CSOスクリーン - 日本下水道新技術機構

〈NO.3〉
CSOスクリーン
日立プラント建設(株),JFEエンジニアリング(株)
新日本製鐵(株),三機工業(株),日本インカ(株)
1 技術概要
2 技術のしくみ
本技術は,トラフ状にしたパンチングプレートを
本技術は,流入下水が堰から越流を始めるときの
スクリーンとし,流入水中の夾雑物を水中より捕捉
水位を水位計で探知し,無軸スパイラルが,稼動(回
する。捕捉された夾雑物は,無軸スパイラルにより
転)を開始する構造である。越流水中の夾雑物は,
搬送され,搬出トラフで水切りされた後系外へ排出
スクリーンによって捕捉されそのまま無軸スパイラ
する。またこのときに無軸スパイラル外周部に取付
ルによってかき上げられる。捕捉された夾雑物は,
けられた樹脂ブラシによりパンチングプレートの開
排出トラフの排出シュート口から遮集管上部へ直接,
孔に捕捉された夾雑物も除去される。技術の主な特
落下投入され遮集管内を流下する。
長としては,以下の 4 点があげられる。
降雨後水位が下がり越流が終了しても,一定時間
・ 約φ6mm のパンチングプレートをスクリーンと
スクリーン上に残留した夾雑物を搬送した後停止す
して用いるため,紙片など扁平な夾雑物を除去
るしくみである。
できる。
晴天時
越流堰
・ ブラシ付無軸スパイラルが回転することでスク
リーン洗浄とろ過を同時に行えるため,スクリ
水位計が越流水位を検知す
るまでは装置は停止状態。
ーンの目詰まりがなく効率的なろ過が可能であ
越流水位を検知すると装置
が駆動する。
る。
流入水路
CSOスクリーン
・ 無軸のスパイラルで夾雑物を搬送するため,ス
クリューコンベア等で問題となる軸への絡みつ
きや閉塞がない。
・ 雨水吐き室及びポンプ場に設置可能である。
雨天時(越流時)
堰を越えた越流水は自然流
下でスクリーンへ流入す
る。スクリーン内で、処理
夾雑物は
遮集管へ
越
流
水と夾雑物に分けられ、処
理水は放流管へ、夾雑物は
遮集管へ送られる。
処理水は
放流管へ
雨天時(水位低下後)
水位が低下した直後に停止
せず、スクリーン上に残留
した夾雑物を一定時間搬送
した後、停止する。
夾雑物は
遮集管へ
図−2 CSOスクリーンのしくみ
3 開発目標
(1) 募集要領に記載された開発目標
「自然吐き口等からの流出水中に含まれる夾雑
物の除去を行う技術」
図−1 CSOスクリーンの概要
1
合流式下水道において,雨天時に自然吐き口,
2)雨天時下水排除に対する影響
ポンプ場から排出される下水中の景観上不快な物
①スクリーン設置時の損失水頭
公称能力の 50,100%にあたる流量を目安にス
質(トイレットペーパー,人畜由来の糞塊,各種
衛生用品,食品残渣等の物質,容器包装等の廃棄
クリーン設置時の損失水頭を確認した。
物)の流出を防止できること。
②スクリーン機能停止時の損失水頭
(2)必要性能目標
前述①の流量条件のもと,スクリーンの機能停
最低限達成すべき必要性能目標は,5.6mm 以上
止時(閉塞時,停止時)の損失水頭を確認した。
の大きさの夾雑物を対象としてSRVで 30%と
設定した。
③スクリーンの処理限界能力
SRV(Screening Retention
公称能力の 150%にあたる流量を目安に処理限
Value)とは,
スクリーンによる夾雑物の除去率を表す指標であ
界能力を確認した。
る。以下に算出式を示す。
本式中の TEREwith は,スクリーン設置時の夾雑物
3)合流改善対象施設への設置可能性に関する検討
合流式下水道を採用している全国 191 都市を対
の除去率を,TEREwithout は,スクリーン未設置時の
堰による夾雑物の除去率をそれぞれ表す。
TSRE with − TSRE without
SRV(%) =
×100
1 − TSRE without
TSREwith=
象に既存施設(雨水吐き室,ポンプ場)の実態調
査を行い,平均的な雨水吐き室及びポンプ場を設
定し,これに対してモデル設計を行った。
遮集下水夾雑物量 with+スクリーン設置時の捕捉夾雑物量
遮集下水夾雑物量 with+越流夾雑物量 with+スクリーン設置時の捕捉夾雑物量
