鳥獣管理の将来ビジョン (資料) 鳥獣管理の将来ビジョンに基づく取組の流れ(平成25∼29年度) ヒトと 農林業被害(生産)・ 生態系被害(環境)・ 生活環境被害(人的) 対策 鳥獣を知る の軋轢 鳥獣から守る 適切な捕獲 鳥獣保護法 有害鳥獣捕獲 《被害→許可》 狩 猟 《レジャー(納税)》 現行の体制(ボランティア・地区猟友会単位の捕獲) 銃 罠(わな) 捕獲従事者等(猟友会員) 《巻き狩り・渉猟》《くくり罠・箱罠》 対象鳥獣捕獲員(特措法) 捕獲手法 の改善・ 対象鳥獣 捕獲員の 育成等 捕獲の問題点 ① 難捕獲個体の増加,生息地の拡散,被害の広域化 ② 不確実な捕獲個体情報,加害個体以外の捕獲 ③ 狩猟者の減少高齢化,専門的捕獲従事者が不在 ④ 不確実な被害情報,農林業者の鳥獣に対する認識不足 鳥獣被害防止対策推進会議捕獲対策部会 H24 H25 H26 ∼ H29 今後の体制(専従,広域の捕獲) 意向等調査(市町村,猟友会,森林管理署アンケート) 鳥獣管理の将来ビジョン(H25~29)策定 誘引狙撃試験 捕獲シミュレーシン 捕獲手法 専門的捕獲 (シャープシューティング) (疑似くくり罠) 調査 従事者調査 ○ シカ・イノシシ調査捕獲(農業被害軽減効果,捕獲効率) ○ サル生息状況調査(農業被害軽減効果) ○ 専門的捕獲従事者の検討(選定・育成方法等検討) ◇ ◇ ◇ ◇ シカ・イノシシ集中捕獲(市町村へ技術移転) 専門的捕獲従事者の育成(捕獲研修等) ニホンジカ生息状況調査(密度・生息状況等) 法制度改正及び運用改善の提言・検討 効果的な捕獲 専門的捕獲従事者の活動 生息状況の常時把握 農林業被害 ・ 生態系被害等の軽減 1 自然保護課 有害鳥獣捕獲対策の取組(平成24年度実績) ○鳥獣被害防止対策推進会議捕獲対策部会 第1回(6月28日) 部会の設置,有害鳥獣捕獲対策事業,鳥獣捕獲体制の現状と課題,捕獲体制 の実態調査計画,効果的な捕獲対策に向けた問題点 等について検討・協議 第2回(10月12日) 捕獲体制の実態調査(アンケート)結果,サルの捕獲対策,広域で活動する 捕獲従事者の育成・組織化,次年度計画 等について検討・協議 第3回(2月12日) 「鳥獣管理の将来ビジョン(案)」,屋久島における誘引捕獲(シャープシュ ーティング)結果 等につい検討・協議 ○捕獲体制の実態調査(アンケート調査期間 : 8/22∼9/10) ・「将来ビジョン」策定の参考とするため,市町村(39),地区猟友会(111),森林 管理署(4)を対象に実施(回収率:市町村 92%,猟友会 75%,森林管理署 100%) ・被害対策,捕獲対策,捕獲区域,被害と加害鳥獣,効果的な捕獲手法,捕獲促 進のための法制度等について意向等を把握 ○誘引狙撃法《シャープシューティング》によるヤクシカの試験捕獲(屋久島) ・森林総合研究所九州支所 八代田千鶴氏への指導依頼協議(5月28日) ・第1回猟友会及び屋久島町との協議(6月21日) ・第2回猟友会及び屋久島町との協議及び現地調査(8月3日) ・試験地選定及び関係機関協議(9月26日∼28日,11月22日∼23日) ・狙撃前現地打合せ(12月16日),岐阜大学鈴木正嗣教授への指導協力依頼 ・餌まき開始(12月16日∼1月19日),捕獲試験(1月12日∼14日) ○イノシシの捕獲シミュレーション(さつま町) ・調査日(12月21日∼1月31日) ・電気柵等の被害防止対策が講じられている農業集落において,イノシシ,ニホ ンジカを対象に「疑似くくり罠」, 「箱罠」と自動撮影機による模擬捕獲を実施。 ○学識経験者等への聞き取り・現地調査 ・岩本俊孝(宮崎大学副学長) → サルを中心とした被害対策 ・鈴木正嗣(岐阜大学教授) → 誘引狙撃法の指導,試験捕獲の監修 ・八代田千鶴(森林総研九州支所) → 屋久島における誘引狙撃法の指導 ・高山耕二(鹿児島大学准教授) → 牧場におけるシカ侵入防止柵試験等 ・遠藤晃(南九州大学准教授) → シカ捕獲装置の開発等 ・小寺祐二(宇都宮大学) → イノシシ被害防止対策 ・藤田志保(鹿児島大学准教授) → ニホンザル対策における「群れ」管理 ○行政機関等への聞き取り・現地調査 ・関東森林管理局静岡森林管理署 → 富士山国有林におけるシカのシャープシ ューティング(誘引狙撃) ・長崎県農林部 → イノシシ被害防止対策 ・日南市水産林政課 → 大型囲い罠によるニホンザル捕獲 2 捕獲対策部会設置要領 第1 設 置 鳥獣による農林業被害等の効果的な防止対策を推進するため,鳥獣被害防止対 策推進会議設置要領第5条に基づき,捕獲対策部会(以下「部会」という。)