論 文

論
文
大 電 流 パ ル ス グ ロ ー 放 電 の 特 性
学生 員
北
村
大
介
(岩手大)
学 生員
古
関
代
司
(岩手大)
学生 員
中
谷
和
生
(岩手大)
正
高
木
浩
一
(岩手大)
正
藤
原
民
也
(岩手大)
員
Characteristics
Daisuke
Kitamura,
Student-Member,
Koichi
Pulsed
even
glow
for
discharge
a short
impedance
consumed
A
energy
The
gas
ampere
was
generated
consumed
used
energy
in
paper
is
dry
for
air.
by
calculation
As
the
fall
region
ion
1.89ƒÊ
of circuit
experimental
with
reaches
source
was
of
the
a
used
transient
in
and
transient
glow
cathode
normal
glow
discharge.
in
present
the
Student-Member,
University)
can
easily
generate
discharge
experiment.
measurement
that
35mJ
it
glow
this
Nakaya,
(Iwate
because
clarified
almost
Discharge
Kazuo
plasma
equations
results,
value
Glow
Member
of
F
It was
the
Fujiwara,
characteristics
of
microseconds.
agrees
cathode
the
the
Pulsed
Student-Member,
Tamiya
for
capacitor
several
which
the
describes
Current
Koseki,
Member,
candidates
inductance
obtained
320V
キ ー ワー ド:過
1.
low
of the
High
Daiji
Takaki,
one
This
were
voltage.
approximately
is
time.
circuit.
of
員
with
The
fall
The
high
under
glow-to-arc
experimental
current
static
above
and
breakdown
one
hundred
condition
occurs
low
when
is
the
conditions.
が 正 規 グ ロ ー の 計 算 値 と ほ ぼ 一 致 す る な ど が 報 告 され て い
る(6)-(10)。
しか しな が ら,こ れ らは数Aか
に対 す る もの で,100Aを
大 容 量 で 比 較 的 高 密 度 で あ る 高 気 圧 グ ロ ー放 電 は,材 料
しか し高 気 圧 グ ロ ー 放 電 は,ア
これ ま で 筆 者 等 は,放
ー ク 放 電 へ の 転 移 や カ ソー
ドス ポ ッ トの 形 成 な ど が 起 こ りや す く,そ
難 しい 。 これ ま で に,グ
(3)ヘ リウ ム 希 釈 ガ ス を 用 い る,な
の安 定な形 成 は
極 間 に誘 電 体 を挿 入 す る,
どの 方 法 が 提 案 され て い
100Aを
越 え る 大 電 流 グ ロ ー放 電 を 数 μ秒 間 維 持 で き る こ
とや,そ
の と き の 電 流 密 度 は 正 規 グ ロ ー 放 電 の も の よ り1
て 報 告 し た(11)。ま た,電
コ ン デ ン サ 放 電 に よ る ギ ャ ップ 中 で の パ ル ス グ ロー 放 電
い て,陰
極 ス ポ ッ トが 形 成 され る条 件 に つ い て も 明 ら か に
して き た(12)。しか し,正 規 グ ロー 放 電 の 過 渡 グ ロ ー で 求 め
Ion
た ス ポ ッ ト形 成 条 件 が,異
イ オ ン 源 へ の 応 用 も期 待 され て い る(4)(5)。
これ ま で パ ル ス グ ロー 放 電 に 関 す る報 告 は,ア
