EPIC 試験:学ぶべき教訓

Abstract: G. Auerswald, et al.
Abstract (Clinical haemophilia )
EPIC 試験:学ぶべき教訓
The EPIC study: a lesson to learn
G. Auerswald, K. Kurnik, L. M. Aledort, H. Chehadeh, A. Loew-Baselli, K. Steinitz and A. J. Reininger for the
EPIC Clinical Study Group
緒 言: 第 VIII 因子に対するインヒビターは,過
PUPs 被験者中 3 例( 27.3% )に FVIII 結合抗体と共
去に治療歴のない血友病 A 患者( PUPs )の約 30%
にインヒビターの発現が確認された。本試験は主要
に生じ,血友病 A の最も重篤な合併症である。イ
目標到達の可能性がきわめて低いと予測されたこ
ンヒビター発現患者がいる一方,発現しない患者
とから,データ安全性モニタリング委員会の承認に
もいる理由は不明である。 目 的: 重症型または
より中止が決定された。結 論:早期に中止したた
中等度重症型血友病 A の PUPs を対象とし,1 歳
め,EPIC 試験の仮説を裏付けることはできなかっ
になる前にプラズマ / アルブミン フリー製法によ
た。それでも,今回のデータ解析が示すとおり,血
る遺伝子組換え型血液凝固第 VIII 因子製剤( rAHF-
漿中のインヒビター活性 0.6 BU/mL 以上にのみ基
PFM )25 IU/kg 週 1 回投与による FVIII 製剤定期補
づいた現行のインヒビターの定義は,FVIII 中和抗
充療法を開始し,免疫学的デンジャーシグナルを
体の存在を必ずしも反映しているとはいえない。本
最小化すると,インヒビター発現率が低下し得る
試験の知見からは,低レベルのインヒビター活性の
という仮説をテストするために Early Prophylaxis
結果については,さらなる確認試験や治療の反応に
Immunologic Challenge( EPIC )試験をデザインし
関する評価を要することが示唆される。
た。方 法:免疫学的デンジャーシグナルである,
( 1 )手術,( 2 )重度の出血または感染症発現時にお
ける初回 FVIII 製剤投与,( 3 )中心静脈アクセスデ
バイスの留置,( 4 )FVIII 製剤投与前または投与
後 3 ∼ 4 日目における筋肉内ワクチン接種を回避
することによりデンジャーシグナルへの暴露を最
小化した。 結 果: 治療を受けた被験者 19 例中 8
例( 42.1% )にインヒビター発現が確認された。治
療を受けた被験者 19 例中 11 例は,これまで FVIII
製 剤 の 投 与 を 受 け て い な い PUPs で あ っ た。 本
Haemophilia (2015), 21, 622–628
© 2015 John Wiley & Sons Ltd
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