を 設置する。 第2 所掌事務 部会は次に掲げる事項を所掌する。 (1)効果的な捕獲手法及び体制に関すること。 (2)広域で活動する捕獲専従者の育成等に関すること。 (3)「新たな鳥獣管理体制整備計画(仮称)」の策定及び実行に関すること。 (4)情報収集・提供及び関係機関・団体との連携に関すること。 (5)その他捕獲対策に関すること。 第3 構成 (1)部会は以下に掲げる機関・団体等をもって構成する。 環境林務部 自然保護課 〃 森林経営課 〃 森林技術総合センター森林環境部 〃 森林技術総合センター普及指導部 農政部 農村振興課 北薩地域振興局農林水産部林務水産課 姶良・伊佐地域振興局農林水産部林務水産課 熊毛支庁屋久島事務所農林普及課 さつま町 耕地林業課 屋久島町 農林水産課 鹿児島県猟友会 (財)鹿児島県環境技術協会技術部環境生物課 (2)部会長は自然保護課長とし,副部会長は部会長が指名する。 第4 会議及び運営 (1)部会は,部会長が招集し,座長となる。 (2)副部会長は部会長を補佐し,部会長に事故があった時はその職務を代行する。 (3)部会長は,必要に応じて構成員以外の者の出席を求めることができる。 (4)部会の事務局は,環境林務部自然保護課に置く。 第5 その他 この要領に定めるものの他,必要なことは推進会議の承認を得て部会長が別に 定める。 付則 この要領は,平成24年6月28日より施行する。 3 鳥獣による農林物被害金額の推移 ( 単位 : 千円 ) 年 度 H19 H20 H21 H22 H23種別 H23農・林産別内訳 H23 比率(%) 種 別 農産物 林産物 イノシシ 161,627 159,383 203,737 169,662 246,978 39% 235,527 11,451 ニホンジカ 121,379 131,595 148,236 191,709 225,307 35% 122,500 102,807 ニホンザル 56,937 39,101 43,484 46,229 40,364 6% 39,564 800 タヌキ 10,427 11,746 14,847 32,266 10,560 2% 10,560 0 ノウサギ 8,648 9,626 10,612 12,851 12,460 2% 7,329 5,131 0 0 0 0 0 0% 0 0 その他 7,520 9,515 5,691 8,122 14,361 2% 14,361 0 獣類計 366,537 360,966 426,607 460,839 550,030 86% 429,841 120,189 83% 98% 118% 108% 119% 0% 78% 22% スズメ 19,994 17,509 36,319 15,877 19,536 3% 19,536 0 カラス 49,669 39,780 45,660 48,272 40,034 6% 40,034 0 ヒヨドリ 29,785 96,431 58,902 230,977 22,962 4% 22,962 0 446 534 2,081 988 1,128 0% 1,128 0 その他鳥類 10,259 7,847 17,908 4,956 7,168 1% 7,168 0 (鳥類計) 110,154 162,100 160,869 301,069 90,827 14% 90,827 0 (対前年比) 118% 147% 99% 187% 30% 0% 100% 0% 476,691 523,066 587,476 761,908 640,857 100% 520,668 120,189 89% 110% 112% 130% 84% 81% 19% マングース (対前年比) カモ類 計 (対前年比) 平成23年度の農林水産物被害金額状況 ①被害総額は,対前年度比84%の約6億4千万円に減少。 (獣類は対前年比119%。鳥類が対前年比30%。前年度はヒヨドリの被害が顕著であった) ②イノシシ(前年比146%)・ニホンジカ(前年比118%)の被害額は前年より増加傾向。 ③全体被害額の81%は農業被害,19%が林業被害。 