) からλ (熱伝導率)基準に変更 3) λ (熱伝導率)測定温度をISO規格の23℃に統一。 4) ロックウールは密度の区分でL・M・Hの三区分が出 来た。 詳細は右の表を参照ください。 種類 密度 ○ LA L LB LC 24 以上 MA M MB MC 30 以上 HB HC ○ ○ ○ ○ ○ HA H ○ ○ LD RW 熱伝導率 W/ ( m・K) 0.045 0.043 0.041 0.039 0.038 0.037 0.036 0.035 0.034 60 以上 ○ ○ 26 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 平成25年省エネルギー基準の具体的な内容と算出方法 平成25年省エネルギー基準における変更点 平成11年基準 平成25年基準 地域区分 地域区分 Ⅰ∼Ⅵ( 6 区 分 ) 外皮の省エネルギー性能 Q値 W/㎡・K = 外皮の省エネルギー性能 建物から逃げる熱量 = 外皮等面積の合計 (外皮平均熱貫流率) 改正 建物に侵入する日射量 ηA値 延床面積 (夏季日射取得係数) 外皮熱損失量 UA値 W/㎡・K = 延床面積 (熱損失係数) μ値 1 ∼ 8( 8 区 分 ) 改正 = 冷房期の日射熱取得量 (冷房期の平均日射熱取得率) 外皮等面積の合計 一次エネルギー消費量 新設 基準一次 エネルギー消費量 ×100 ∼ 暖 冷 房・照 明・換 気・給 湯 ∼ ≧ 設計一次 エネルギー消費量 平成25年省エネルギー基準における地域区分 外皮性能は「平均熱貫流率UA」 と 「冷房期の平均日射熱取 得率ηA」 が地域別で下記の基準値を満足する事が必須です。 各地域は都道府県を基準(下表) に市町村別に細かく区分さ れています。 平成11年基準 平成25年基準 UA W/(㎡・K) ηA 外皮平均熱貫流率の基準値 冷房期の平均日射熱取得率 1地域 0.46 ー 2地域 0.46 ー Ⅱ地域 3地域 0.56 ー Ⅲ地域 4地域 0.75 ー 5地域 0.87 3.0 6地域 0.87 2.8 Ⅴ地域 7地域 0.87 2.7 Ⅵ地域 8地域 ー 3.2 Ⅰ地域 Ⅳ地域 〈出典:JSBC 改正省エネルギー基準の建築主の判断基準と 設計・施工指針の解説テキスト1〉 ■ 都道府県別の地域区分一覧表と平成11年基準・住宅事業建築主基準の現地域区分の比較 平成25年基準の 地域区分 都道府県名 住宅事業 建築主基準 北海道 Ⅰ Ⅰa、 Ⅰb 3 青森県、岩手県、秋田県 Ⅱ Ⅱ 4 宮城県、山形県、福島県、栃木県、新潟県、長野県 Ⅲ Ⅲ 茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、 三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、 香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県 Ⅳ Ⅳa、 Ⅳb 7 宮崎県、 鹿児島県 Ⅴ Ⅴ 8 沖縄県 Ⅵ Ⅵ 1、 2 5、 6 *市町村の地域区分詳細は 「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準 別表第4」 をご参照ください。 http://www.mlit.go.jp/common/001082964.pdf 27 平成11年 基準 平成25年省エネルギー基準の評価フロー 平成25年省エネルギー基準の評価フローは大きく分けて3種類。性能基準(計算ルート) で2種・仕様基準で1種です。 仕様基準の附則は当分の間使用可となっています。 建築主の判断基準 【本則】 設計施工指針 性能基準(計算ルート) 仕様基準 外皮の性能 外皮の仕様 躯体の断熱性能 外皮平均熱貫流率UA 外皮 性能 各部位の性能値に 開口部の断熱性能 「別表」 ・ 「部位別仕様表」 を 冷房期の平均日射熱取得率ηA 利用することもできる 開口部の日射遮熱性能措置 設備の性能 設備の仕様 各設備の効率 一次エネルギー消費量 設計資料 一次 エネルギー 消費量 【附則】 事前準備(計算ルート・仕様基準 共通事項) ■ 熱的境界の決定 ■ 面積を拾う 断熱材・開口部等と外部との境界線を先ず決めます。 そして、その面積を拾います。基本は以下の通りです。 * 「断熱構造とする部分」のルールはP.55をご参照ください。 ● 平面的には壁芯間。屋根断熱の場合は勾配なりの寸法。 