流 密 度 が 正 規 グ ロー 放 電 と等 し く
な る比 較 的 電 流 の 小 さ い 数 ア ン ペ ア の 過 渡 グ ロ ー 放 電 に お
時 間で は ある が大容 積 の高密 度 プ ラズマ が発 生す
Based
電 回 路 を 同 軸 形 状 に して 回 路 イ ン
桁 以 上 大 き い 異 常 グ ロ ー 放 電 領 域 の もの で あ る こ とに つ い
る(2)(3)。
る た め,前 述 の 応 用 の み で な くPBII(Plasma
オ ーダ
ダ ク タ ン ス を 減 ら し,か つ 回 路 抵 抗 を 小 さ くす る こ と で,
ロー 放 電 の 安 定 化 の た め に,(1)印
加 電 圧 は高 周 波 電 圧 に す る,(2)電
ら数 十Aの
越 え る よ うな 大 電 流 放 電 に 関 し
て は 報 告 され て い な い。
の表 面 処 理 や 高 出 力 ガ ス レー ザ ー な どへ 利 用 され て い る(1)。
Implantation)の
a
渡 グ ロ ー 放 電 、 パ ル ス グ ロ ー 放 電 、 異 常 グ ロー 放 電 、 グ ロ ー 放 電 、 陰 極 電 流 密 度 、 陰 極 降 下
は じめ に
で は,短
using
experimental
transition
plasma
electrodes
and
current
this
volume
between
current
with
voltage
high
voltage
of discharge
discharge
large
常 グ ロー放電 領域 の過 渡 グ ロー
放 電 で も成 り立 つ か は 明 らか で な い。 そ こ で 本 論 文 で は,
ー ク放電 へ
移 行 す る前 に 過 渡 的 に 現 れ る過 渡 グ ロ ー 放 電 を 対 象 に,放
回 路 方 程 式 を コ ン ピ ュ ー タ で 解 く こ と で,直
電 様 相 の 時 間 変 化 や ス ポ ッ ト形 成 の メ カ ニ ズ ム 、 電 流 密 度
な 時 間 的 に 大 き く変 化 す る 電 極 間 電 庄 を,破 壊 電 圧 と放 電
電 学 論A,
120巻2号,平
成12年
225
接測 定 が困難
電 流 よ り逐 次 求 め,さ
らに そ れ ら を用 い て放 電 で 消 費 され
る エ ネ ル ギ ー や 電 力 を 求 め,ス
ポ ッ ト形 成 条 件 な ど を 明 ら
か に した。
2.
実 験 装 置 お よび 実 験 方 法
図1に
実 験 装 置 を 示 す 。 放 電 回 路 は,1.89μFの
ン サ,1Ω
の 電 流 制 限 抵 抗,ス
コ ンデ
パ ー ク ギ ャ ップ の 直 列 回 路
で構 成 され て い る。 近 似 ロ ゴ ス キ ー 形 状 の 真 鍮 製 電 極 を,
図2
任 意 の ギ ャ ッ プ 長 を 隔 て て 対 向 させ て い る。 電 極 の 直 径 は
9.9cmで
あ る 。 装 置 の イ ン ダ ク タ ンス は,幾 何 学 的 形 状 よ
り,444nHと
Fig.2
Equivalent
放 電 装置の等価 回 路
circuit of the experimental
apparatus.
求 め られ る。 放 電 生 成 物 の影 響 を少 な くす る
た め 放 電 ご と に 容 器 内 を 排 気 し,そ
(N2:O2:=8:2)を
の後 乾燥 空 気
幾何 学 的形 状 よ り求 め られ る(13)。
絶 縁破 壊 電圧 お よび放電
電流 に測定 値 を代入 して解 くこ とで,電 極 間電 圧 を直接測
任 意 の 気 圧 ま で 封 入 した 。 実 験 で は,直
定す る ことな く放 電消費 電 力な どを求 め る。
流 高 電 圧 電 源 を 用 い て ゆ っ く り と コ ン デ ン サ を 充 電 し,充
電 電 圧 が ギ ャ ップ の 絶 縁 破 壊 電 圧 に達 した と き に 起 こ る放
電 に つ い て調 べ た 。 放 電 の様 相 はイ メ コ ン(John
LTD,
IMACON
分 圧 器,放
790)を
用 い て,ま
3.