他獣類 2% スズメ 3% カラス 6% ヒヨドリ 4% カモ類 0% ノウサギ 2% タヌキ 2% ニホンザル 6% 被害総額 (6億4千万) 他鳥類 1% イノシシ 39%(2.5億円) ニホンジカ 35%(2.3億円) 74% (4.8億円) ※昨年は,47% (3.6億円) 資料1 イノシシ農林業被害状況資料(特定計画資料).xls:XLS 4 ●主な鳥獣の捕獲の推移 ① 獣類 イノシシ 年度 9,885 H19 有害 狩猟 H20 有害 狩猟 3,098 6,787 4,803 有害 狩猟 1,284 3,519 12,027 4,206 7,821 1,866 3,270 有害 狩猟 H22 有害 狩猟 5,015 7,218 2,652 3,358 14,657 H23 計 6,675 7,982 4,936 3,511 7,057 8,802 6,456 3,906 64,661 有害 狩猟 26,051 38,610 618 有害 狩猟 1,586 17,194 17,564 1,112 498 940 367 1,364 1,081 有害 狩猟 1,335 310 971 155 5,288 0 有害 狩猟 233 2,050 167 1,364 1,292 70 160 1,054 7,050 有害 狩猟 5,650 1,400 140 32 有害 狩猟 287 28 495 63 637 50 10,528 有害 狩猟 1,070 9,458 有害 狩猟 1,660 215 150 190 有害 狩猟 1,875 有害 狩猟 166 150 有害 狩猟 687 有害 狩猟 231 166 558 有害 狩猟 50 231 有害 狩猟 315 1,214 有害 狩猟 50 有害 狩猟 172 有害 狩猟 1,531 有害 狩猟 1,362 有害 狩猟 101 42 2,283 1,126 有害 狩猟 5,288 有害 狩猟 177 2,449 ※H22から奄美は狩猟鳥獣扱い (特区) 143 有害 狩猟 2,626 1,645 1,081 有害 狩猟 333 2,541 有害 狩猟 ノヤギ アナグマ 2,874 有害 狩猟 1,307 有害 狩猟 1,364 有害 狩猟 34,758 有害 狩猟 1,610 有害 狩猟 1,586 10,362 有害 狩猟 ノウサギ 618 有害 狩猟 8,447 有害 狩猟 15,859 有害 狩猟 639 6,010 有害 狩猟 タヌキ 639 有害 狩猟 5,136 有害 狩猟 12,233 H21 ニホンザル ※非狩猟鳥獣 ニホンジカ 190 787 有害 狩猟 787 0 5 ② 鳥類 カモ類 年度 H19 H20 キジ 3,510 有害 狩猟 34 3,476 2,162 有害 狩猟 2,740 有害 狩猟 21 2,719 有害 狩猟 H22 有害 狩猟 26 2,561 有害 狩猟 H23 有害 狩猟 58 2,227 有害 狩猟 163 13,429 269 1,454 523 1,086 有害 狩猟 353 833 有害 狩猟 1,779 6,899 200 11,835 8,731 23,148 有害 狩猟 213 1,806 有害 狩猟 10,050 72,819 8,179 995 10,823 911 15,436 949 有害 狩猟 11,569 999 有害 狩猟 54,575 4,851 2,171 11,052 1,834 9,469 1,135 8,881 有害 狩猟 1,334 6,625 有害 狩猟 8,835 45,690 19 3 0 有害 狩猟 14 0 0 有害 狩猟 0 有害 狩猟 0 0 0 有害 狩猟 13 有害 狩猟 54,525 有害 狩猟 0 有害 狩猟 14 7,959 有害 狩猟 21 3 22 10,016 有害 狩猟 59,426 有害 狩猟 24 有害 狩猟 11,303 12,568 有害 狩猟 2,361 9,663 13,223 16,385 有害 狩猟 82,869 有害 狩猟 12,024 有害 狩猟 11,734 2,019 有害 狩猟 8,568 997 9,174 31,879 有害 狩猟 8,678 有害 狩猟 473 24,269 カワウ キジバト(ヤマバト)=狩猟鳥獣 ドバト(カワラバト)=非狩猟鳥獣 9,565 有害 狩猟 12,035 1,186 13,592 計 有害 狩猟 1,609 有害 狩猟 2,285 有害 狩猟 304 1,694 433 11,761 24,742 