Indicators Update

経済分析レポート
2017 年 1 月 31 日 全 5 頁
Indicators Update
12 月鉱工業生産
前月比+0.5%と増産を維持
エコノミック・インテリジェンス・チーム
エコノミスト 前田 和馬
エコノミスト 小林 俊介
[要約]

12 月の生産指数は前月比+0.5%と 2 ヶ月連続で上昇し、市場コンセンサス(同+0.3%)
を上回った。一方、12 月の出荷指数は同▲0.3%と 4 ヶ月ぶりの低下、在庫指数は同+
0.2%と 4 ヶ月ぶりの上昇、在庫率指数は同+0.9%と 3 ヶ月ぶりの上昇となった。生産
が増加した一方で、出荷が減少し在庫が増加する結果となったが、均してみれば、生産
と出荷が増加基調であることに加えて、在庫水準も低下基調にあることは、今後の明る
い材料といえよう。

製造工業生産予測調査によると、2017 年 1 月、2 月の生産指数は前月比+3.0%、同+
0.8%と増産が続く計画となった。また、経済産業省が公表した先行き試算値について
も、1 月は同+0.5%の増加となっている。

2017 年 3 月以降に関しては、生産は緩やかな拡大を見込んでいる。耐久消費財につい
ては、家電エコポイント導入時に購入された白物家電等が買い替えサイクルを迎えてい
ることに加えて、消費増税前の駆け込み等による需要先食いの悪影響が剥落しつつある
ことから、今後は底堅く推移することが見込まれる。また、外需についても、家計部門
を中心に底堅い米国経済をはじめとして、海外経済の回復が続いていくと考えられるこ
とから、緩やかに輸出は持ち直すであろう。
図表 1:鉱工業生産の概況(季節調整済み前月比、%)
鉱工業生産
コンセンサス
DIR予想
出荷
在庫
在庫率
2016年
3月
+3.8
4月
+0.5
5月
▲2.6
6月
+2.3
7月
▲0.4
8月
+1.3
9月
+0.6
10月
+0.0
11月
+1.5
+1.8
+2.9
+3.3
+1.6
▲1.7
▲2.2
▲2.6
+0.4
+1.8
+1.7
+0.0
▲1.5
+0.7
▲2.4
+1.1
▲1.1
+0.3
▲3.2
+1.8
▲0.5
+1.1
+2.0
▲2.1
▲0.6
+1.0
▲1.6
▲5.6
12月
+0.5
+0.3
+0.5
▲0.3
+0.2
+0.9
(注)コンセンサスはBloomberg。
(出所)Bloomberg、経済産業省統計より大和総研作成
株式会社大和総研 丸の内オフィス 〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー
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生産は前月比+0.5%と増産を維持
12 月の生産指数は前月比+0.5%と 2 ヶ月連続で上昇し、市場コンセンサス(同+0.3%)を
上回った。一方、12 月の出荷指数は同▲0.3%と 4 ヶ月ぶりの低下、在庫指数は同+0.2%と 4
ヶ月ぶりの上昇、
在庫率指数は同+0.9%と 3 ヶ月ぶりの上昇となった。生産予測調査で見ると、
2017 年 1 月:同+3.0%、2 月:同+0.8%と、増産が続く計画となっている。生産が増加した
一方で、出荷が減少し在庫が増加する結果となったが、均してみれば、生産と出荷が増加基調
であることに加えて、在庫水準も低下基調にあることは、今後の明るい材料といえよう。
図表 2:出荷・在庫・在庫率、生産指数財別内訳
生産指数
出荷・在庫・在庫率
財別内訳
(2010年=100)
(2010年=100)
120
在庫率指数
140
予測
130
115
資本財
120
建設財
110
110
100
105
90
在庫指数
80
100
生産指数
70
耐久消費財
95
60
出荷指数
90
12
13
14
15
16
50
(年) 2008 09
10
11
12
13
14
15
16
17 (年)
(注)生産指数の直近2ヶ月の値は、製造工業生産予測調査による。
(出所)経済産業省統計より大和総研作成
全 15 業種中、12 業種が上昇
12 月の生産指数を業種別に見ると、全 15 業種中、12 業種が上昇した。なかでも、輸送機械
工業(前月比+2.0%)、化学工業(除.医薬品)(同+1.8%)の寄与度が大きい。輸送機械工
業については、軽乗用車と自動車部品の増加が目立つ。また、米国向けの多目的スポーツ車(SUV)
や国内における新車の販売が好調なことを背景に、普通乗用車も前月比でプラスとなっている。
化学工業(除.医薬品)については、美容液や合成洗剤が全体を押し上げた。一方、生産指数
が低下した業種は、情報通信機械工業(同▲10.7%)
、はん用・生産用・業務用機械工業(同▲
0.4%)の 2 業種であった。情報通信機械工業については固定通信装置や外部記憶装置、はん用・
生産用・業務用機械工業については一般用蒸気タービンや分析機器がそれぞれ全体を押し下げ
た。他方、その他工業については前月比横ばいであった。
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生産計画は引き続き強い
