市場調査部レポート - マネースクウェア・ジャパン

2017 年 2 月 10 日(金)発行 No.128
市場調査部レポート
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ウィークリー・アウトルック
注目の日米首脳会談!米ドル/円の動向は?
【相場環境】 いよいよ「トランプ減税」にスポットライト!?
【全体観・米ドル】 注目の日米首脳会談!米ドル/円の動向は?
【ユーロ】 ユーロ/円・SAR、14 週ぶりの売りサイン点灯!
【英ポンド】 英ポンド/円、引き続き上方硬直性相場が継続しそう
【豪ドル】 RBA の利下げ観測後退、豪ドルを下支えか
【NZ ドル】 RBNZ の早期利上げ観測後退、NZ ドルの重石になりそう
【トルコリラ】 TCMB 総裁が追加利上げを示唆、トルコリラを下支え!?
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【相場環境】 いよいよ「トランプ減税」にスポットライト!?
まずは 10-11 日の日米首脳会談の結果に要注意でしょう。トランプ大統領から厳しい要求を突き付けら
れた場合など、状況次第では 13 日の週明けアジア市場で米ドル円が「窓開け」して始まるかもしれません。
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9 日、トランプ大統領が米航空会社の幹部との面談で、今後 2、3 週間で減税に関する発表を行うと表明
しました。
これまでは、通商、外交面などで大統領令を連発していたトランプ大統領ですが、今後は議会での立法
化が必要なマクロ経済政策に市場の関心が集まるかもしれません。
所得税や法人税などの減税は、インフラ投資とともに 2018 年度予算の枠組みのなかで進められそうで
す。まず、トランプ大統領が、2 月下旬以降に発表の可能性がある予算教書などの形で提案を行い、それを
受けて議会の審議が開始されるでしょう。
4 月中旬ごろに予算の大枠を決める予算決議が議会で採択され、それを青写真として具体的な法案が
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審議されます。順調にいけば、夏ごろに議会審議がヤマ場を迎え、10 月 1 日の 2018 年度開始前に予算
や税制改革が成立します。ただし、議会審議が難航すれば、その限りではなく、年末ギリギリ、あるいは越年
後に成立するケースも考えられます。また、議会で内容が大きく修正される可能性もあります。
上記のスケジュールとは異なって、税制改革を予算と切り離して単独で成立を目指す場合もあります。ブ
ッシュ(ジュニア)大統領が 2001 年の就任早々に進めた包括減税は、4 月の予算教書発表からわずか 2
か月後の 6 月上旬に議会審議を経て成立しました。議会では財政赤字拡大への警戒も強いため、今回そ
の可能性は低そうですが、早期成立の場合は景気への即効性が期待できるかもしれません。
今後、上下両院で共和党が過半数を握る議会がトランプ大統領にどれだけ協力するかが大きな鍵を握り
そうです(閣僚承認の遅れを見る限り、「全面協力」というわけではなさそうです)。
欧州情勢は波乱含みです。
フランス大統領選挙では、有力候補だった右派のフィヨン元首相がスキャンダルで失速。無所属のマクロ
ン元経済相を含めた三つ巴の争いで、極右の国民戦線(FN)のルペン氏が支持率でリードしているようです。
ルペン氏は、4 月 23 日の第 1 回目投票で首位に立っても、上位 2 名による 5 月 7 日の第 2 回目投票で
勝利する可能性は低いとみられていますが、情勢変化には要注意でしょう。
ギリシャが再び困難に直面しています。IMF がギリシャ債務の「拡散(膨張が止まらないこと)」に警鐘を鳴
らす一方で、EU 各国は追加支援に二の足を踏んでおり、債務危機再燃の可能性があります。2012 年の債
務危機のピーク時に 40%前後まで上昇したギリシャの長期金利は現在 8%近辺にとどまっていますが、こち
らも注意が怠れません。
英国の EU 離脱交渉開始に道が拓けそうです。メイ政権による離脱交渉開始を承認する法案が下院を通
過して上院に回送されており、早ければ 3 月上旬にも成立する見込みです。メイ首相は 3 月末までに EU 離
脱を宣言して交渉を開始するとしていましたが、期限に間に合いそうです。
トルコでは、エルドアン大統領の権限強化に関する憲法改正の国民投票実施が議会で承認されており、
一部報道によると 4 月 16 日に実施される可能性があるようです。
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来週は、イエレン米 FRB 議長が、14 日に上院銀行委員会、15 日に下院金融サービス委員会の公聴会