TSREwithout=
表−1 モデル設計の対象とした雨水吐き室の諸元
遮集下水夾雑物量 without
項
目
排水区面積
設計流入量
遮集下水夾雑物量 without+越流夾雑物量 without
ここに,
遮集下水夾雑物量 with
:スクリーン設置時に遮集される乾燥夾雑物重量
スクリーン設置時の捕捉夾雑物量
:スクリーンに捕捉される乾燥夾雑物重量
越流夾雑物量 with
:スクリーン設置時の放流側に流出する乾燥夾雑物重量
遮集下水夾雑物量 without
:スクリーン未設置時に遮集される乾燥夾雑物重量
越流夾雑物量 without
:スクリーン未設置時に放流側に流出する乾燥夾雑物重量
流
重要な確認項目として,以下の条件を基本とし
て実験を行った。
雨水吐き室
構
造
①連続運転実験
6 時間連続 5 日間の連続運転による能力・動作
の確認を行った。実験対象は晴天時汚水とし,流
量は,スクリーンの公称能力流量とした。
堰
②機能阻害実験
スクリーンの機能阻害の恐れがある夾雑物の除
去状況を確認した。機能阻害の恐れがある夾雑物
は,角材,空缶,ペットボトル,割り箸,レジ袋,
発泡トレイ,ウエス,毛髪類,繊維類,その他と
した。
2
設計放流量
0.74
(m3/s)
計画流入量
計画放流量
遮集量
遮集倍率
長さ(内空寸法)
幅 (内空寸法)
高さ(内空寸法)
流入管径
1.87
1.77
0.10
3.00
3.10
2.30
1.56
1.35
(m3/s)
(m3/s)
(m3/s)
(倍)
(m)
(m)
(m)
(m)
放流管径
遮集管径
マンホール蓋開口部
の直径
人孔の深さ(地盤∼
流入側人孔底面)
堰長
堰高(流入)
堰高(流出)
堰頂−天端
堰幅
1.35
0.30
(m)
(m)
0.60
(m)
量
(3)重要確認項目と実験の基本条件
1)スクリーンの運転性能
数 値
37.86 (ha)
0.84 (m3/s)
構
造
2.84
(m)
2.60
0.31
0.87
1.25
0.15
(m)
(m)
(m)
(m)
(m)
表−2 モデル設計の対象としたポンプ場の諸元
流入量
対
流
象
量
放流量
遮集量
雨 水
沈砂池
採取した。サンプリング時間は,最大 12 分間とし
た。またスクリーンで捕捉した夾雑物は,2mm 目
608,976m3/日
→ 7.05m3/s
552,960m3/日
→ 6.40m3/s
56,016m3/日
→ 0.65m3/s
長さ(内空寸法)
22.0m
幅(内空寸法)
4.0m
高さ(内空寸法)
4.2m
水面∼沈砂池底面の高さ
2.2m
水面∼沈砂池天井の高さ
2.0m
角のネットにより採取した。
M
夾雑物
沈砂池より
流入
沈砂池へ
放流
FI
2mm目角の金網かご
沈砂池へ
放流
図−4 夾雑物の採取方法
3,600 m3/m2・d
水面積負荷
粗目スクリーンの目幅
5.0 ㎝
細目スクリーンの目幅
3.0 ㎝
(4)分析方法
2mm 目角の金網で採取した夾雑物は,図−5に
示す要領で水をかけ流しながら 2.0,5.6,9.5mm
4 開発研究方法
のふるいで分級した。5.6mm 以上の夾雑物につい
(1)実験場所,期間
ては,厨芥類,糞塊,紙類,毛髪類,ビニール・
1)場内実験プラントにおける調査
プラスチック類,草木類,オイルボール,金属類,
設置場所:仙台市郡山ポンプ場
その他(砂礫等)の 9 項目に分類した。なおふる
実験期間:平成 14 年 12 月∼平成 16 年 3 月
いは全て JIS 規格のものを用いた。
採取した夾雑物は,105∼110℃で 2∼5 時間加熱
(2)実験装置仕様
乾燥した後,デシケーターで放冷して乾燥重量を
表−3にスクリーン及び実験設備の仕様を示す。
測定した。
表−3 スクリーン及び実験設備の仕様
機器名称
原水ポンプ
越流堰
CSO スクリーン
仕様
φ250mm、7.8m /min−8m、37.5kW
1.1m
孔径φ6mm
有効面積 0.5m2
無軸型 φ230mm
1.5kW、200V、50Hz、1500r/min
400mm×400mm×300mmH 金網(2mm 目角)
3
パンチングプレート
無軸スパイラル
駆動装置
