第5章 食品卸売業・外食産業の動向 - 食品需給研究センター

第5章
第5章
食品卸売業・外食産業の動向
食品卸売業・外食産業の動向
利用者のために
1
食品卸売業
2
外食産業の動向
- 149 -
利用者のために
1
指数作成の対象
この指数は食品卸売業における販売額を調査し、指数化により卸売業の動向を把握するもので
ある。また、本調査では食品卸売業から小売業まで一貫して調査し、指数を作成しており、その相
互の関連をも把握しようとするものである。しがって、本指数の作成にあっては原則として食品
製造業と部門別には同一であるように設計されている。本指数の対象範囲は加工食品であり、米
穀類の食用農産物を除いている。
2
卸売販売額指数の作成方法
食品製造業の品目別出荷指数又は生産指数と日本銀行「企業物価指数」を基に算出している。
この場合、出荷指数を優先し、出荷指数のないものについては生産指数を採用している。また、
出荷指数、生産指数がない場合は業界の生産量、出荷量の業務統計資料を用いている。
(1) 指数算式
指数計算は対象品目別に基準数量で比較月の販売額を除し、品目指数を計算し、次にそれらの
品目指数を業種別、部門別、さらに総合につき品目ウェイトで加重平均する。
基準数量と品目ウェイトはあらかじめ算定し、固定しておくので、変化するのは月々の販売額の
みである(ラスパイレス算式)。この指数算式は次のごとくである。
ラスパイレス式(加重相対法)
n
WS
t
=
WS
∑ WS
i
ti
w 0i
0i
n
∑w
i =1
× 100 . 0
0i
WS:販売額
w :販売額ウェイト
i :採用品目を示す添字
0 :基準時を示す添字
t :比較時を示す添字
(2)卸売販売額指数のウエイト
加工食品については、本指数において設定している部類ごとに経済産業省「工業統計」(平成 12
年)の出荷額を配分し部類ごと、品目ごとのウエイトを作成した。
3
用語の解説と統計利用上の留意点
①
寄与度:他の内訳が変化しないとした場合に特定の内訳の変化が全体をどの程度の割合
で変化させたかを表している。
- 150 -
第5章
食品卸売業・外食産業の動向
対前年増減寄与度 = 各部門指数(当年指数−前年指数)×ウェイト
÷(総合指数(前年指数)×ウェイト)× 100.0
②
大豆加工品については資料の制約から月別指数を作成していない。従って総合類別の月次
指数は大豆加工品を除いて算出しており、総合類別の年計値と月別に合計し、12 月で除し
た月別の平均値とは一致しない。
③
菓子についてはビスケット類、米菓子、チョコレート類以外の品目を採用していない。月
別指数は3品目で菓子を代表させており、また、茶類も月別指数はインスタントコーヒーで
代表させている。
従って、内訳として月別に合計し 12 月で除した月別平均値と年計値は一致しない。総合
値については上記①と同様である。
④
数値は概数であり、一部推定値を含んでいる。なお、平成 15 年の数値は確定値であり、
前年の概数値を修正している。
⑤
本報告書では上昇、低下、増加、減少の表現区分は次のようにしている。
前年並み
:
± 1 %未満
わずか
:
± 1 ∼ 3 %未満
やや
:
± 3 ∼ 6 %未満
かなりの程度:
± 6 ∼ 11 %未満
かなり大きく:
± 11 ∼ 16 %未満
大幅
± 16 %以上
:
- 151 -
1
食品卸売業
平成 17 年の加工食品卸売販売額指数(平成 12 年= 100)は、93.7 で、対前年比▲ 1.6 %と
わずかに低下した。平成 12 年以降、低下傾向で推移し、平成 16 年は前年並みとなったが、平
成 17 年は再び低下に転じている。
部門別にみると、菓子、調理食品がわずかに上昇したものの、食用油脂・同加工品がかなりの
程度低下、飲料、酒類がやや低下、調味料、製穀粉・同加工品、畜産食料品、農産加工品がわず
かに低下したことがマイナスに寄与している。このほか、水産食料品、茶類、砂糖が前年並みと
なっている(図 5-1、図 5-2、表 5-1)。
