2016/03/16 新潟支店 住所:新潟市中央区明石 1-6-6 TEL:025-245-5606 URL:http://www.tdb.co.jp/ 特別企画 : 新潟県「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 2015 年の「休廃業・解散」は 634 件 ~ 「倒産」に対する倍率は 10.9 倍 ~ はじめに>> 新潟県の 2015 年企業倒産件数(法的整理による倒産、負債 1000 万円以上)は、58 件と 2 年連 続で 50 件台に抑制され、近年のピークであった 2012 年(85 件)と比較し約 31.8%下回った。背 景には、建設投資拡大の恩恵を受けて「建設業」の倒産が大幅に減少したほか、中小企業金融円 滑化法の終了後も引き続き金融機関が支援スタンスを維持していることなどが挙げられる。 その一方で、中小・零細企業を中心に、後継者難や代表の高齢化が深刻化している。倒産に至 らないまでも事業継続を断念し、 「休廃業・解散」を選択する件数が倒産件数の約 11 倍となる 634 件にのぼっている。 帝国データバンク新潟支店は、企業概要ファイル「COSMOS2」 (146 万社収録)から削除 されたデータを収録したファイル(削除ファイル)を用いて、2005~2015 年の間に休廃業、解散 に至った事業者(法人、個人含む)を集計。倒産件数との比較や、業種別、市郡別、代表者年齢 別にその傾向を分析した。 ◇「休廃業」とは、企業活動を停止している状態を指す(官公庁等に「廃業届」を提出して企業活動を終えるケースを含む) 。 調査時点では当該企業の企業活動が停止していることを確認できているが、将来的な企業活動再開を否定するものではない ◇「解散」とは、企業が解散した場合を指す。主に、商業登記等で解散を確認 ◇「休廃業・解散」は、企業活動停止が確認できた企業のなかで、倒産(任意整理、法的整理)に分類されないケース 調査結果(要旨) ■2015 年(1~12 月)の「休廃業・解散」は 634 件で、前年(596 件)比 6.4%増。「倒産」に対する倍率は 10.9 倍で、全国(2.8 倍)を大きく上回る ■業種別では、「建設業」が全体の 3 分の 1 を占め最多。細分類でみても、「木造建築工事業」「土木工 事業」など建設関連業種が上位 ■市郡別では、「新潟市」が 249 件で最多。「長岡市」「上越市」が続いた ■代表者年齢別でみると、最も多いのは「60 代」で、全体の 42.3%を占める。2005 年との比較では、総 じて「60 代」「70 代」「80 歳以上」の割合が増加している ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 1 2016/03/16 特別企画:新潟県「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 1.種類別 2015 年(1~12 月)の「休廃業・解散」は 634 件判明。前年(596 年)を 38 件上回り(6.4%増) 、 2 年ぶりに増加。2005 年以降では、2013 年(707 件)に次ぐ 2 番目の高水準となった。種類別に みると、 「休廃業」 (361 件)が前年比 0.8%増加、 「解散」 (273 件)は同 14.7%増加した。 他方、2015 年の「倒産」は 58 件と前年を 1 件上回ったものの、低水準での推移となった。これ により、 「休廃業・解散」は「倒産」の約 10.9 倍にものぼる結果となった。なお、2015 年におけ る全国の同倍率は約 2.8 倍であり、その差は大きい。 「休廃業・解散」と「倒産」の件数推移 休廃業・解散 倒産 (件) 750 707 589 600 502 526 504 634 596 569 533 515 490 450 300 150 43 79 72 59 41 85 78 60 66 57 58 0 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 「休廃業・解散」件数 2005年 (件) 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 休廃業 330 339 368 358 325 342 310 323 379 358 361 解散 172 165 158 231 190 227 223 167 328 238 273 合計 502 504 526 589 515 569 533 490 707 596 634 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 「休廃業・解散」前年比 2005年 休廃業 解散 合計 (%) ▲ 17.7 2.7 8.6 ▲ 2.7 ▲ 9.2 5.2 ▲ 9.4 4.2 17.3 ▲ 5.5 