金融市場マンスリー - みずほ総合研究所

金融市場マンスリー
2017 年 2 月 15 日号
◆ 日本国債は日銀の国債買入れに神経質な展開
日本の10年国債利回りは0.1%前後での推移を予想。
日銀の国債買入れ減額への警戒から低位ながら振れ
易い展開が見込まれる。超長期債は上昇し易い
◆ 日本株は欧米政治情勢による円高がリスク要因
日本株の割高感は台頭しておらず業績改善期待が下
支え。米政権の通商・為替政策や欧州政治情勢の不
透明感の高まりによる円高がリスク要因
◆ ドル高の調整局面がしばらく続くと予想
米新政権の政策の方向感を伺う展開から、当面ドル
の上値が重い展開を予想。拡張的財政政策が具体化
していけば、ドル高地合いに戻す見込み
目
次
1.今月の視点 ----------------------------------------------- 1
2.金融市場の全体観 ----------------------------------------- 2
3.米国経済・金融市場動向 ----------------------------------- 3
(1)経済動向 ------------------------------------------- 3
(2)金融市場動向 --------------------------------------- 4
4.欧州経済・金融市場動向 ----------------------------------- 6
5.新興国市場動向 ------------------------------------------- 7
6.国内経済・金融市場動向 ----------------------------------- 8
(1)経済動向 ------------------------------------------- 8
(2)金融市場動向 -------------------------------------- 10
7.為替市場動向 -------------------------------------------- 13
8.原油市場動向 -------------------------------------------- 14
9.予測表 -------------------------------------------------- 15
(資料1)日本経済、米国経済予測総括表 ---------------------- 16
(資料2)月間スケジュール ---------------------------------- 17
(資料3)四半期スケジュール -------------------------------- 19
(資料4)内外主要経済指標 ---------------------------------- 20
(資料5)内外主要金融指標 ---------------------------------- 21
1.今月の視点
~不透明感のなか、2017 年世界は全地域改善、中国主導の改善に注目~
みずほ総合研究所は、2017 年の世界経済見通しの全般的な上方修正を行った。2016 年における我々のメッセ
ージを振り返れば、①世界的な減速感、②「3低(3L)」、「低成長、・低インフレ・低金利」の長期化、③しかも、政
策対応が手詰まりという点にあった。一方、今日の 2017 年世界経済への認識は、「3L」の後遺症を残しつつも、ト
ランプ新大統領の掲げる大幅減税やインフラ投資を中心とした政策により、世界の潮流である財政重視の動きが
底上げ要因になってきた。もとより、2016 年まで続いた世界的な減速感が収束し、ITサイクルの改善などによる製
造業の上向きのバイアスが追い風になっている。トランプ政権の政策要因は期待先行だが、世界的な製造業サイ
クル好転の底上げは予想以上に大きい。足元の世界的な環境は、米、欧、中国を中心とした新興国、さらに日本
と、どこも押しなべて改善する 2013 年以来の状況だ。さらに、昨年の暴落と打って変わって今年は原油価格が底
入れしたことも金融市場の安心材料となっている。ここで世界全体の景況感の改善の主因は、中国経済の急回復
にあるのではないか。今年 1 月 20 日に中国の 2016 年の成長率が 6.7%と 26 年ぶりに低下したと報道され、中国
経済の減速不安が生じた。一方、次の図表は中国経済の実態をより反映しやすい李克強指数と世界の景況感を
示す製造業 PMI の推移である。李克強指数と世界の製造業 PMI はかなり連動した動きにあることが示される。なか
でも先進国の PMI との連動が強く、2014 年からの世界的調整は中国の調整の影響を多分に受けた可能性がある。
その下方トレンドが底を打ったのが、2015 年後半から 2016 年初、丁度昨年の今頃であった。こうした状況から転換
した背景には、2016 年、中国が G20 の議長国であったこともあり、公共投資を中心に大幅な景気てこ入れを行っ
たことがある。今年も秋の共産党大会を前にてこ入れが続いている。従って、2017 年から 2018 年にかけて世界的
な安心材料が続く可能性が高いのではないか。現在、トランプ政権のもたらす不安感が市場を覆うが、実体景気
は珍しく改善した環境にあることを認識する必要がある。
【 図表1:先進国と新興国の製造業PMIと李克強指数】
58
(Pt)
(前年比、%)
製造業PMI(世界)
製造業PMI(先進国)
16
製造業PMI(新興国)
李克強指数(右目盛)
14
56
12
拡張
54
← 景気
52
→縮小
48
10
8
6
50
4
2
0
46
-2
11
12
13
14
15
16
17
(年)
(資料) Markit より、みずほ総合研究所作成
(チーフエコノミスト 高田 創)
1
金融市場マンスリー(2017 年 2 月 15 日号)
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