Hadland
電 電 流 は ロ ゴ ス キ ー コイ ル(Pearson
用 い て 測 定 し た。 これ らの 信 号 は,GP-IBを
110A)を
[3.1]
放 電形態 の時 間変化
図3は
電 流 波 形 と,イ メ
ー ジ コ ンバ ー タ カ メ ラ(イ メ コ ン)で 撮 影 し た 放 電様 相 の 駒
介 して コ ン ピ
ュー タ に送 られ 、 そ こ で 記 録 お よび 解 析 され る。
図2に
実験結 果
た絶縁破 壊電 圧は抵 抗
撮 り写 真 で あ る。 電 流 波 形 上 の 数 字 と矢 印 は 写 真 撮 影 の タイ
放 電 装 置 の 等 価 回 路 を示 す 。 回 路 方 程 式 は 次 の よ
ミ ン グ(番 号)に
うに記 述 され る。
対 応 して い る。 駒 撮 りの 露 光 時 間 は50n秒
で あ る。 気 圧 お よ び ギ ャ ップ長 は そ れ ぞ れ6.5Torrと2cm,
制 限 抵 抗 は1Ω
で あ る。 図 よ り,電 流 は約100Aま
で上昇
Vc
(t)=Vbd-1/C∫i(t)dt……(1)
Vc
(t)=Vg(t)+R0・i(t)+L0di(t)/dt……(2)
Pg
(t)=i(t)・Vg(t)……(3)
Eg(t)=∫t0Pg(t)dt……(4)
ここで,R0は 回路抵抗,Cは
コンデ ンサ の静電容量,L0は
回路イ ンダ クタンス,Vcは コンデ ンサの充電電 圧,Vbdは 絶
縁破 壊電 圧,Vgは 電極 間電圧,i(t)は回路電流,Pgは 放 電消
費 電力,Egは 放 電消費 エネル ギー であ る。R0,L0は 装置 の
図1
Fig.1
実験装置
Experimental
図3
set-up.
Fig.3
226
Photographs
イ メ召ンで撮 影 した放電 の様 相
by the imageconverter
camera
.
T. IEE Japan , Vol. 120-A, No. 2, 2000
大 電 流 パ ル ス ク ロ ー 放 電 の特 性
した 後,し
ば ら く は 一 定 値 を 保 ち,そ
急 激 に 上 昇 して い る。 ま た,放
し て数 μ秒 後 に 再 び
電 写 真 よ り,2.3μ
ま で 陰 極 表 面 に 輝 点 は 現 れ て お らず,放
め,各
電形 態 は過 渡的 な
グ ロ ー 放 電 で あ る こ とが わ か る。 そ の 後,陰
が 現 れ,電
で あ る。 ギ ャ ップ 長 を変 え た 場 合,絶
秒付近
流 の 急 激 な 増 上 昇 に 伴 い,放
縁破壊 電圧 が 変 るた
プ ロ ッ トの 電 流 値 は 異 な る 。 しか し,定 電 流 で ギ ャ
ップ長 を変 え て 電圧 を測 定 した と き の 報 告 同様 に(7),電 極 間
極 表 面に輝 点
電 圧 は ギ ャ ップ 長 と と もに 直 線 的 に 変 化 して い る 。 ま た,
電チ ャネル が収 縮
ギ ヤ ップ 長0cmに
し,ア ー ク放 電 へ 転 移 して い る 。
お い て 気 圧 の異 な る3つ の 直線 は ほ ぼ 一
致 し,そ の 電 圧 値(Vd)は
約320Vと
な っ て い る。 こ の 電
圧 値 は 、 正 規 グ ロ ー 放 電 で の 陰極 降 下 電 圧 と一 致 して い る。
[3.2]
グ ロー 放 電 電 流
図4に,ア
ーク転移 直前にお
こ れ よ り,本 実 験 の 電 流 域 で は 陰 極 電 圧 に関 し て,正 規 グ
け る グ ロ ー 電 流 と気 圧 との 関 係 を 示 す 。 パ ラ メ ー タ は ギ ャ
ロ ー の もの を利 用 で き る と考 え られ る。
ップ 長 で あ る 。 陰 極 が 放 電 で 覆 わ れ て い る面 積 は,陰 極 表
ま た,ア
ー ク 転 移 直 前 の グ ロ ー 放 電 の 陽 光 柱 の 電 界 は,
面 の 負 グ ロ ー の 面 積 を 写 真 撮 影 し て 求 め た 結 果 よ り,す べ
図5の
て 陰 極 表 面全 体(約63cm2)と
れ 約340,530,880V/mと
合,電
な る。 正 規 グ ロ ー 放 電 の 場
流 密 度 は 陰 極 材 料 と ガ ス 種 で 決 定 され,銅