立 面 的には天 井 断 熱は天 井 仕 上げ、屋 根 断 熱は桁 天 端まで、桁 上 断熱の場合は下地材の下端まで。下端は床断熱の場合は床仕上げ ● 面まで、基礎断熱で基礎がGL+400㎜以下の場合は基礎天端まで。 ● ● 基礎まわりは周長と床面積の両方が必要になります。 (右下図) 開口部はカタログの内法寸法・J ISの呼称・出来寸法等です。 28 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 平成25年省エネルギー基準の具体的な内容と算出方法 仕様基準【附則】の評価フロー ❶開口部比率の基準 開口部比率の算出 NG 開口部面積の合計 開口部比率 = 非適合 外皮等面積の合計 ❶開口部比率の基準 ※1 ※1 躯体の各部位の 断熱性能等の確認 開口部比率の 区分の確認 ❷躯体の断熱性能に関する基準 熱貫流率の基準 又は 開口部の断熱性能、 日射遮蔽仕様の確認 [立体図] ❸開口部比率ごとに定められた基準 ガラス、付属部材、 及び庇、軒等の基準 熱貫流率の基準 断熱材の熱抵抗の基準 非適合 NG [開口部比率] 1・2・3地域:11%未満、4∼8地域:13%未満 適否判定 [展開図] 外皮性能基準適合 ❹外皮面積比率の基準 外皮面積比率の算出 非適合 NG ❹外皮面積比率の基準 ※2 外皮等面積の合計 住宅の形状 ≒ 設備機器の効率等の確認 暖房・冷房・全般換気・照明・給湯 ※2 [住宅の形状] 1・2・3地域:2.9以下、4∼8地域:2.8以下 ❺設備機器の基準 暖房設備の基準 全般換気の基準 冷房設備の基準 非適合 NG 床面積の合計 照明設備の基準 給湯設備の基準 適否判定 ※仕様基準【附則】 は使用期間が「当分の間」 と 定められており、又、認定低炭素住宅等では使用できません。 一次エネルギー消費量基準適合 ❷躯体の断熱性能に関する基準 平成11年基準の「仕様規定」 と同様に、躯体の熱貫流率 (U) と断熱材の熱伝導率 (R) が決められています。従来は 断熱材の熱抵抗値が多く使用されていました。 大きな違いは「トレードオフ規定」がない事と、4㎡を超えな い玄関、勝手口等の土間床の立上がり部の断熱が必要 になったことです。 ■ ロックウール断熱材の例 熱抵抗の基準値 屋根 天井 壁 その他の床 2 3 4 5 6 7 8 0.17 0.24 0.24 0.24 壁 0.35 0.53 0.53 ー 土間床等 の外周部 29 1 屋根または天井 床 177㎜ (100+77) 155㎜(100+55) ・154㎜(77+77) 92㎜ 80㎜ アムマット アムマット アムマット ネダレスⅡ [W/ (㎡・K) ] [W/ (㎡・K) ] 部位 商品名 ■ 断熱材の熱抵抗Rの基準値(木造住宅の充填断熱工法) ■ 躯体の熱貫流率Uの基準値(RC以外の住宅) 地域区分 (K/W) 4.6 ㎡・ 4.0 ㎡・ (K/W) 2.2 ㎡・ (K/W) 2.2 ㎡・ (K/W) ロックウール厚さ(例) 外気に接する部分 0.24 0.24 0.34 ー その他の部分 0.34 0.34 0.48 ー 外気に接する部分 0.37 0.37 0.53 ー その他の部分 0.53 0.53 0.76 ー 地域区分 部位 1 2 3 4 5 6 7 8 屋根 屋根 または天井 天井 6.6 4.6 4.6 4.6 5.7 4.0 4.0 4.0 壁 3.3 2.2 2.2 ー 床 土間床等 の外周部 外気に接する部分 5.2 5.2 3.3 ー その他の部分 3.3 3.3 2.2 ー 外気に接する部分 3.5 3.5 1.7 ー その他の部分 1.2 1.2 0.5 ※床の「外気に接する部分」のうち、住宅の床面積の合計に0.05を乗じた 面積以下の部分においては、 「その他の部分」 とみなすことができます。 仕様基準 ❸開口部比率ごとに定められた基準 ■ 開口部比率 開口部では開口部比率に応じて、熱貫 当該住宅の開口部比率 流率 (U) と窓の日射遮蔽の仕様が定め 一戸建て住宅 1・2・3地域 4・5・6・7地域 8地域 い 0.07未満 0.08未満 0.08未満 ろ 0.07以上0.09未満 0.08以上0.11未満 0.08以上0.11未満 は 0.09以上0.11未満 0.11以上0.13未満 0.11以上0.13未満 られており、付属部材等も必要な場合 があります。詳細は窓サッシ・ガラスメー カーにお問い合わせください。 