で証言を行います(いずれも現地午前 10 時開始)。これは年に 2 度、経済情勢や金融政策の方針などに
ついて説明するもの。
イエレン議長が、自身の去就や「(非伝統的金融緩和からの)出口戦略」も含めて、今後の方針について
どのような見解を述べるか注目されます。また、トランプ大統領の経済政策、とくに減税やインフラ投資など
の財政政策について、どのような考えを表明するかも重要なポイントかもしれません。通常、14 日と 15 日の
証言テキストは同一のものですが、上下両院の議員からの異なる質問にどう答えるか興味深いところです。
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米経済指標では、1 月の CPI(15 日)、小売売上高(同)、鉱工業生産(同)、住宅着工件数(16 日)、2
月の NY 連銀およびフィラ連銀製造業景況指数(15、16 日)など。
製造業の景況感は昨年前半に比べて改善しています。一方で、自動車販売台数が非常に高い水準だ
った前月から減少したことで小売売上高はやや軟調が予想されます。住宅着工件数については、昨年末か
らの長期金利上昇の悪影響が出てくるかどうか。CPI(消費者物価)コアは 12 月まで 14 か月連続で前値比
+2%を超えました。FRB が重視する PCE(個人消費支出)コアは+2%に届いていませんが、CPI コアが加速
するようならインフレ懸念が高まるかもしれません。
その他、日本の 10-12 月期 GDP 速報値は、家計消費の軟調から前期実績(前期比年率+1.3%)を下
回りそうです。また、英国の 1 月の CPI は加速が予想されており、BOE(英中銀)内部の利上げ派の支援材
料になるかもしれません。
<チーフエコノミスト 西田明弘>
【全体観・米ドル】 注目の日米首脳会談!米ドル/円の動向は?
就任早々、矢継ぎ早の大統領令を発令し、そのスピーディーな仕事ぶりを見せつけていたトランプ大統領
ですが、さすがに『入国禁止令』だけは“やり過ぎ”という判断なのでしょうか。9 日米連邦高裁は入国制限の
米大統領令を復活させるよう求めていたトランプ政権の申し立てを認めない判決を下し、イスラム圏 7 ヵ国
からの避難民やビザ保有者の入国は維持されることとなりました。
自身の twitter を通して、言わば「三権分立」に対して挑戦状を叩き付けていたトランプ大統領ですが、今
回の高裁判決を受けて最高裁に持ち込まれる可能性が高まる中、法廷闘争が長引くことはトランプ政権に
とっては大きな打撃となり得ます。
ここへ来て、トランプ大統領の“独走ぶり”に対しては身内からもネガティブな意見が出ており、先に三顧の
礼を以てして米連邦最高裁判事に指名したニール・ゴーサッチ氏が、トランプ大統領による度重なる司法批
判に対して「失望し、やる気をそぐ」と発言したことは、今後大きな波紋を呼ぶ可能性も。(トランプ大統領自
身は、自身の twitter でいつものように「フェイク(偽)ニュース」と批判しています。)
そんな中、百戦錬磨のビジネスマンであるトランプ大統領は、これらのピンチをチャンスに変える方策とし
て、10 日からの日米首脳会談を上手く利用する可能性もあり、米国の貿易赤字削減のカウンターパートで
ある日本からどれだけ多くの“成果”を引き出すことができるかが重要なポイントとなりそうです。(我々の血税
が単なるトランプ大統領の“点数稼ぎ”に遣われることがなければいいのですが・・・。)
その“点数稼ぎ”の一環なのでしょうか。9 日、米航空大手首脳と会談したトランプ大統領は「向こう 2-3
週間に税および航空インフラ開発に関して目を見張るような発表を行う」と述べ、マーケットの好餌(香餌)と
も言える“減税”“大型インフラ投資”というワードをチラつかせることで、投資家の期待感を高めるというリップ
サービスも抜かりなく行っています。
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一方で、「マンデル・フレミングの法則」では、これら“減税”や“大型インフラ投資”の促進は結果的には自
国通貨高(この場合はドル高)をもたらすとされており、その過程で発生するクラウディング・アウト効果によっ
て理論的には民間投資の減少→株価の下落を招くとされているため、その先行きは極めて不透明と言わざ
るを得ません。
いずれにしても、現時点におけるトランプ政権の為替政策やマーケット見通しは不確実性要素が多く存在
し、いわゆる“トランプノミクス”の目玉とも言える大型減税や規制緩和、そして大型財政出動が進展すれば
するほど米ドル高が進展し、その結果自身の支持基盤であるラストベルト(錆びついた工業地域)の製造業