グ ラ フ の傾 き よ り,気 圧 が5,10,20Torrで
な る。
陰 極 と空
気 の 場 合,
[3.4]
過 渡 グ ロー 放 電 の 持 続 時 間
図6に,過
渡 グロー
放 電 の 持続 時 間 と気 圧 と の 関係 を示 す 。 パ ラ メー タ は ギ ャ
jn =240×10-6・p2[A/cm2]……(5)
(ただ し,ρ は気[Torr])と
それ ぞ
な る(14)。しか し図4よ
り,
グ ロ ー 電 流 と 気 圧 は 比 例 して い る。 ま た 、 ギ ャ ップ 長 に 対
し て も依 存 して い る。 これ ら の こ と よ り,本 過 渡 グ ロ ー 放
電 は正 規 グ ロ ー 放 電 で な い こ と が わ か る。 加 え て,気 圧10
Torrで
予 想 さ れ る 電 流 密 度 は,前
A/cm2と
な る。 しか し,ギ ャ ップ 長2cmに
度 は,3.4A/cm2と
出 の 式 よ り,0.024
お ける電流密
な り,正 規 グ ロー の 電 流 密 度 と比 べ2桁
以 上 大 き い 。 これ らの こ と よ り,本 実 験 装 置 で 生 成 され る
過 渡 グ ロ ー 放 電 は,正
規 グ ロ ー 放 電 領 域 で は な く,異 常 グ
ロー 放 電 領 域 に あ る こ と が わ か る。
図5
Fig.5
ギャ ップ長 と転移 直前の電極 間電圧 との関係
Relationship between gap length and voltage
between electrodes just before a transition to arc
discharge.
図4
転移 直前 の グロー放 電電流 と気圧 との関係
Fig. 4 Glow discharge current just before a transition
to arc as a function of gas pressure.
[3.3]
グ ロー放 電維 持電圧
図5に アー ク転移直前 の
電極 間 電圧 とギ ャ ップ長 との 関係 を示す 。パ ラメー タは気
圧 であ る。放 電電 圧 は,(1),(2)式
電圧 の時 間変 化 を図5中
図6
よ り求 めた。 典 型的 な
に示 してい る。 図5中
Fig. 6
の プロ ッ ト
120巻2号,平
成12年
Relationship
between
length.
は,電 流 が急 激 に 上昇す る直前 の,矢 印 で示 した点 の電 圧
電 学 論A,
過 渡 グロー放電 の持 続時間 とギ ャ ップ長 の関係
227
glow duration
and gap
圧の
や や減 少す る傾 向 を示 す こ と も報 告 され てい る(12)。
実験 条
た 電 極 間 距 離 の 増 加 に 対 し て 減 少 して い
件 が異 な るた め,定 量 的 な比 較 は でき な いが,異 常 グ ロー
ップ 長 で あ る。 図 よ り,グ ロ ー 放 電 の 持 続 時 間 は,気
上 昇 に 対 して,ま
中 の 曲線 は気 圧 の 二 乗 の逆 数
放電 領 域 で過 渡 グ ロー 放電 を起 こ した場 合,輝 点 生成 まで
(∝P-2)で
近 似 した もの で あ る 。 電 流 が 小 さ く正 規 グ ロ
ー 放 電 同様 の 電 流 密 度 に な る 場 合 ,グ ロー 放 電 維 持 時 間 は
に放 電 に投 入 でき るエ ネル ギ ー は増 え る こ と,ま た気 圧 に
る こ と が わ か る 。 ま た,図
対す る依 存性 は,正 規 グ ロー放 電 領域 で 生成 した過 渡 グ ロ
ー放 電の もの と異な るこ とがわ か る。
気 圧 の 二乗 の 逆 数 に 比 例 す る こ と が報 告 され て い る(10),(11)。
大 電 流 の 過 渡 グ ロ ー 放 電 の 場 合,デ
図9に,陰
極輝 点生成 ま でに 陰極 降 下領 域で 消費 され た
エネル ギーお よび そ の値 の放 電 全体 で 消 費す るエネル ギー
ー タ の ば らつ き は 大 き
い が,実 線 と プ ロ ッ トの 傾 向 は 一 致 して い る。
