特集 野間里づくり 協議会会長 さか い よしひろ 7 篠山市では平成 年に 「ふ る さ と の 森 づ く り 構 森 づ く り プ ロ ジ ェ ク ト」を 立 景 観 樹 に 植 え 替 え る「野 間 の ズなどの収益果樹や桜などの どの人工林を皆伐し、栗・ユ 野間自治会では、手入れさ れなくなったスギやヒノキな ました。 などを行い、計画書を作成し 平成 年から集落内でアン ケート調査やワークショップ 専門家も交え計画書を作成 整備に取り組んでいます。 人の手が入らなくなった裏山 果樹など地域のみんなで定植 ち 上 げ、 公 民 館 の 裏 山(井 根 27 県の補助事業などを活用して 山)の整備を進めています。 里山で楽しむイベントの開催 16 計画書では、これからの手 入れのこと、住民の皆さんが 周囲を民家や田んぼに囲ま れた井根山は高さも ㍍と低 など今後の具体的な目標を立 丹波篠山 2017.3 人まで里山に親しんだ1日でした。 く、以前は子どもたちの遊び 3 想」 を策定し、「温故知森」 づくり (写真右上) など子どもから大 てているほか、長期的には果 しました。子どもたちによる樹名板 樹の収穫や販売、里山を活用 りましたが、多くの地域住民が参加 場でもありました。 果樹を定植。雪の中での作業とな した都市との交流など、さま どの樹木や、将来収益が見込める しかし、人の手が入らなく なったことで、民家沿いのス インフォメーション た里山に、鑑賞して楽しめる桜な ざまな可能性を検討していま ▲ 住民の皆さんが協力して皆伐し ギ・ヒノキ林は強風などで倒 定植イベント す。 施設情報・ 相談 ▲ 25 木 が 心 配 さ れ る よ う に な り、 はぐくみ 日 1 月 21 治会 野間自 定植作業の後、みんなで記念写真。 公民館ではしし汁や焼き芋なども振る舞われました 「 樹 名 板つくったよ」と野 間自治 会の 子どもたちが見せてくれました。 野間の森づくり プロジェクト 21 31 27 未来の里山、集落のみんなで考える ▲ 26 の合言葉のもと、昔のよ ささやまホット ステーション 22 うな森との関わり方に学 び (温故) 、森をよく知り (知森) 、現状に即した考 え方 (知新) を加えた新し い森づくりを目指してい ます。 一方、里山は獣害や防 災面など、人の手が入ら ないことでさまざまな課 ▲ かつては、木材生産していた山も海外の安価な 木材の流通により価値が低下しました。「祖先が 後世のために」と植樹したスギ・ヒノキ林。今回、 地域の皆さんとともに伐採した木は柱、板材をは じめ、ペレットストーブの燃料としても有効に利 用されます。 里山の価値が見直されている今、これからは整 備などで切り出された木が、地域の家や木質エネ ルギーに利用され、木を切る人や製材する人、大 工さんなど、顔の見える身近なところでもっと活 用されるようになればと思います。 まずは、身近な里山に手を加えることが第一 歩。祖先の想いをつなげ、 「温故知森」から好循 環が生まれ、地域の古くても新しい産業と「木づ かいから気づかいのできる社会」に発展させてい きたいです。 まちづくり 題も抱えています。 産業が復活するような 好循環を作っていきたい 温故知森の 美しい里山を未来につ なぐため、森と多様な関 市政 レーダー 20 髙橋 隆 治さん (NPO 法 人バイオ マス丹波篠山理事) わりをもち、木を使うこ 19 た か は し りゅう じ とで森林資源を循環させ 18 ▲ 17 公民館の裏山の木が生い茂り、倒木による民家 への被害が心配されたことがきっかけで、 「里山」 について集落のみんなで考えることができまし た。 子どもの頃は山で遊んだ思い出もたくさんあ ります。集落での話し合いを重ねる中で、自然の 中で安心して遊べる環境を次の世代へつなぐた め、私たちがもっと里山に向き合うことが大切だ という気持ちが大きくなってきました。 今回植樹した苗木には、子どもたちに書いても らった手作りの樹名板も取り付けています。 大切なのはこれからです。私たちがこの里山に 手を加えていくことで、将来的には果樹の販売 や、地域住民が花見などでも楽しめる里山にして いきたいですね。 野間の森づくり コーディネーター ることが、今、私たちに タウン トピックス 12 大人が楽しむことで、 子どもたちにも伝えていきたい 里山と生きる、好きになる 求められています。 11 ▲ 8 街かど リポート ▲ 6 酒井好弘さん 野間の森づくりプロジェクトに関わる方々にインタビュー 5 ▲ 2 丹波篠山 Hyogo 2 感受性豊かな子どもたちへの ふるさと教育 特集 7 point1 point2 知ってもらう 感受性を育てる 木の良さ (魅力) を 「大 山 の 冬 を 明 る く 照 ら そ う」を 合 言 葉 に、 間 伐 材 を 活 用 し て 作 っ た ウ「 ッ ド キ ャ ン ドル の 「大」の 字 を 浮 か 」 炎で び 上 が ら せ る イ ベ ン ト「ウ ッ 日、北野の休耕田で行われ 15 ド キ ャ ン ド ル ナ イ ト」が 1 月 ました。 大山地区を担当する地域お こし協力隊員の小牧満也さん が企画し、大山郷づくり協議 会のイベントとして開催。 分に点火されまし 10 前日から降り積もった一面 の銀世界に並べられたウッド 時 17 キャンドル。