を圧迫するという厳然たるジレンマが存在しています。
今後の為替相場の動向を確認する上でも、10 日の日米首脳会談、そして翌 11 日のフロリダでの安倍-ト
ランプ・ゴルフ会談の内容が動意となり得そうです。
閑話休題。以下、米ドル/円・週足・一目均衡表+パラボリック+フィボナッチ+DMI をご覧ください。
上記チャートより、1) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、
2) DMI(方向性指数)において-DI と+DI がクロスし、-DI>+DI となっていることから(上図赤丸印)、足もとの米
ドル/円は下押しモメンタムが継続しそうです。
喫緊のポイントは、2015/6 高値(125.86 円、上図 A)と 2016/6 安値(98.76 円、上図 B)を結んだフィボ
ナッチ・50.0%(=半値戻し)ラインである 112.31 円を終値レベルでキープできるか否か。
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当該ラインを割り込んだ場合は、週足・一目均衡表の“雲”の上辺(=先行 2 スパン)である 111.23 円付
近までの下押しが最初のメド、そして先行 2 スパンを割り込んだ場合は、フィボナッチ・38.2%ラインである
109.11 円までの下押しが次のメドとなりそうです。
週足・フィボナッチから勘案する、現時点の米ドル/円のコアレンジは、先行 2 スパン-フィボナッチ・61.8%
ラインの間のゾーンをベースとする 111.20-115.50 円となりそうです。<チーフアナリスト 津田隆光>
【ユーロ】 ユーロ/円・SAR、14 週ぶりの売りサイン点灯!
以下、ユーロ/円の週足・一目均衡表+パラボリック+DMI をご覧ください。
上記チャートより、1) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること
(上図青丸印)、2) DMI(方向性指数)において-DI と+DI がクロスし、-DI>+DI となっていることから(上図赤丸
印)、足もとのユーロ/円は下押しモメンタムの起点となりそうです。
特に、パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)が今週、昨年 10 月以来 14 週ぶりとなる売りサインに転
換したこと、またローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の上抜けが失敗した後でのサイン点灯ということもあ
り、上方硬直性相場がしばらく継続すると捉えてよさそうです。
足もとのユーロ/円の下値メドは週足・一目均衡表の基準線である 118.07 円付近と想定され、仮に当該
線を割り込んだ場合は、先行スパン(いわゆる“雲”)からの再下抜けの可能性もありそうです。<津田>
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【英ポンド】 英ポンド/円、引き続き上方硬直性相場が継続しそう
以下、英ポンド/円の週足・一目均衡表+パラボリック+DMI をご覧ください。
上記チャートより、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の下方に位置していること、2) 遅行スパン
の先端部分がローソク足と絡み合う状態となっていること、3) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)が
ローソク足の上方で点灯していることから、上方硬直性相場の継続を示唆しています。
また、DMI(方向性指数)において-DI と+DI がクロスし、その後-DI>+DI となっていることから、マイナスの方
向性優位、つまり下降トレンド相場を示唆しています。(上図赤丸印)
ADX が高い位置から低い位置へと推移しつつあること、またローソク足の上方に分厚い“雲”が存在するこ
と等を総合すると、英ポンド/円は先週に引き続き、上方硬直性を伴うレンジ相場が継続する展開となりそう
です。
当面は、“雲”の下辺(=先行 1 スパン)に沿って動くような展開が予想されますが、仮に週足・一目均衡
表の基準線である 136.56 円を割り込んだ場合は、下押し速度が強まる可能性もありそうです。<津田>
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【豪ドル】 RBA の利下げ観測後退、豪ドルを下支えか
RBA(豪中銀)は 2 月 7 日、政策金利を過去最低の 1.50%に据え置くことを決定しました。
声明では、昨年の利下げの根拠となった豪州のインフレ率について、「依然として極めて低い」と指摘。