図5-1 加工食品卸売販売額指数の推移
平成12年=100
110
8
6
105
4
100.4
100.0
97.9
100
-1.0
-1.5
-0.2
-1.6
0
0.0
-0.4
95
-2
-2.1
90
2
96.9
95.4
95.2
-4
93.7
対前年増減率
-6
卸売指数
-8
85
-10
11
12
13
14
- 152 -
15
16
17年
第5章
食品卸売業・外食産業の動向
図5-2 加工食品卸売販売額指数の対前年増減率、寄与度
対前年増減率
加工食品 総合
寄与度
-1.6
畜産食料品
-1.6
-2.3
-0.4
-1.1
食肉加工品
0.0
-2.7
牛乳乳製品
-0.2
0.2
水産食料品
0.0
-1.2
農産加工品
0.0
大豆加工品
-2.7
製穀粉・同加工品
-0.3
製 粉
-1.1
0.0
パン類
-1.1
-0.1
-4.1
めん類
-2.8
調味料
食用油脂・同加工品
-0.2
-0.2
-0.2
-7.4
-0.2
食用油脂
加工油脂
-9.1
-2.2
0.0
-0.2
砂 糖
0.0
1.1
調理食品
1.9
菓 子
飲 料
0.2
-3.3
-0.3
0.6
茶 類
酒 類
0.0
-4.9
0.0
-0.8
- 153 -
表5-1 加工食品卸売販売額指数の推移
卸売指数 (12年=100)
年 次 ウェイト
品 目
(12年)
13年
14年
15年
16年
対前年増減率 %
17年
寄与度
13年
14年
15年
16年
17年
17/16年
加工食品 総合
10,000.0
97.9
96.9
95.4
95.2
93.7
▲ 2.1
▲ 1.0
▲ 1.5
▲ 0.2
▲ 1.6
▲ 1.7
畜産食料品
1,598.5
98.4
97.5
98.5
96.9
94.7
▲ 1.6
▲ 0.9
1.0
▲ 1.6
▲ 2.3
▲ 0.4
273.3
98.0
93.4
94.3
92.1
91.1
▲ 2.0
▲ 4.7
1.0
▲ 2.3
▲ 1.1
▲ 0.0
食肉加工品
724.8
98.4
99.0
100.2
98.7
96.0
▲ 1.6
0.6
1.2
▲ 1.5
▲ 2.7
▲ 0.2
水産食料品
牛乳乳製品
1,373.5
96.6
93.2
90.1
89.7
88.9
▲ 3.4
▲ 3.5
▲ 3.3
▲ 0.4
0.2
0.0
農産加工品
418.8
98.7
98.2
94.8
91.7
90.6
▲ 1.3
▲ 0.5
▲ 3.5
▲ 3.3
▲ 1.2
0.0
161.4
100.8
101.9
101.5
101.5
0.8
1.1
▲ 0.3
▲ 0.0
1,144.6
99.4
96.7
96.9
96.1
▲ 0.6
▲ 2.7
0.2
▲ 0.8
大豆加工品
製穀粉・同加工品
93.5
-
-
▲ 2.7
▲ 0.3
製 粉
168.4
99.2
97.4
97.8
97.4
96.4
▲ 0.8
▲ 1.8
0.4
▲ 0.4
▲ 1.1
▲ 0.0
パン類
510.1
98.3
92.9
95.0
94.1
93.0
▲ 1.7
▲ 5.5
2.3
▲ 0.9
▲ 1.1
▲ 0.1
めん類
444.2
99.3
98.9
97.4
97.9
93.9
▲ 0.7
▲ 0.4
▲ 1.5
0.5
▲ 4.1
▲ 0.2
調味料
776.1
98.1
97.3
95.9
93.9
91.2
▲ 1.9
▲ 0.8
▲ 1.4
▲ 2.1
▲ 2.8
▲ 0.2
食用油脂・同加工品
278.2
95.0
96.1
100.3
106.6
98.8
▲ 5.0
1.2
4.4
6.3
▲ 7.4
▲ 0.2
食用油脂
175.7
93.9
94.6
99.5
108.1
98.3
▲ 6.1
0.7
5.2
8.6
▲ 9.1
▲ 0.2
加工油脂
56.1
98.5
100.8
102.7
102.0
99.8
▲ 1.5
2.3
1.9
▲ 0.7
▲ 2.2
▲ 0.0