W/ (㎡・K) ■ 熱貫流率(U) 開口部の熱貫流率の基準値 一戸建て住宅 1・2・3地域 4地域 5・6・7地域 8地域 い 2.91 4.07 6.51 ー ろ 2.33 3.49 4.65 ー は 1.90 2.91 4.07 ー 設計資料 ■ 開口部の建具、付属部材及び庇・軒等の基準 建具の日射熱取得率、付属部材・庇・軒等 一戸建て住宅 1・2・3地域 4地域 い ̶ ̶ 5・6・7地域 8地域 ̶ 付属部品、又は庇・軒等を設ける ガラスの日射熱取得率が0.68以下+庇、軒等を設 ける、 又は付属部材を設ける ろ ̶ ̶ ガラスの日射熱取得率が0.74以下、 又は付属部材、 又は庇・軒を設ける は ̶ ̶ ガラスの日射熱取得率が0.49以下+付属部材、 ガラスの日射熱取得率が0.49以下、 又はガラスの日射熱取得率が0.74以下+庇・軒等を設ける、 又は庇・軒等を設ける 又は付属部材を設ける (南±22.5度は外付けブラインドに限る)(南±22.5度の付属部材は外付けブラインドに限る) ❺設備機器の基準 設備機器の基準 地域区分 単位住戸全体を暖房する方式 1・2・3及4地域 5・6・7及び8地域 ダクト式セントラル空調機であって、 ヒートポンプを熱源とするもの 連続運転 石油熱源機を用いた温水暖房用パネルラジエーターであっ ガス熱源機を用いた温水暖房用パネルラジエーターであっ 日本工業規格S2112に規定する熱効率が82.5%以上 て、 日本工業規格S3031に規定する熱交換率が83.0%以 て、 あり、 かつ、配管に断熱被覆があるもの 上であり、 かつ、 配管に断熱被覆があるもの 間歇運転 密閉式石油ストーブ(強制滞留式)であって、 日本工業規格 S3031に規定する熱効率が86.0%以上であるもの 居室のみを 暖房する方式 ルームエアディショナーであって、 日本工業規格B8615-1に 規定する暖房能力を消費電力で除した数値が、以下の算出 式により求められる基準値以上であるもの -0.321×暖房能力(単位 キロワット) +6.16 単位住戸全体を冷房する方式 ダクト式セントラル空調機であって、 ヒートポンプを熱源とするもの 居室のみを 冷房する方式 ルームエアコンディショナーであって、 日本工業規格B8615-1に規定する冷房能力を消費電力で除した数値が、以下の算 出式により求められる基準値以上であるもの。 -0.504×冷房能力(単位 キロワット)+5.88 間歇運転 換気設備 全般換気設備の比消費電力(熱交換換気設備を採用する場合は、比消費電力を有効換気量率で除した値) が、換気回数 0.5回以下の場合において、0.3(単位1時間につき1立方メートル当たりのワット)以下であること又は判断基準においてこれ と同等以上の評価となるもの。 照明設備 非居室に白熱灯、 またはこれと同等以下の性能の照明設備を採用しないこと。 給湯設備 石油給湯器であって、 日本工業規格S2075に基づくモード ガス給湯器であって、 日本工業規格S2075に基づくモード 熱効率が81.3%以上であるもの。 熱効率が78.2%以上であるもの。 30 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 省エネルギー基準の具体的な内容と算出方法 性能基準【計算ルート】の評価フロー 外皮平均熱貫流率は、各部位の面積、熱貫流率、温度差係数などを求め計算し、 また、平均日射熱取得率は、各部 位の面積、 日射熱取得率、方位係数などを求め計算します。 × 熱貫流率 U 温度差係数 × H = 外皮熱損失量 q 屋根・天井・外壁・ドア・窓・床・基礎 外皮熱損失量 q ÷ 外皮等の 面積の合計 ΣA = 外皮平均熱貫流率 UA 躯体・ドア 面積 A 方位係数 × × 窓の補正係数 = 方位係数 冷房期の 日射熱取得量 mc 窓 冷房期の 日射熱取得量 日射熱 取得率 mc η ÷ 外皮等の 面積の合計 ΣA = 冷房期の平均日射熱取得率 ηA 躯体・ドア 方位係数 × × 窓の補正係数 × 方位係数 暖房期の 日射熱取得量 ※一次エネルギー消費量の計算に使用 mH 窓 【計算ルート】面積の求め方 断熱部(柱間柱部)見付け面積 天井面積算出寸法 桁 天端 外壁 面積 屋根断熱 胴差部見付け面積 天井断熱 天井ふところの外壁の見付け面積 充填断熱 断熱部(柱間柱部)見付け面積 床面積算出寸法 【計算ルート】熱貫流率の求め方 Ⓐ詳細計算法 床断熱 熱橋部・構成材など、仕様の異なる部位全ての種類 を、面積ごとに求め計算するのが、 「詳細計算法」 です。 