日が暮れる直前 の た。約1時間、200本あま りのウッドキャンドルの炎が 周囲をあたたかく照らし、幻 想的な光景が浮かび上がりま しで行う間伐事業や、植林地 を皆伐して彩りある広葉樹の 林 に 転 換 す る 事 業 へ の 助 成、 篠山産木材を公共施設で利用 するなどしています。 また、こんだ薬師温泉ぬく もりの郷では、従来、化石燃 料である重油を用いたボイラ 森と人との関わりを取り戻そう 「篠 山 市 ふ る さ と の 森 づ く り 構 想 ~ 温 故 知 森 ~」を 策 定 し、かつてのような森と人が 関わった暮らしづくりに取り 組んでいます。この構想に基 月 7~9 道 山 金山登 した。 My(わたしの)机・イス 成長に合わせ、机・イスの 高さが調節できます。児童 は、6 年間、自分たちで作っ た学習机で勉強します。 づき、市民の皆さんによる森 林や里山の整備を進め、同時 に森林資源を木材やエネルギ ーで温泉を加温していまし 年4月から、篠山 27 ーとして利用する仕組みづく が、平成 産木質ペレットを燃料とした ボイラーを稼働させ、環境に 住地域のシンボル 「金山」 を整備 大山地区では、小牧さ んの発案で、金山登山道 の見晴らしを良くしよう と間伐を実施。地域の有 志が主体となり、7~9 月に計4日間、作業を行 いました。そのとき切り出した間伐材を50cmの丸太にし、切 り込みを入れて、ウッドキャンドルを製作しました。 「山」を何とかしたいという思いを形に 5月5日は「里山の日」 篠山市では 5 月 5 日 を「里 山の日」と定め ています。 子どもから 大人まで市民 の皆さんが里山を散策するな ど、普段経験できない森との 関わりを考え直していただく 機会と位置付けています。 「里山の日」には篠山チルド レンズミュージアムなどで里 山にちなんだイベントを計画 しています。 丹波篠山 2017.3 また、子ども会や地域で取 り組む里山にちなんだ取り組 インフォメーション 5 みにも助成しています。 ▲ 31 配慮した温泉施設として営業 施設情報・ 相談 26 しています。 25 ▲ 22 はぐくみ ▲ 21 植林地の間伐事業(所有者負担なし) 対 象 や 内 容 は、 篠 山 市 森 林 組 合( ☎ 552-5820)にお問い合わせください。 植林地の皆伐支援 対 象 スギ、ヒノキを皆伐して広葉 樹林に転換しようとする森林所有者 (面 積下限あり) 補助内容 100㎡あたり 8,000 円(た だし、伐採、木材搬出、防護柵を設置 した場合。上限あり) 地域の里山を再発見する活動支援 対 象 地域の子ども会などが身近な 山や里山の散策、森や木と親しむ活動 に要する経費 補助内容 1 事業あたり上限 50,000 円 地域による彩りある里山づくり支援 対 象 自治会有志などが取り組む里 山整備活動に要する経費 補助内容 3 年間で最大 50 万円 獣害に強い集落づくりのためのバッファ ゾーン整備支援 対 象 ニホンザルによる農作物被害 が発生している農業集落などが取り組む バッファゾーン整備活動に要する経費 補助内容 10m あたり 5,000 円(上 限あり) りを進めています。 ささやまホット ステーション 20 問い合わせ 農都環境課☎ 552-1117 今回紹介した取り組みのほ か、スギ・ヒノキの植林地に ▲ 19 対しては、篠山市森林組合な 里山に関するさまざまな事業 18 木に触れる機会を増やす 野公民館では地元 また、あ北 も ち いも 特産の天内芋を使った「芋汁」 オープンスクールで保護者 と組み立て作業 間伐材を丸太にし、 切り込みを入れて作る ウッドキャンドル 完成品ではなく組み立て式のものを各学校に納 入し、学校行事や親子活動などで組み立て作業を 実施。市内全 14 小学校の小学 1 年生(多紀小学 校は全児童)に導入されました。来年度も同様に 新 1 年生を対象に導入を進め、6 年間で市内すべ ての児童がこの学習机で勉強することになります。 どと連携し、所有者の負担な 市政 レーダー ▲ 17 (木の文化を伝える) も振る舞われました。 タウン トピックス 12 ふるさと教育 木のぬくもり・山の魅力 多くの人に伝えるイベント 11 休耕田にあったか 「大」 文字 point3 木に触れ、 日 2月4 学校 味間小 ▲ 8 街かど リポート ▲ 6 ウッドキャンドルナイト 市内産の木材で作った 学習机・イスの導入 5 ▲ 2 大山地区は昔から山と密接に関わってきた地域です。「山をなんとかした い」。そんな思いのある地域から、「山」に関心をもってもらうイベントを企 画し、発信できればと考えました。 山作業は、高齢化や林業の不振などにより、地域としての取り組みにはつ ながりにくいという現状があります。今回のイベントで「こんなにきれいな 景色を見ることができてよかった」と話してもらったとき、地域の皆さんと 一緒に汗を流して良かったと思いました。 このことが「山」の価値を考える一つのきっかけとなり、今後の地域づく りにつながってほしいと思っています。 地域おこし協力隊 (大山地区担当) こ まきみつ や 小牧満也さん 丹波篠山 Hyogo 4
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