83.0
93.4
90.7
105.4
98.9
98.7
▲ 6.6
▲ 2.9
16.2
▲ 6.2
▲ 0.2
▲ 0.0
砂 糖
調理食品
83.0
99.4
98.2
102.0
98.5
99.6
▲ 0.6
▲ 1.2
3.9
▲ 3.4
1.1
0.0
菓 子
1,288.6
94.4
96.4
95.9
97.0
98.8
▲ 5.6
2.1
▲ 0.5
0.1
1.9
0.2
飲 料
944.5
96.3
96.6
90.2
94.5
91.4
▲ 3.7
0.3
▲ 6.6
7.5
▲ 3.3
0.3
茶 類
302.6
104.2
102.1
102.5
107.4
108.0
4.2
▲ 2.0
0.4
4.8
0.6
0.0
酒 類
1,547.3
100.3
98.9
95.0
94.9
90.2
0.3
▲ 1.4
▲ 3.9
▲ 0.1
▲ 4.9
▲ 0.5
(1)畜産食料品
畜産食料品の卸売販売額指数は、食肉加工品、牛乳乳製品がわずかに低下したことから、全体
ではわずかに低下
平成 17 年の畜産食料品の卸売販売指数は 94.7 で対前年比▲ 2.3 %とわずかに低下した。この
うち、食肉加工品が同▲ 1.1 %とわずかに低下、牛乳乳製品も同▲ 2.7 %とわずかに低下した。
食肉加工品はベーコンが増加、ハム類、ソーセージが減少
食肉加工品は、対前年比▲ 1.1 %とわずかに低下した。ベーコン類がわずかに増加したものの、
ソーセージ類、ハム類がわずかに減少したことが響いている。ソーセージ類は、価格がわずかに
上昇し、生産量もやや減少したことが要因とみられる。
飲用牛乳、チーズ、はっ酵乳がそれぞれやや減少、バターがやや増加、アイスクリームがわず
かに増加、乳酸菌飲料が前年並み
牛乳乳製品は、対前年比▲ 2.7 %とわずかに低下した。このうち、飲用牛乳は、価格が前年並
みであるものの、消費低迷が続いており、やや減少した。
バターは、生乳生産量の増加や飲用牛乳の消費低迷を背景に生産量が増加したことから、卸売
り販売額は対前年比でやや増加した。
チーズは、価格上昇などから、対前年比でやや減少した。
- 154 -
第5章
食品卸売業・外食産業の動向
アイスクリームは、昨年に引き続き、対前年比でわずかに増加した。
はっ酵乳・乳酸菌飲料のうち、はっ酵乳は、価格がかなり低水準で推移したことから、対前年
比でやや減少となった。乳酸菌飲料は、価格、数量ともに前年並みで推移したことから、同前年
並みとなった。
(2)水産食料品
水産食料品の卸売販売額指数は、加工のり、節製品が増加したものの、水産加工品が減少した
ことから、全体では前年並み
水産食料品の卸売販売指数は 88.9 で、対前年比 0.2 %と前年並みになった。平成 13 年以降、
低下傾向で推移してきたが、平成 17 年は前年並みとなった。水産練製品、水産缶・びん詰が前
年並みであったが加工のり、節製品がわずかに増加、水産加工品がわずかに減少した。
水産練製品は、前年並み
水産練製品は、対前年比で価格がわずかに上昇したものの、数量が前年並みであったことから、
販売額は前年並みとなった。ちくわかまぼこ類の原料となるスケトウダラすり身の供給不足を背
景に価格が上昇したことから、販売額が前年並みとなった。
節製品は、わずかに増加
節製品は、かつお節が対前年比でやや増加したものの、削り節が前年並みで、全体ではわずか
に増加した。原料となるかつおの水揚量が増加し、卸売価格が低下したことから、かつお節がや
や増加した。一方、けずり節の販売額は前年並みとなっている。
加工のりは、わずかに増加
加工のり(味付けのりや焼きのり)は、生産量が対前年比で前年並みであったものの、卸売価
格は上昇し、さらに、販売額がわずかに増加した。
水産缶・びん詰は、前年並み
水産缶・びん詰は、サケ缶、カツオ缶等が対前年比で増加したものの、マグロ缶、イワシ缶、
サンマ缶等の販売額が減少し、前年並みとなった。
水産加工品は、わずかに減少