31 一般的な基礎断熱 性能基準 (計算ルート) 性能基準【計算ルート】の評価フロー項目 床・壁・天井等は断熱材以外にも色々な材料で構成されていますので、各材料の熱伝導率と厚さで熱抵抗値を求 め、 それを合算して各部位の熱貫流率を逆算します。計算で求める方法が3種、あらかじめ示された構成の数値で求 める方法が2種あります。 面積を拾う Ⓐ 詳細計算法 Ⓑ 簡略計算法①(熱橋面積比率) 外皮平均 熱貫流率 UA 熱損失量の 熱貫流率を 計算 求める Ⓒ 簡略計算法②(補正熱貫流率) Ⓓ 部位別仕様表・Ⓔ 別表 温度差係数を選ぶ 開口部の熱貫流率 面積を拾う 設計資料 庇(有・無・寸法) 取得日射量補正係数の計算 平均 日射熱取得率 ηA 天窓 ガラスの仕様区分 日射熱取得率の計算 方位係数を選ぶ この納まりの場合、せっこうボードを横架材まで張り 注意 上 げ て いるの で 、外 壁 の 熱 貫 流 率 の 計 算にせっこう ボードを算入出来ます。 あらかじめ熱橋の構成比を工法ごとに定めて熱貫流率 の計算をするのが「簡略計算法①」 です。 Ⓒ 簡略計算法②(補正熱貫流率) 天井断熱 充填断熱 外壁面積算出寸法 Ⓑ 簡略計算法①(熱橋面積比率) 全て補正値で調整して熱貫流率を求めるのが「簡略計算 算 です。 法②」 Ⓓ 部位別仕様書 Ⓔ 別表 一般社団法人 住宅性 設 計 施 工 指 針の別 表 1 能 評 価・表 示 協 会にあ の納まりの熱貫流率。 断熱部と 柱間柱部の 見付け面積 床断熱 らかじめ登 録された納ま りの熱貫流率。 32 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 平成25年省エネルギー基準の具体的な内容と算出方法 ■ 躯体の熱貫流率 Ⓐ 詳細計算法 詳細計算方法は、 当該住宅の断熱部と熱橋部など断面構成が異なる部分ごとに熱貫流率と面積を求め、 それらを面積加 重平均により平均熱貫流率として求める方法。 部位の熱貫流率U [W/(㎡・K)] = ( 熱橋部U×熱橋部面積A ) + ( 断熱部U×断熱部面積A) 面積Aの合計 Ⓒ 簡略計算法② 熱貫流率(U) は、 当該部位の一般部(断熱部) の熱抵抗(R) を用いて下式により求めることができる。 なお、 これにより求め た熱貫流率は、断熱仕様が同じ場合に限り、胴差部、天井ふところの外壁、土台部も同じ値を用いてもよい。 部位の熱貫流率U [W/(㎡・K)] = 1 断熱部の熱抵抗の合計∑R[㎡・K/W] + 補正熱貫流率Ur ● 木造部位の断熱工法などに応じた補正熱貫流率 (Ur) 部位 断熱工法等 補正熱貫流率Ur 軸組構法等 床 外壁 天井 屋根 ̶ 0.13 充填断熱、充填断熱+外張断熱 0.09 枠組工法等 0.08 0.13 0.04 外張断熱 充填断熱 0 桁間断熱 0.05 充填断熱、充填断熱+外張断熱 0.11 外張断熱 0.02 Ⓓ 部位別仕様書 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会にあらかじめ登録し 「部位別 仕様書」 を使用する方法。簡略計算法①に近い納 まりですので、 「別表」 より優位です。 https://www2.hyoukakyoukai.or.jp/gaihikeisan/calc/listing/shiyoukensaku/ Ⓔ 別表 設計施工指針の 「別表」 に掲載された納まりの場合はその値を使用することができます。 一般的な納まりのみで、安全側の数値になっていますので、 あまりおすすめしません。 木造住宅 充填断熱工法の使用例 部位 熱貫流率 [W/㎡・K] 仕様の詳細 外壁 0.53 軸組の間にRが2.2以上の断熱材(厚さ85ミリメートル以上) を充填 した断熱構造とする場合 断面構成図 通気層 断熱材 内装下地材 ※P.79∼80に木造住宅の全部位の仕様を掲載しています。 33 性能基準 (計算ルート) Ⓑ 簡略計算法① 簡略計算法①は、部位別、工法別に定められた断熱部と熱橋部の面積比率を用いて熱貫流率を求める方法。 外壁では、断熱仕様が同じ場合、胴差部、天井ふところの外壁、土台部も同じ値を用いてもよい。 