「労働コストの伸びが引き続き抑制されていることを踏まえると、当面は低水準で推移する可能性が高い」と
の見方が示されました。ただし、「総合インフレ率は 2017 年の間に 2%を上回る見通しで、基調インフレ率
はそれよりもやや緩やかになるとみられる」との一文が追加されました。
豪経済については、前向きな見解が示されました。昨年 7-9 月期の GDP 成長率は一時的な要因で予
想より弱かったが、10-12 月期には妥当な成長に戻るとの見通しが示されました。RBA の中心シナリオは引
き続き、今後数年の成長率は約 3%としたうえで、「資源輸出の一段の増加、工業投資減少期間の終了に
よって、成長が押し上げられるだろう」としました。
住宅市場については、一部地域の価格上昇への警戒感が示されました。
一方、豪ドルや労働市場に関する文言は、前回昨年 12 月から大きな変化なし。それぞれ「豪ドル高が経
済に必要な調整を複雑にする」、「労働市場の指標は引き続きマチマチ」「国内の雇用状況は依然としてか
なりのばらつきが見られる」としました。
RBA は声明の最後を、「入手可能な情報や、2016 年に金融政策を緩和したことを踏まえると、理事会は
今回の会合で政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と一致して
いると判断した」と締めくくり、これまでと同様に先行きの金融政策について言及しませんでした。
今回の声明では、今後の金融政策の方向性について示されませんでした。ただし、総合インフレ率(CPI
上昇率)が年内に RBA の目標(+2 から 3%)内に戻るとの見通しが示されたことや、景気に対して前向きな
見解が示されたことで、市場では RBA の利下げ観測が後退しました。市場の金融政策見通しを反映する
OIS(翌日物金利スワップ)が 2 月 9 日時点で織り込む、RBA が今年 8 月まで政策金利を据え置く確率は
85.0%、利下げの確率は 14.2%、利上げの確率は 0.7%です。RBA に対する根強い利下げ観測が豪ドル
の重石となってきました。そのため、利下げ観測の後退は、豪ドルにとってプラス材料と考えられます。
<アナリスト 八代和也>
【NZ ドル】 RBNZ の早期利上げ観測後退、NZ ドルの重石になりそう
RBNZ(NZ 中銀)は 2 月 9 日、政策金利を過去最低の 1.75%に据え置くことを決定しました。
声明では、過去の原油価格下落の影響がはく落したことで、インフレ率が目標(+1 から 3%)内に戻ったと
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指摘。国内経済の強さを反映し、インフレ率は目標中央値(+2%)へ緩やかに回復すると予想。
NZ 経済については、「現在の緩和的な金融政策や力強い人口増加、家計消費や建設活動の増加に支
えられて、成長見通しは明るい」としました。
最近の住宅価格の上昇鈍化は喜ばしいとする一方、需給の継続的な不均衡を考慮すると鈍化傾向が
続くかどうか不透明感があるとしました。
NZ ドルについては、「バランスのとれた成長を持続可能にするには依然として高い」と指摘し、「為替レート
の下落が必要だ」と強調しました。
金融政策については、「かなりの期間、緩和的になる」と表明。「とりわけ国際的な見通しに多くの不確実
性が残っており、それに応じて政策の調整が必要になる可能性がある」と指摘し、追加利下げに含みを残し
ました。
RBNZ は今回、金融政策報告を公表。そのなかで、OCR(オフィシャル・キャッシュ・レート、政策金利)は、
2019 年 4-6 月期まで平均 1.8%に維持された後、2020 年 1-3 月期にかけて平均 2.0%へと上昇すると
の見通しを示しました。RBNZ の現在の政策金利は 1.75%。OCR 見通しをみると、RBNZ は今後 2 年間の政
策金利据え置きを想定しているようです。
その後、RBNZ のマクダーモット総裁補佐がウェリントンでのインタビューで、「NZ ドルの水準は不快だ」と発
言。「不確実性を考えれば、人々は NZ の前向きなものにだけ賭けているように見える」としたうえで、「NZ ド
ル高は貿易財インフレ率を圧迫する」と述べ、NZ ドル高をけん制しました。
市場では、RBNZ が年内にも利上げに転じるとの見方があり、それが年初からの NZ ドルの上昇要因のひと
つになっていました。RBNZ が今回、政策金利を長期間にわたって据え置くことを示唆したことで、早期利上
げ観測は後退。加えて、マクダーモット総裁補佐が NZ ドル高をけん制したことが、NZ ドルの上値を抑える材
料になる可能性があります。<八代>
【トルコリラ】 TCMB 総裁が追加利上げを示唆、トルコリラを下支え!?