ウェイトが最も高い水産加工品は、塩干塩蔵品の数量が対前年比で減少したものの、価格がわ
ずかに上昇したことから、全体ではわずかに減少した。その他の水産加工品は、数量が前年並み
であったが、価格が上昇したことから、全体ではわずかに増加した。
- 155 -
(3)農産食料品
農産食料品の卸売販売額指数は、漬物、トマト加工品等が減少したことから、全体ではわずか
に低下
平成 17 年の農産食料品の卸売販売指数は 90.6 で、対前年比▲ 1.2 %とわずかに低下した。品
目別にみると、果実缶・びん詰が増加したものの、漬物、野菜缶・びん詰、トマト加工品がわず
かに減少したことから、全体ではわずかに低下した。
漬物は、わずかに減少
漬物は、対前年比で価格が前年並みとなったものの、消費低迷からわずかに減少した。特に、
醤油漬け、塩漬類、酢漬類の減少が響いている。食生活の変化、特にコメの消費減少が一因とみ
られる。また、ウェイトの高いキムチは、韓国産キムチの衛生に関する報道をきっかけに消費低
迷が続いたことも要因とみられる。
野菜缶・びん詰は、わずかに減少。果実缶・びん詰はわずかに増加
野菜缶・びん詰は、対前年比で価格は前年並みとなったものの、数量はやや減少したことから、
販売額もわずかに減少した。野菜缶・びん詰は、他の容器への移行がすすみ、低迷が続いている。
果実缶・びん詰では、数量がかなりの程度増加したものの、価格はわずかに低下したことから、
販売額はわずかに増加した。
トマト加工品は、わずかに減少
トマト加工品(トマトケチャップ等)は、対前年比で価格が前年並みであったものの、数量が
わずかに減少し、販売額もわずかに減少した。
(4)製穀粉・同加工品
製穀粉・同加工品の卸売販売額指数は、製粉、パン類、麺類いずれも低下したことから、全体
ではわずかに低下
平成 17 年の製粉・同加工品の卸売販売指数は 93.5 で、対前年比▲ 2.7 %とわずかに減少した。
製粉、パン類がわずかに減少し、めん類がやや減少したことがマイナスに寄与している。
製粉は、わずかに低下
製粉は、対前年比▲ 1.1 %とわずかに低下した。精麦は前年並みとなったが、小麦粉、プレミ
ックスがわずかに減少したことが響いている。小麦粉は、数量、価格ともに前年を下回っている。
パン類は、わずかに低下
パン類は、対前年比▲ 1.1 %とわずかに低下した。食パンは数量がわずかに減少し、価格が前
年並みとなったことから、販売額はわずかに減少した。菓子パンは、数量、価格ともに前年並み
となった。
- 156 -
第5章
食品卸売業・外食産業の動向
めん類は、やや低下
めん類は、対前年比▲ 4.1 %とやや低下した。生めんは、価格が前年並みとなったが、数量が
やや減少した。即席めんは、価格がわずかに上昇したが、数量がやや減少した。乾めんは価格が
前年並みとなったが、数量がやや減少した。マカロニ・スパゲティは、数量がわずかに増加した
が、価格がわずかに低下した。
(5)調味料
調味料の卸売販売額指数は、ドレッシングが増加したものの、みそ、しょうゆ、ソースがそれ
ぞれ減少したことから、全体ではわずかに低下
平成 17 年の調味料の卸売販売指数は 91.2 で、対前年比▲ 2.8 %とわずかに低下した。品目別
では、ドレッシングが増加したものの、みそ、しょうゆ、ソースがそれぞれ減少したことから、
全体ではわずかに低下した。
みそは、わずかに減少
みそは、対前年比で価格が前年並みであったが、数量がわずかに減少したことから、販売額は
わずかに減少した。
しょうゆは、わずかに減少
しょうゆは、対前年比で価格が前年並みであったが、数量がわずかに減少したことから、販売
額はわずかに減少した。
ドレッシングは、やや増加
ドレッシングは、対前年比で価格が前年並みであったが、消費が引き続き、堅調だったことか
ら、販売額はやや増加した。
マヨネーズは、前年並み
マヨネーズは、対前年比で価格、数量ともに前年並みであったことから、販売額も前年並みと
なった。
ソースは、やや減少
ソースは、対前年比で価格が前年並みであったが、数量がやや減少したことから、販売価格は