部位の熱貫流率U [W/(㎡・K)] =( 熱橋部U×熱橋部面積比率a )+( 断熱部U×断熱部面積比率a) ● 木造軸組構法の各部位の面積比率a 部位 根太間に断熱する場合 根太間に断熱する場合 大引間に断熱する場合 床梁工法 床 面積比率a 工法の種類等 束立大引工法 根太間断熱 +大引間断熱の場合 断熱部 0.80 0.80 0.85 根太間断熱材 +大引間断熱材 根太材+大引間 断熱材 0.72 0.85 0.70 0.83 0.12 0.13 0.03 0.15 0.30 0.17 充填断熱材 +付加断熱材 充填断熱材 +付加断熱層内熱橋部 構造部材等 ※1 +付加断熱材 構造部材等 ※1 +付加断熱層内熱橋部 0.75 0.79 0.87 1 0.86 0.08 0.04 0.12 0.04 0.05 0.13 0.13 0 0.14 たる木間断熱材 +付加断熱材 たる木間断熱材 +付加断熱層内 熱橋部 (下地たる木) たる木 +付加断熱材 たる木 +付加断熱層内 熱橋部 (下地たる木) 0.79 0.08 0.12 0.01 横下地の場合 縦下地の場合 天井 屋根 桁・梁間に断熱する場合 天井に断熱材を敷込む又は吹込む場合 たる木間に断熱する場合 たる木間断熱+付加断熱 横下地の場合 ※1 構造部材等とは、 柱、 間柱、 筋かい等のことをいいます。 ● 枠組壁工法の各部位の面積比率a 床 外壁 面積比率a 工法の種類等 部位 断熱部 0.87 0.77 根太間に断熱する場合 たて枠間に断熱する場合 充填断熱材 構造部材等※2 まぐさ まぐさ 構造部材等※2 +付加断熱層 +付加断熱 +付加断熱 +付加断熱材 +付加断熱材 内熱橋部 層内熱橋部 材熱橋部 0.08 0.01 0.69 0.76 0.86 たる木間に断熱する場合 0.14 ̶ 0.02 0.02 0.06 0.20 0.01 0.01 0.14 たる木間断熱材 +付加断熱層内 熱橋部(下地たる木) たる木間断熱材 +付加断熱材 たる木間断熱+付加断熱 横下地の場合 熱橋部 0.13 0.23 断熱部+熱橋部 充填断熱材 +付加断熱材 たて枠間断熱+付加断熱 横下地の場合 縦下地の場合 屋根 設計資料 外壁 熱橋部 0.20 0.20 0.15 根太材+大引材 等 根太間断熱材 +大引材等 剛床工法 根太間に断熱する場合 床梁土台同面工法 柱・間柱間に断熱する場合 柱・間柱間断熱+付加断熱 断熱部+熱橋部 0.79 0.08 たる木 +付加断熱材 たる木 +付加断熱層内熱橋部 (下地たる木) 0.12 0.01 ※2 構造部材等とは、 たて枠等のことをいいます。 ● 大引等と根太間で断熱した場合の床の面積比率a 面積比率a 断熱部 断熱部+熱橋部 熱橋部 根太間断熱材+大引間断熱材 根太間断熱材+大引材等 根太材+大引間断熱材 根太材+大引材等 0.72 0.12 0.13 0.03 34 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 平成25年省エネルギー基準の具体的な内容と算出方法 【計算ルート】部位の熱貫流率の求め方/外壁の計算例 ※室内側のせっこうボードを横架材まで張り上げている仕様です。 Ⓑ 簡略計算法① *木造軸組・充填断熱 材料 厚さ〔㎜〕 〔W/mK〕 λ R 0(外気側熱抵抗 通気層) 断面1 断面2 熱橋比率 0.83 熱橋比率 0.17 R〔㎡K/W〕 R〔㎡K/W〕 0.110 0.110 ロックウール(マット) 92.0 0.038 2.421 ̶ 木材 92.0 0.120 ̶ 0.767 せっこうボード 12.5 0.22 0.057 0.057 Ri(室内側の表面抵抗) 0.110 0.110 [㎡K/W] 2.698 1.044 U [W/(㎡K)] 0.371 0.958 平均U値 [W/(㎡K)] ∑Rt Ⓒ 簡略計算法② 0.47 Ⓓ 部位別仕様書 *軸組・充填断熱 材料 厚さ(㎜) λ (W/mK) R(㎡K/W) ロックウール(マット) 92.0 0.038 2.421 せっこうボード 12.5 0.22 0057 Rt( Rg) U [㎡K/W] 2.478 [W/(㎡K)] 0.404 補正値Ur 部位のU値 [W/(㎡K)] 0.09 0.49 :92mmの例) ■外壁の計算例の納まり図(ロックウール(マット) 申請中 (仕様イメージ) ※室内側のせっこうボードを横架材まで張り上げている仕様です。 Ⓔ 別表 木造住宅 充填断熱工法の使用例 部位 外壁 熱貫流率 [W/㎡・K] 仕様の詳細 0.53 軸組の間にRが2.2以上の断熱材(厚さ85ミリメートル以上) を充填 した断熱構造とする場合 ※別表には 「せっこうボード」有りの仕様がありませんので、安全側の仕様で計算します。 