夾雑物採取器
捕捉した夾雑物
台数
1台
1基
1台
1台
1台
1式
9.5mm
5.6mm
水位計
A
2.0mm
越流堰
図−5 篩い分けの方法
L2
オーバーフロー板
ホース
L1
基準点
(5)必要性能目標の実験方法
Uトラフ
晴天時汚水では,
流量を公称能力 100%で 24 回,
無軸スパイラル
パンチングプレート
A
L1:スクリーン水位
L2:越流水位
処理水
流入水路
50%で 4 回測定した。雨天時合流下水についても
16 回測定した。SRVは下式より算出した。
A−A 断面
本実験では,遮集管を全閉としスクリーンで全
図−3 実験装置の構造
量処理を行った。これより遮集下水量は 0 となる
ため a1with=0,a1without=0 と置き換えて計算した。
(3)夾雑物の採取方法
夾雑物は,流入水および処理水の一部をサンプ
SRV (%) =
リング用配管から引抜き,2mm 目角の金網かごで
3
TSRE with − TSRE without
a2
× 100 =
1 − TSRE without
a 2 + a 3with
TSRE with =
a1with + a 2
a2
=
a1with + a 2 + a 3 with
a 2 + a 3 with
TSRE without =
なることの確認を行った。
3)合流改善対象施設への設置可能性に関する検討
a1without
=0
a1without + a 3 without
3(3)に示す基本条件により検討を行った。
遮集下水夾雑物量 with
: スクリーン設置時の単位遮集下水に含まれる
遮集下水夾雑物量 without
: スクリーン未設置時の単位遮集下水に含まれる
5 開発研究結果
5.6 ㎜以上の夾雑物量 a1with(mg/L)
5.6 ㎜以上の夾雑物量 a1without(mg/L)
スクリーン設置時の捕捉夾雑物量
: スクリーンで捕捉した 5.6 ㎜以上の
越流夾雑物量 with
: スクリーン設置時の処理水中に含まれる
越流夾雑物量 without
: スクリーン未設置時の越流水に含まれる
(1)必要性能目標
1)場内実験プラントにおける調査
対象下水および公称能力によらずSRVは,概
夾雑物量 a2(mg/L)
ね 8 割となり,公称能力 100%実験における全体平
5.6 ㎜以上の夾雑物量 a3with(mg/L)
均値は 81.3%であった。
最小値,最大値については,公称能力 100%運転
5.6 ㎜以上の夾雑物量 a3without(mg/L)
時に差異が見られる。これは,夾雑物を採取して
いる時間帯に水位調整が上手く行かず,スクリー
スクリーン設置時の
ンから未処理水がオーバーフローしており,処理
捕捉夾雑物量(a2)
水側に未処理水が流出していたためであると考え
越流夾雑物量 with(a3with)
られる。
流入量= a1with + a 2 + a 3 with
100
遮集下水夾雑物量 with(a1with)
90
図−6 SRV の算出の模式図
80
70
1)スクリーンの運転性能
60
SRV(%)
(6)重要確認項目の実験方法
①連続運転実験
汚水
50
雨水
40
1 日 6 時間の連続運転を 5 日間行い,連続運転
30
20
の前後におけるパンチングプレートの状況につい
10
て確認を行った。
0
0
②機能阻害実験
3(3)に示す基本条件の夾雑物にウエス,毛
20
40
60
公称能力(%)
80
100
120
図−7 SRV 測定結果
髪類,
繊維類を除き,
雑巾を加えて実験を行った。
(2)重要確認項目
1)スクリーンの運転性能
2)雨天時下水排除に対する影響
①連続運転実験
①スクリーン設置時の損失水頭
実験後のパンチングプレートには,一部に付着
公称能力 100%運転時における越流水位とスク
物が見られる。この付着物は,流入水中に含まれ
リーンの水位を測定し,スクリーン内の運転が,
るひも等に夾雑物が付着し,成長したものである
越流水位へ影響を及ぼさないことの確認を行った。
と考えられ,繊維状物質はφ6mm のパンチングプ
②スクリーン機能停止時の損失水頭
レート開孔の外周に付着している。