やや減少した。
うまみ調味料は、前年並み
うまみ調味料は、対前年比で価格、数量ともに前年並みであったことから、販売額も前年並み
となった。
- 157 -
(6)食用油・同加工品
食用油・同加工品の卸売販売額指数は、食用油脂がかなりの程度低下、加工油脂がやや低下し
たことから、全体ではかなりの程度低下
平成 17 年の食用油・同加工品の卸売販売指数は 98.8 で、対前年比▲ 7.4 %とかなりの程度低
下した。食用油脂がかなりの程度低下、加工油脂がわずかに低下した。
食用油脂は、かなりの程度低下
食用油脂は、対前年比▲ 9.1 %とかなりの程度低下した。なたね油、大豆油の主要品目の販売
数量がやや減少したことに加え、価格が下落したことが響いている。
加工油脂は、マーガリンがやや減少、ショートニングはわずかに増加
加工油脂は、対前年比▲ 2.2 %とわずかに低下した。マーガリンは、価格が前年並みであった
が、数量がやや減少したことから、販売額はやや減少した。ショートニングは、数量がわずかに
減少したものの、価格が上昇したことから、販売額はわずかに増加した。
(7)調理食品
冷凍調理食品の卸売販売額指数は、わずかに上昇
平成 17 年の調理食品の卸売販売指数は 99.6 で、対前年比 1.1 %とわずかに上昇した。品目別
にみると、フライ類、フライ類以外の他の冷凍食品の価格が前年並みであったが、数量がわずか
増加したことから、販売額はわずかに上昇した。
(8)菓子
菓子の卸売販売額指数は、ビスケットが前年並みであったが、米菓、チョコレートが増加した
ことから、全体ではわずかに上昇
平成 17 年の菓子の卸売販売指数は 98.8 で、対前年比 1.9 %とわずかに上昇した。ビスケット
が前年並みであったが、米菓がやや増加、チョコレートがわずかに増加したことから、全体では
わずかに上昇した。
チョコレートは、新製品の投入が市場を牽引し、わずかに増加
チョコレートは、対前年比でわずかに増加した。価格がわずかに低下したものの、春先、さら
に、秋から冬にかけて新製品が投入されたこともあり、また、販売数量は、わずかに増加したこ
とから、販売額もわずかに増加した。
ビスケットは、前年並み
ビスケットは、対前年比で前年並みとなった。価格、数量ともに前年並みであったことから、
販売額も前年並みとなった。
- 158 -
第5章
食品卸売業・外食産業の動向
米菓は、やや増加
米菓は、対前年比でやや増加した。販売価格は前年並みであったものの、数量がやや増加した
ことから、販売額はやや増加した。
(9)飲料
飲料の卸売販売額指数は、果実飲料、コーヒー飲料が増加したものの、トマト飲料、炭酸飲料、
茶系飲料が減少したことから、全体ではやや低下
平成 17 年の飲料の卸売販売指数は 91.4 で、対前年比▲ 3.3 %とやや低下した。果実飲料、コ
ーヒー飲料がやや増加したものの、トマト飲料がやや減少、炭酸飲料、茶系飲料がわずかに減少
したことから、全体を押し下げた。
炭酸飲料は、わずかに減少
炭酸飲料は、対前年比で数量が前年並みであったが、価格がわずかに低下したことから、販売
額がわずかに減少した。果実着色炭酸飲料、透明炭酸飲料が増加したものの、ウェイトの高いコ
ーラ炭酸飲料が減少したことが響いている。
果実飲料は、やや増加
果実飲料は、対前年比で価格が前年並みであったが、数量がやや増加したことから、販売額は、
やや増加した。果汁入り飲料(10 %以上 50 %未満)が減少したものの、果実ジュース果汁入り
飲料(50 %以上 100 %未満)が増加したことが全体を押し上げている。
コーヒー飲料は、やや増加。茶系飲料は、わずかに減少
コーヒー飲料は、対前年比で価格がわずかに低下したものの、数量がかなりの程度増加したこ
とから、販売額はやや増加した。コーヒー飲料は、品質志向タイプの新製品投入が市場を牽引し
た。
茶系飲料は、対前年比で数量がわずかに増加したものの、価格がわずかに低下したことから、
