Ⅳ-14 労作時呼吸困難を主訴とし MCTD(混合性結合組織病)に心不全を伴った一例 山田 悦子、石井 雄、高橋 絢子、佐々木 聡介、相賀 護、渡辺 雄一、冨士田 圭介、笠井 康宏、寺澤 督雄、田中 無量、外間 洋平、齋藤 友紀 信大 東京医科大学八王子医療センター 症例は 64 歳女性、MCTD(混合性結合組織病)で当院膠原病科通院中の方。労作時呼吸困難が増強し(Hugh― Jones4 度)、精査目的で入院となる。肺野には異常を認めず、肺機能や肺血流シンチも正常だったが、心電図 は左脚ブロックで心エコー図では前壁中隔の壁運動低下(EF40%)を認めた。浮腫や肺うっ血は認めなかったも のの BNP は 471pg/ml と高値だった。右心カテーテルでは PCWP17mmHg と軽度高値、PA 圧 26mmHg(mean)と軽度 の肺高血圧を認め、CAG では冠動脈に有意狭窄を認めなかった。労作時呼吸困難の原因としては低心機能に伴 う LVEDP の上昇及び PH によるものと考えた。今回我々は、MCTD に合併する心病変を経験したので文献的考察 を踏まえて報告する。 Ⅳ-15 卵円孔開存を介する右左短絡により低酸素血症を来たした platypnea-orthodeoxia 症候群の一例 岩井 雄大 1)、土方 亮一 1)、三輪 尚之 1)、関川 宮本 貴庸 1)、磯部 1) 禎裕 1)、山口 武蔵野赤十字病院 純司 1)、渡辺 雅裕 1)、山口 敬太 1)、佐川 徹雄 1)、原 雄一朗 1)、増田 信博 1)、永田 怜 1)、宮崎 恭敏 1)、野里 寿史 1)、 光章 2) 循環器科、2)東京医科歯科大学医学部付属病院 循環制御内科学/循環器科 【症例】86 歳女性【主訴】労作時息切れ【既往歴】2005 年大動脈弁置換術、上行大動脈置換術【現病歴】2010 年から労作時息切れが出現。動脈血酸素飽和度(SpO2)が 85%と低値であった。各種検査で有意な問題なく、 長期にわたり原因の特定困難であった。SpO2 は立位で低下し、臥位で上昇した。経食道心エコー図検査下に 用手攪拌生理食塩水の静脈内投与を施行し、卵円孔開存(PFO)と右左短絡を認めた。カテーテル検査では、肺 動脈造影で肺動静脈短絡なく、安静時平均肺動脈圧は 16mmHg であった。心腔内血液サンプリングも心房中隔 位での右左短絡を示唆した。PFO を介する短絡血流は、コントラスト心エコーで、臥位に比較し立位で増加し た。肺高血圧を伴わない PFO を介する右左短絡により、立位で著明な低酸素血症を呈する一例を経験したので 報告する。 Ⅳ-16 妊娠中に褐色細胞腫クリーゼによる急性心不全を発症した一症例 矢澤 川 寛子、春山 拓男、豊田 亜希子、横町 茂、井上 獨協医科大学病院 淳、和久 隆太郎、荻野 幸伴、伊波 秀、天野 裕久、有 晃男 心臓・血管内科 36 歳女性. 妊娠 25 週に頭痛・眼下閃光が出現し, 妊娠中毒症の診断で緊急入院となった. 血圧コントロール 不良の為, 二次性高血圧症の鑑別を施行したところ, 血中カテコラミン高値, MRI で後腹膜に 50*60mm 大の腫 瘤を認め, 傍神経節腫疑いで産後に手術の方針としていた. 妊娠 31 週, 突然の呼吸困難が出現. HR130/分, BP180/100mmHg, SpO2 90%(O2 6L/分), 経胸壁心臓超音波にて EF30%とびまん性に左室壁運動の低下を認め, BNP546pg/mL と高値であり, 褐色細胞腫クリーゼによる急性心不全と診断した. 緊急帝王切開術を施行後 phentolamine, carvedilol で降圧し, 術後 3 日目には EF50%に改善した. 現在は BNP14pg/mL へ改善認め, doxazosin, carvedilol 内服で外来通院中である. 今回, 我々は妊娠中に褐色細胞腫と診断した稀な一症例を 経験したので報告する. Ⅳ-17 ジギタリス中毒により増悪した収縮性心膜炎による急性心不全に対してトルバプタンが奏功した 一例 岡部 俊孝、大山 祐司、井川 渉、小野 山本 明和、斎藤 重男、雨宮 妃、薬師寺 盛夫、木戸 忠幸、磯村 岳彦、荏原 直栄、荒木 誠太郎、山下 浩、落合 賢之介、 正彦 昭和大学横浜市北部病院 症例は 69 才男性。2004 年に特発性急性心膜炎で入院加療歴があり、この際、心嚢液貯留に対し心嚢穿刺が施 行され、心嚢液コントロールのためプレドニゾロン 5mg が導入されていた。その後収縮性心膜炎となったが経 過は安定していた。2 週間前からの全身倦怠感、腹部膨満感、嘔気で救急外来受診した。徐脈性心房細動、低 カリウム血症併存などからジギタリス中毒と考えられ、それに伴う右心不全増悪と考えられた。ジギタリス中 止し、自然洞調律に復帰したが胸水・下腿浮腫軽減ないため、トルバプタン 3.75mg を導入したところ、奏効 しトルバプタン継続で退院となった。外科的加療の希望なく、その後も外来で約 4 年近くトルバプタンを継続 しているが再入院なく経過している。長期トルバプタン継続は稀であり、本例を報告する。 Ⅳ-18 植込み型補助人工心臓装着中に afterload mismatch を起こし、急性左心不全となった一例 乾 明敏、縄田 寛、黒子 東京大学医学部附属病院 洋介、井戸田 佳史、内藤 敬嗣、木下 修、木村 光利、小野 稔 心臓外科 症例は 53 歳男性。