TCMB(トルコ中銀)のチェティンカヤ総裁は 2 月 9 日、「現在の政策スタンスは明確かつ安定的な引き締
めを示唆している」と明言し、「インフレが著しく改善するまで引き締めスタンスを維持する」と表明。「必要な
らば、一段の引き締めを行う」と述べ、追加利上げを示唆しました。
2 月 3 日に発表された、トルコの 1 月の CPI(消費者物価指数)は前年比+9.22%と、昨年 12 月の
+8.53%から上昇率が一段と加速。昨年 1 月以来の強い伸びとなり、TCMB のインフレ目標(+5%、その±
2%が許容範囲)を大きく上回りました。
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トルコリラ安を背景としたインフレ見通しの悪化を理由に、TCMB は昨年 11 月に 2014 年 1 月以来、2 年
10 か月ぶりに利上げを実施。3 つの政策金利のうち、翌日物貸出金利と 1 週間物レポ金利(主要政策金
利)を引き上げました(翌日物借入金利は据え置き)。前回 1 月の政策会合では、翌日物貸出金利を
0.75%引き上げる一方、1 週間物レポ金利と翌日物借入金利を据え置きました。
チェティンカヤ総裁は 2 月 9 日に、インフレ率は短期的には一段と上昇する可能性があるとの見方を示す
一方、年末には 8%へと鈍化するとの見方を示しました。それでも TCMB のインフレ目標を上回ることになり
ます。トルコリラ安が加速するなどして、インフレ見通しが悪化する場合、TCMB は追加利上げに踏み切ると
みられます。
トルコ経済が低迷し、エルドアン大統領からの利下げ圧力を背景に、市場では TCMB が積極的な利上げ
を行うのは難しいとの見方が有力です。それでも、チェティンカヤ総裁が追加利上げを示唆したことは、トル
コリラを下支えするかもしれません。ただし、憲法改正の是非を問う国民投票が今年 4 月に実施される可能
性が大です。トルコの政局のニュースに引き続き、注意する必要があります。TCMB の次回定例会合は 3 月
16 日です。<八代>
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<執筆者>
西田 明弘(にしだ あきひろ)
市場調査部 チーフエコノミスト マクロ経済・マーケット全般
1984 年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを
経て、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテ
ジストとして高い評価を得る。2012 年 9 月、マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。市
場調査部チーフアナリストに就任。現在、M2J の WEB サイトで「市場調査部レポート」、
「市場調査部エクスプレス」、「今月の特集」など多数のレポートを配信する他、TV・雑
誌など様々なメディアに出演し、活躍中。
津田 隆光(つだ たかみつ)
市場調査部 チーフアナリスト マーケット全般、米ドル、ユーロ、ポンド担当
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。主に国際商品市況の
マーケット業務に従事し、2008 年 1 月マネースクウェア・ジャパン入社。シニアテクニカ
ルアナリストとして独自のアレンジを取り入れた各種テクニカル分析レポートを執筆する
傍ら、セミナー講師やラジオ NIKKEI 番組コメンテーターなどを務める。2016 年 4 月、
市場調査部チーフアナリストに就任。
八代 和也(やしろ かずや)
市場調査部 アナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド、カナダドル担当
2001 年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レ
ポートの執筆など FX 業務に携わる。2011 年 12 月、マネースクウェア・ジャパンに入
社。市場調査部に所属し、豪ドルや NZ ドルといったオセアニア通貨にフォーカスした
「オセアニア・レポート」を執筆している。FX に携わり 13 年。
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