株式会社みらい 多賀城グリーンルーム - 農林水産省

東北農業の復興と新産業創出をめざし、
世界最大規模のLED照明による完全人工光型植物工場を開設
(取組主体名) 株式会社みらい 多賀城グリーンルーム
(所 在 地) 宮城県多賀城市桜木地区
■ 組織のプロフィール
野 菜
取組事例
位置図
株式会社みらい(本社:東京)は、植物工場・水耕栽培装置の
研究開発及び製造販売、水耕野菜の生産・販売をしており、現在、
国内13都道府県25ヶ所に植物工場を導入。南極昭和基地やモン
ゴルでもみらいの植物工場が稼働している。
農林水産省の「モデルハウス型植物工場実証・展示・研修事業」
において、千葉大学拠点が行うコンソーシアム型実証事業「低コ
スト未来型人工光利用植物工場」のリーダーを務める。
宮城県
株式会社みらい
多賀城グリーンルーム
1.取組のきっかけ
● 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県多賀城市の宮城復興パーク内において、先端農業で、東北の
復興と新産業創出を日本GE株式会社と共同で支援していくことになった。
● 最初に、132㎡の完全人工光型植物工場を建設し、平成23年10月からレタス栽培の実証実験を開始。
経済産業省東北経済局「平成23年度IT融合による新産業創出のための研究開発事業」及び宮城県補助
事業「平成23年度農商工連携震災復興モデル創生支援」で採択。
● 野菜の生産性と品質向上の技術実証を行うため、1,000㎡規模のLED照明と環境制御のIT技術を用いた
設備の工場を、経済産業省・補助事業平成25年度「先端技術実証・評価設備整備費等補助事業」で整備。
2.取組の内容と特徴
● 2014年7月に宮城県多賀城市で、LED照明を全面採用した、完全人工
光型植物工場(世界最大級)を本格的に出荷を実施。工場の仕様は、15段
多段式水耕栽培、LED照明を全面採用した完全人工光型植物工場。
● 栽培種類:レタス類、ハーブ類
● 生産能力:リーフレタス日産10,000株
● 雇用人数:約30人程度(正社員・パート含む)
● みらいと千葉大学様との共同申請(インターンシップ教育)
● 日本GEがLED照明、鹿島建設が設備建物・環境シミュレーションの分野
で連携。
● 生産された野菜は、宮城県内のスーパー及び東北のスーパーで販売。
クリーンルーム内の作業の様子
3.課題と今後の展望
● 全世界的な人口増加による食糧不足が懸念される中、本施設の実績を足掛かりに、食糧の安定供給に向
け、国内外への完全人工光型植物工場の普及・展開に取り組む。
● 震災後に復興支援として立ち上げた新たな先端農業を2013年に実施した実証事業に基づき、さらに新
たな日本のテクノロジーとノウハウを海外に展開し、世界に向けて発信する。
参考資料
[株式会社みらい 多賀城グリーンルーム]
現場写真
宮城県内の地元スーパー等で販売
(写真は陳列風景)
工場内部
専用のパッケージに
入れ出荷
工場内で生育したレタス
多賀城グリーンルームの特徴
これまで、人工光を使った植物工場の照明はイニシャルコストの安い蛍光灯が主流でしたが、みら
いは、日本GEの照明部門および宮城県とのパートナーシップを通じ、植物の成長に適した波長を持つ
LEDを開発しました。均一性、操作性になどに優れたGE製植物育成用LED照明を用いることで、蛍
光灯を使った場合に比べ消費電力を40%削減しつつ、収穫量を50%増加させることに成功しました。
また、鹿島建設の持つ高度な衛生管理を必要とする施設建設の経験を生かし、衛生的で運用効率の
高い施設の計画・設計を行うとともに、物流エンジニアリングのノウハウも活用しながら、従来より
も安価で高品質な多段式の栽培ラックシステムを導入しました。さらに、植物の蒸散等を考慮した高
度な栽培環境シミュレーションにより、栽培ラックを取り巻く風速の分布や空気温度の分布を検証し
た空調システムを設計・導入し、植物の生育に最適な環境が構築されています。
環境シミュレーションの概要