2008 年 10 月に他院で拡張相肥大型心筋症と診断、徐々に増悪したため 2016 年 2 月当院で 植込み型補助人工心臓(DuraHeart)を装着した。4 月に退院後は当院外来通院中であったが、7 月下旬の夜間に 突然呼吸苦が出現したため他院受診したところ肺水腫・急性左心不全を認め、同院で挿管され当院に転院搬送 となった。補助人工心臓装着中に左心不全を生じた原因を精査したところ、外来通院中も血圧が高めで推移し ており、状態悪化時も興奮して血圧が急上昇したことが判明、afterload mismatch を起こしたと考えられた。 降圧を行い補助人工心臓のポンプ回転数を増加したところ状態は改善、入院翌日には人工呼吸器を離脱した。 内服による血圧管理を強化して入院 12 日目に退院し、現在外来通院中である。 Ⅳ-19 重症慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対し VA-ECMO 下に準緊急バルーン肺動脈形成術を施行し救命し 得た 1 例 今井 美智子、丹下 志、毛見 勇太、星野 正一、庭前 圭治、工藤 野菊、小暮 真也、佐鳥 圭輔、内田 浩太郎、佐々木 孝 廣大 前橋赤十字病院 症例は 69 歳女性。2013 年に急性肺塞栓を発症、以後慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の診断にて抗凝固お よび HOT が導入された。2015 年より病状の悪化を認め当科外来を紹介受診した。しかし、受診時には体動困 難であり、著明な低酸素かつ、推定右室圧 80mmHg、収縮期血圧 70mmHg の状態であり緊急入院となった。第 3 病日に挿管管理となり、全身管理するも循環不全の進行を認め、第 6 病日に VA-ECMO を導入のうえ、準緊急バ ルーン肺動脈形成術(BPA)を施行した。2 回の BPA にて血行動態は回復し ECMO を離脱した。現在までに計 6 回 の BPA を経て、平均肺動脈圧 26mmHg、HOT 離脱、NYHA2 まで改善、かつ右室機能不全も著明に改善した。VA-ECMO 下での rescueBPA により救命できた、重症 CTEPH の貴重な 1 例であり、文献的考察をふくめ報告する。 Ⅳ-20 アルコール性肝硬変を背景とした門脈肺高血圧症(POPH)に upfront combination therapy が 著効した一例 土谷 健、山口 斐、高野 寿一、住野 陽平、服部 英二郎、澤田 三紀、徳永 毅 JA とりで総合医療センター 症例は 2013 年にアルコール性肝硬変治療開始後、2014 年に通院自己中断していた 66 歳女性。2016 年 3 月労 作時呼吸困難を認め、心エコーで右心系拡大、左室中隔扁平化、TRmaxPG 48mmHg と肺高血圧が疑われ、CT で 門脈圧亢進所見の巨大脾腎シャントを認めた。5 月右心カテーテルで mPAP 40mmHg,PCWP 15mmHg,PVR 7.7W.U,CO 3.3L/min と門脈肺高血圧症(POPH)の診断で、Macitentan 10mg を開始、2 週後に Riociguat 3mg を導入した。 8 月 mPAP 37mmHg,PCWP 22mmHg だが、PVR 2.6W.U,CO 6.7L/min と肺血行動態の改善、心エコーで右心系の縮小 を認め、症状は改善した。 コンプライアンス不良の患者に治療が著効した点、POPH などの肺動脈性肺高血圧症に対してエビデンスの少 ない upfront combination therapy が有用であった点が貴重と考えられ、文献的考察を加え報告する。 Ⅳ-21 肝肺症候群を伴った門脈肺高血圧症の一例 一戸 能麿 1)、加門 1) 、波多野 辰也 1)、北原 慧 1)、山中 哲雄 1)、小松 宏貴 1)、平田 恭信 1)、深津 徹 将 2) 1) 東京逓信病院 循環器科、2)東京大学医学部付属病院 循環器内科 症例は 51 歳男性。10 歳時輸血歴あり。20XX-1 年他院にて初期 LC に対し PegIFN+リバビリン療法受けられた。 20XX 年 7 月より咳嗽出現し、胸部レ線にて肺動脈拡大指摘され、心エコー図にて三尖弁圧較差 89mmHg 指摘さ れ 8 月当院受診。CT 上肺野に異常認めず、換気血流 RI にて mottled pattern 認めた。抗セントロメア抗体陽 性あるも自他覚的症状なく、潜在性限局性強皮症と考えられた。20XX 年 9 月右心カテーテル検査施行し mPAP 41mmHg、PAWP 6mmHg と肺動脈性肺高血圧認め、上部消化管内視鏡にて食道静脈瘤も認めたことから肝硬変・ 門脈圧亢進症を基礎疾患とした門脈肺高血圧症と診断した。タダラフィル 40mg、マシテンタン 10mg を sequential に導入し、20XX+1 年 3 月右心カテーテル検査にて mPAP 28mmHg、PAWP 7mmHg と改善認め WHO 機能 分類 1 にて経過良好である。
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