販売額はやや減少した。茶系飲料は、緑茶飲料が増加したものの、ウーロン茶飲料、ブレンド茶
飲料、麦茶飲料が減少したことが響いている。
トマト飲料は、やや減少
トマト飲料は、対前年比で価格がわずかに低下し、数量もやや減少したことから、販売額はや
や減少した。トマトジュース、トマトミックスジュースともにやや減少した 。
(10)酒類
酒類では果実酒が大幅に増加、ビールが減少
平成 17 年の酒類の卸売販売指数は 90.2 で、対前年比▲ 4.9 %とやや低下した。平成 14 年以
- 159 -
降、減少傾向で推移している。品目別にみると、
日本酒は、わずかに減少
日本酒は、対前年比で価格が前年並みであったが、数量がやや減少したことから、販売額はわ
ずかに減少した。
焼酎は、わずかに増加
焼酎は、対前年比で価格がわずかに上昇、数量もわずかに増加したことから、販売額はわずか
に増加した。甲類が前年並みであったものの、乙類は、イモ焼酎の増加がプラスに寄与し、わず
かに増加した。
ビールは、かなりの程度減少
ビールは、対前年比で価格が前年並みであったが、数量がかなりの程度減少したことから、販
売額はかなりの程度減少した。低価格志向の第三のビールが多様な新製品の投入により、市場が
拡大した影響から、ビールの減少幅が拡大した。
果実酒は、果実酒規格の変更から、大幅に増加
果実酒は、対前年比で価格がわずかに上昇し、数量が大幅に増加したことから、販売額は大幅
に増加した。これは果実酒規格の変更により、低アルコールものが含まれたためである。
ウィスキー類は、前年並み
ウイスキーは、対前年比で価格がわずかに上昇したが、数量がわずかに減少したことから、販
売額は前年並みとなった。
- 160 -
第5章
2
食品卸売業・外食産業の動向
外食産業
外食産業については、外食産業総合調査研究センターの推計や日本フードサービス協会(JF)
の「外食産業市場動向調査」の既存データをもとに概観する。
(1)外食産業の市場規模
外食産業の市場規模は、約24兆4,738億円で対前年比▲2.2%とわずかに減少
平成 16 年の外食産業の市場規模は、24 兆 4,738 億円で対前年比▲ 2.2 %とわずかに減少した。
過去の推移をみると、平成 9 年の 29 兆円をピークに減少基調で推移している。平成 16 年は平
成 12 年を 100 とした指数では 90.7 となっている。
なお、弁当・惣菜等の料理品小売業を含めた広義の外食産業の市場規模では 29 兆 7,934 億円
で、対前年比▲ 1.6 %とわずかに減少している。
図5-3 外食産業市場規模の推移(平成12年=100.0)
120
115
110
106.1
105
107.7
105.6
103.2
101.5
100.0
100
95.8
95
94.4
料飲部門
90
92.7
90.7
給食部門
外食総合
85
80
7
8
9
10
11
- 161 -
12
13
14
15
16年
図5-4 外食産業市場規模の推移
億円
350,000
料飲部門
給食部門
300,000
250,000
66,612
67,916
68,107
66,248
61,401
60,181
56,746
54,770
54,029
52,193
200,000
150,000
100,000
212,054
218,586
222,595
7
8
9
218,713
212,479
209,744
201,799
199,915
196,240
192,545
10
11
12
13
14
15
16年
50,000
0
外食産業の部門別構成比は、給食主体部門が19兆2,545億円で対前年比▲0.4%と前年並み、
料飲主体部門が5兆2,193億円で同▲0.5%と前年並み
外食産業は、給食主体部門と料飲主体部門に大別される。給食主体部門には、一般飲食店,宿
泊施設などの営業給食部門と学校給食,事業所,病院,社会福祉施設の集団給食がある。一方、
料飲主体部門は、喫茶店、ビアホール、酒場、料亭、バーなどである。