35 断面構成図 通気層 断熱材 内装下地材 性能基準 (計算ルート) ■ 基礎の熱貫流率 外皮平均熱貫流率・ 平均日射熱取得率の計算ソフト ※計算ソフトの補助ツールの活用をおすすめします。 ■ 開口部の熱貫流率 ※計算ソフトの活用をおすすめします。 外皮平均熱貫流率(UA)や冷房期の平均日射熱取 ■ 温度差係数 部位の隣接する空間との温度差を想定して、貫流熱損失を 補正する係数。外気または外気に通じる空間は 「1.0」 だが外 得率(ηA)は、計算ソフトが各団体からWebで公開さ れています。一次エネルギー消費量の計算に使用す 気に通じる床下などは 「0.7」に軽減される。共同住宅の中間 る、外皮熱損失量や冷房期・暖房期の日射熱取得量 住戸などは更に低い値になる。 も同時に計算出来ます。 小屋裏 H=1.0 外気 H=1.0 室内 [熱的境界内部] 屋内 車庫等 H=1.0 ● 一般社団法人 日本サステナブル建築協会(JSBC) http://lowenergy.jsbc.or.jp/top/house/program/envelope.html ● 住宅省エネルギー 技術講習会 (一般社団法人 木を活かす建築推進協議会内) 床下H=0.7 H:温度差係数 〈出典:JSBC 住宅の省エネルギー基準の建築主の判断基準と設計・施工指針の解説テキスト1〉 設計資料 外気 H=1.0 外皮計算支援プログラム及び補助ツール http://www.shoene.org/ ● 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 http://www.hyoukakyoukai.or.jp/teitanso/gaihi.html ● 平均日射熱取得率(ηA) ■ 窓の補正係数 日射熱取得量→平均日射熱取得率に関しては、各団体の計 窓は庇の有無にかかわらず、日射熱取得率を補正します。冷 算ソフト (右上等)の活用をおすすめします。 房期と暖房期の補正係数があります。庇が有る場合、定数・ 開口部の寸法・仕様、庇の有り無し・その位置、方位等を入 簡略法・詳細法の3種類。庇が無い場合、定数と地域区分と 力すれば計算結果が出てきます。 方位、及びガラスの種別に応じた係数の2種類。天窓も地域 区分とガラス種別に応じた係数。 と、非常に複雑な計算方式 ■ 日射熱取得率の拾い出し 壁・天井(屋根) ・ドアの日射熱取得率は熱貫流率に0.034 になりますので、各 種 団 体の外 皮 計 算 支 援プログラムをお すすめします。 を掛けます。床は対象外です。 窓は、設計施工指針の別表に定められた値を使用します。 開 口 部のフレーム( 枠 )素 材とガラスの組み合わせで決ま ります。ガラスは日射取得型か遮熱型で値が異なります。付 属部材は紙障子・外付けブラインドのみ。内付けブラインド は不可です。 ■ 方位係数 地域区分及び方位別に決められています。冷房期と暖房期 により異なります。天窓は方位・勾配にかかわらず「1」 です。 36 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 平成25年省エネルギー基準の具体的な内容と算出方法 平成25年省エネルギー基準と平成11年省エネルギー基準の断熱性比較の計算例 平成25年省エネルギー基準の性能基準 (計算ルート) で躯体の各部位は簡略計算法① (P.76∼78参照) を中心に、 基礎は別表 (P.79∼80参照) を使用して、 平成11年省エネルギー基準の仕様規定とトレードオフ規定2種の断熱材厚さで計算してみました。 4∼7地域は平成25年省エネルギー基準へ適合(UA値のみ) しています。 ポイントは基礎部の断熱(立上がり部) を忘れない ことです。 ■1階平面図 ■2階平面図 *計算モデルは平成25年省エネルギー基準の解説本≒自立循環型住宅の一般モデルプランです。このモデルの開口部比率は0.11です。開口部比率や各部面積によっては不適合の場合もあります。ご注意ください。 