0.8 13.2 ▲ 4.1 ▲ 4.2 46.2 ▲ 17.7 19.5 ▲ 1.8 ▲ 25.1 96.4 ▲ 27.4 14.7 ▲ 9.2 0.4 4.4 12.0 ▲ 12.6 10.5 ▲ 6.3 ▲ 8.1 44.3 ▲ 15.7 6.4 <参考> 「倒産」件数 倒産 (件) 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 43 41 59 72 79 60 78 85 66 57 58 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 「倒産」前年比 倒産 (%) ▲ 25.9 ▲ 4.7 43.9 22.0 9.7 ▲ 24.1 30.0 9.0 ▲ 22.4 ▲ 13.6 0.2 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 2 2016/03/16 特別企画:新潟県「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 2.業種別 業種別で「休廃業・解散」件数をみると、 「建設業」 が 213 件 (構成比 33.6%) で全体の 3 分の 1 を占める。 以下、 「小売業」 (113 件、同 17.8%) 、 「サービス業」 (98 件、同 15.5%)と続く。前年比では、全 7 業種 中「サービス業」のみが前年を下回ったが、5 業種で 前年を上回った( 「小売業」は横ばい) 。 さらに、業種細分類別でみると、 「木造建築工事業」 をはじめとした建設業関連業種が上位に挙がったが、 この傾向は前年から大きな変化はない。住宅着工戸数 の低迷や公共工事の減少から競合が激化し、やむなく 事業を断念するケースが多いものと思われる。 業種細分類別「休廃業・解散」件数 上位 主業名 1 2 3 4 5 6 7 8 8 8 8 8 13 13 13 13 2015年 木造建築工事業 土木工事業 大工工事業 不動産代理・仲介業 とび工事業 土木建築サービス 土工・コンクリ工事 塗装工事業 電気配線工事業 一般管工事業 金物卸 婦人・子供服小売 家電機械器具小売 貸事務所業 自動車一般整備 自動車車体整備 64 17 15 13 12 10 9 8 8 8 8 8 7 7 7 7 前年比 (%) 10.3 30.8 7.1 44.4 20.0 ▲ 33.3 ▲ 55.0 ▲ 11.1 ▲ 20.0 300.0 14.3 ▲ 20.0 ▲ 12.5 75.0 0.0 75.0 注1:COSMOS2収録企業で2015年の「休廃業・解散」件数が上位にランクインし た業種 注2:業種名(コード)は「帝国データバンク産業分類細分類」による 注3:当該企業の事業内容のうち、取引額が最も大きいものを主業として集計 業種別件数 業種別 (件) 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 構成比(%) 建設業 174 185 197 220 213 225 198 172 219 197 213 33.6 製造業 70 70 65 57 45 75 67 58 84 70 79 12.5 卸売業 58 51 53 73 51 72 53 52 77 54 77 12.1 小売業 100 111 105 107 97 76 88 84 136 113 113 17.8 運輸・通信業 5 7 8 7 4 12 15 5 11 8 12 1.9 サービス業 69 57 63 70 74 79 78 67 127 120 98 15.5 不動産業 19 18 22 45 19 23 16 31 39 23 25 3.9 その他 7 5 13 10 12 7 18 21 14 11 17 2.7 502 504 526 589 515 569 533 490 707 596 634 100.0 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 合計 業種別前年比 業種別 (%) 建設業 ▲ 22.7 6.3 6.5 11.7 ▲ 3.2 5.6 ▲ 12.0 ▲ 13.1 27.3 ▲ 10.0 8.1 製造業 1.4 0.0 ▲ 7.1 ▲ 12.3 ▲ 21.1 66.7 ▲ 10.7 ▲ 13.4 44.8 ▲ 16.7 12.9 卸売業 ▲ 6.5 ▲ 12.1 3.9 37.7 ▲ 30.1 41.2 ▲ 26.4 ▲ 1.9 48.1 ▲ 29.9 42.6 小売業 ▲ 2.0 11.0 ▲ 5.4 1.9 ▲ 9.3 ▲ 21.6 15.8 ▲ 4.5 61.9 ▲ 16.9 0.0 25.0 40.0 14.3 ▲ 12.5 ▲ 42.9 200.0 25.0 ▲ 66.7 120.0 ▲ 27.3 50.0 ▲ 18.3 