平成 16 年の外食産業の部門別市場規模は、給食主体部門が 19 兆 2,545 億円で対前年比▲ 0.4
%と前年並みになった。給食主体部門のうち、集団給食、宿泊施設等を除いた食堂、レストラン
など飲食店の市場規模は 12 兆 667 億円で、同▲ 0.2 %と前年並みとなっている。料飲主体部門
が 5 兆 2,193 億円で同▲ 0.5 %と前年並みになった。料飲主体部門のうち、喫茶店・居酒屋等が 2
兆 2,136 億円で同 0.0 %で前年並み、料亭・バー等が 3 兆 57 億円で同▲ 0.7 と前年並みになっ
ている。
平成 16 年の外食産業の部門別構成比は、給食主体部門が 78.7 %を占め、料飲主体部門が 21.3
%となっている。給食主体部門のうち、集団給食、宿泊施設等を除いた食堂、レストランなど飲
食店の構成比は、49.3 %となっている。
- 162 -
第5章
食品卸売業・外食産業の動向
図5-5 平成16年における広義の外食産業規模と
部門別売上高
料理品
小売業
5兆9,312億円
広義の外食産業の
市場規模
29兆7,934億円
外食料
飲主体
部門
5兆2,193億円
外食給食
主体部門
19兆2,545億円
図5-6 平成16年における外食産業給食主体部門
の構成
病院・保養所
1兆2,454億円
事業所給食
1兆9,892億円
学校給食
4,770億円
宿泊施設
給食主体部門
19兆2,545億円
飲食店
3兆2,229億円
12兆667億円
図5-7 平成16年における外食産業料飲主体部門
の構成比
喫茶店
1兆1,310億円
料亭・バー
料飲部門
5兆2,193億円
居酒屋・
キャバ
3兆57億円
1兆826億円
- 163 -
(2)外食産業の動向
売上高(平成17年)は、全店ベースでは対前年比2.3%とわずかに増加、しかし、既存店ベー
スでは同▲0.6%と前年並み
日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」から外食産業の動向を概観する。この調査は
日本フードサービス協会が会員からの報告に基づき作成したものである。平成 17 年 12 月にお
ける調査対象店舗数は 2 万 6,461 店舗で、「売上高」「店舗数」「客数」「客単価」について業態別に
「全店ベース」「既存店ベース」に区分し、「前年同月比」として公表している。
外食産業の全店ベースの売上高についてみると、平成 17 年は、105.7(平成 12 年= 100)対
前年比 2.3 %とわずかに増加している。業態別にみると、ファーストフード(テイクアウト業態
を含む)が 105.1 で同 3.0 %とやや増加、ファミリーレストランが 102.3 で 0.4 %と前年並み、
パブレストラン・居酒屋が 113.0 で 6.9 %とかなりの程度増加、客単価の高いディナ−レストラ
ンが 104.0 で 4.1 %とやや増加している。日本フードサービス協会の会員企業は、外食産業のな
かでも、多店舗展開を軸に革新的な経営を行っており、店舗数規模の拡大が売上高増加に寄与し
ている。しかし、これを既存店ベースでみると、平成 17 年は、86.0 で対前年比▲ 0.6 %と前年
並みとなっている。
さらに、全店ベースの 1 店舗当りでみると、低下で推移したが、平成 17 年は 90.7 で対前年
比 0.5 %と前年並みになった。業態別にみると、ファミリーレストランを除き、ファーストフー
ド、パブレストラン・居酒屋、ディナ−レストランは前年を上回っている。
図5-8 外食産業の売上高の推移
120
全店ベース
既存店ベース
全店ベース一店当たり
113.6
115
112.2
110
107.6
105
104.6
105.7
103.7
102.6
100
100.0
97.4
99.2
95.2
93.0
90
105.7
101.9
103.4
100.2
100.5
95
102.2
100.5
96.1
94.6
90.2
91.9
90.0
89.1
85
86.6