1,723 2,470 24 2,446 12,194 有害 狩猟 1,998 2,587 H21 330 1,832 ハト類 カラス類 【カラス全般】 ヒヨドリ 13 0 0 有害 狩猟 73 有害 狩猟 67 6 0 有害 狩猟 0 0 H24.06.28■部会の会議資料 狩猟免許新規取得者,更新者及び登録者数の推移について 1 狩猟免許合格者数の推移 種別 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 154 241 169 138 網 1 1 1 5 128 わな 95 108 147 161 第一種 111 130 102 110 76 54 39 74 51 第二種 7 25 3 20 8 5 3 8 5 計 272 396 274 268 212 155 151 230 222 対前年比 125% 146% 69% 98% 79% 73% 97% 152% 97% 注) 第一種 : 装薬銃(散弾銃,ライフル銃)及び空気銃, 第二種 : 空気銃 2 狩猟免許更新者数の推移 種別 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 網 20 20 205 845 222 289 1,001 わな 297 345 第一種 520 4,100 525 538 3,415 520 554 第二種 73 65 42 51 63 27 42 計 798 5,010 789 878 4,479 864 961 更新率 74% 446% 13% 82% 83% 81% 84% 注) 第一種 : 装薬銃(散弾銃,ライフル銃)及び空気銃, 第二種 3 単位:人 H23 H24 4 7 295 270 62 44 9 4 370 325 167% 88% 単位:人 H21 H22 H23 H24 75 14 15 50 996 315 348 1,003 2,663 442 471 1,858 45 16 28 29 3,779 787 862 2,940 81% 77% 78% 73% : 空気銃 狩猟登録者数の推移 種別 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 網 22 23 1,263 1,408 1,454 1,467 1,451 わな 1,450 1,479 第一種 5,321 5,113 4,823 4,633 4,333 4,069 3,770 第二種 430 474 188 186 166 155 145 計 7,014 6,995 6,465 6,286 5,950 5,696 5,417 対前年比 93.7% 99.7% 92.4% 97.2% 94.7% 95.7% 95.1% 10年前 94% 93% 86% 84% 79% 76% 72% 注) 第一種 : 装薬銃(散弾銃,ライフル銃)及び空気銃, 第二種 狩猟登録者数の推移 8000 計 H21 H22 26 23 1,535 1,582 3,505 3,123 150 139 5,216 4,867 96.3% 93.3% 70% 65% : 空気銃 第1種 単位:人 H23 H24 24 22 1,776 1,888 2,850 2,532 123 109 4,773 4,551 98.1% 95.3% 64% 61% 第2種 網・わな 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 2503議会■農林業被害・狩猟者数.xls 6 基本的な捕獲方法 * 野生鳥獣被害防止マニュアル−イノシシ、シカ、サル、カラス捕獲編 (農林水産省HP)より抜すい 1 銃器による捕獲 ①巻き狩り猟 「勢子」と「射手」に分かれ、勢子が追い出したイノシシを射手が捕獲する方法である。 イノシシの追跡や追い出しには犬が使われることもある。グループで作業を行うため、意 思疎通と信頼関係が重要である。 ②忍び猟 身を隠しながらイノシシに接近し、射止める方法である。時には、獣道で待ち伏せし、 イノシシが通りかかったところを捕獲する場合もある。基本的には単独で行う。 2 わなによる捕獲 ①はこわな 本来は群れごと捕獲する道具である(一度に 1∼2 頭程度しか捕獲できない場合は運用 方法を誤っている可能性がある)長期間設置する場合は、餌の経費がかかるが,捕獲後の 処理は、くくりわなに比べ安全である。