に対す る割 合の気圧依 存性 を示す。 ギ ャ ップ長 は1,0cmで
放電
あ る。 図 よ り,陰 極 降下 領域 で の 消費 エネル ギー は,気 圧
の 電 流 波 形 と,放 電 全 体 で 消 費 さ れ る エ ネ ル ギ ー お よ び 過
にあ ま り依 存せ ず,ほ ぼ 一定 とな る こ と,お よび放 電 全体
[3.5]
陰 極 輝 点 の 形 成 と消 費 エ ネ ル ギ ー
図7に
渡 グ ロ ー 放 電 の 陰 極 降 下 領 域 で 消 費 され る エ ネ ル ギ ー の 時
で消費 す るエ ネル ギー に 占め る割 合 は気 圧 の増加 に対 して
間 変 化 を 示 す 。 ギ ャ ップ 長 は1.0cm,気
あ
減 少す る ことがわ か る。正 規 グ ロー放 電 領域 の過 渡 グロー
よ り,
放 電 では,陰 極 輝 点発 生 まで に陰 極 降下 領域 で消費 され る
圧 は10Torrで
る。 放 電 全 体 で 消 費 され る エ ネル ギーEg(t)は(4)式
陰極 降 下 領 域 の 消 費 エ ネ ル ギ ーEd(t)は,
単位 面 積 あた りの エネル ギー は一 定 とな り,そ の とき の値
は約9mJ/cm2で
Ed(t)=Vd・∫t0i(t)dt……(6)
あ るこ とが 報告 され てい る(12)。図 よ り,
異常 グロー放電領 域の過 渡 グロー放電 の場合,陰 極 降下領
よ り求 め た。 こ こ でVdは
先 ほ ど求 め た 陰 極 降 下 電 庄 で あ る。
図 よ り,放 電 で 消 費 され る エ ネ ル ギ ー は,時
間 の 経 過 に伴
っ て 増 加 して お り,陰 極 輝 点 生 成 ま で に 消 費 され る エ ネ ル
ギー は 約0,1Jと
な る。 ま た,陰 極 輝 点 生 成 ま で に陰 極 降 下
領 域 で 消 費 され るエ ネ ル ギ ー は約0.03Jで
費 され るエ ネ ル ギー の約30%と
あ り,放 電 で 消
な る。
図8
ギャ ップ消費 エネ ル ギー の気圧 依存性
Fig. 8
Relationship
between
gap consumed
energy
and pressure.
図7
放電電 流 とギャ ップお よび 陰極降下 の消費エネル ギー
Fig. 7
Discharge
current
and consumed
and cathode
図8に,陰
energy
in gap
fall.
極 輝 点 生 成 ま で に 放 電 全 体 で 消 費 され た エ ネ
ル ギー と気 圧 との 関 係 を 示 す 。 ギ ャ ップ 長 は1.0cmで
図 よ り,消
費 エ ネ ル ギ ー は気 圧 の 増 加 に 対 して 増加 して お
り,本 実 験 条 件 で は,0.04Jか
る。736Ω
あ る。
ら0.15Jの
範 囲 となってい
の抵 抗 を放 電 回 路 に 直 列 に挿 入 して 数Aの
グ ロー 放 電 を 起 こ した 場 合,陰
過渡
極 輝 点発 生 まで に放 電で 消
費 され る エ ネ ル ギ ー は ニ ッ ケ ル を 陰極 材 料 と した 場 合 で 約
0.04J,ア
ル ミ ニ ウム の 場 合 で0,02Jと
図9
な る こ とが 報告 さ
Fig. 9
れ て い る(12)。
ま た,消 費 エ ネ ル ギ ー は気 圧 の 増 加 に 対 して,
陰極 降下消費 エネル ギー の気 圧依 存性
Relationship
between
consumed
energy
ratio
and pressure.
228
T. IEE Japan,
Vol. 120-A, No . 2, 2000
大 電 流 パ ル ス グ ロ ー放 電 の特 性
域 での消 費エネル ギー は約35mJで
あ る。静 止写真 に よる
測 定 よ り,陰 極 表面 の放 電面積 は約63cm2で
4596(1987)
ある。従 って,
単位 面積 あた りのエネル ギー は約0.55mJ/cm2と
(5)
な り,正
鈴木
泰 雄,行
ー イ オ ン注 入 」
規 グロー 放 電領 域 の過 渡 グ ロー放 電 に対 して小 さなエネ ル
建:「
,電
学 誌,Vol.
三次元形 状物へ の高エネル ギ
118,
No.