〈出典:一般社団法人 日本サステナブル建築協会(JSBC)住宅の改正省エネルギー基準の建築主の判断基準と設計・施工指針の解説テキスト1〉 ■5∼7地域(旧Ⅳ∼Ⅴ地域) 熱損失量q 面積A 部位 天井 外壁 開口部 床 浴室 67.92 天井:105mm・壁:105mm・床:80mm 熱貫流率U ( )内は断熱材厚さ 熱貫流率U ( )内は断熱材厚さ 熱貫流率U ( ) 内は断熱材厚さ [̶] [W/(mK)] [W/(㎡K)] 貫流 熱損失 [W/K] ̶ 1.0 (155mm) 0.237 16.10 (105mm) 0.342 23.23 (92mm) 0.381 25.88 64.72 [W/(mK)] [W/(㎡K)] 貫流 熱損失 [W/K] [W/(mK)] [W/(㎡K)] 貫流 熱損失 [W/K] 139.48 ̶ 1.0 (92mm) 0.432 60.26 (105mm) 0.417 58.16 (92mm) 0.464 3.51 ̶ 1.0 ̶ 4.650 16.32 ̶ 4.650 16.32 ̶ 4.070 14.29 窓 28.71 ̶ 1.0 ̶ 4.650 133.50 ̶ 4.650 133.50 ̶ 4.070 116.85 床下 62.10 ̶ 0.7 (80mm) 0.455 19.78 (80mm) 0.455 19.78 (80mm) 0.455 19.78 5.79 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 外気側 ̶ 3.17 1.0 0.53 (50mm) 1.68 0.53 (50mm) 1.68 0.53 (50mm) 1.68 床下側 ̶ 3.17 0.7 0.76 (15mm) 1.68 0.76 (15mm) 1.68 0.76 (15mm) 1.68 外気側 ̶ 3.64 1.0 0.53 (50mm) 1.93 0.53 (50mm) 1.93 0.53 (50mm) 1.93 床下側 ̶ 3.64 0.7 0.76 (15mm) 1.94 0.76 (15mm) 1.94 0.76 (15mm) 1.94 合計 外皮 総面積∑A 307.51 開口部比率 0.11 外皮 253.18 熱損失量 (四捨五入↓) q 253.2 UA値 0.83 ○ 37 天井:92mm・壁:92mm・床:80mm ドア 基礎 玄関 [㎡] 土間 周長 [m] 温度差 係数H 天井:155mm・壁:92mm・床:80mm 外皮 258.22 熱損失量 (四捨五入↓) q 258.2 UA値 0.84 ○ 外皮 248.74 熱損失量 (四捨五入↓) q 248.7 UA値 0.81 ○ 性能基準 (計算ルート) ■4地域(旧Ⅲ地域) 熱損失量q 面積A 部位 天井 外壁 開口部 床 熱貫流率U ( )内は断熱材厚さ 熱貫流率U ( )内は断熱材厚さ [W/(mK)] [W/(㎡K)] 貫流 熱損失 [W/K] 天井:92mm・壁:92mm・床:80mm 熱貫流率U ( )内は断熱材厚さ [̶] [W/(mK)] [W/(㎡K)] 貫流 熱損失 [W/K] 貫流 熱損失 [W/K] ̶ 1.0 (155mm) 0.237 16.10 (105mm) 0.342 23.23 (92mm) 0.381 25.88 [W/(mK)] [W/(㎡K)] 139.48 ̶ 1.0 (92mm) 0.432 60.26 (105mm) 0.417 58.16 (92mm) 0.464 64.72 3.51 ̶ 1.0 ̶ 3.490 12.25 ̶ 3.490 12.25 ̶ 2.910 10.21 窓 28.71 ̶ 1.0 ̶ 3.490 100.20 ̶ 3.490 100.20 ̶ 2.910 83.55 床下 62.10 ̶ 0.7 (80mm) 0.455 19.78 (80mm) 0.455 19.78 (80mm) 0.455 19.78 5.79 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 外気側 ̶ 3.17 1.0 0.53 (50mm) 1.68 0.53 (50mm) 1.68 0.53 (50mm) 1.68 床下側 ̶ 3.17 0.7 0.76 (15mm) 1.68 0.76 (15mm) 1.68 0.76 (15mm) 1.68 外気側 ̶ 3.64 1.0 0.53 (50mm) 1.93 0.53 (50mm) 1.93 0.53 (50mm) 1.93 床下側 ̶ 3.64 0.7 0.76 (15mm) 1.94 0.76 (15mm) 1.94 0.76 (15mm) 1.94 合計 外皮 総面積∑A 307.51 開口部比率 0.11 外皮 215.81 熱損失量 (四捨五入↓) q 215.8 UA値 外皮 220.85 熱損失量 (四捨五入↓) q 220.8 0.71 UA値 ○ 外皮 211.36 熱損失量 (四捨五入↓) q 211.4 0.72 UA値 設計資料 浴室 67.92 天井:105mm・壁:105mm・床:80mm ドア 基礎 玄関 [㎡] 土間 周長 [m] 温度差 係数H 天井:155mm・壁:92mm・床:80mm 0.69 ○ ○ ■3地域(旧Ⅱ地域) 従来の平成11年省エネルギー基準の仕様規定 (天井:4.0、壁:2.2、一般床:3.3)のままでは、 平成25年省エネルギー基準の外皮平均熱貫流 率の基準値0.57[ W/(㎡・K)] を満たすことは厳 しい地域です。 