運輸・通信業 サービス業 11.3 ▲ 17.4 10.5 11.1 5.7 6.8 ▲ 1.3 ▲ 14.1 89.6 ▲ 5.5 不動産業 ▲ 5.0 ▲ 5.3 22.2 104.5 ▲ 57.8 21.1 ▲ 30.4 93.8 25.8 ▲ 41.0 8.7 その他 ▲ 22.2 ▲ 28.6 160.0 ▲ 23.1 20.0 ▲ 41.7 157.1 16.7 ▲ 33.3 ▲ 21.4 54.5 合計 ▲ 9.2 0.4 4.4 12.0 ▲ 12.6 10.5 ▲ 6.3 ▲ 8.1 44.3 ▲ 15.7 6.4 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 3 2016/03/16 特別企画:新潟県「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 3.市郡別 市郡別でみると、2015 年の「休廃業・解散」が最も多かったのは「新潟市」 (249 件) 。以下、 「長 岡市」 (72 件) 、 「上越市」 (39 件) 、 「三条市」 (36 件) 、 「新発田市」 (24 件) 、 「柏崎市」 (23 件) 、 「燕市」 (21 件)が続いた。概ね、企業数が多い市郡において件数が多く、この傾向に大きな変化 はない。 市郡別「休廃業・解散」件数 休廃業・解散 地域 下越 中越 上越 市郡 新潟市 五泉市 新発田市 燕市 村上市 佐渡市 阿賀野市 胎内市 北蒲原郡 西蒲原郡 東蒲原郡 岩船郡 長岡市 三条市 加茂市 見附市 十日町市 小千谷市 魚沼市 南魚沼市 柏崎市 三島郡 刈羽郡 南蒲原郡 中魚沼郡 南魚沼郡 上越市 糸魚川市 妙高市 合計 2013年 313 15 17 28 22 13 11 8 5 3 3 0 71 31 5 9 20 10 8 15 19 1 1 3 3 1 54 10 8 707 2014年 182 10 27 30 16 10 9 7 6 1 5 0 82 39 4 8 12 11 21 20 21 1 1 2 0 2 55 4 10 596 倒産 2015年 249 16 24 21 15 7 7 7 2 4 5 1 72 36 4 8 18 9 14 14 23 2 2 4 4 7 39 7 13 634 前年比 (%) 36.8 60.0 ▲ 11.1 ▲ 30.0 ▲ 6.3 ▲ 30.0 ▲ 22.2 0.0 ▲ 66.7 300.0 0.0 - ▲ 12.2 ▲ 7.7 0.0 0.0 50.0 ▲ 18.2 ▲ 33.3 ▲ 30.0 9.5 100.0 100.0 100.0 - 250.0 ▲ 29.1 75.0 30.0 6.4 2013年 27 2 1 1 0 2 1 0 0 0 0 0 8 4 1 1 0 0 0 1 4 0 0 0 0 0 9 2 2 66 2014年 19 0 0 1 1 1 2 0 1 0 0 0 6 7 2 2 2 0 2 0 4 0 0 0 0 0 4 2 1 57 2015年 22 0 4 4 2 5 0 0 0 0 0 0 5 3 0 1 1 0 0 0 3 0 0 2 0 0 6 0 0 58 前年比 (%) 15.8 - - 300.0 100.0 400.0 ▲ 100.0 - ▲ 100.0 - - - ▲ 16.7 ▲ 57.1 ▲ 100.0 ▲ 50.0 ▲ 50.0 - ▲ 100.0 - ▲ 25.0 - - - - - 50.0 ▲ 100.0 ▲ 100.0 1.8 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 4 2016/03/16 特別企画:新潟県「休廃業・解散」動向調査(2015 年) 4.代表者年齢別 2015 年に「休廃業・解散」した企業(個人事業主を含む)の代表者を年齢別にみると、 「60 代」 が 229 件、構成比 42.3%で最多。 「70 代」 (145 件、同 26.8%)が続いた。 2005 年と比較すると、 「50 代」が 13.9 ポイント減少しているのに対し、 「60 代」が 8.0 ポイン ト、 「70 代」が 2.5 ポイント、 「80 代」が 5.2 ポイント増加しており、代表者の交代がないまま高 齢化が進んでいるケースは多いとみられる。 