スクリーンへの流入水量を公称能力 100%に調
CSOスクリーンは,無軸スパイラルの外周に
整後,駆動装置を 5 分間停止させ,駆動装置を停
ブラシが備え付けてあり,かき上げと同時にパン
止する前後の越流水位とスクリーン内の水位の
チングプレートの洗浄も行っていることから,パ
時間変動について実験を行った。
ンチングプレートが閉塞するとは考えにくく,本
③スクリーンの処理限界能力
実験からも開孔面の完全閉塞は見られなかった。
揚水ポンプの最大揚水量に相当する公称能力
しかしスクリーンの処理性能を常に最適な状態
140%流量まで越流水位とスクリーン内の水位を測
に保つためには,スクリーンへの流入が無い時間
定し,本装置の処理限界能力が,公称能力 100%と
帯に無負荷運転を行い,定期的にパンチングプレ
4
ートの洗浄を行うことが有効であると考えられた。
2)雨天時下水排除に対する影響
②機能阻害実験
①スクリーン設置時の損失水頭
水流を伴う通常運転時に,搬送できなかった夾
スクリーン水位(L1)と越流水位(L2)の関係
雑物は,ペットボトル,300mm 以上の角材であっ
は,常に L1<L2 であった。また期間を通じて L2
た。これらは,越流水の水圧によりスクリーン上
はほぼ一定であることから越流水位に変化は無
に圧迫されて搬送することができなかったもの
かったと言える。従って装置設置時はもとより公
である。しかし水流を伴わない空引き運転でペッ
称能力 100%で運転した場合も,流入側の水位に影
トボトルは,問題なくかき上がり搬送できた。ま
響を及ぼさないことを確認した。
200
た 300mm 以上の角材については,スクリーンで破
スクリーン水位(L1)
断された後,ペットボトルと同様にかき上がり搬
越流水位(L2)
100
送できた。
水位(mm)
従って水流を伴う通常運転時にスクリーン上
に残留してしまう夾雑物でも,その後の空引き運
転によって搬送できることが実験により確認で
きた。また夾雑物をかき上げる際は,負荷電流値
0
堰頂
オーバーフロー板
-100
-200
に変動は見られず 1.7A 程度を維持していた。角
材の破断時は,負荷電流値が一時的に最大 5.3A
-300
0
まで上昇したが,破断後は速やかに通常状態
10
かき上げ後
40
50
60
②機能停止時の損失水頭
表―4 機能阻害実験の結果
投入前
30
経過時間(min)
図−8 スクリーン設置時の損失水頭
(1.7A)に戻ることを確認した。
名称
20
公称能力 100%運転期間および駆動装置停止期
判定
間中の水位の経時変化を図−9に示す。
○
駆動装置を停止すると,パンチングプレートが
空き缶
容易にかき上がる
閉塞してオーバーフローが生じた。その結果,連
続的にスクリーン水位(L1)>オーバーフロー板
ペット
ボトル
△
となったが,この様な状況においても越流水位
浮遊してかき上が
らない
(L2)は,ほぼ一定の水位を維持しており流入側
の水位に変動は無いと言える。
発泡ト
○
公称能力100%運転
レイ皿
駆動装置停止
公称能力100%運転
300
容易にかき上がる
スクリーン水位(L1)
200
越流水位(L2)
100
○
堰頂
0
水位(mm)
雑巾
容易にかき上がる
オーバーフロー板
-100
-200
-300
○
レジ袋
-400
容易にかき上がる
-500
0
○
1
2
3
4
5
6
経過時間(min)
7
8
9
10
11
図−9 駆動装置停止時の損失水頭
割り箸
③スクリーンの処理限界能力
時間が掛かるがか
き上がる
スクリーン水位(L1)は,約 100mm であり堰頂より
も高い位置で推移した。越流水位(L2)は,150mm∼
5
実験条件及び装置仕様から Q=0.163m3/s(公称能
200mm の範囲で推移し平均値は 181mm であった。
ここでスクリーン水位(L1)が,堰頂よりも高い位
力の 140%運転時の水量)
B=1.1m,
W=0.13m である。
置で推移しているため,公称能力の 140%運転時にお
これより式を h について解くと h/W=1.4 であるこ
ける理論越流水位と実験時の越流水位の比較検討