壁:105㎜、天井:155㎜のロックウールを使用 しています。 床と基礎は別表が活用出来る押出法ポリスチレ ン3種(XPS)にしましたので、平成11年省エネ ルギー基準の仕様規定より少しアップしました。 「部位別仕様書」等では別の断熱材が使用でき ると思います。 * このプランは4∼7地域のZEH (ゼロ・エネルギー・ハウス)の目安 部位 [㎡] 土間 周長 [m] 天井 67.92 外壁 139.48 ドア 開口部 床 浴室 高断熱外皮基準:UA=0.60[W/(㎡・K)] をクリアーしています。 天井:155mm・壁:105mm・床:XPS 熱貫流率U ( )内は断熱材厚さ 貫流 熱損失 [W/K] [W/(mK)] [W/(㎡K)] ̶ 1.0 (155mm) 0.237 16.10 ̶ 1.0 (105mm) 0.417 58.16 3.51 ̶ 1.0 ̶ 2.330 8.18 窓 28.71 ̶ 1.0 ̶ 2.330 66.89 床下 62.10 ̶ 0.7 XPS(105mm) 0.340 14.78 基礎 玄関 温度差 係数H [̶] 5.79 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 外気側 ̶ 3.17 1.0 0.37 XPS(100mm) 1.17 床下側 ̶ 3.17 0.7 0.53 XPS(50mm) 1.17 外気側 ̶ 3.64 1.0 0.37 XPS(100mm) 1.35 床下側 ̶ 3.64 0.7 0.53 XPS(50mm) 1.35 外皮 総面積∑A 307.51 外皮 熱損失量 q (四捨五入↓) 0.11 UA値 0.56 です。平成26年の住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促 進事業費補助金(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業)の 熱損失量q 面積A 合計 開口部比率 169.16 169.2 ○ 38 省 エ ネ ル ギ ー 基 準( 住 宅 ) 平成25年省エネルギー基準の具体的な内容と算出方法 一次エネルギー消費量の計算(例) 1. 邸名・面積を入力 一 次エネルギーの消 費 量 計 算は全て「 建 築 研 究 所 」のプロ グラムで行います。 ▶ http://www.kenken.go.jp/becc/index.html#Program&Manual_House 前出(P.37)の平成25年省エネルギー基準の解説本≒自立 循 環 型 住 宅 のモデルプランで具 体 的にインプットしてみま しょう。 ※設備機器の熱効率の入力には 「住宅省エネルギー技術講習会」の ホームページに掲載の 「チェックリスト」 が便利です。 Ver1.13.2で2015年2月に試算。 2. HOME 3. 外皮性能の入力 ①で入力した面積の家の省エネルギー基準は81.4GJ。 目標は約4GJの削減。 外皮性能を3種(q・m C・m H)入力。 外皮性能が良いと後が楽です。 4. 5. HOME 外皮性能で82.9−75.4=7.5GJ。 これだけ頑張ればOK。 王道は給湯器から エコジョーズの例。 効率が95%なので95−6.4%=88.6%を入力。 *追焚なしは-4.6%。 39 6. HOME 7. 配管の変更(その他も勿論OK) 77.7GJになり、省エネ基準は合格。 配管をヘッダー方式にして、 水栓をシングルレバーにしてみましょう。 8. 9. HOME 必要書類の出力 設計資料 75GJになり、低炭素住宅の基準マイナス10% もクリア。 ■ 提出書類(見本) 省エネルギー基準と低炭素住宅の様式が 個別に出力出来ます。 ■ 一次エネルギー消費量 ピクトグラム このピクトグラムは広告宣伝等に使用出来ま す。一次エネルギー消費量は平方メートルあた りの値です。 40
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