トランプ政権始動 - ニッセイ アセットマネジメント

2017年1月23日
投資情報室
臨時レポート
(審査確認番号H28-TB280)
トランプ政権始動
○○○○○○○○
トランプ大統領就任と相場動向及び見通し
 就任演説の内容やその後発表された優先取組み課題等は想定の範囲内。市場が期待する税制
改革や規制緩和等に関する具体策は示されず。
 就任当日の米国市場は比較的落ち着いた動きに。
 市場は期待から現実を見極める局面に。当面の注目材料は、本格化している2016年10∼12
月期の企業業績発表や、2月に予定される予算教書の内容か。
∼
トランプ大統領就任演説等の内容
∼
 1月20日、米国第45代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が就任しました。大統領就任
式では米国第一主義を実行し、米国を再び偉大な国にすると演説しました。
 式典後には公約通りにTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱とNAFTA(北米自由
貿易協定)の再交渉を表明しました。また、医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しに
関する大統領令にも署名しました。一方、市場が期待する税制改革や規制緩和、インフラ整
備についての具体策等は明らかにされませんでした。
∼
米国市場の動向
∼
 1月20日のNYダウは、就任演説や公表された政策が想定内であったこと、就任式が大きな
混乱なく終了したこと、原油価格が上昇したこと等から6営業日ぶりに反発して引けました。
また米国10年国債金利は上昇一服、為替はやや円高・米ドル安となりました。
図表1:1月20日の米国市場動向
NYダウ
米国10年国債金利
米ドル/円
引値
19,827.25ドル
2.467%
114.62円
前日比( 変化幅 )
94.85ドル高
0.007%低下
0.24円円高
図表2:NYダウの推移
図表3:米国10年国債金利と米ドル/円レートの推移
(%)
(ドル)
データ期間:2016年11月1日∼2017年1月20日
20,500
データ期間:2016年11月1日~2017年1月20日
(円)
3.0
120
2.5
115
20,000
19,500
19,000
2.0
米金利上昇
米ドル高
18,500
1.5
18,000
110
105
米国10年国債金利(左軸)
米ドル/円(右軸)
17,500
16/11
16/12
17/1 (年/月)
1.0
16/11
100
16/12
17/1
(年/月)
出所)図表1∼3はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的と
するものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作
成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資
収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。●投
資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商
品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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当面の相場見通し
∼
 トランプ氏勝利後、その財政拡張的な政策に対する期待感や思惑等から米国株式や金利は上昇
し、金利差拡大観測から円安・米ドル高が進みました。しかし、現在の市場は期待から現実を
見極める局面に入っているものと思われます。予算編成は議会との調整が必要であること、当
初は通商戦略やオバマケア廃止後の代替策策定が優先されると思われること、トランプ政権の
主要閣僚の議会承認が過去の政権に比べて遅延していること等を考えると、経済対策の詳細が
明らかになるのは今年半ば以降になるものとみています。
 トランプ大統領が公約に掲げた経済対策の財源やスケジュール等大まかな内容は2月に予定さ
れる予算教書(米国大統領が連邦議会に対して翌会計年度[10月から翌年9月まで]の予算案の
編成方針を示す文書)で明らかにされるものとみていますが、それまでは思惑で相場が乱高下
することも考えられます。
 米国の保護主義の強まりが世界経済に悪影響を及ぼすとの見方が強まる、トランプ大統領と与
党共和党との間に不協和音が生じ、政策の遂行が停滞すると市場が判断するような場合には一
時的に円安・株高の反動が生じる可能性もあります。ただしその場合も好調な米国経済や企業
業績、原油価格の安定が下支えし、株価の深押し等は避けられるものと考えます。一方、行き
過ぎた保護主義は避けられる、経済対策が景気過熱や金利の急上昇を起こさない程度の内容に
とどまる等の見方が強まれば、緩やかな金利上昇の中での株高になる可能性もあります。
∼
今後の着目点
∼
 2017年の想定される投資環境やリスク、主なチェックポイントは以下の通りです。
図表4:想定される今後の投資環境やチェックポイント
想定される投資環境
想定されるリスク等
 金融政策から財政政策へ
主な不透明要因
 米国主導の世界的な景気回復と
デフレからの脱却
 グローバリズム(世界の一体化)から
反グローバリズムへ
 金利低下局面から金利上昇局面へ
 中央銀行の金融政策正常化に向けた
歩み(量的緩和の縮小等)
主な
チェックポイント






財政拡張路線の規模とタイミング
保護主義的・排他的政策の可能性
経済への波及タイミングと影響度
地政学的リスク懸念
保護主義の台頭・拡散懸念
欧州の政治リスクと
EU(欧州連合)離脱懸念
インフレを抑制し、経済回復を阻害しない金利上昇か?
新興国経済や米国企業に悪影響を及ぼす米ドル高とならないか?
トランプ大統領の政策に対する期待が先行し過ぎないか?
地政学リスクを高めたり、反グローバリズムを拡散させないか?
出所)図表4は各種情報を基にニッセイアセットマネジメントが作成
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