90.7
86.0
80
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17年
資料:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」より作成」
- 164 -
第5章
図5-9 ファミリーレストランの売上高の推移
(12年=100.0)
食品卸売業・外食産業の動向
図5-10 パブレストランの売上高の推移
(12年=100.0)
130
120
113.0
120
ファミリーレストラン全店売上高
116.2
110
113.1
105.4
ファミリーレストラン一店当り売上高
108.3
110
106.1
105.4
103.3
101.5
102.6
101.2
100.0 99.4
100
101.9
100.9
102.3
102.3
100.0
100
102.8
100.8
98.3
97.6
100.0
98.6
90
93.0
90
96.5
93.5
92.0
85.2
84.4
80
90.7
89.4
89.7
82.2
84.3
82.2
80
83.6
84.9
81.5
パフレストラン・居酒屋全店売上高
70
70
60
8
9
10
11
12
13
14
15
16
パフレストラン・居酒屋一店当り売上高
60
17年
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17年
資料:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」より作成」
図5-11 ファーストフードの売上高の推移
(12年=100.0)
指数
図5-12 ディナーレストランの売上高の推移
(12年=100.0)
110
140
108
ファーストフード全店売上高
106
105.1
ファーストフード一店当り売上高
104
100.0
100
98
98.1
98.3
102.4
120
101.8
101.4
102
120.4
102.7
102.2
98.2
ディナーレストラン全店売上高
117.4
ディナーレストラン一店売上高
101.6
100.0
99.2
130
108.3
110
100.3
98.1
97.7
96
104.0
103.2
100.3
98.8
100.0
100
100.4
96.6
102.4
101.1
99.3
100.0
98.0
97.3
99.6
96.2
93.5
90
94
92
99.9
94.2
96.5
80
8
90
8
9
10
11
12
13
14
15
16
9
10
17年
資料:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」より作成」
- 165 -
11
12
13
14
15
16
17年
図5-13 平成17年おける外食産業の利用客数と客単価
(全店、対前年比増減率)
-10.0
-8.0
-6.0
-4.0
-2.0
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
10.0
8.0
6.0
デイナーレストラン
パブレストラン
4.0
その他業態
ファミリーレストラン
喫茶
利
用
客
数
2.0
0.0
ファーストフード
-2.0
-4.0
-6.0
-8.0
-10.0
客単価
資料:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」より作成」
利用客数は、ファーストフードを除き、増加。客単価は、ファミリーレストランを除き、上昇
利用客数と客単価について対前年比でみると、全店ベースでは、ファミリーレストランは、利
用客数が増加したものの、客単価が低下した。ファーストフードは、利用客数が減少したものの、
客単価が上昇した。しかし、ディナーレストラン、パブレストラン・居酒屋等では、利用客数が
増加し、客単価が上昇した。
- 166 -