製造工業生産予測調査によると、2017 年 1 月、2 月の生産指数は前月比+3.0%、同+0.8%
と増産が続く計画となった。また、経済産業省が公表した先行き試算値についても、1 月は同+
0.5%の増加となっている。予測調査を業種別に見ると、電子部品・デバイス工業(1 月:同+
5.1%、2 月:同+10.0%)の計画が強い。同業種では計画時点から生産が下振れする傾向が強
いため、数値は若干割り引いて見る必要があるものの、引き続き鉱工業生産全体のけん引役と
なることが期待される。また、今月減少となった情報通信機械工業(1 月:同+11.8%、2 月:
同▲3.4%)
、はん用・生産用・業務用機械工業(1 月:同+7.2%、2 月:同▲2.4%)の計画に
ついては、1 月は増産であるものの、2 月には減産を見込む計画となっている。なお、これらの
業種でも計画時点から生産が下振れする傾向が強いため、先行きを注視する必要があろう。
図表 3:主要業種の生産推移
素材業種
(2010年=100)
予測
予測 130
112
108
加工業種
(2010年=100)
金属製品 鉄鋼
パルプ・紙
・紙加工品
104
120
はん用・生産用
・業務用機械
輸送機械
110
非鉄金属
100
100
90
96
80
92
電子部品
・デバイス
電気機械
情報通信機械
70
88
60
化学(除く医薬品)
84
2012
13
14
15
16
50
17(年) 2012
(注)直近2ヶ月の値は、製造工業生産予測調査による。
(出所)経済産業省統計より大和総研作成
13
14
15
16
17(年)
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先行きは緩やかな拡大を見込む
2017 年 3 月以降に関しては、生産は緩やかな拡大を見込んでいる。耐久消費財については、
家電エコポイント導入時に購入された白物家電等が買い替えサイクルを迎えていることに加え
て、消費増税前の駆け込み等による需要先食いの悪影響が剥落しつつあることから、今後は底
堅く推移することが見込まれる。また、外需についても、家計部門を中心に底堅い米国経済を
はじめとして、海外経済の回復が続いていくと考えられることから、緩やかに輸出は持ち直す
であろう。一方、ダウンサイドリスクとして、米トランプ新政権による保護主義政策や英国の
EU離脱等により、世界経済の先行き不透明感が強まる可能性が挙げられる。このことは、外
需の成長や設備投資の本格的な回復に対する障害となろう。
図表 4:輸出数量、出荷・在庫バランスと生産
鉱工業生産と輸出数量
99
(2010年=100)
(2010年=100)
105
40
鉱工業生産指数
(右軸)
97
50
出荷・在庫バランスと生産
(前年比、%)
103
鉱工業生産指数
30
20
95
101
93
99
91
10
0
-10
97
89
95
輸出数量指数
87
13
14
15
-30
出荷・在庫バランス
(1ヶ月先行)
-40
85
12
-20
16
-50
93
2008 09
17 (年)
(注)鉱工業生産の直近2ヶ月の値は、製造工業生産予測調査による。
(出所)内閣府、経済産業省統計より大和総研作成
10
11
12
13
14
15
16
(年)
5/5
主要産業の生産動向(季節調整値)
輸送機械
はん用・生産用・業務用機械
(指数×ウエイト)
(指数×ウエイト)
12
2.5
乗用車
10
半導体・フラット
パネル製造装置
はん用機械器具部品
2.0
自動車部品
8
1.5
6
1.0
4
船舶・同機関
トラック
ボイラ・原動機
0.5
2
風水力機械・油圧機器
金属工作機械
0
0.0
08
09
10
11
12
13
14
15
16
08
(年)
09
10
11
電子部品・デバイス
12
13
14
15
16
(年)
電気機械
(指数×ウエイト)
(指数×ウエイト)
5.0
2.0
4.5
電子部品
開閉制御装置・機器
1.8
4.0
1.6
3.5
1.4
3.0
1.2
2.5
民生用電気機械
1.0
2.0
1.5
半導体素子
半導体部品
0.6
1.0
0.4
0.5
0.2
0.0
08
09
10
11
12
回転電気機械
0.8
集積回路
13
14
15
16
(年)
配線・照明用器具
電池
0.0
08
09
11
12
13
14
15
16
(年)
鉄鋼・非鉄金属・金属製品
化学
(指数×ウエイト)
3.5
1.6
化粧品
3.0
10
1.4
(指数×ウエイト)
熱間圧延鋼材
鉄素製品
(含.鋼半製品)
伸銅・アルミニウム圧延製品
建設用金属製品
建築用金属製品
1.2
2.5
1.0
有機薬品
2.0
プラスチック
0.8
1.5
0.6
1.0
0.4
0.5
0.2
石油系芳香族
0.0
08
09
10
非鉄金属鋳物
石けん・合成洗剤・界面活性剤
11
0.0
12
13
14
(出所)経済産業省統計より大和総研作成
15
16
(年)
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)