3, pp.
147-
150(1998)
ギー密度 で,陰 極表 面に輝 点 を生 じる こ とが分か る。
(6)
I. D.
Chalmers
and
arc-forming
4.
村
まとめ
intensifier
Vol.
高密度 ・大容積 プ ラズマ生成 のた めの基礎 研究 と して,こ
(7)
こでは異 常 グ ロー放電 の領 域 で起 こ した,放 電電 流100A
4,
R.S.
等 の特 性 を調 べ た。 そ の結果,以 下の こ とが 明 らかに な っ
(8)
た。
た,気 圧 の増加 に対 して も増 加 す る。 しか し,グ ラ フ よ り
(9)
in
an
Phys.
Soc.,
M. M.
Kekez,
85,
(1970)
T.
Fujiwara,
H.
pp.
pp.
in
Appl.
Phys.,
Phys.
J. D.
D:
Yamada,
Nitrogen•h,
cathode
duration•h,
Proc.
(1965)
and
J.
Phys.,
Vol.
Taniguti,
the
Jpn.
Craggs:•gSpark
Appl.
H.
of
1470-1472
image
pressure
short
1269-1282
J.
1886-1895
Discharge
D:
high
of
Barrault
formation•h,
pp.
ず,正 規 グ ロー放 電 の 陰極 降下 電 圧 の値 とほ ぼ一 致 した。
Phys.
of
discharge
M. R.
Sugita:•gInvestigation
た。
J.
the
using
(1971)
arc
Vol.
of
breakdown
converter•h,
1302-1305
求 めた電極 間距離0に お ける放 電 維持 電圧 は気 圧 に依存 せ
過渡 グ ロー放 電 の持続 時間 は,気 圧 の増加 に対 して減少 し
Duffy:•gObservation
spark
Sigmond:•gEvidence
channel
放電 維持電 圧は電 極間距 離に対 して比例 して増加す る。 ま
of
and
pp.
seath
程度 の 大電 流過 渡 グロー 放電 につ いて,ス ポ ッ ト形 成条 件
H.
stage
and
Transient
Appl.
3,
K.
Glow
Phys.,
Vol.
31,
(1992)
(10) 関 川 純 哉,藤 原 民 也:「 静 的 破 壊 に お け る過 渡 グ ロ
ー 放 電 の放 電 断 面 積 と電 流 密 度 」
,電 学 論Vol.118-A,
過 渡 グロー放 電 で消費 され るエネ ル ギーを調 べ た結果,ギ
ャ ップ全 体 で消 費 され るエ ネル ギ ーは,本 実験 条件 で は,
No. 9,pp. 986-990
気圧 の 上昇 に対 して増加 した。 しか し,そ の とき陰極 降下
(11) 高 木
(1998)
浩 一,北 村
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陰極 ス ポ ッ ト生成 は,陰 極 降 下部 で の消費 エネ ル ギー が約
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35mJに
な る と起 こるこ とが わ かった。 ま た,放 電 の全消
(12)
費エネ ル ギ ーの うち陰極 降 下部 で 消費 され る割 合 は,気 圧
の上昇 とともに低 くな る ことも明 らか になった。
•g
T.
Fujiwara,
T.
Transient
breakdown•h,
謝辞
(13)
J.
829
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H.
Akiyama,
B.Maas:•gCurrent-voltage
志社大 学 の行 村建 先生,栗 田製 作 所の 西村 芳実 氏,お よび
current
装置 の製 作 ・修繕 に ご協力 頂 きま した本 学 徳 田春 夫氏,加
Plasma
(14)
(平成11年6月30日
受 付,平 成11年10月15日
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再 受付
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technique
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ion-
modification
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11,
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of
4591-
229
J.
pulsed
Sci.,
Sekikawa
discharge
Phys.
M.
本実験 を遂行 す る にあ た り有意 義 な ご助言 を賜 りま した 同
藤 昭二氏 に心か ら感 謝致 します。
Sato,
glow
D:
and
in
Appl.
Phys.,
Kristiansen,
H.
H.
Yamada:
nitrogen
Vol.
16,
放 電 ハ ン ドブ ッ ク,電
No.
in
2,
pp.
気 学 会,p.
air•h,
312-316
108
after
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