代表者年齢別 構成比 0 .0 0 0 2005年 30歳未満 2.3 8.3 25.5 34.3 24.3 5.3 30代 40代 0 .1 9 1 2010年 1.3 6.7 17.0 38.8 29.1 6.9 50代 60代 0 .3 6 9 2015年 3.0 5.5 11.6 42.3 26.8 70代 10.5 80歳以上 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 代表者年齢別件数 代表者年齢 2005年 (件) 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 (%) 前年比 30歳未満 0 0 2 1 2 1 0 0 1 0 2 30代 11 11 15 8 8 7 11 11 4 9 16 77.8 40代 39 36 39 33 34 35 30 30 43 43 30 ▲ 30.2 50代 120 124 113 124 84 89 57 59 88 74 63 ▲ 14.9 60代 161 162 156 219 182 203 207 183 216 202 229 13.4 70代 114 114 129 130 143 152 125 109 176 128 145 13.3 80歳以上 25 31 35 36 24 36 39 34 58 40 57 42.5 合計 470 478 489 551 477 523 469 426 586 496 542 9.27 2014年 2015年 代表者年齢別構成比 (%) (ポイント) 代表者年齢 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 30歳未満 0.000 0.000 0.409 0.181 0.419 0.191 0.000 0.000 0.171 30代 2.3 2.3 3.1 1.5 1.7 1.3 2.3 2.6 40代 8.3 7.5 8.0 6.0 7.1 6.7 6.4 50代 25.5 25.9 23.1 22.5 17.6 17.0 60代 34.3 33.9 31.9 39.7 38.2 70代 24.3 23.8 26.4 23.6 30.0 80歳以上 5.3 6.5 7.2 6.5 100.0 100.0 100.0 100.0 合計 - 対前年 0.000 0.369 0.7 1.8 3.0 0.369 7.0 7.3 8.7 5.5 0.2 12.2 13.8 15.0 14.9 11.6 ▲ 0.2 38.8 44.1 43.0 36.9 40.7 42.3 1.5 29.1 26.7 25.6 30.0 25.8 26.8 0.9 5.0 6.9 8.3 8.0 9.9 8.1 10.5 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 1.1 2.5 - ※対象は代表者年齢が判明している先のみ ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 5 2016/03/16 特別企画:新潟県「休廃業・解散」動向調査(2015 年) まとめ 2015 年(1~12 月)の「休廃業・解散」は、634 件と前年を 6.4%上回り、2005 年以降では 2 番目の高水準となった。その一方で、 「倒産」は前年に続き 50 件台に抑制されている。取り巻く 環境の不透明さなどを背景に、休廃業や解散を選択する企業が増えている一方で、中小企業金融 円滑化法の終了後も引き続き金融支援が継続されていることが「倒産」を抑制している一因とな っている。 業種別では、 「建設業」が全体の 3 分の 1 を占めるほか、業種細分類別にみても「木造建築工事 業」が最も多く、工事案件や住宅着工戸数の落ち込みによる売上減少に加え、人手不足が「休廃 業・解散」件数を押し上げているとみられる。 代表者を年齢別でみると、10 年前と比較し「50 代」が 13.9 ポイント減少したのに対し、 「60 代」の 8.0 ポイント増をはじめ、 「70 代」 「80 歳以上」と社長が高齢な企業は総じて増加しており、 高齢代表者による休廃業・解散が増加している。また、2015 年に「休廃業・解散」した企業のう ち 72.1%は後継者が定まらない状態であった。代表の高齢化に伴う後継者難は、各企業の大きな 課題となっている。 2017 年には 1947 年~1949 年生まれの団塊世代が 70 代に突入しはじめるため、 同世代の経営者は事業承継の決断を迫られることになろう。 2016 年についてもこうした課題は解消されているとは言えず、 「休廃業・解散」件数は 2015 年 と同程度、あるいは増加傾向で推移する可能性は十分にある。 【内容に関する問い合わせ先】 株式会社帝国データバンク 新潟支店 担当:目黒 TEL 025-245-5606 FAX 025-241-9019 当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。 当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法 の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 6
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