とから h=0.18m=180mm となる。
を行った。理論越流水位は,以下の式で表される。
ここで実験時の越流水位の平均値は,181mm であ
ったことから理論値と実験結果は,ほぼ一致してい
3
Q = CBh 2
ると言える。
Q: 放流量(m3/s)
C: 0.1<h/W≦0.4 のとき
250
C=1.552+0.083×(h/W)
0.4≦h/W≦(1.5∼1.9)のとき
C=1.444+0.352×(h/W)
(1.5∼1.9)≦h/W のとき
C=1.785+0.237×(h/W)
スクリーン水位(L1)
越流水位(L2)
200
150
B: 堰長さ(m)
100
水位(mm)
h: 越流水位(m)
W: 堰幅(m)
50
堰頂
0
3)合流改善対象施設への設置可能性に関する検討
-50
モデル設計の検討結果を表−5,6および図−
-150
表−5 雨水吐き室のモデル設計の検討結果
項
目
雨水吐き室
幅(内空寸法)
構
造
堰 構 造 堰高(流出)
設定値(m)
0
1
2
3
4
5
6
経過時刻(min)
7
8
9
6.5
0.87
1.89
図−10 公称能力の 140%時の損失水頭
今回、所定の越流水量を最小寸法で処理することを考慮し、①②を組合せた
条件で設計を行ったため、上記の変更が必要となった。
A
標準図からの変更部
流入管
(想定)
(想定)
(想定)
排出シュート点検口
流入側
越
流
堰
10
変更値(m)
2.3
スクリーンは夾雑物をかき上げる構造上、傾斜が必要となり、かき上げた夾
雑物は遮集管へ排出することが望ましく、この場合、排出口を遮集管よりも高
い位置に設置する必要がある。
モデル設計においても上記を満足するための方法としては大きく 2 通りに分
けられる。
①設置角度を緩やかにし、機長を長くする。
この場合、流出側の堰高さの変更は必要無いが、雨水吐き室の長さ、幅の
変更が必要となる。
②設置角度を急にし、機長を短くする。
この場合、雨水吐き室の長さ、幅の変更は必要無いが、流出側の堰高さの
変更が必要となる。
流出側
放流管
流入側
水位計
遮集管
▽+439 (1.77m3/s)設置後、全閉塞
▽+300 (0.74m3/s)設置前、設置後、全閉塞
遮集側
▽±0(堰頂)
オーバーフロー板
A
(想定)
変更理由
オーバーフロー板
-100
11,12に示す。
A-A 断面図
平面図
図−11 モデル設計の検討結果(雨水吐き室)
6
表−6 ポンプ場のモデル設計における設置箇所
の検討結果
評価項目
粗めスクリーン代替
既存設備の撤去
施工性
処理性能
維持管理性
総合評価
△
○
△
○
△
設置検討箇所
沈砂池内
細めスクリーン代
替
○
○
○
○
○
△
○
○
○
△
吐出槽
○
○
◎
○
◎
図−12 モデル設計の検討結果(ポンプ場)
6 技術の評価
・放流側水位が上昇しスクリーンが全水没した場合
評価結果を表−7に示す。
は,スクリーンとしての機能は失われる。ただし
表−7 評価結果
放流側水位がオーバーフロー板よりも低い状況で
あれば,スクリーンとしての機能は確保される。
適用範囲
雨水吐き室・ポンプ場とする。
評価結果
・トラフ径の最小寸法が 240mm であるため,放流側
SRVは,公称能力 100%の流量
管底と堰高さの差が 240mm 以下でありかつ放流側
で,平均 81%となり,必要性能を
管底高を下げられない場合は,設置することがで
有すると認められる。
(評価手法:晴天時 24 回と
きない。
雨天時 16 回データの平均) ・ 雨水吐き室への設置に関して人孔寸法の変更や既
設のマンホールの他に,別途排出シュート口の点
7 留意事項
検口を設ける場合も考えられる。周辺環境の調査
本技術の設置にあたり留意すべき事項は,以
と近隣はじめ関係機関との連携が必要である。
下の通りである。
・スクリーンの閉塞を抑制するためには,実負荷運
・本装置は,故障やスクリーン全閉塞状態におい
転の直後に駆動装置を停止させず,パンチングプ
ても,上流側水位に影響を与えないように設置
レート上に捕捉された夾雑物をかき上げるための
が可能なことから緊急時の対応は不要である。
無負荷運転を併用する必要がある。
7