価格は、5∼15 万円程度である(地域や業者によ って異なる) 捕獲対象以外の動物がかかった場合(錯誤捕獲)の放逐が、くくりわなに比べ容易であ る。 ②囲いわな 群れごと捕獲する道具である。わなに慣れるまで、時間がかかることがある。囲いわな は通常自家製であるので、大きさなどにより資材費や設置経費が異なる。 ③くくりわな 設置場所の選定や設置手法に一定の技術が必要である。1つのわなで、1頭のイノシシ を捕獲する道具であり,軽量であるため、持ち運びが楽であり、一度に多くのわなを設置 することが可能である(原則として一度に 30 個まで)また,餌を用いないため、餌の経 費がかからない。 捕獲後の処理は、はこわなや囲いわなに比べ経験が必要である。価格は、5千円∼3万 円程度である。 (地域や業者によって異なる)捕獲対象以外の動物がかかった場合(錯誤捕 獲)の放逐に手間がかかり危険も伴う。 7 シャープシューティングの概要 1 シャープシューティングとは 「シャープシューティング」とは、シカの個体数を抑制する個体 数調整の一環としてアメリカで考案された手法である。効果的に個 体数を抑制するためには、群れで行動するシカの全頭を一度に捕獲 するのが有効である。その理由は、捕り残した個体の中で、射手や 誘引餌場に対する警戒心が高まり(このようなシカをスマートディ アーと呼ぶ)、それ以後の捕獲が困難になることによる。 群れの全頭を一度に捕まえるため、事前に餌場を作り、そこに近 隣のシカを誘引する。発砲音に驚いて逃げないよう、また人と銃声 を関連付けた学習をしないよう、給餌と並行して毎日爆音機を作動 させ、大きな音に馴れさせる。シカの群れが餌場に馴れたら、自動 車で接近し、荷台から1名の射手によりシカを次々に射撃する。 2 シャープシューティングの詳細 ・餌付け用の餌は,多数のシカが集まりすぎるのを防ぐために、給 餌量を少なめにし、日没後は餌を回収する。 ・射撃地点に爆音機を設置し、銃声に馴らすと同時に、人と銃声を 関連付けて学習しないようにする。 ・確実に即死するようシカの頭部だけを狙う。 ・トラックの荷台に肘を乗せる台を取り付けていて、射手は荷台か ら射撃する。 ・射手とともに荷台に乗った記録係が指示を行いし、射手はシカを 撃つ。 ・射手はひとりだけ(複数いると最初の射撃につられて発砲してし まい、当たらない。ペースが乱れる) ・6 頭以上の集団の場合には捕り残しが出るので、射撃を見合わせ る。 ・捕獲したシカは現場に待機するシカの食肉処理・販売会社の職員 が引き取る。 8 (参考) ニホンジカの概要 ○生態等 ・ 「出水山地」,「八重山・国見・霧島山地」,「種子島」(以上キュ ウシュウジカ),「屋久島・口永良部島(ヤクシカ)」,「馬毛島(マ ゲシカ)」などに生息。 ・ 体重25∼130kgで体長90∼190cm。オスの方が大型 ・ 生後2年で生殖能力を有し,9月末∼11月初に交尾,西日本で は,5月下旬に1頭を出産(妊娠期間231日で排卵は原則1個) ・ 年増加率20%,捕獲なしと仮定した場合,1,000頭が20年後は4万 頭になる。 ・ 1.6mの高さを飛び越える。隙間があればくぐりぬける。 ・ 昼間は主に森林内で活動し,夜間(夕刻∼朝方)にかけて農耕地 や草地に出てきて採餌等を行う。 ・ 草食性でほとんどの植物を食べる。柔らかい部分や栄養価の高い 部分を好むが,最後には何でも食べつくす。(反芻獣で胃は四つ) ・ 森林では,シイ,カシ類のぼう芽,枝等が好んで食害される。 ・ 特定鳥獣保護管理計画に基づく本県推定頭数は,県本土及び種子 島約2万7千頭,屋久島約1万2千∼1万6千頭 ・ 食肉利用はモモ,ロースなどで解体に手間。歩留まり15%と低い。 ○被害 ・ 農業被害は水陸稲や飼料作物,イモ類,果樹など。林業被害は造 林木の食害,樹皮被害,角こすりが主で,その他にタケノコなど ・ 平成23年度の被害額は約2.3億円でその54%が農業被害。近年農 業被害が急増しており,熊毛,北薩,姶良・伊佐地域で被害が多い。 ○捕獲 ・ 年間捕獲数は18年度以降約5千頭前後で推移していたが,平成22 年度に約8千頭と急増。23年度捕獲数は約1万頭で内訳は,有害捕獲 6千頭,狩猟4千頭。 ・ 有害鳥獣捕獲における捕獲手段に占める「わな」の割合は,平成 10年度の11%から23年度75%に増大。 (わなが主流) ○防護柵による被害防止対策 ・ 高さ2m以上で,ステンレス線が編み込まれた網目15cm以下のも のであること。また,接地面をアンカー等で抑え,潜り込みを防ぐ ことが重要 ・ 光,音,超音波,におい,化学物質はあまり効果がないとされる。 9 (参考) イノシシの概要 ○生態等 ・ ほぼ県本土の全域に生息,奄美大島,加計呂麻島,徳之島はリュ ウキュウイノシシ (沖永良部は飼育下のイノシシが逃げ出したもの) ・ 体重60∼100kg,体長120∼150cmでオスはメスに比べ大型 ・ 生後1年半で成熟。1∼3月に交尾,4∼6月に3∼5頭を出産 ・ 1mの高さを飛び越える。逆に20cmの隙間があればくぐりぬける。 ・ 鼻の力が強くオスで70kg以上のものを持ち上げる。 ・ 雑食性で,イモ,タケノコ,稲,果実,昆虫,カエル等小動物も 食べる。人間の食べるものはほとんど食べる。シカに比べ消化しや すく栄養価の高いものしか食べられない。(胃は一つ) ・ においに対し忌避効果はない。鼻先以外は電気刺激に鈍感 ・ 食肉利用は,モモ,ロース,ヒレ,肩肉,首肉など ○被害 ・ 農業被害は水陸稲やイモ類,果樹など。林業被害はタケノコなど。 大島ではサトウキビへの被害。 ・ 平成23年度の被害額は約2.5億円でその95%が農業被害。被害額 は獣類の中で最大であり,大島,北薩,大隅地域で被害が多い。 ○捕獲 ・ 年間捕獲数は14年度以降,約1万頭前後で推移していたが,平成 22年度に約1.5万頭と急増。23年度捕獲数は約1.6万頭で内訳は,有 害捕獲7千頭,狩猟9千頭。 ・ 有害捕獲における捕獲手段に占める「わな」の割合は,平成10年 度の18%から23年度は74%に増大。(わなが主流) ・ 長島町では,平成20年度に「箱わな」47基を導入したところ,有 害捕獲数が,前年度の250頭から471頭に倍増。(23年度536頭) ○防護柵による被害防止対策 ・ 手間や経費がかかるが直接的に被害を防ぐ最も有効な方策 ・ 目隠し効果のあるトタンなどの柵が有効(作物が見えない環境) ・ 電気柵は電気刺激による心理的効果を狙ったもの(イノシシの鼻 に触れやすいよう電線を外側に配置する。) ・ 防護柵の効果は,イノシシに壊された箇所の補修,電気柵の漏電 防止のための草刈り等こまめなメンテナンスが前提になる。 ・ 光,音,超音波,におい,化学物質は余り効果がないとされる。 10 (参考) ニホンザルの概要 ○生態等 ・ 県本土の全ての地域及び屋久島(ヤクシマザル)に生息 ・ 体重10∼15kgで体長80∼100cm。オスの方が大型 ・ メスは生後6∼7歳で初産を迎える。2∼3年に1回出産。秋∼冬に 交尾,春から夏にかけて1頭を産む。 ・ 20∼100頭の群れで生活。離れザルは若いオスに限られる。 ・ 主な生息環境は広葉樹林内で,早朝と夕方に採食し夜間は行動し ない。 ・ 生息圏は数平方キロ∼数十平方キロでヤクシマザルはもっと狭 い。(1∼2平方キロ程度) ・ 抜群の運動能力と器用さがあり,力も強いので狭いすきまをこじ 開けたり重い物を持ち上げたりする。走る速度は遅い。 ・ 果実,種子,若葉,花,きのこなど植物性食物を主食とし,昆虫 も好む一方肉や魚は食べない。 ○被害 ・ 農業被害は果樹,イモ類,野菜など。林業被害はタケノコなど。 ・ 平成23年度の被害額は約4千万円でほとんどが農業被害。被害額 は平成18年度の約6千万円をピークに減少しているが,熊毛,大隅, 姶良・伊佐地域で被害が大きい。 ・人馴れが生じると人間を威嚇したり噛みついたりするようになる。 ○捕獲 ・ 年間捕獲数は平成16年度の約900頭をピークに減少していたが, 21年度は約1,600頭に急増し,23年度の捕獲数も約1,100頭。そのほ とんどが屋久島における捕獲となっている。 ・ 有害捕獲実績に占める「わな」の割合は,平成10年度15%だった ものが,23年度は52%に増大している。 ○農地や集落の防護による被害防止対策 ・ 農作物及びカキ,クリ,野菜ゴミ,軒先のタマネギ,墓の供え物 など,サルの餌となるものを除去する。 (餌付け行為の廃止) ・ 集落内の藪を刈り払う。犬による追い払い(モンキードック) ・ サルの生態や学習能力に応じた簡易猿害防止柵の設置等 ・ 光,音,超音波,におい,化学物質はあまり効果がないとされる。 11
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